インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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【碧】
「止まらないスピードで想いが溢れていく」

【エイラ】
「私にできること、一つずつ叶えたい」

【碧】
「負けたくはない、誰よりも輝いていたい」

【エイラ】
「私にできること、貴方にも伝えたい」

【碧】
「星が見えない日も、光はあるきっと」

【エイラ】
「諦めないで、翼広げて」

【碧&エイラ】
「さあ、飛ぼうよ!明日のために!」

ED:
「約束の空~私のいた場所~」
唄:
エイラ・イルマタル・ユーティライネン(CV.大橋歩夕)&ゲルトルート・バルク
ホルン(CV.園崎未恵)&シャーロット・E・イェーガー(CV.小清水亜美)&ミー
ナ・ディートリンデ・ヴィルケ(CV.田中理恵)




最終話「いつかまた会う日まで」

ストライクネウロイを追い、私達はそれに追いついて銃撃戦を始める。

 

しかしストライクネウロイは私達の銃撃を私の固有魔法で予知して全て回避している。

 

「エイラの未来予知がここまで厄介とは……!攻撃が全てかわされてしまう……!」

 

「奴のコアは胸部にあるのだが、あの固有魔法のせいで一発の銃弾を当てることができない……」

 

さっきまで魔眼でストライクネウロイのコアを探していた坂本少佐がそう言って唇を噛み締める。

 

私もさっきまで自分似た姿をした魔女ネウロイと戦っていたからそれは分かる。

 

【……トネール】

 

機械じみた女の声を発し、右手に紅い雷を集め、そこから紅い激しい電撃を私達の周囲に飛ばす。

 

私達はそれを見て電撃が発射されたところの軌道から逸れるが、あれをまともに喰らっていたらひとたまりもないだろう。

 

「やはり腹が立ちますわね……自分の固有魔法をああも簡単に使われると……」

 

「奴はペリーヌやエイラだけじゃない、我々全員の固有魔法と技が使える。しかも我々と違って無限の魔法力を所持している……」

 

「チートにもほどがあんだろ……そンなバケモノみたいな奴、どうやって倒せばいいんだよ……!?」

 

たしかに私の固有魔法であいつの動きを予知してもストライクネウロイは更にそれを予知して防いでくる。

 

つまり実質ストライクネウロイには隙がないということになる。

 

「でも、きっと付けいる隙があるはずだよ!あんなものまね野郎なんかに私達インフィニット・ウィッチーズが負けるもんか!」

 

「ハルトマン中尉の言う通りです。東条君達も頑張っていますし、私達がここで絶望するわけにはいきません」

 

「……そうね、私達は魔女だものね。世界をネウロイから救うために結成された……」

 

「未来予知はあくまで予知です。それに予知ができるからといって全てのものに対応できるとは限りません」

 

「どういうことですか?」

 

「予知はできても対応できることには限度があるということだ。エイラ、お前の予知はあくまで相手の動きを予知するものだろ?」

 

「……そうだ、この固有魔法は私は無傷の撃墜王って言われてる所以だからナ。けど、完璧に避けられるようになるわけじゃナイ。予知した上で避けるンダ」

 

「幸い数はこちらのほうが上です。いくら無限の魔法力を持っていても、必ず対応できるまでのタイムラグが生じるはずなんです。そこを突けば……」

 

「奴を倒すことができる……そういうわけか?」

 

「恐らくは」

 

冷静な表情で頷くデュノア。

 

温和そうな顔してるけど、戦いの時は冷静になるんダナ。

 

「ではフォーメーションを組みましょう。私、宮藤さん、ハルトマン、ペリー

ヌさんが右サイド、坂本少佐、シャーリーさん、リーネさん、シャルロットさ

んが正面、バルクホルン、サーニャさん、ルッキーニさん、エイラさん、ラウ

ラさんは左サイドから攻撃して下さい。そして美緒……隙を見てあのネウロイ

に烈風斬で……」

 

「陽動作戦というわけか……しかし奴相手に通用するかどうか……」

 

「今はそれしか方法はあるまい。一か八かやってみよう!坂本少佐!」

 

「……そうだな。では各自、散開!」

 

坂本少佐の指示でそれぞれが隊を作って右、正面、左サイドからストライクネウロイを攻めて銃撃を繰り出す。

 

だが、いくら攻めてもやはりストライクネウロイはその銃弾を全て避けてしまう。

 

【……シュトゥルム】

 

全ての銃弾を避けきると、ストライクネウロイは自身を回転させて黒く巨大な竜巻を発生させてミーナ隊のほうに向かってくる。

 

「くっ……シュトゥルム!!」

 

ハルトマン中尉はそれに対して自分も身体を回転させて竜巻を作り出す。

 

ストライクネウロイの黒い竜巻とハルトマン中尉の白い竜巻が上空で激しくぶつかり合うが、しばらくしてハルトマン中尉が押されて吹き飛ばされてしまう。

 

吹き飛ばされたハルトマン中尉を近くにいた宮藤が飛んで行って受け止める。

 

「大丈夫ですか!?ハルトマンさん!」

 

「うん、何とかね……それにしてもあいつのシュトゥルムすごいよ……。私のシュトゥルムを吹き飛ばした……」

 

「11体のネウロイと融合して力が倍化されてるんだわ。つまり、あいつは個々の能力も私達以上……」

 

「これだけ苦戦したのはもしかしたら福音戦以来かもしれんな……。あのゼロという奴……中々のものを生み出してくれたものだ……」

 

「感心してる場合じゃないよラウラ!ほら、次が来る!!」

 

数km先から紅いビームが飛んできた。

 

デュノアとボーデヴィッヒからあいつの距離までかなりあった……ということは。

 

「私の固有魔法です!私の固有魔法が敵に使われてます!」

 

右腕を装甲ライフルに変形させているストライクネウロイを見て声を上げるリーネ。

 

リーネの固有魔法は視力を上げるもの、だからあれだけの距離で放つことができたのカ……。

 

「この!塵となれ!」

 

ボーデヴィッヒが右肩に搭載されているレールカノンの銃口をストライクネウロイに向け、カノン砲を発射する。

 

だが、ボーデヴィッヒのその攻撃は目の前に紅いシールドを張ることによって防がれた。

 

「何!?シュバルツェア・レーゲンの誇るレールカノンを防ぐとは……。あのシールド、どれだけの強度なのだ!?」

 

「あのシールドの強度は恐らく宮藤と同じ、あるいはそれ以上か……」

 

坂本少佐がストライクネウロイの張ったシールドをそう解釈する。

 

501の中で最大の郷土のシールドを張れる宮藤以上のシールドを張れるなんて、相当ダナ……。

 

私がそれに驚いていると、ストライクネウロイは右腕の装甲ライフルを戻し、入れ替わりに両腕を二丁の機関銃に変形させる。

 

その銃口から小さな紅いエネルギー弾を連射し、私達はそれを上空を走ることで軌道から外れる。

 

そうしながらデュノアは右手にアサルトカノンのガルムを召喚してストライクネウロイにアサルト弾を連射するが、ストライクネウロイはそれを目の前に紅いシールドを張って防御する。

 

「撃つのがダメならこれで!灰色の鱗殻(グレー・スケール)!」

 

ガルムを引っ込め、入れ替わりにシールドの裏に装備されていたパイルバンカーを右手に持ってストライクネウロイに向かっていく。

 

盾殺し(シールド・ピアース)!!」

 

目の前に張られたシールドをパイルバンカーで突き刺す。

 

しかしストライクネウロイのシールドはさっきも言った通りかなり強力で、中々突き破れずにいる。

 

「盾を破るのが本命と思った?でも……違うんだな!」

 

デュノアが言い終わると、坂本少佐が横から愛刀である烈風丸を両手に持ち、刀身を白く輝かせながらストライクネウロイに向かっていく。

 

マズい!

 

「ダメだ少佐!!今そいつに突っ込んだら!!!」

 

私がそう叫んだ頃にはもう遅く、坂本少佐はストライクネウロイに烈風斬を放つ体勢に入っていた。

 

「くっ……!」

 

この先の未来を予知した私はストライカーユニットにブーストをかけて坂本少佐のところに飛んでいく。

 

「烈風z―――!」

 

坂本少佐が刀身を巨大化させた烈風斬を放とうとした瞬間、ストライクネウロイは右腕の機関銃の銃口を坂本少佐に向ける。

 

しかし構わず坂本少佐はストライクネウロイに突っ込んでいく。

 

「少佐ぁああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!」

 

ストライクネウロイの機関銃から紅いビームが放たれる。

 

しかし、それが当たったのは坂本少佐ではなく……。

 

「うわぁああああああああっ!」

 

坂本少佐の前に飛び出し、シールドを張った私だった。

 

私はそのまま吹き飛ばされて地上めがけてまっ逆さまに落ちて行った。

 

胸から痛覚を感じながら薄れていく意識の中、私が最後に見たのは……。

 

『え……エイラァアアアアアアアアアアアアアァァア!!!!!』

 

涙を流しながら叫ぶサーニャと坂本少佐が私のところに飛んでくるところだった……。

 

 

―――――

 

 

「エイラさん、エイラさん!しっかりして下さい!エイラさん!!」

 

「……」

 

私と一緒に堕ちたエイラを地上に運んだ寝かせた芳佳ちゃんが叫びながら胸から血を流している治癒魔法で治療している。

 

けど、エイラは両目を閉じたまま意識を取り戻そうとしない。

 

でもありえない。

 

今まで一度も被弾したことないエイラが被弾するなんて……。

 

どうして当たっちゃったの…………エイラ。

 

「……エイラさんはきっと、あのまま烈風斬を撃つとストライクネウロイの攻撃が当たるのを予知していたんだと思います。あのまま突撃させればシールドをはれない坂本少佐に被弾すると分かって……」

 

「くっ……!私が不甲斐ないばかりにエイラが……すまない。お前をこんなにして……」

 

横目を見ると坂本少佐が悔しさと申し訳さの混じった表情で右拳を握って震わせる。

 

でも……。

 

「……まだエイラは死んでいません。こんなことで死んだりしません」

 

「サーニャ?」

 

「エイラは今まで私を守ってくれた人です。だから……また必ず帰って来てくれます」

 

「サーニャちゃんの言う通り!エイラさんがこんなことで死ぬはずありません!必ず目を覚まして帰って来てくれます!目覚めるまで私も諦めませんから!」

 

「……サーニャ、宮藤。そうだな」

 

坂本少佐が静かに頷くと、私は再びエイラに視線を向ける。

 

芳佳ちゃんに治療されながら眠ったように動かないエイラを。

 

「(エイラ……帰って来てくれるよね……?私のところに……)」

 

その心の問いかけにもちろんエイラが答えることはなかった。

 

でも、エイラならきっと……。

 

 

―――――

 

 

黒い……どこまでも真っ黒な空間の中に私はいた。

 

「どこなんだ……ここは?」

 

周囲を見渡すが、そこには真っ黒な空間が広がっているだけで何もなければ人もいない。

 

マジでどこなんだよここは……?

 

「ここはお前の頭の中だ。坂本美緒を庇って意識不明になったお前のな」

 

「誰ダ!?」

 

男の声が聞こえてきて、私は声を上げながら周囲を見渡す。

 

「私ならここ。お前の後ろだ」

 

言われて後ろを振り返る。

 

振り返るとそこに青白い光が円を作るように点りだし、そこの中心に黒い毛皮に紅い紋様がされ、両目の瞳が金色になっている巨大な黒狐がいた。

 

そいつから放たれるあまりの迫力に私は驚いてあんぐりとしてしまう。

 

「そんなに私の姿が珍しいか?同じ種族の狐を使い魔としているお前でも」

 

「な、何なんだお前!?こんなデカい狐、スオムスでもオラーシャでも見たことないゾ!?」

 

「当然だ、私には実体がないのだから。故に私を見ることができるのは高い魔法力を持った魔女だけだ」

 

「でも、その狐が何で私の頭の中にいんダヨ?」

 

「そうか……お前はまだ気付いていないのか……。自分の中に宿っている強大な力に……」

 

さっきからこいつが何を言っているのか全然理解できない。

 

私は宮藤と違って飛び抜けた魔法力を持っているわけじゃない。

 

ただ他の魔女より少しだけ高いだけだ。

 

「そんなわけないだろ……私がそんなもの持っているわけナイ……」

 

「いや、私には分かる。お前は自分で気付いていないだけで持っている。た

だ今はそれがセーブされているだけだ。お前も知っているだろう?魔女は使

い魔と契約することで真の力を解放できると」

 

たしかにそれは聞いたことがある。

 

魔法力を秘めた魔女は様々な種類の使い魔と契約し、力を解放するのだと。

 

でも……今の私ハ……。

 

「……さっきあいつの攻撃喰らった時、使い魔が死んじまったンダ。だから、もう私を今までのように戦うことはできない。皆と一緒に飛ぶことモ……」

 

攻撃された時、たしかに感じた。

 

自分の使い魔が息絶えるのを。

 

つまり使い魔を持たない私では戦線に戻れても皆と一緒に戦うことはできないんダ……。

 

「……それならば、私がお前をもう一度空へと飛ばしてやる」

 

「は?どうやってダ?」

 

「私がお前と契約する。そうすることで、お前の中に眠る力を引き出してやる」

 

「契約ってことは……お前やっぱり使い魔ナノカ!?」

 

「そうだ。私はお前と契約するために現れたのだからな。帰りたいのだろう?皆のいるあの空に」

 

帰りたい……。

 

あそこには皆が、サーニャが、碧がいる。

 

それにこうしている間にも皆はストライクネウロイ、ゼロと戦っているのだから。

 

「私は……帰りタイ。皆のいるあの空ニ。もう一度…………飛びタイ!!!」

 

「……交渉成立だな。あとは儀式を行えば契約は成立する」

 

「一つだけ聞きたことがある。お前は……誰なんダ?」

 

「……私は」

 

言い終わると共に周りを囲んでいた光が柱となって上がる。

 

「ムスタ・ケッツ……妖狐の名を持つ者だ」

 

尻と尻尾を合わせながら自己紹介するムスタ・ケッツの言葉を最後に儀式を完了させて空間から飛び出して行った。

 

 

―――――

 

 

「……」

 

あの空間から飛び出し、現実世界に帰って目を覚ますと私は地面に倒れ、宮藤から放たれる治癒魔法を受けていた。

 

でもそこには宮藤だけじゃない。

 

坂本少佐、そしてサーニャもいた。

 

三人共私が目を覚ましたのを見て驚きと喜びが混じったような顔を見て私を見る。

 

「エイラさん!よかったぁ……目を覚ましたんですね……!」

 

「よかった……本当に、よかった……!」

 

「……エイラ!」

 

宮藤と坂本少佐が涙目になって喜んでいる中、サーニャが同じように涙目になりながら私のほうに駆け寄り、上半身を起こした私に抱き付いてきた。

 

いきなりのことだったので私は驚いてつい顔を赤くしてしまう。

 

「おい、サーニャ……苦しいッテ……!」

 

「よかった……エイラが無事に帰って来てくれて……!本当に……!」

 

細い両腕を私の首に回し、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるサーニャ。

 

サーニャも宮藤も坂本少佐もきっと私が目を覚ますまでずっとここで待っていてくれたのだろう。

 

そう感じた私はサーニャの両肩を両手で触れて距離を離す。

 

顔を見るとやっぱりサーニャは泣いていた。

 

「ごめんなサーニャ、心配をかけテ。でも、私はもう大丈夫だかラ。だから、涙を拭いてクレ」

 

私の言葉に安心して、サーニャは笑顔になって両目にたまって涙を指で拭く。

 

やっぱりサーニャは笑顔のほうが可愛い……これは絶対ダ。

 

「エイラ、その―――」

 

「その先はいい。予知しなくても少佐の言いたいことは分かる。自分のせいで私がこうなったって言いたいんダロ?」

 

「……そうだ、私が突っ込んだせいでお前は……」

 

「あれは私が勝手にでしゃばって起きたことダ。だから少佐が気にする必要ナイ。だからそれ以上自分を責めないでクレ」

 

「……エイラ」

 

「……さて、そろそろ戻らないとナ。皆のいるあの空ニ。新しい相棒と一緒ニ」

 

【ああ、飛ぶがいい。そして……空と仲間を守るがいい。お前には今その力がある】

 

頭の中からムスタ・ケッツの声が聞こえてくる。

 

当たり前だ、そのためにお前と契約したんだからな。

 

ストライカーを起動させ、足元に巨大な魔法陣を展開する。

 

しかしその魔法陣の色は青ではなく、黒に変色していた。

 

「何て凄まじい魔法力なんだ……!?さっきまでのエイラと何かが違う……」

 

「少佐、銃を貸してくれなイカ?私のさっきの攻撃で壊れちゃッテ」

 

「あ、ああ……」

 

私に言われると、坂本少佐は上半身にかけていた機関銃を差し出し、それを受け取る。

 

「しかしお前、一体何があったんだ?魔法力の質が変わっているみたいだが……」

 

「ちょっと色々あってナ。こういうことになったんダヨ」

 

「……エイラ」

 

「サーニャ、私行くよ。この戦いにはお前の母国の存亡がかかってるカラ。お前のためにも、お前の両親のためにも、私はあいつを倒してくるヨ」

 

「だったら私も戦う。エイラだけに辛いことを背負わせたりしない」

 

「私もです!これまで一緒に戦ってきた仲間なんですから!」

 

「無論だ」

 

サーニャに伴って宮藤と坂本少佐もそう言ってストライカーユニットを起動させる。

 

「なら行こう!私達の空を……守るためニ!!」

 

私の言葉に頷くと共に三人が私と共に空へ飛び立つ。

 

空へ飛び立ち、皆のところまで着くと、皆はストライクネウロイの猛攻に苦戦を強いられているところだった。

 

「エイラ!お前もう大丈夫なのか!?」

 

「ああ、心配をかけて悪かったナ。もう大丈夫だ、それより今ハ……」

 

「ああ、分かっている。だが、あっちは我々の動きを未来予知で読んでいるどの作戦も通用しないんだ……」

 

「分かってる、でも大丈夫。私があいつの動きを全て予測スル」

 

「何を言ってるんだ!?そんなことしても更に予知されて終わりではないか!」

 

「ああ、今までの私の未来予知ならそうだッタ。でも、今の私はさっきの私とは違ウ。

分かるんだ、あいつが、次何をしてくるのかが……手に取るようニ」

 

「それ、本当なの?」

 

「ああ、だからここからは私のいうことに従ってクレ。必ず皆を勝たせて見せル」

 

「……」

 

ミーナさんが視線を下に向けて考える。

 

だが、それからしばらくして【分かった】と言って従い、このことをウィッチーズ全員にこのことを伝えた。

 

それが全て伝えられると、ストライクネウロイが両手に紅い稲妻を集めて電撃を放ち、私達はそれを避ける。

 

「シャーリー!右からレーザーが来るゾ!」

 

「あ、ああ!」

 

「ツンツンメガネ!またトネールが来るゾ!」

 

「は、はい!ていうかその予備片いい加減やめてくれませんこと!?」

 

皆が私の指示で次々とストライクネウロイの攻撃を避けていく。

 

今まではここまで長い時間の未来を予測することなんてできなかった。

 

恐らくムスタ・ケッツと契約したことによって最大で予知できる時間の長さが伸びたのだろう。

 

「ハルトマン中尉!!ツンツンメガネ!!」

 

「まっかせて!シュトゥルム!!」

 

「トネール!!」

 

シュトゥルムを使ってきたストライクネウロイに対し、ハルトマン中尉が同じように竜

巻を発生させ、ツンツンメガネがその周囲に電撃を放って竜巻に纏わせる。

 

ストライクネウロイの黒い竜巻とペリーヌの電撃を纏った白い竜巻が轟音を立てながらぶつかって押し合う。

 

「ぐぅううううううう……!カルスラント軍人を、ナメるなぁああああああぁ!!!」

 

ハルトマンの中尉の叫ぶによって魔法力が増強されたのか、竜巻が巨大化してストライクネウロイの黒い竜巻を押しきった。

 

それによりストライクネウロイに初めてダメージを負うが、そのダメージは宮藤の治癒魔法によって修復される。

 

「ダメだ!まだ火力が足りない!一撃で仕留めないと修復されてしまう!」

 

坂本少佐が言い終わると、ストライクネウロイが両腕を二丁機関銃に変化させて小さな紅いビームを連射してくる。

 

せめて烈風斬を当てることができれば……でもそれには動きを止める必要が……そうカ!

 

「ボーデヴィッヒ!」

 

「何だ?」

 

「今から私が突っ込ム!お前は今から43秒後に右30℃のところにワイヤーを撃ってクレ!」

 

「右30℃?どういうことだ?」

 

「頼んだゾ!」

 

「あ、おい!」

 

ボーデヴィッヒに指示をして私はストライクネウロイのところに飛んで行く。

 

ストライクネウロイは私が飛んでくるのに気付くと、右腕をフリーガーハマーに変化させて私にロケットランチャーを九連射する。

 

だが、わたしはそれでも避けずに前に進み続ける。

 

何故なら……。

 

「エイラ!」

 

サーニャがフリーガーハマーで相殺してくれることを予知していたからだ。

 

さすがサーニャ、私が言わなくても思った通りの動きをしてくれるな。

 

それからも私はストライクネウロイから発射されるビームを避け続ける。

 

もちろんただ避けているわけじゃない。

 

ストライクネウロイをある場所まで誘導するためだ、そろそろダナ。

 

「何が何だか分からんが、これでいいのか!」

 

ボーデヴィッヒが私の指示した通りに指定した時間に両肩からワイヤーを発射する。

 

しかしそこはストライクネウロイとはまったく違う方向に放たれていた。

 

「ちょっと~!そこに敵はいないよ~!?」

 

「何考えてんだ!?」

 

皆もこのことについて驚いていたが、これでいい。

 

何故ならあそこにワイヤーを飛ばさせていたのも私がわざわざ攻撃せずに動いていたのはちゃんと意味があるからだ。

 

「宮藤!!」

 

「はい!」

 

宮藤がワイヤーが飛んできた位置に立ち、その前にシールドを張る。

 

するとワイヤーはそのシールドによって軌道を変えられ、一気にストライクネウロイの背後に飛んでいく。

 

それにストライクネウロイも気付いたようだが、気付いた時にはもう遅く、ワイヤーに身体を縛り付けられた。

 

捕まったストライクネウロイは抜け出そうともがくが、中々抜け出せないでいる。

 

「普通に飛ばしても避けられる……だからわざわざ違う方向に飛ばさせたのね……」

 

「だが、今なら攻撃を当たれる。エイラ!!」

 

坂本少佐が背負っていた扶桑刀の烈風丸を私めがけて投げつける。

 

投げつけられた烈風丸を私が空中でキャッチする。

 

「お前が決めろ!今奴に止めを刺せるのはお前しかいない!」

 

「はい!でやぁああああああああああああああああああぁ!!!」

 

坂本少佐から借りた機関銃を背中に背負って烈風丸の刀身を鞘から引き抜き、両手に持って構える。

 

そして狙いをストライクネウロイめがけて飛んで行きながら、刀身に黒い魔法力を纏わせ、巨大な刃を形成する。

 

「行けぇええええええええええええええええ!エイラ!!」

 

「うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!烈風斬!!!」

 

黒く巨大な刃がワイヤーに縛られたストライクネウロイを両断する。

 

両断されたストライクネウロイは自身の心臓であるコアも両断され、大量の白い粒となって消滅し、烈風丸の刀身に纏っていた巨大な黒い刃は霧散して消えた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

しかし黒い刃が消えた瞬間、一気に疲れが押し寄せてきて、烈風丸を握った両手を緩ませて後ろに倒れそうになる。

 

それを見たサーニャが飛んできて、私を後ろから支える。

 

「エイラ、大丈夫!?」

 

「いや……ちょっと大丈夫じゃない、カモ……。正直一人で飛べる気がしネェ……」

 

「あれだけの魔法力を放ったんだ、無理もない。だがお手柄だったぞ、エイラ」

 

「うわっ!バルクホルン大尉が褒めてる!何か気持ち悪ッ!」

 

「気持ち悪いとは何だ気持ち悪いとは!褒めてるのだから素直に嬉しがれ!」

 

「二人共、はしゃいでる場合じゃないわ。まだゼロが残っているのだから」

 

そういえばストライクネウロイのことでそのことをすっかり忘れていた。

 

でも心配はしていない。

 

「それは……もう大丈夫なんじゃないカナ?」

 

「どういうことですか?」

 

「あそこにはあいつ、それに仲間がいる。きっともう決着が着いてんじゃないカ?」

 

「……そうだといいけど」

 

「とにかく、皆のところに向かいましょう。話はそれからよ」

 

『了解』

 

こうして、どうにか皆無事にストライクネウロイを倒した私達は碧達のいるネウロイ

の巣に向かい飛んで行く。

 

サーニャと宮藤に肩を貸してもらいながら……。

 

 

―――――

 

 

「行くぞ雨月、空裂!はぁあああああああああああああっ!」

 

箒が小型のUFOの形状をしたネウロイから放たれる紅いビームを避けながら接近し、専用武装の刀である雨月と空裂で斬撃を繰り出し、時には振るって衝撃波を出してなぎ倒していく。

 

「行きなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

ブルー・ティアーズの両サイドに浮遊されている二つのアーマーに二基ずつ搭載されているビットのブルー・ティアーズを射出して目の前にいる小型の戦闘機型のネウロイにビームを発射する。

 

ブルー・ティアーズから放たれる蒼い砲撃が次々とネウロイを殲滅していく。

 

「二人共中々やるじゃない。よしあたしも!」

 

鈴が片手に一本ずつ持った専用武装の青龍刀である双天風月を振るって

 

紅いビームを射出してくるジェット機型のネウロイの攻撃を避けることによって掻い潜り、両肩に搭載されているキャノン砲の龍砲から砲撃を発射してボディーを傷付ける。

 

それで何度も傷付けたことによってそのジェット機型のネウロイからコアが露出した。

 

「あれがコアね……行っけぇええええええええええぇ龍砲!!」

 

龍砲の砲身にエネルギーをチャージし、そこから特大のビーム砲を発射する。

 

それによって本体ごとコアが貫かれ、ジェット機型のネウロイは隊長の白い光の粒となって消滅した。

 

このジェット機型のネウロイは消滅したことによってゼロの出したネウロイは全て消滅したことになる。

 

【マダソレホドノ力ガアッタノカ……ダガ、ソレモイツマデ続クカナ?】

 

そう言うと、ゼロがまたネウロイの巣から様々な形状をしたネウロイを生み出す。

 

「くっ……まだ出てくるのか……!?」

 

「やっぱりザコの相手ばかりしても消耗戦になるだけだ。ゼロを倒さないとネウロイは永久に増え続ける……」

 

「だから箒、セシリア、鈴。お前達はネウロイのほうを頼む。俺達はゼロを倒す」

 

「……二人で勝てますの?」

 

「分からねぇ、けど勝ってみせる。俺達はそのために来たんだからな」

 

「……ならせめて私が―――!」

 

「いや、僕達二人でやらせてくれ。ゼロには借りがある。ここでそれを返しておかなくちゃいけないからね」

 

「だから信じてくれよ箒。必ず勝ってみせる、あのものまね野郎にな」

 

「……」

 

凛とした表情で言う一夏に箒は顔を赤くする。

 

やれやれ、一夏の唐変朴っぷりはこの世界でも健在だな。

 

「……いたしかたあるまい。だが約束しろ!絶対に死なないと!二人共無事に倒して来い!」

 

「おう!任せろ!」

 

「セシリア!鈴!我々はザコの相手をするぞ!二人を何人たりとも近付けるな!」

 

「しかたありませんわね……一夏さんのために、今回はバックアップに回って差し上げますわ!」

 

「負けたりしたら承知しないわよ!一夏!碧!」

 

そう言うと、箒達はネウロイ達のほうに飛んで行き、戦闘を始めた。

 

あの三人がいればここにザコが押し寄せてくることはないだろう。

 

【リベンジトイウワケカ?少シスペックノ高イISヲ持ッテイルカラトイッテイイ気ニナッテハイナイダロウナ?】

 

「そんなこと思っているわけじゃない。けど、僕はISを利用して悪事を働こうとする君が許せないだけだ」

 

「ISはな、俺達にとっては絆なんだ。それをお前が面白半分で使っていいもんじゃねぇんだよ!」

 

【絆、カ……ナラバソレヲ私ニ見セテミロ。ダガナ、絆デハ私トNSニハ勝テン!】

 

言い終わるとゼロは右手に黒い雪片弐型を召喚して僕と一夏のほうに向かってくる。

 

これに対して一夏は雪片参型を右手に持ちながら突撃し、僕は片手に一丁ずつダークリパルサーmkⅡを持ちながら距離を取る。

 

突撃した一夏と迎え撃ったゼロががクリアホワイトの半透明の刀身と黒い刀身をぶつからせて剣劇を繰り広げる。

 

けど戦闘技術はまだゼロのほうが上か……クアンタでやっと互角なんて……。

 

【コレガ新タナISノ力カ……ナルホド、タシカニ素晴ラシイ力ダナ】

 

「っ!」

 

雪片参型でゼロを押し、後ろに下がる。

 

後ろに下がると右肩に装着されている雪月花から四基の白羅を射出し、ゼロめがけて飛ばす。

 

しかしゼロは突撃してくるその攻撃を全て見切っているように避け、全て避けられると一夏は白羅を自分のところに戻す。

 

「くそっ、やっぱオールレンジ攻撃はまだ慣れないな……」

 

【今度ハコチラノ番ダ】

 

左手から黒い銃身のダークリパルサーを召喚して紅いビームを連射する。

 

連射してくるそれを一夏は軌道を見ながら避けていく。

 

一夏がビームを避ける中、僕は今のゼロの位置から死角である右斜め上からスーパーライオットを機動ウィングから射出して全方位からビームを発射する。

 

が、そのオールレンジ攻撃に対してゼロは背中の機動ウィングから黒いライオットを射出してその四基のライオットでシールドを形成して身を守る。

 

「ビットからシールドを形成した!?フリーダムにそんな機能はないのに!?」

 

【コレハ私ノアレンジダ。ビームカラ具現化サレルエネルギーヲ利用シテナ】

 

ビームエネルギーにそんな使い方があったなんて……こいつ、僕以上にフリーダムの機能を使いこなしてる……。

 

ものまねしてる奴にこういうことを思いたくないが、これは素直に認めるしかない。

 

「なら……シールド無効化攻撃ならどうだぁあああああああああああぁ!!!」

 

一夏が白羅を雪片参型の刀身に合体させて雪片四型に変形させる。

 

ビットによって形成されているシールドに斬りかかる。

 

斬りかかった衝撃で激しい衝撃の風が吹き荒ぶ。

 

「うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!!」

 

【ッ!?】

 

ゼロの身を守っていたシールドが徐々にヒビを入れて崩壊させ、そのままゼロを斬って吹き飛ばす。

 

「どうだ!ご自慢のシールドを破ってやったぜ!」

 

「一夏、安心するのはまだ早い。さっきの斬撃じゃ浅くてコアには届いてない!」

 

【フッフッフ……タダノガキダト思ッテイレバ中々ヤルジャナイカ。私ノシールドヲ正面カラ砕クトハ……コレハ、ソロソロ本腰ヲイレナイトナラナイラシイナ。零落白夜】

 

ゼロがそう呟いた途端、ゼロの全身が黒い粒子によって包まれる。

 

僕達が最初に戦って圧勝されたあのワン・オフ・アビリティーだ。

 

【サア、アノ恐怖ヲモウ一度蘇ラセテヤル。二度ト戦イナドシタクナルホドニナ】

 

全身を黒い粒子で包みながら黒い雪片弐型を構えるゼロ。

 

たしかに僕達はまともに手を出すことができず、ほぼ一方的にやられてしまった。

 

でも……今は。

 

「たしかに……僕達はあの時君に負けた。けど、今の僕達はあの時の僕達じゃない!」

 

脳内で種が割れるイメージが流れ出し、両目のハイライトが消える。

 

「そうだ……俺達は勝つためにここに来たんだ。だから勝つんだ!今度こそ、二人で!!」

 

全身に青白い粒子で包み、瞳の色が金色に変わる。

 

ストライクフリーダムのワン・オフ・アビリティのザ・シードとクアンタ白式のワ

ン・オフ・アビリティのインフィニットバーストだ。

 

【ワン・オフ・アビリティーカ……人間ノ分際デ無駄ナアガキヲシオッテ……】

 

「諦めずに最後まであがくのが人間だ。僕達みたいなタイプは特にね」

 

「だから俺達はあがき続けるんだ。この先にある未来のために!!」

 

【ソンナモノハタダノ戯言ダ……ソレヲモウ一度、身体ニ刻ミ込ンデヤル!】

 

「行くぞ!」

 

それぞれの武装を構えて僕達はゼロに向かっていく。

 

向かって行く僕達に対してゼロは背中の機動ウィングから黒いライオットを射出してきて全方位からビームを発射する。

 

発射されたビームを僕は目の前に青白い防壁を全方位に張って防御する。

 

全てのオールレンジ攻撃を防ぐと一夏は雪片参型を両手に持ちながら突撃して振り下ろすが、ゼロはそれを横に移動することによって避け、背後に回って斬撃を繰り出す。

 

だがその攻撃は青白い粒子によって完全に完全に防御された。

 

【何!?零落白夜ノ斬撃ガ防御サレタダト!?ドウイウコトダ!?】

 

「言い忘れたがな、俺のワン・オフ・アビリティーは発動中どんな近接攻撃も無効化

できるんだよ!多少のリスクはあるけどな!」

 

【グゥウウウウウウウウウウウゥッ……!】

 

背後に回ってきたゼロの腹部を斬撃を加え吹き飛ばし、雪月花から白羅を飛ばして追加攻撃を繰り出す。

 

が、ゼロは自分めがけて襲い掛かってきた白羅が飛んでくる軌道を見切り、全ての攻撃を避け、全ての白羅を黒いダークリパルサーで撃ち落とす。

 

【イイ気ニナリオッテ……少シ動キガヨクナッタカラトイッテイイ気ニナッテイルンジャナイ!ネウロイ!】

 

ゼロがネウロイの巣から戦闘機型のネウロイを生み出し、僕達めがけて紅いビームを連射してくる。

 

そのビームが僕達から数mのところまでやって来ると紅い影が目の前にやって来て、手に持った二刀でビームを斬り裂いた。

 

「箒!!」

 

「ザコに目を向けるな!露払いは我々がしてやる!」

 

「ああ、ありがとよ!」

 

【余計ナコトヲ……ダガ、私ガ生ミ出シタノハソイツダケデハナイゾ?】

 

「何!?あっ!」

 

箒が気付き、東の方向に視線を向けるとそこには四体の小型の戦闘機型のネウロイが僕のところに迫っていた。

 

しかしその小型のネウロイ達は四つの蒼い閃光によって爆破された。

 

このビームは……。

 

「セシリア!」

 

「私もいることを忘れてもらっては困りますわ!このイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットを!」

 

【クッ……!何ヲシテイルネウロイ!サッサトガキ共ヲ始末シロ!!】

 

ゼロの指示でロボットの形状をした人型のネウロイが僕達に視線を向けて腕を差し出してビームを撃つ体勢に入る。

 

しかしそうした時、横から巨大な薙刀が飛び出してきて、人型のネウロイを真っ二つに斬り裂き、ブーメランのように持ち主のところに戻って来る。

 

「助かったぞ、鈴!」

 

「礼を言う暇があるならさっさとゼロを倒しちゃいなさいよバカ一夏!」

 

一夏にお礼を言われて鈴はそっぽを向いているが、本心は嬉しいのだろう。

 

鈴は一夏にはいつもああだから。

 

【オノレ……イツマデモ調子ニ乗ルナヨ……人間共オォオオオオオオオォォ!!」

 

ゼロが背中の機動ウィングから黒いライオットを射出し、全方位からビームを連続で発射する。

 

僕達はそのビームの軌道を見切って避けた後、僕は上空に上がって周囲にスーパーライオットを展開して全武装からゼロめがけて一斉射撃を放つ。

 

ゼロはその攻撃をイージスで防ごうとするがしばらく防御した後、崩壊されてダメージを受ける。

 

しかしイージスに防がれたおかげで威力が半減してしまっているのでまだコアまで行き届いていない。

 

「一夏!」

 

「ああ!これで一気に決めてやる!インフィニットバースト、フルパワー!」

 

雪片参型の刀身に徐々に青白い粒子が集まっていく。

 

その青白い粒子が徐々に大きくなり、雪片参型の刀身を巨大な青白い刃になる。

 

【グッ……ナメルナヨゴミ共……!コレシキノコトデ、私ハ……私ハ……!】

 

右手に持っていた黒い雪片弐型を引っ込め、入れ替わりに片手に一丁ずつ黒いダークリパルサーを持つ。

 

その銃身をピッタリ合わせてツインバスターライフルに変形させて銃口に黒いエネルギーを貯め始める。

 

「あいつ、まさかEXツインバーナーを撃つつもりですの!?」

 

「無理よ一夏!逃げて!!」

 

「いや、一夏なら大丈夫だ。行け!一夏ぁああああああああぁ!!!」

 

「うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

獣のような咆哮を上げながら突っ込んでいく。

 

しかしそうしている間にもゼロのエネルギーチャージが終了していた。

 

チャージ時間20秒……本来のフリーダムの五分の一か……。

 

【コレデ終ワリダ!EXツインバーナァアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!】

 

「烈風斬!!!」

 

青白く巨大な刃と黒い閃光がぶつかって中間でくすぶり合う。

 

そのあまりの衝撃により、激しい風が吹く荒んで周囲を揺らす。

 

「何てパワーのぶつかり合いなんだ……!ISであそこまでなれるものなのか……!?」

 

「でもマズいですわ……徐々に一夏さんが押され始めていますわ!」

 

【言ッタハズダ!コレガ人類ノ限界ナノダト!貴様等下等生物ガ元々私ニ勝ツコトナド不可能ナノダ!!】

 

「可能性を否定したらそれで終わりだ!どんなに少ない確率でも1%の確率もあればそれに賭ける!それが俺達人類の生き方だ!それを否定する権利なんて誰にもない!!」

 

【ナラバソノ可能性ヲ私ガ破壊シテヤル!貴様等ゴトナァアアアアアアァア!!】

 

そう言うと、ゼロの放っているEXツインバーナーの規模が大きくなる。

 

それに伴って一夏が徐々に後ろに押されていく。

 

「ぐっ……!ぐぅうううううううううっ……っ、ふ……」

 

一夏がふと口元を吊り上げて笑い出した。

 

どうやら、一夏は既に僕がやっていることに気付いたらしい。

 

「そろそろ終わったか?碧」

 

「ああ、終わったよ」

 

僕と一夏のやり取りで三人はようやく僕を見て気付いた。

 

今僕がやっていることに。

 

【貴様、マサカ!?】

 

「ああ、そのまさかだよ!EXツインバーナーⅡ!!」

 

一夏の後ろで合体させていたツインバスターライフルの銃口から極太の青白いビーム砲を発射する。

 

そのビーム砲が一夏の背中に直撃し、一夏の青白い刃を更に巨大化させる。

 

ビーム砲に押されるように一夏がどんどん前へ進んでいく。

 

「押されているのに動かなかったのはこのためだったのか……」

 

「自分も動けばゼロに警戒される……だから注意をわざと一夏さんに逸らさせたんですね……」

 

「あいつ、中々考えたじゃない!」

 

【ドウイウコトダ……!?私ノEXツインバーナーガ押サレテイルダト!?バカな!コンナコトアリエン!!】

 

「どんなに精巧に作ってもコピーはコピー!モノマネなんかじゃ、俺達には勝てないんだよぉおおおおおおおおおぉぉ!!!」

 

【ッ!!!】

 

「真烈風斬!!!」

 

ゼロのEXツインバーナーを前進しながら掻い潜る。

 

そしてゼロの背後にあったネウロイの巣ごと真っ二つに斬り裂いて通過する。

 

ゼロは真っ二つに斬り裂かれると、下半身から徐々に身体が崩れ落ちていく。

 

【コンナ……コンナコトガアッテタマルカ……!私ガ……コノ世界ノ王トナルコノ私ガ……!】

 

「ゼロ、君がたとえ僕達より強かったとしても、君は王にはなれない。人間を見下し、都合のいい道具としか考えていない君には」

 

【ク……オノレ……オノレェエエエエエエエエエエエエエェエエエ!!!!!】

 

その言葉を最期にゼロの身体が大量の白い光の粒となって消滅した。

 

ゼロが消滅したと共に空を覆っていた鉛色の雲が散り、そこから青空が見えてくる。

 

もちろん、オラーシャを覆っていたあのネウロイの巣もゼロが消えると共に消滅した。

 

「これで……終わった、のか?」

 

「ああ、ネウロイを生み出していた奴がいなくなったのだ。これでこの世界も大丈夫なはずだ。その証拠に巣もなくなっている」

 

「お~い!皆~!!!」

 

遠くからシャーリーさんの声がする。

 

振り返るとそこにはストライクウィッチーズの皆とシャル、ラウラがこちらに

飛んできていた。

 

ということは皆、無事ストライクネウロイを倒したんだな。

 

「行こうぜ、皆が待ってる」

 

「……ああ」

 

一夏の言葉に押されて僕は皆のところに向かう。

 

皆、特にサーニャさんはオラーシャからネウロイの巣が消えたことを涙を流しながら喜び、感謝してくれた。

 

でもそれは同時に一つの事実を表していた。

 

それは当然……あのことだ。

 

 

―――――

 

 

基地に帰り、私達はネウロイとの激しい戦いで疲れきった身体を休めた。

 

そして翌日の朝の基地の出入り口の前。

 

いよいよ……碧達がこの世界から別れを告げる時がやって来た。

 

「貴方達のおかげでオラーシャからネウロイは完全に消滅したわ。本当にありがとう」

 

「お前達がいなければきっと我々はあそこで戦死していた。いわば、この世界にとって

お前達は英雄だな」

 

はっはっは!豪快に笑いながらネウロイの巣がなくなったことを喜んでいる坂本少佐。

 

でも、ウィッチーズの一部の人達は表情が曇っていた。

 

「ねえ、本当に帰っちゃうの?せっかく仲良くなれたのに……」

 

「おい、無茶言うなよルッキーニ。皆には皆の帰る場所があるんだからさ」

 

そう言うシャーリー大尉だったが、今にも泣きそうな顔になっている。

 

バルクホルン大尉にいたっては今の顔を見せまいと碧に背中を向けながら身体を震わせている。

 

きっとあの背中の裏では泣いているのだろう。

 

バルクホルン大尉は碧のことを本当の弟のように思って可愛がっていたからだ。

 

「私達は貴方達のことを一生忘れない。どうか、元の世界でも元気でね?」

 

「ありがとうございますミーナさん。俺達も貴女達のことは忘れません。そして、長い間お世話になりました」

 

「今の僕達があるのも皆さんのおかげです。この経験を元にこれからを生きていきます」

 

「そうか、そう言ってもらえると私も指導した甲斐があるな。お前達の言う千冬という

武人に会えないのは残念だが……」

 

「え、ええ……(冗談じゃないぞ……あの二人が揃ったら鬼に金棒じゃねぇか……)」

 

「一夏、これ以上いると別れが名残惜しくなる。だからそろそろ……」

 

「ああ、そうだな。それでは皆さん、お元気で」

 

「うん、織斑君達も元気でね」

 

「またいつか……絶対に会いましょう!」

 

「ああ、そしたら宮藤、またお前の扶桑料理を食わせてくれ」

 

「はい!喜んで!」

 

「一夏、それ以上は言わないほうがいい。ほら、箒達が睨んでるから」

 

「え?何でだ?俺はただ宮藤の扶桑料理が好きだからそう言ってるだけだぞ」

 

何食わぬ顔で言う織斑。

 

ホントに……篠ノ之達が可哀相になるほどの鈍感っぷりだよな……織斑ッテ。

 

こういう鈍感を好きになった篠ノ之達に心から同情する。

 

「転移するぞ、皆俺の身体のどこかに摑まれ。あるいは俺に摑まっている奴の身体のどこかに摑まれ」

 

黙って碧達が話しているのを見ていたブルーナイト性が声をかけてくる。

 

碧達はそれに頷いてブルーナイトの身体の部分あるいはその身体の部分に触れている人の身体の部分にそれぞれ触れる。

 

碧達が全員触れていることを確認するとブルーナイトは人差し指と中指を立てた右手をおでこに当てる。

 

本人が言うにはこれが転移する構えらしい。

 

「皆さん、今まで本当にお世話になりました。エイラ、僕があげたオルゴール、大事にしてね」

 

「わ、分かってるヨ!いいからさっさと帰れよバカ!」

 

「エイラ、顔が赤いけど熱でもあるのか?」

 

『……はぁ』

 

織斑の発言に篠ノ之達が呆れて溜め息を吐いている。

 

織斑、お前は本当に救いようがないナ。

 

「んじゃまあ、とにかく……じゃあな皆!これから色々あるかもしれないけど、元気でやれよ!」

 

「貴方に救ってもらった恩は一生忘れない……皆、元気でね……!」

 

「絶対また……絶対また会おうね!!」

 

「はい、またいつか……それまでお元気で!」

 

「転移!!」

 

ブルーナイトのその掛け声と共に僕達は青白い光に包まれ、この世界から転移した。

 

転移して皆のいたところを皆はしばらく見つめていた。

 

「行ってしまったな……やはり名残惜しいものだな。教え子がいなくなると」

 

「そうね……でも、これでいいのよ……皆には帰れる場所があるから。私達と違って」

 

「……」

 

「さあ、そろそろ中に入りましょう?これからのことを話さないといけないし」

 

「ああ、そうだな……」

 

「少佐、また……会えますよね?いつか」

 

「さぁな、だが……我々が生き続ける限り、また会える日が来るさ。いつかな」

 

「うおぉおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!碧いいいいぃいいぃいい!!!何故お姉ちゃんを残して帰ってしまったのだぁぁぁああああ!!??」

 

「はいはい、よしよし」

 

泣くのを我慢していたバルクホルン大尉がついに滝の如く涙を流し、ハルトマン中尉に慰められて基地の中に入る。

 

それに続いて皆も次々と基地の中に入っていく面々。

 

あの人には帰る故郷がないから、帰る場所がある碧達のことを思って元の世界に戻すことを自らが進んで推薦したのだろう。

 

「エイラ、私達も中に入ろう?もう皆は入って行ったし。って、エイラ何見てるの?」

 

「……や、何でもナイ。そうだな、これからのことを話さないといけないもんナ」

 

私は見ていた一枚のタロットカードをポーチにしまって基地の中に入っていく。

 

それをサーニャも追う。

 

「エイラ……東条君が帰ったっていうのにすごく笑顔。寂しくないの?」

 

「別に、だって悲しんでたってしょうがないジャン。碧には碧の帰る場所があるんだからサ」

 

「……よく割り切れるね。シャーリー大尉もミーナ中佐もバルクホルン大尉も悲しんでたっていうのに……」

 

「私達にはまだ戦いが残ってるンダ。これから泣いてちゃ、戦いにも生き残れナイ。生き残れなかったら碧だって困るダロ?」

 

「エイラ……」

 

「悪いサーニャ、ちょっと先に行っててくれナイカ?私は後で行くカラ」

 

「あ、うん……分かった(エイラ、貴女もしかして……)」

 

サーニャを先に行かせて私は自分の部屋に戻る。

 

もうすぐここともお別れだ。

 

オラーシャが解放された以上、もうじき私達は解散してそれぞれの国へと帰っていく。

 

かくいう私はサーニャと原隊に戻るために母国に戻るつもりだ。

 

サーニャの両親も捜さないといけないしナ。

 

「もちろん、お前も一緒だからナ」

 

棚の上に置いている白いオルゴールを両手に取っておでこに当てる。

 

あいつが私に内緒で買ってくれたもの……これから流れる音色は私の心を癒してくれる。

 

「これはお前と私の絆の証……たとえ生きる世界が違っても、ちゃんと繋がっているゾ……」

 

こうしてると目頭が熱くなる。

 

でも私は泣いたりしない。

 

泣くより、やらなきゃならないことがたくさんあるから。

 

おでこからオルゴールを離し、元の棚の上に置く。

 

「さて、そろそろ行くとするカ。皆がミーティングルームで待ってル」

 

踵を返して私は出入り口のドアに向かって歩き、ドアノブを回して外に出る。

 

「あのさようならは……取り消しだかンナ」

 

独り言のように呟き、私はドアを閉めて皆のいるミーティングルームに向かう。

 

俯かず、真っ直ぐに、一直線に。

 

私は廊下の中を歩く。

 

あのタロットに刻まれていた正の【太陽】が示した言葉を信じて。

 

 

END

 

 

 

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