インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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ブルーナイトによって異空間に飲み込まれてしまった碧と一夏。そして目を覚まし、やって来たところは謎の生命体の侵攻を受けている一世紀前の世界だった。

OP:
「STRAIGHT JET」唄:栗林みな実

ED:
「DREAMIN'」唄:東京パフォーマンスドール


第3話「魔女が住む世界」

「う、う~ん……」

 

どのくらい倒れていたのだろう、僕達は目を覚ますと綺麗な海が広がっている浜辺の前で倒れていた。

 

「どこなんだ、ここ?」

 

辺りを見回すが周囲に人らしき姿は見当たらない。

 

どうやら僕達はあの人によって知らない場所に飛ばされてしまったらしい。

 

「そういえばさっきあの人は僕達の世界とは異なった世界が危機に瀕しているって言ってたな……。まさか、ここがその世界……?」

 

ということは僕達は今異世界にいると言っても過言ではない。

 

でも、だとしてもここはどこなんだ……?知らない場所ならヘタな行動をすれば命を落としかねない。

 

ここは慎重に行動するべきだろう。

 

「あっ、そうだ!一夏!」

 

冷静に状況分析をした後、僕は思い出したように横で倒れている一夏見てを揺さぶり起こす。

 

「一夏、一夏!起きて一夏!!」

 

「う、う~ん……碧?」

 

僕に揺さぶられて一夏はのそりと半身を起こし、周囲を見渡す。

 

「……ここはどこなんだ?」

 

「多分あの人が言っていた危機に瀕している世界なんだと思う。まだ完全には信じられないけど……」

 

「マジかよ……俺達、本当に未知の世界に来ちまったのか……?でも、こんなところにいきなり放り出されて世界を救えって言ったって、一体何をどうすればいいんだ……?」

 

「それは僕にも分からない。とりあえずまずはここがどこなのかを知る必要がある。人を捜そう、そうすれば何か手がかりが掴めるかもしれない」

 

「こんな時にも冷静だなお前……。でもそうだよな、今はそれしかないか」

 

一夏が僕に同意して身体を立ち上がらせる。

 

が、立ち上がった瞬間爆撃音と共に大地が震えるように揺れた。

 

何かと思い、爆激音がしたほうに視線を向けると全身は黒で構成され、航空機のような風貌をしている生命体がレーザーを放ちながら地上の村を襲撃していた。

 

「あいつ、もしかしてあの町を襲ってやがる……まさか、あれがそうなのか?」

 

「あれは明らかに町を襲撃するために攻撃してる。それから察するに、あれがこの世界に危機を及ぼしてると見て間違いないと思う」

 

「……じゃあ」

 

「それが分かれば僕達がやるべきことが一つしかない。つまり、あれを撃墜する!」

 

「……本気か?」

 

「あの人は危機に瀕している世界を救えと言った。なら世界に危機を及ぼしている奴を倒すのが元の世界に戻る一番の近道だよ」

 

「……なるほど、言われてみればそうだな。よし、分かった!ならもういっちょ暴れてやるか!白式!」

 

「フリーダム!」

 

それぞれの掛け声と同時に僕達はそれぞれの専用ISを展開した。

 

「村が没落する前にあれを殲滅する。行くよ一夏!」

 

「了解!」

 

そう言って僕達はあの黒い物体に向かって飛び立った。

 

 

―――――

 

 

基地全体にネウロイの出現を示すブザーが鳴り響く。

 

皆は既にストライカーユニットを履いて戦線に出ているが、私は執務室の中で待機している。

 

「(最近、ネウロイの出現率が高くなってるわね……私達だけじゃ対応しきれないくらいに……)」

 

心の中でそう呟く。

 

襲い掛かる連続戦闘に魔女達もさすがに体力も魔力も限界が来ていることだろう。

 

でも、そんなことを言っていればネウロイがあっという間に侵攻してきて私達を含めた人類は滅ぼされてしまう。

 

ここで怯むわけにはいかないのだ。

 

【ミーナ!】

 

そんなことを考えていると、トゥルーデが耳に着けているインカムの通信越しに声を掛けてきた。

 

もしかして何かあった!?

 

「どうしたのバルクホルン?もしかして誰か負傷したの!?」

 

【いや、今全員でネウロイの所在地に向かっているところだ。だが、坂本少佐が言うには我々の前にネウロイと戦闘している者がいるそうなんだ】

 

「何ですって!?」

 

ありえない。

 

私達の他にもネウロイに対抗しえる者がいるなんて……絶対にありえない。

 

「美緒、どういうことなの!?詳しく説明してちょうだい!」

 

【ああ、さっき私がこの眼で見たのだが、妙な機械を纏った少年二人がネウロイと交戦―――っ!?】

 

美緒が通信越しで驚きの声を上げた。

 

「どうしたの、美緒!?」

 

【何だあの兵器は!?あのライフル、すごい火力だ!それに何だあの剣は!?ネウ

ロイの装甲をいとも簡単に斬り裂いた!それにしてもすごい動きだ!あの機械、あ

んな動きが可能だというのか!?】

 

美緒が何やら実況めいたことを熱く言っている。

 

美緒をここまで熱くさせるなんて……一体あそこでは何が起きているの!?

 

【っ!?】

 

美緒が再び驚きの声を上げる。

 

「どうしたの!?」

 

【ネウロイが…………撃墜された……】

 

「何ですって!?」

 

美緒達が辿り着く前にネウロイが撃墜されるなんて……普通じゃない。

 

それにネウロイに対抗しえる者ならネウロイと戦う者として放ってはおけない。

 

「美緒」

 

【何だ?】

 

「その少年達を基地に連れて来てちょうだい」

【何故だ?】

 

「ネウロイに対抗できるなら私達の戦力になりえるからよ。今は、一人でも戦力が欲しい状況だから」

 

【……分かった】

 

そう言って私の命令を聞き入れて美緒は通信をシャットアウトした。

 

シャットアウトされると私は椅子から立ち上がって窓越しに外を見る。

 

「(ネウロイを一瞬で撃破するほどの戦力……今の私達には必要な逸材。美緒達に連れて来てもらって詳しいことを聞かないとね)」

 

私は頭の中でそんなことを考えながら執務室の中で皆の帰りを待つことにした。

 

 

―――――

 

 

黒い物体を殲滅し、周囲に白い光の粒のようなものが散乱する。

 

大きいからどういうものかと思えば、案外大したことなかったな。

 

「よし、殲滅完了!おかげであの街の被害は最小限で済んだぞ!ほら碧、ハイタッチ!」

 

それを聞いて僕は一夏の右の手の平を自分の右の手の平でハイタッチをする。

 

ISを纏ったままハイタッチをしたので、パンッ、と心地いい音はしなかったが、それ

でも自分達がやり遂げた達成感は変わらなかった。

 

「でも倒したはいいが、これから先はどうすればいいんだ?調べると言ってもアテなんてどこにもないし……」

 

「うん……せめてここがどこなのか分かれb―――」

 

「ここはブリタニア連邦。欧州の北西にある海洋国家の島国だ」

 

後ろから凛とした女性の声が聞こえてきたので僕達は慌ててその声がしたほうに振り返る。

           

そこには足に飛行ユニットのような物を装着した10人の少女達が浮かんでいた。

 

どうやって装着しているのか知りたいところだが今はそんなことに疑問を抱いている場合じゃない。

 

まずは彼女達が何者かを聞くことが優先だ。

 

「あの、貴女達は一体?」

 

「我々は魔力を原動力とする魔導エンジンにより空を飛ぶことを可能にしたストライカーユニットを唯一動かすことの出来る魔女により編成された対ネウロイ戦闘部隊……【STRIKE WITCHES】だ」

「……ストライク」

 

「ウィッチーズぅ?」

 

僕達は眼帯の少女の言葉に疑問符を浮かべる。

 

けど、僕は【魔女】という単語を聞いてふとこんな疑問が浮かび上がった。

 

「つまり貴女達は魔女ということですか?でも魔女はそういう飛行ユニットじゃなくて、普通箒に跨ってるものじゃないんですか?」

 

因みにここでいう箒はお掃除に使う箒なのであって、決して一夏のファースト幼馴染である篠ノ之箒のことじゃないよ、念のため。

 

「お前達、魔女を知らないのか?」

 

眼帯の少女の仲間であろう髪を二つ結びにしている犬耳の少女が【何で知らないんだ?】と言わんばかりの口調で聞いていた。

 

「はい、少なくとも俺達の世界では箒に跨って皆の願いを叶えてくれるやつしか知りません」

 

「【俺達の世界】?それはどういうことなんだ?」

 

「まるでお前達が別世界から来たような口振りだが……」

 

犬耳の少女の言葉に他の少女達にも動揺が走った。

 

僅かだが、他の少女達からひそひそと話し声も聞こえてくる。

 

ま、そりゃそうだろうな。

 

目の前に異世界の住人がいるんじゃ……。

 

「そういえば、ネウロイっていうのは何ですか?」

 

一夏が疑問を投げかける。

 

それは僕も気になって質問しようと思っていたところだ。

 

一夏の疑問に二つ結びのおさげをした少女が答える。

 

「ネウロイは1939年、突如世界各地に出没した正体不明の謎の存在のことだ。我々はそのネウロイからこの世界を守るために結成されたんだ」

 

「うむ、お前達の戦いはこの眼で見させてもらった。実に見事な連携だった。 指揮は主にそちらの少年が行っていたようだったが……」

 

眼帯の少女が俺のほうを見てそんなことを言った。

 

その表情はどこか嬉しげに見えた。

 

「あの一つ質問があるんですけどいいですか?」

 

「何だ?」

 

「貴女は先程俺達の戦いを「この眼で見た」って言ってましたけど、それは どういうことなんですか?俺達が戦っている時は貴女は近くにいなかった はずなんですけど……」

 

「遠目で見てたんじゃないのか?」

 

「いや、そうだとしたら、戦ってる時に気付くはずだよ。空の上なんだから身を隠す術なんてないんだし……」

 

「あ、それもそうか」

 

一夏が納得したのを確認すると、眼帯の少女は僕の質問に答える。

 

「私のこの右目は魔眼といって、普通の人間よりも遥かに遠くを見ることができるようになっていて、その能力を使ってお前達の戦いを見ていたんだ」

 

自分の目を親指で指しながらそう言って、僕達の疑問に答えた。

 

なるほど、信じ難い話だけど、そういうだったら話の辻褄が合う。

 

それに、この人の目からしてどう見てもウソを言ってるようには見えない。

 

信じてみる価値はありそうだ。

 

「それでな、お前達が戦っているという話を我が部隊の隊長にしたら是非ともお前達に会いたいと言い出してな……」

 

「隊長って、その部隊の仲で一番偉い人のことですか?」

 

「ああ、どうやらお前達の勇敢な戦いぶりに感心したらしい。それでお前達を我々の基地に連れて来いと隊長から言われたんだ」

 

「だから頼む、我々について来てもらえないか?」

 

「……どうする?碧」

 

「……」

 

折り曲げた人差し指を顎に添えて考える。

 

この人の言った通りにこのままついて行っていいのかを……。

 

少し考えすぎかもしれないが、この人達はいいように僕達を言いくるめて騙そうとしている可能性がないとも言い切れない。

 

けど、この人のウソを言ってるようには見えない。

 

それに彼女達について行けばこの世界のことが分かるかもしれない。

 

騙された時は騙されたでその時考えよう。

 

「返答は?」

 

眼帯の少女がそう言って、僕に返答を求めている。

 

なので僕は考えに考えた末導き出した返答を彼女に伝えた。

 

「分かりました、貴女達に従います」

 

「本当か?」

 

「はい、僕達はこの世界について知る必要がありますし。それには貴女達に着いていくのが一番合理的だと判断しました。だからです。一夏、君もそれでいい?」

 

「ああ、お前がそう言うなら俺も構わないぜ」

 

「よし、話はまとまったな。ではついて来い、我々の基地まで連れて行ってやる」

 

「分かりました」

 

そうして、俺達はひょんなことからストライクウィッチーズという謎の部隊の

基地に行くことになった。

 

すごい変な部隊と関わることになっちゃったけど、大丈夫かな?

 

「よし、いい具合に彼女達と接近したな。あとはこれを見て、奴等がどう行動するか、だな」

 

数km先からブルーナイトが見ていたが、碧達がそれに気付くことはなかった。

 

 

 

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