インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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謎の部隊と共に基地に連れられた碧と一夏。そこから始まったのは元の世界とは違った新たな生活だった。

OP:
「STRAIGHT JET」唄:栗林みな実

ED:
「DREAMIN'」唄:東京パフォーマンスドール



第4話「501へようこそ」

了承し、連れ出されること数十分。

 

僕達は孤島の中に点在していた巨大な基地の中に入り、ある一室の前で停止する。

 

「ミーナ、例の少年達を連れて来たぞ」

 

ドアを二回ノックして坂本さん(名前はここに来る前に聞いた)が中にいる人に声をかける。

 

「ありがとう美緒、ドアなら開いてるから入ってもらってちょうだい」

 

「分かった。さあ、二人共入ってくれ」

 

「はい、失礼します」

 

坂本さんに言われて僕達は開けられたドアを通って中に入る。

 

「失礼します」

 

「ど、どうも~」

 

平静を装っている僕に対し、一夏は緊張してしまってるせいか、声が強張っている。

 

まあ、隊長っていえばかなり偉い人だろうから無理ないことだろうけど。

 

「そんなに緊張することないのよ?さ、もっと近くまでおいでなさい」

 

緊張をほぐすようににこにこと笑顔を向けながら、椅子に座っている女性がこちらに手招きしてくる。

 

まさかこの人は僕達が来るのを楽しみにしてたんだろうか?

 

「初めまして、私がこの501戦闘航空団、通称ストライクウィッチーズの隊長を務めているミーナ・ディートリンデ・ヴィルケよ。因みに階級は中佐ね」

 

手招きするなり、ミーナという女性が自己紹介を始めた。

 

あっちが自己紹介してきたなら、こっちも名乗らないわけにはいかないよね。

 

「はじめまして、東条碧です。そしてこちらにいるのは僕の友人の織斑一夏です」

 

「ご紹介にあずかりました織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

丁寧にお辞儀する一夏。

 

しかしまだまだ固い。

 

「東条碧君に、織斑一夏君ね。ところで、貴方達のことは美緒から聞いているわ。ネウロイを私達よりも早く撃墜してくれたんですってね?ストライクウィッチーズを代表してお礼を言うわ、 ありがとう」

 

笑顔でお礼を言うミーナさんだったが、僕達はお礼を言われるほど大したことをしたつもりはない。

 

「僕達はお礼を言われるようなことはしてないですよ。僕達はただネウロイに襲撃された困っている人達を救ったに過ぎないんですから」

 

「謙遜をするな。お前達の活躍はこの眼で見た私が保証する。誇っていいぞ」

 

「そうよ二人共、貴方達は襲撃された村を守ってくれた。だから謙遜する必要なんてないのよ?」

 

「は、はい……」

 

褒められたことは何度かあったが、ミーナさんのような美人に褒められるのは初めてなので、気恥ずかしいことこの上ない。

 

どうしよう、今の僕赤くなってないかな?

 

「と、ところでミーナさんはどうして僕達をここに来るよう言ったんですか?」

 

照れを誤魔化すように本題に入ろうとする。

 

ミーナさんはそんな僕を見てクスクスと笑っていたが、本題になるとにこにこしていた笑顔から変わって真剣な表情になった。

 

「貴方達をここに招き入れたのは他でもない。貴方達にネウロイ殲滅に協力してもらいたいからよ」

 

「協力、ですか?」

 

「ええ、貴方達の戦闘能力を見込んでね」

 

「今ネウロイは驚異的な速さで増殖している。正直、我々だけじゃ対応しきれないくらいにな。そこでお前達にも協力してもらいたいのだ」

 

予想してはいたがやはりあのような奴等がまだたくさんいるのか……。

 

たしかにあれを放っておけば地球はたちまち廃墟となって滅ぼされてしまうだろう。

 

「一つだけ、質問してもいいですか?」

 

「何かしら?」

 

「ネウロイを倒せば世界の危機を救える、そういうことですか?」

 

「ええ、もちろんよ。貴方達が力を貸してくれるなら尚更ね」

 

やはりあれがこの世界に危機を及ぼしているらしい。

 

だったらこの人達もあれと戦っているみたいだし、俺と一夏だけで戦うよりずっと効率がいい。

 

それなら俺がミーナさんに対する返答はこれだけだ。

 

「分かりました」

 

「本当?」

 

「はい、貴女達が悪い人ではないことは分かりましたし。そういうことなら協力させて下さい。それに、僕達にはそうしないといけない理由もありますから」

 

「?どういうことだ?」

 

「信じてもらえるかどうかは分からないんですけど、俺達この世界に飛ばされる前にブルーナイトっていう蒼いフードを被った男の人に言われたんです。この世界を救ってくれって。救って英雄になれって」

 

「英雄……?そいつがお前達をここに飛ばした張本人なのか?」

 

「はい、だから僕達は戦わないといけないんです。元の世界に帰るために」

 

「そうか……お前達はお前達で事情があるようだな……。だったら尚のこと、我々と戦ったほうが都合がいいな」

 

「そうね、二人が元の世界に帰るまでの間、貴方達は私達で保護します。それでいい?」

 

「こんな超次元じみたことを貴女達は信じてくれるというんですか?」

 

「ええ、貴方がウソを言ってるようには見えないし。それにネウロイを私達以外で殲滅できるのは明らかにこの世界の人間とは思えない。そうよね、美緒?」

 

「ああ、少年達が纏っていた機械はどう見ても我々の今の開発技術じゃ開発されていないものだ。それにこの少年、とても真っ直ぐな目をしている。信用に値してもいいだろう。少なくとも少年達はウソを言ってはいないのだろう?」

 

「はい」

 

即答する。

 

僕達が言ったことは紛れもない事実だ。

 

それにこんな状況でウソが言えるほど僕達は器用じゃない。

 

坂本さんもそう思ったのかはっはっは!と笑いながら【それでいい】と言った。

 

「それじゃ、我々も改めて自己紹介しなければならないな。あの時は名前しか名乗ってなかったからな」

 

「そうだな」

 

そう言うと、坂本さんはコホン、と咳払いをしてそれぞれ自己紹介を始めた。

 

「改めて、私が坂本美緒だ。階級は少佐で、主に戦闘の指揮を執っている。以後、よろしく頼む」

 

「ゲルトルート・バルクホルンだ。階級は大尉で、部隊の記録係を勤めている。分からないことがあったら、私に聞くといい」

 

「はい、改めてよろしくお願いします。坂本さん、バルクホルンさん、ミーナさん。 ところでバルクホルンさん、早速質問があるんですけどいいですか?」

 

「何だ?」

 

「その記録係っていうのは、文字通り部隊に関することを記録するんですか?」

 

「ああ、主にカメラのような撮影器具を使って記録している」

 

「でも、複雑な機械には疎いのよね~」

 

「ミ、ミーナ!余計なことは言うな!」

 

ミーナさんのからかうような言葉にバルクホルンさんは顔を真っ赤にした。

 

「バルクホルンさん、そうなんですか?」

 

「……まあ、否定はしない。現に扱えないのは事実だからな……」

 

それって記録係にとってはかなり致命的なのでは……?というツッコミをしたらいけないのだろうか……?

 

「ところでミーナ、彼らの部屋はどうするんだ?」

 

「そうね、まだ二部屋ほど余っていたところがあったから二人はそこでいい?」

 

「はい、住めるところを提供してもらえるならこちらにとしては願ったり叶ったりですから」

 

「そう、それじゃ美緒。二人をその部屋まで案内してもらえるかしら?」

 

「了解した。それじゃ二人共、私について来い」

 

「分かりました。それではミーナさん、バルクホルンさん、失礼致します」

 

「ええ、頼りにしてるわよ。英雄君」

 

「まだ英雄じゃありませんよ」

 

そう返して僕達は坂本さんと共に執務室から出て行った。

 

「不思議な少年だな。ネウロイを倒したなんてとても思えない」

 

「でも、これからの戦力になるのは事実よ。それにあの子達の言っていることが本当だとしたらあの子達は本当に英雄になれるかもしれないわね」

 

「ああ、そうだな。だが軍隊がこれをどう見るか……」

 

「それは彼等の今後次第といったところね。でも、今は二人を歓迎しましょう。皆にも二人の歓迎会を夜にやるよう言ってもらえないかしら?」

 

「了解した」

 

笑顔で言うミーナにバルクホルンはそう言って答えた。

 

 

―――――

 

 

「それでは、ここがお前の部屋だ」

 

ガチャッとドアを開けて坂本さんが言う。

 

「うわあ……」

 

ドアの向こうの景色を見て、思わず声を漏らす。

 

豪華というわけではないのだが、ほど良い質素感が僕の心を揺さぶる。

 

「気に入ってもらえたか?」

 

「はい!僕こういう部屋好きなんですよ!ありがとうございます!」

 

「そうか、気に入ってもらえて何よりだ。それじゃあ、この部屋の鍵を鍵を渡しておく。一つしかないからなくさないようにな?」

 

言いながら僕に部屋の鍵を手渡し、僕はそれに【分かりました】と言って答える。

 

「うむ、それでは私は仕事があるからこれで失礼する。とりあえず夜までここでしているといい」

 

「はい、わざわざありがとうございます、坂本さん」

 

「ああ、それではな」

 

坂本さんは僕にそう言ってアドバイスすると、踝を返して歩き去って行った。

 

ちなみに一夏の部屋は僕が今いる階から上の階にあるから別々だ。

 

「ふぁあぁあああ~」

 

一人になると急に大きな欠伸が出てきた。

 

今日で二回も戦闘したから疲れが一気に出たんだな、きっと。

 

「あ、ふぁああぁ~。ヤバい……この眠気は尋常じゃない……」

 

まあ、坂本さんも夜までゆっくりしてていいって言ってたし。

 

特にやることもないから寝ててもいいよね。

 

「というわけで……おやすみなさぁ~い」

 

そう言って僕はベッドに倒れ込んで、すやすやと寝息を立てるのであった。

 

………………。

 

…………。

 

……。

 

「……ろ、……じょう、起きろ」

 

「……ぅん」

 

誰かが僕を揺さぶり起こしている。

 

一体誰なんだろう……僕の貴重な睡眠を妨害しているのは……?

 

誰かに起こされているのは分かっているが、まだ身体が眠いと言っているので僕はそのまま不貞寝することにした。

 

「お~~~~~~~~~き~~~~~~~ろ~~~~~~~!!!」

 

くるまっていた毛布を引っぺがされて僕は空中で大回転する。

 

それによって僕の頭は再起動して活性化する。

 

しかたないので僕は大回転したことによって倒れていた身体を起こす。

 

「何ですかバルクホルンさん……人がせっかく寝ていたというのに……」

 

「お前、寝ていたというが、もう夜だぞ。それに今日はお前と織斑の歓迎会を食堂でやることが決まったからな。だから私が呼びに来たんだ」

 

「夜?」

 

バルクホルンさんに言われて窓のほうに視線を向けると、たしかに外は暗くなり、夜になっていた。

 

そうか……僕ってそんなに寝てたのか……?

 

よっぽど疲れてたんだな。

 

「でも僕歓迎会やるって一言も聞いてませんけど……」

 

「当然だ、お前が執務室を出てからミーナが言い出したことだからな。とにかく皆はもう食堂に集まっているから我々も行くぞ」

 

「あ、はい」

 

そうして、僕はバルクホルンさんに連れられて食堂へと向かった。

 

でも歓迎会か……僕達のためにわざわざそんなの開いてくれるなんて、ミーナさんは優しい人だな。

 

 

 

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