インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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エイラ・イルマタル・ユーティライネン。彼女はサーニャが男と関わることを快く思っていないようで……。

OP:
「STRAIGHT JET」唄:栗林みな実

ED:
「DREAMIN'」唄:東京パフォーマンスドール




第5話「歓迎会」

バルクホルンさんと一緒に食堂へと向かうと言った通りあの時僕と一夏が出会った女の子達にミーナさんと坂本さんもいた。

 

「ご苦労様トゥルーデ。東条君は文字通りごゆっくりだったみたいね」

 

「ああ、こいつはさっきまで寝ていたからな。起こすのに苦労したぞ……まるでハルトマンのようだ」

 

「ハルトマン?」

 

「私のことだよ~」

 

バルクホルンさんから【ハルトマン】という人物の名前が出てくると、色素の薄い短髪に小柄な体型をした女の子がグループの中から出てきた。

 

上は軍服みたいだけど下はパンツ……というかここにいる女の子全員がそうなんだけど……。

 

「貴女がハルトマンさん、ですか?」

 

「うん、そう。エーリカ・ハルトマン。階級は中尉。よろしくね、東条」

 

幼く明るい笑顔で僕に小さな右手を差し出す。

 

だから僕も左手を伸ばして手を握って握手を交わす。

 

「ところでさ~トゥルーデ、私と東条が同じってどういうこと~?」

 

「起こしに来ても中々起きないところがだ。お前も毎回起こしてやっているというのに全然起きないではないか」

 

「まあ、そうなんだけど。ということは東条もトゥルーデに叩き起こされたの?」

 

「えっと……毛布を引っぺがされてベッドの上で大回転しました」

 

「あははっ、トゥルーデならやりかねないね~」

 

想像できたのか、ハルトマンさんが腹を抱えて笑う。

 

「あ、あれは東条が悪いんだ!何度も声をかけたのに起きないのだから……」

 

「はい、誠に申し訳ありませんでした。全ては私のせいでございます」

 

「まあまあ、ちゃんと来たんだからいいじゃないの。それより東条君、そこの空いてる席に座って」

 

「あ、はい」

 

笑顔で促すミーナさんに僕は頷いて空いている席に座る。

 

僕が座るとミーナさんはコホンと咳払いをして話し始める。

 

「ではこれより東条碧君と織斑一夏君の歓迎会を行いたいと思います。とは言ってもたいしたものは出せていないのだけれど……」

 

ミーナさんはそう言って苦笑しているがテーブルの上には日本料理であろうものがいくつも並べられていた。

 

どれも美味しそうだし、たいしたことはあると思うけど……。

 

「まあ、長話はこのぐらいにして皆で乾杯しましょう。二人のこれからの活躍を祝して、かんぱ~いっ!」

 

「かんぱ~い!」

 

ミーナさんがグラスを掲げたと同時に全員もグラスを掲げて発声する。

 

何だか照れ臭いな……まさかここまで歓迎されるとは思ってもみなかったけど。

 

「この世界にもやっぱりお味噌汁はあるんだ。どれも美味しそうだ」

 

「ありがとうございます。それ、私が作ったんですよ」

 

前のほうから幼い声が聞こえてくる。

 

茶色がかった短髪にセーラー服、見た感じ中学生くらいか……。

 

「君は……」

 

「宮藤です、宮藤芳佳。階級は軍曹です。隣にいるのは友達のリーネちゃんです」

 

「リネット・ビショップです。階級は曹長です。皆さんからはリーネと呼ばれています。よろしくお願いしますね」

 

そう言って僕に天使のような笑顔を向けてくるリーネさん。

 

リーネってことはこの人は外国の人なのか……雰囲気的に大人しそうな人だな。

 

対して宮藤さんは元気系の王道主人公みたいな感じだな。

 

「宮藤は坂本さんと同じ扶桑出身で、リーネはブリタニア出身らしいぞ」

 

「扶桑?扶桑って何?」

 

「扶桑は俺達で言う日本。性格には扶桑皇国って言うんだとよ。この世界に日本という国は存在しないらしいからな」

 

「貴方のことは織斑さんから聞きました。ここに来るまでの間、変な怪物に襲われていたことも。あと、少しですけど貴方達の国のことも」

 

「お~それはあたしも聞きたいな~」

 

後ろからおおらかな女性の声が聞こえてきたと同時にそれぞれの席に着いていた僕の話を聞こうとぞろぞろと僕のところに集まってくる。

 

「あ、シャーリーさん。シャーリーさんも織斑さんと東条さんのいた世界に興味あるんですか?」

 

「うん、まあね。ああ、あたしはシャーロット・E・イェーガー。階級は大尉で、皆から

はシャーリーって呼ばれてる。それでさ、あんた達のいた国について何だけどさ、一つだけ質問していい?」

 

「はい、僕等で答えられることなら何でもお答えしますよ」

 

「ありがとう。質問はあんた達があの時纏ってた機械についてなんだ」

 

「機械っていうと……ISのことですか?」

 

「そうそう、それ。あれってさ、どうなってるの?基地に着いた時、あっという間に引っ込めたし。普通なら絶対できないよあれ」

 

ああ、やっぱりここの人からするとあの技術はすごいことなんだな。

 

僕達の世界じゃ当たり前のことだったから全然そうは思わなかったけど。

 

「えっと、それは僕にも詳しいことは分からないんですけど、あれは僕等の意思によって最初に見た展開状態、それ以外の時は今の待機状態になって引っ込めることができるんです」

 

左手に装着されている白と黒がメインカラーになっているガントレットを皆に見えるように見せる。

 

「見た限りただのアクセサリーにしか見えませんが……」

 

金髪の長髪をし、眼鏡をかけたインテリ系の女の人が僕のガントレットを見てそんな感想を呟く。

 

たしかに見た目は何の変哲もないアクセサリーだけど……。

 

「俺達の世界にはこういった機械が468機あって、その中でも俺達の機体、専用機はほんの一部しかないんです」

 

「それを持てるのはそれぞれの国の代表である代表候補生と僕達ということです」

 

「そっか……つまり東条さんと織斑さんは選ばれし勇者というわけですね!何かカッコいいです!」

 

「いや……別にそんな大層なものじゃないよ。ただ僕等は特例でもらっただけだし……」

 

「だがあれの戦闘力は目を見張るものだった。それは間違いない。我々の世界でも欲しいくらいだ」

 

そりゃISがあれば戦争の戦況だって一瞬で変えられると言われてるくらいだからな……。

 

もしこの世界にISが導入されたらネウロイはひとたまりもないだろうな。

 

「でもすごいですよね。あんな機械を作っちゃう人がいるなんて。誰がこれを作ったんですか?」

 

「ああ、これを―――ISを作ったのは篠ノ之束といって、俺の幼馴染の姉さんなんだ。ちょっと掴めないところはあるけど、色々すごい人だよ、あの人」

 

それについては僕も同意するよ、一夏。

 

「すごいって、その人って宮藤博士よりもすごいのか?」

 

「宮藤博士?」

 

「私のお父さんです。もう亡くなりましたけど、ストライカーユニットの生みの親なんです」

 

あの飛行脚みたいなのを作った人か……それは俺も会ってみたかったな。

 

でも宮藤さんがそんなすごい人の娘だったなんて思わなかったな。

 

「そうだな……こっちの世界と俺達の世界じゃ技術の発展力が違うからどっちも同じくらいじゃないか?俺達の時代にそんなすごい博士がいたらISはもっと進歩してるだろうし」

 

「同じくらいか……よっぽどすごい人なんだな、その束博士は」

 

「そりゃもうすごいですよ(色々と)」

 

「ハモるくらいすごい人なんだ。ああいう機械がたくさんあるなら東条さん達の世界は私達の世界よりよっぽど発展してるんですね」

 

「じゃあ今度は東条達の世界についての質問だ。まずは……」

 

「……僕等が答えられる範囲でお願いします」

 

こうして、僕と一夏の歓迎会は一気に僕等の世界についての質問会となり、僕等は色んな人達に質問攻めにあった。

 

まあ、楽しかったから別にいいんだけどさ。

 

 

―――――

 

 

歓迎会も終わり、僕は食堂で一夏と別れて自分の部屋を目指して歩いていた。

 

「(まさか皆があそこまであっちの世界のことに興味を持つなんてな……)」

 

まあ、たしかに僕達の世界じゃ当たり前でもこっちの世界の人達にとってはないものばかりだから興味を持つのも分かるけど……。

 

皆探究心が強いせいでかなり質問されたから僕と一夏で答えるのにはかなり苦労した。

 

「(あぁ……今日はどっと疲れた……部屋に戻って早く寝よう)」

 

質問攻めにあったせいで僕の身体が休養を求めている。

 

こういう時は部屋で寝るに限る。

 

うん、そうしよう。

 

「おい、おいお前」

 

「ん?」

 

後ろから棒読みっぽい声が聞こえてきて僕は後ろに振り返る。

 

振り返るとそこには肌色に近い長髪に上半身空色の軍服のようなものを身に纏い、下半身に白のタイツに白のブーツを履いた女の子と銀の短髪に黒と白をメインカラーにした洋服に黒のミニスカートを身に纏った女の子が立っていた。

 

この二人に共通して言えるのは二人共肌が色白なことだ。

 

「貴女達もあの時坂本さんと一緒にいた……」

 

「私はエイラ・イルマタル・ユーティライネン。スオムス空軍中尉」

 

「サーニャ・V・リトヴァク。オラーシャ空軍中尉」

 

「ああ、これはどうもはじめまして。東条碧です」

 

あっちから自己紹介されたので僕はつい頭を下げる。

 

この人達見た感じ僕や一夏と同い年っぽいけど、そういう世代の人が多いのか?ここには。

 

「それで、そのエイラさんとサーニャさんが僕に何かご用ですか?」

 

「何だよ、固い奴ダナ。私達はさっきのことについて話をしに来ただけダヨ」

 

「さっきのこと?」

 

「東条君と織斑君が皆に質問攻めにされてたこと」

 

ああ、そのことか……あれは全部答えるの本当に大変だった。

 

でも、何で二人がそのことを?二人はあの時話には参加してなかったと思うけど……。

 

「お前達のことを遠目で見てたんだけどサ。あれは気が滅入りそうだったヨ。でも、ちゃんと律儀に答えるところは真面目だなって思ったヨ」

 

「そりゃそうですよ。皆が知りたがってることにはできるだけ答えたかったですから」

 

「やっぱりお前も織斑も真面目ダナ。でもまあ、皆のこと許してやってくれナイカ?あいつ等変なところで探究心強いあるからサ。お前達の世界のこと聞いて相当興味持っただけなんダヨ。だから……」

 

「大丈夫です。むしろ自分の世界のことにあそこまで興味を持ってくれるのは僕や一夏としても嬉しいですから」

 

「そう、よかった……東条君と織斑君って優しいのね」

 

「あ、いえ……そんなことないですよ……」

 

笑顔で言われて僕はつい照れてしまう。

 

だが、エイラさんはサーニャさんのその笑顔を見て若干不機嫌な表情になる。

 

「じゃあエイラ、私そろそろ夜間哨戒の時間だからもう行くね」

 

「あ、ああ……」

 

「じゃあ東条君、また明日ね」

 

「はい、おやすみなさい」

 

僕がそう言うとサーニャさんは僕を横切って歩いて行った。

 

でも夜間哨戒って……この世界じゃそんなこともやるんだ……。

 

「エイラさん、哨戒って……サーニャさんは毎日そういうことをしてるんですか?」

 

「ああ、まぁな。サーニャは固有魔法で遠くの電波や声を探知できる能力があるんダ。その能力を活かして夜間任務に当たることが多いんダ」

 

「一人でですか?もしネウロイとかと鉢合わせになったら危ないんじゃ……」

 

「心配ないって、サーニャは強いからナ。いざとなったらフリーガーハマーで一人でだって戦うんダ」

 

フリーガーハマーって九連のミサイルを発射できるやつだよな……あれ結構重いって聞くけど、あんな華奢な身体で持てるのか?

 

「あ、それとお前に一つだけ言っておくことがアル」

 

エイラさんがずずいっと俺に顔を近付けてくる。

 

僕がちょっと近付けばキスができそうなくらいの距離だ。

 

よく見ればエイラさんって結構可愛い顔立ちしてるな……箒やセシリアにヒケを取らないくらいだ……。

 

「サーニャに何かしたら絶対許さないかんナ。それだけは覚えてオケ」

 

「あ、はい……分かりました。それより……顔が近いんで離れてもらえませんか……?」

 

「っ!」

 

僕に言われてようやく気付いたのか、エイラさんが顔を赤くして自分の顔を僕の顔から離す。

 

顔を離すとエイラさんは何か誤魔化すようにゴホンと咳払いをする。

 

「ま、まあ……分かればいいんダ。とにかく言ったぞ!絶対だからナ!」

 

そう言うと、エイラさんも僕を横切って歩いていく。

 

ああ、そうだ僕も自分の部屋に戻らないと。

 

早く寝たいし。

 

「何でついてくんダヨ?」

 

「いえ、僕の部屋もこっちなので」

 

「……」

 

その会話から歩くこと五分。

 

まだ僕はエイラの後をついて行っている。

 

「だから、いつまでついて来るんダヨ……?まさかストーカーカ?」

 

「僕の部屋は自分の部屋に戻ってるだけなんですけど……あ、ほら。着きました」

 

たどり着いた僕の部屋。

 

「ほら、僕の部屋ここなんですよ。ね?ストーカーじゃなかったでしょ?」

 

「お前、私の部屋と隣だったのかカヨ……そういやその部屋は空き部屋だったケナ」

 

「はい、お隣同士仲良くしましょうね。エイラさん」

 

「……まあ、そこまで言うなら、仲良くしてやらないこともないケド……」

 

何かエイラさん、すごく不機嫌そうな顔してるな……どうしたんだろう?

 

「あの、エイラさん」

 

「な、何ダヨ……?」

 

「何かすごく不機嫌そうな顔してますけど……僕何か気に触るようなこと言いましたか?」

 

「は……?別に不機嫌な顔なんてしてねぇヨ……」

 

「そうですか、それならいいんですけど……」

 

「話はそれだけカ?じゃあ私はそろそろ部屋に戻って寝たいから行くゾ。おやすみ」

 

「はい、おやすみなさい。エイラさん」

 

僕がおやすみの挨拶をすると、エイラさんは僕を一瞥せずにドアを開けて部屋の中に入って行った。

 

エイラさんは不機嫌そうな顔はしてないって言ってたけどやっぱりあれは不機嫌そうな顔だ。

 

けどあれ以上詮索するとますますエイラさんに嫌われそうな気がする。

 

「(どこで気に障ることしちゃったんだろう……?ちょっと話しただけなのにな……)」

 

それなら寝るまでどうしてエイラさんがあんな顔をしていたのか分からないまま、僕は自分の部屋で深い眠りに就いた。

 

 

 

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