インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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ネウロイとの戦いを終えて基地に帰ってきた碧達。そこで皆に碧と一夏の活躍を話されて正式に皆に認められた。そしてその後、碧がバルクホルンを……。

OP:
「STRAIGHT JET」唄:栗林みな実

ED:
「DREAMIN'」唄:東京パフォーマンスドール



第8話「ずっと憧れていたもの」

ネウロイを撃破し、僕達は基地へと帰ってきた。

 

帰ってくると一緒に戦ったメンバー(主に宮藤さんとルッキーニさんが)僕と一夏の活躍を待機メンバーに熱く語っていた。

 

待機メンバーはその語りを心底驚きながら興味深そうに聞いている。

 

「全方位攻撃はネウロイだけかと思っていたけれど……貴方の機体にも搭載されているなんて……」

 

「はい、オールレンジ攻撃ができると敵をあらゆる角度から狙い撃てるので。でもそれを使っている間ビットを操作するのに集中しないといけないのでそれ以外の武器は使えなくなるのが難点ですけど」

 

「いや、あれは見事だった。あれのおかげでコアを見つけられたしな」

 

「それに一夏もすごかったんだよ!中型のネウロイを一撃でズバーッ!って真っ二つにしちゃったさ!まるで坂本少佐の烈風斬みたいだった!」

 

「俺の白式は他の機体よりも近接格闘戦に優れているからな。その分攻撃力が高いんだ」

 

「でも近接に特化してる分中距離に特化した機体に弱い上にシールド無効化攻撃でシールドエネルギーが削れちゃうのが難点だけどね。白式は」

 

「あの……シールド無効化攻撃って何ですか?」

 

「その名の通りシールドを無効化する攻撃のことだよ。僕達の纏うISは常にシールドエネルギーによって守られているけど、シールド無効化攻撃はそれを貫通して本体に直接ダメージを与えられるんだ」

 

「つまり白式は近接に特化した諸刃の剣、ということか?」

 

「簡単に言えばそうなります。一応雪羅で荷電粒子砲を備えてるんですけど、連射

できない上に俺自身が射撃が苦手なのであまり上手く使えないんですよ」

 

「だったらいい機会だしここにいる皆に射撃のコーチをしてもらったらどう?幸いここにいる人達は銃火器をメインに戦ってるみたいだし」

 

「おお、それはいい考えだな。苦手は克服するものだからな。リーネ、射撃ならお前が一番得意だろう。織斑をコーチしてやってくれないか?」

 

「え!?私がですか!?他にも適役はいるんじゃ……」

 

「いや、リーネさんの狙撃は目を見張るものがあったよ。普通あんな遠くから標的を正確に射抜くことはできないし」

 

「そういうことだ。織斑にその精密性を伝授してやってくれ」

 

「……分かりました、私でよければ力になります。誰かに教えるのはあまり得意じゃありませんが……」

 

少し考えた後、リーネさんは一夏に教えることを引き受けてくれた。

 

よかったね一夏、リーネさんほどの人に教えてもらえば少しは射撃戦が得意になるかもしれないよ。

 

「リーネに教えてもらえるなら安心だな。よろしくな、リーネ」

 

「う……うん……」

 

あれ?リーネさん何か照れてる……ように見えるけど気のせいかな?

 

「何にしても、二人共序盤から活躍してくれたみたいでよかったわ。これで安心して貴方達に背中を任せられるわ」

 

「僕等も貴女達のような優秀な方々と一緒に戦えることを光栄に思っています。これを機に皆さんの技術を盗めればいいかと」

 

「碧も射撃が不得手なのか?」

 

「一応僕の機体は射撃メインなので不得意ではないんですけど、まだフリーダムのスペックに頼りきってるところがあるので」

 

「ならばお前は私がコーチしてやろう。お前達には素質がある。それにお前達が成長すれば我々の大きな戦力強化になるからな」

 

「ありがとうございますバルクホルンさん。よろしくお願いします」

 

「何にしても、これで二人が501にとって大きな戦力になることは分かったわね。これからもその調子でネウロイを撃墜してね、二人共」

 

「お任せ下さい。この力、ネウロイを殲滅するために使わせて頂きます」

 

「じゃあ今日はこれで解散。皆疲れてるだろうから今日はゆっくり休んでね?」

 

ミーナさんのその言葉を合図に僕達はミーティングルームで解散した。

 

 

―――――

 

 

「(まさか……戦っただけであんなに褒められるなんてな……)」

 

ミーティングルームで解散した後、僕は基地の外で一人地面に座っていた。

 

何となく部屋には戻る気はなく、外で新鮮な空気を吸いたかったのだ。

 

「(ネウロイ……あれがこの世界の脅威……あれを殲滅することができれば、僕達は元の世界に帰ることができる。帰るためにも今はここで皆と戦っていくしかない)」

 

心の中で言いながら両手を後頭部にやって地面に寝転がる。

 

寝転がると自然発生した風が吹いて僕を横切って行った。

 

「(綺麗な空だ……ネウロイに脅かされてるなんてとても思えない)」

 

思えば僕と一夏は魔女と一緒にあの空を飛んだんだよな……。

 

魔女と一緒に空を飛んだのって……ある意味名誉なことじゃないだろうか。

 

「そんなところに寝転がって何してんダ?」

 

一人考えていると真上から見知った顔と声が聞こえてきた。

 

「あ、エイラさん、ご無沙汰です」

 

「こんなところに寝転がって空を見てるなんテ。青春でもしてるノカ?」

 

「そんなんじゃありませんよ。ちょっと考え事をしていただけです」

 

「考え事?」

 

「はい」

 

「ふ~ん、ちなみにどんなことを考えていたんダ?」

 

そんな質問をしながらエイラさんが僕の隣に移動して同じように寝転がる。

 

「元の世界のことです。皆今頃僕等を捜しているでしょうから」

 

「そういや、お前と織斑はこことは別世界から飛ばされたんダヨナ。やっぱり、元いたとこに帰りたいカ?」

 

「そりゃそうですよ。あそこには一緒に戦った仲間がいる。皆かけがえのない人達なんです。だから元の世界に帰るためにも僕はこの世界を救わないといけないんです。もちろん、ここの世界の人達も助けたいというのもあるんですけど……」

 

「ま、そうだよナ……でも、ここの生活も悪くないと思うゾ?大変なことはあるけど、皆いい奴等ばかりダシ。口うるさい上官もいn―――いや、坂本少佐やツンツンメガネはちょっとうるさいカナ……」

 

「そうですね、一日過ごした僕でもそれは分かります。皆いい人ばかりで、誰もが仲間を思いやってる。でも、僕も一夏も本来この世界には存在しない人間です。だから……」

 

「……東条、いくつか質問してもいいカ?」

 

「何ですか?」

 

「仮にこの世界にネウロイがいなくなって、世界を救えたとしても、元の世界に帰ることができなかったら……どうする?」

 

わりと真剣な表情で聞いてくるエイラさん。

 

その質問の心理を僕は理解できなかったが、そうなったら僕にとっても一夏にとっても絶望的だ、でも。

 

「……分かりません。そういうのは考えたことがないので……」

 

「そうか……じゃあさ、もしそうなって、私がお前に私の故郷に来いって言ったら……来るカ?」

 

「エイラさんの故郷?エイラさんの故郷ってたしか……スオムスでしたっけ?」

 

「ああ、ヨーロッパの北にあるとてもいい国ダ。少なくとも私はそう思ってル」

 

ヨーロッパか……海外には一回も行ったことなかったから行ってみたい気はするな……。

 

でも帰れなかったらか……たしかにあの人は世界を救えば帰れるとまでは言ってなかった。

 

「でも、さ……サーニャの母国のオラーシャは今ネウロイに侵略されてるンダ。だから、サーニャの故郷を取り戻すためにも私が頑張らないといけないんダ」

 

青空を見ながら急に真剣な表情で言い始めるエイラさん。

 

そういえばサーニャさんがオラーシャ出身っていうのもミーナさんから

聞いた気がする。

 

エイラさんにとってサーニャさんはとても大事な友達なんだな。

 

「エイラさんって優しいんですね」

 

「は?私のどこが優しいんダヨ?」

 

「だって友達のために頑張るなんて中々できないことですから。それが命のやり取りなら尚更……」

 

「何言ってんだよ、当然ダロ。大事な人の母国をネウロイの好きにさせるわけにはいかないんだからナ。お前だって大事な友達が同じ状況になってたららそうするダロ?」

 

「……そうですね、サーニャさんのオラーシャにも行ってみたいですし。海外には一度も行ったことがないので。でもどうしてそんなことを聞くんですか?」

 

「別に……意味なんてナイ。ただ……ちょっと聞いてみたかっただけダヨ」

 

「……そうですか」

 

「……でも、お前だったら本当にこの世界を救うことができるかもしれないナ」

 

「え?」

 

「何でもナイ、ただの独り言ダ。じゃあ私、そろそろ行くカラ。じゃあナ」

 

そう言うと、エイラさんは倒していた身体を起こして歩いて行った。

 

エイラさんがいなくなってまた一人になった僕は再び視線を大空に向ける。

 

「(帰れなかったか……たしかにその時のことを今の内に考えたほうがいいかもしれないな……)」

 

それは生活していく中でじっくり考えていくとしよう。

 

今は何というか……のんびりしたい気分だから。

 

身体を寝転ばせながら、僕は風を肌で感じながらゆっくり両目を閉じた。

 

 

―――――

 

 

「ん?」

 

基地の外を歩いていると視線の横に見知ったやつが寝転がっていた。

 

「(あれは東条……?あんなところで一体何をしているんだ……?)」

 

気になって私は東条が寝転がっているところに移動する。

 

そこまで移動すると、私の視線に移ったのは寝息を立てて寝ている東条だった。

 

「(何だ東条の奴、こんなところで眠りこけおって……。いくら今日は天気がいいからといって……)」

 

その場にしゃがみ、右手で東条の肩に触れて揺さぶる。

 

「おい、起きろ東条。こんなところで寝ていると風邪を引いてしまうぞ。起きろ」

 

「ん……あと40分……」

 

こいつ……ハルトマンと同じようなことを言いおって……。

 

そう思うと今の東条が寝ているハルトマンと重なってしまってしかたなくなる。

 

「東条!寝るなら自分の部屋で寝ろ!ここで寝るんじゃない!起きろ!!」

 

「……ぅん、むにゃ……ふぁ~」

 

【ガバッ!】

 

「っ!?」

 

私が東条を起こすために奮闘していると東条が両腕を伸ばして私を引き寄せてきた。

 

つまり東条が私を抱き締めている体勢になる。

 

「お、おい!東条!いきなり何をする!?放せ!放さんか!」

 

「ぅん……ワンちゃんはぁ~……いい子だねぇ~……」

 

寝言を発しながら東条が私の頭を優しい手つきで撫でてくる。

 

私は犬か!いや……まあ、たしかに私の使い魔は犬だが……って!言って

る場合ではない!

 

「(許せ、東条)ふんっ!」

 

【ポカッ!】

 

「あいたぁっ!」

 

右手で拳を作り、私は東条の頭に拳骨を炸裂させる(もちろん手加減はしている)。

 

私のそれが効いてか、東条はうっすらと瞼を持ち上げて私に視線を向ける。

 

「ん……あれ……?バルクホルン……さん……?」

 

「目が覚めたか寝ぼすけめ。なら、そろそろ私を解放してくれると嬉しいのだが」

 

「へ?」

 

私に言われて東条が周囲を見て自分の状況を確認し始める。

 

そして今の自分の状況が分かってか、みるみる内に顔を赤くし、慌てて私から離れた。

 

「うわぁああああああああああああああああぁ!ななななな何でバルクホルンさんがいるんですか!?ていうか何で僕がバルクホルンさんを抱き締めてるんですかぁ!?」

 

「それは私の台詞だ。お前がいきなり抱き締めてくるからその……驚いたぞ」

 

「す、すいません!本当にすみません!夢の中ですごく可愛いタレ耳のワンちゃんを抱き締めてる夢を見てたものですからつい!」

 

私の前で正座をして何度も土下座をする東条。

 

その慌てようはさっきの戦いで勇猛に戦っていた人物とは思えないくらいの慌てぶりだった。

 

その姿は面白いと思ったと同時に可愛いとも思ってしまった。

 

「いや、そんなに気にしていないから別に謝らなくてもいい。それより、こんなところで寝ていると風邪を引くぞ?寝るなら自分の部屋でな」

 

「はい、すみません。つい風が気持ちよくてついうとうとしちゃったんです」

 

「それは分からなくはないが、大事な身体だ。外で寝るにしてもほどほどにしないとダメだぞ?」

 

「分かりました、以後気を付けます。何かバルクホルンさんってお姉さんみたいですね」

 

「当然だ、実際妹がいるからな」

 

「ああ、そうなんですか。いいな……」

 

「何がだ?」

 

「いえ、その妹さんは幸せだなって思いまして。貴女のような優しい姉さんがいて」

 

「そ、そうか?」

 

「はい、僕一人っ子なので姉というものにちょっとだけ憧れてるんです」

 

「姉にか?」

 

「はい……だからお姉さんがいる一夏のこと、ずっと羨ましいって思ってたんです」

 

「……」

 

そう言って話す東条は笑っていたが、少しだけ寂しさがにじみ出ていた。

 

まあ、東条には今日十分活躍してもらったし、ここにいる間だけでも姉弟関係を持てば東条もモチベーションが上がるかもしれない。

 

ならば……。

 

「では……ここにいる間だけでも、私のことを……その、姉と思ってもいいぞ?」

 

「バルクホルンさんを、ですか?」

 

「ああ……私も前から弟も欲しいと思っていたからな。お前みたいな弟なら尚更な」

 

「……本当に、いいんですか?」

 

「ああ……カールスラント軍人に二言はない。ナンだったら私のことを、義姉さんと呼んでくれてもいい。お前がよければ、だが……」

 

「……」

 

東条が私を見つめたまま固まってしまった。

 

姉さんと呼んでいいと言ったのはさすがに踏み込みすぎただろうか?

 

東条の表情を見てそんなことを思った私だが、東条は顔を赤くしながらこう言った。

 

「じゃあ……その……さすがに皆の前では恥ずかしいので……二人きりの時だけでもいいですか?…………義姉さん」

 

「っ!!!??」

 

あまりに突然姉と言われて私は驚いたと同時に内に何か来るものを感じた。

 

こいつ……男のくせにここまでの破壊力を持っているのか……侮っていた。

 

「東条、弟が姉に敬語を使うものではない。だから、その……二人の時ぐらいは普通に話せ。それが姉弟というものだ」

 

「わ、分かったよ義姉さん。じゃあ、二人きりの時はこう話すよ……」

 

「あ、ああ……」

 

「ところで、早速なんだけど……僕、義姉さんがいたらやってみたいことがあったんだ。だから義姉さんで、してもいい?」

 

「っ!!!???」

 

顔が赤い+上目遣い+顔はもろ女子という三連コンボを喰らって私の心を急所を的確に突いてくる。

 

正直な感想を言うと…………すごく可愛い。

 

さすがにクリスほどとはいかないがそれにヒケを取らないくらいの可愛さだ。

 

聞いてあげたい……何というか私は純粋にこのいm-――弟の頼みを聞いてあげたい!

 

「ああ、構わない。私でできることなら何でもしてやる」

 

「それじゃあ……」

 

東条が座っている私のところに近付いて頭を私の膝のところに置いてくる。

 

つまりこれは……。

 

「お、おい東条……これがお前のしたかったことなのか……?」

 

「うん、義姉さんに膝枕してもらうの夢だったんだ。一夏も昔はやってもらってたらしいから……嫌なら離れるけど」

 

「いや、さっき何でもすると言った私だ。これぐらいお安いご用だ。しばらくそこで横になっているといい」

 

「ありがとう、やっぱり義姉さんは優しいね」

 

「っ!!!!!!?????」

 

東条の超絶スマイルに私の精神メーターが振り切れてしまいそうだ。

 

だが、そうなってしまいそうなくらい東条の笑顔が可愛らしかったのだ。

 

もしこれで振り切れてしまってもそれは東条のせいだ。

 

「義姉さんの膝、柔らかくてあったかい……また眠くなってきちゃったぁ……zzz」

 

そう言って数秒。

 

東条はゆっくり瞼を閉じてそのまま寝息を立ててしまった。

 

まったく……せっかく起こしてやったというのにまた寝てしまっては起こてやった意味がないではないか。

 

でも改めて見ると東条の寝顔は女みたいに可愛らしい。

 

さっきまでは起こすのに必死だったが、このままこいつの寝顔をみているのも一興かもしれない。

 

だが……。

 

「(特訓では甘やかさないからな、碧)」

 

ふっと微笑んで私の膝の上で眠っている碧を見て、私はそっと右手で碧

の頭を撫でながら寝顔をしばらく見続けた。

 

 

 

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