とある部隊長の独白   作:⚫︎物干竿⚫︎

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狩って狩って狩って狩りまくれ②

ガルムが後ろ足に比べて大きく発達した強靭な前脚を振り下ろす。それを展開した装甲で受け止める。俺の両脚に装甲車を受け止めて止めた時みたいな重圧がかかる。バースト化してなかったら今頃俺はぺしゃんこだ。

 

アキラとマギーは周囲の小型共と中型を任せて、ガルムの相手を始めてから5分。それなりにダメージは与えたと思うが、まだまだ元気いっぱいだ。腰に付けたポーチから回復錠を取り出して、それを口に放り込んで脚の痛みを回復させて、

 

「根性!」

 

上から未だに押さえ込んで来るガルムを押し返して、力を溜めて振り下ろす。より濃密になったオラクルの長大な刃がガルムの左顔面を捉え、大きく抉り取る。なかなかにアレな光景だが気にしてられん。

 

「うぉ!?」

 

何かを感じ取って、大きく後ろに飛び退くと、すぐ目の前で火柱が上がる。危ない危ない。

 

ガルムは自身のオラクルを地面を通して移動させ、離れたところに火柱を起こしそれで遠距離の敵を薙ぎ払う攻撃を持っている。で、今のがそれだ。

 

この攻撃の厄介なところはどこから来るか分からない事だ。一応、オラクルの変化による発火の直前の光で見分けられるが、それを見てからの回避は難しい。まぁ、あいつに張り付いてればこの攻撃は来ない。

 

ガルムが一瞬で距離を詰めて来て、前脚の爪を横薙ぎに振るって来る。それを装甲を開いて受け止めて、それを利用して体をコマのように回して神機をガルムの頭部に叩きつける。それにガルムがたたらを踏み、一瞬体勢が崩れた。

 

「そろそろ終いと行こうか!」

 

力を溜めて、それをガルムに叩き込む。が、

 

「マジかよ」

 

歯で噛んで俺の攻撃を止めていた。そしてそのまま俺を神機ごと放り投げて、噴水の残骸らしき瓦礫に叩きつける。

 

「あーしくった」

 

瓦礫にぶつかった俺の体がバウンドして崩れ落ちる。その最中で、ガルムの前脚が振るわれ、それが近づいて来る。ガードは出来ない。体が動かんからな。やっぱ痛いよなぁ……

 

ごしゃ。それが俺が最後に聞いた音だった。

 

 

●●●●●●●●●

 

 

小型のアラガミが全然減らねぇ。さっさとこいつらを片付けて隊長の方に行かねぇとだってのに、後から後から出てくる。

 

「チッ! オラクル切れだ!」

 

神機の銃を撃つためのオラクルを回復させるアンプルももう品切れだ。あとは剣で切って回復させるしかねぇ。

神機を剣形態に変形させて、突っ込んできたオウガテイルの突進を躱して斬り刻む。

 

つーか、なんでスナイパーよりオラクルの消費が激しいブラスト使ってんのに、マギーの奴じゃオラクル切れを起こさねぇんだ

 

「邪魔です! さっさと塵になりなさいな!」

 

やっぱ、こいつおっかねぇ。いや、第4部隊の誤射姫様こと台場カノンさんのアレに比べりゃ可愛いもんだけどよ……

 

「ぜりゃぁぁあああ!!!」

 

ブラッドアーツ“疾風ノ太刀・鉄”で小型共の合間を走り抜けながら斬り刻み、駆け抜けたところで後ろを振り向き、最後尾の虫みたいなアラガミ、ドレッドパイクに神機を食い付かせてバースト化する。

 

 

ーーーぉぉぉおおおん!!!

 

 

ガルムの咆哮だ。今は、隊長が俺達から引き離したところで相手にしているが、あんなのを1人で相手にしようとかマジで隊長とかみたいなゴッドイーター歴長い人らはどうかしてるし、すげぇと思う。

 

 

『リョウゴさんが戦闘不能に陥りました! 近隣のゴッドイーターは急いで救援に向かってください!』

 

 

は?

一瞬俺の手が止まる。いや俺だけじゃない。マギーのアラガミ爆殺も止まってる。

 

隊長が戦闘不能だって?

 

 

「きゃあっ!?」

 

「マギー!?」

 

隊長の戦闘不能の報告に衝撃を受けているとマギーがオウガテイルに押し倒されて、今にもやられそうになっていた。

 

「やらせるかよ!!!」

 

目の前で誰かが奴らの食い物にされるのを見るのはもうごめんだ。だから俺はゴッドイーターになったんだ!

 

地面を蹴り、他のは無視してマギーを押し倒しているオウガテイルに向かって走る。

 

「力を貸せッ!!!」

 

神機に向かって叫ぶ。その瞬間、神機の中枢部のコアが輝き、俺の体が何かに押される様に加速する。その加速に乗せてブラッドアーツを発動させる。駆け抜け様に斬りつけたオウガテイルが文字通り真っ二つになる。

 

「あ、ありがとうございます……そ、それよりも隊長が!?」

 

「分かってらぁ! マギー任せて良いか?」

 

「ええ! 隊長を頼みましたよ!」

 

「死ぬんじゃねぇぞ!」

 

マギーに背を向けて、隊長がガルムを引っ張って行った方に向かって走る。瓦礫の山の上を全速力で走る。そして走り抜けた先は元々公園か何かの広場の様なところだったのか、やけに開けていて瓦礫らしい瓦礫も無いところだった。そこで俺が見たのは、

 

 

いくらかダメージを受けて傷ついたガルムと、その大きな口に咥えられてボタボタと赤い血を流している隊長の姿だった。

 

 

俺の手から神機がこぼれ落ちてがしゃんと音を立てる。それにガルムが気付きこっちを見た。そして、ぺっと隊長をその口から放り投げてゆっくりと近付いて来る。

 

「ぉぉぉおおおん!!!」

 

ガルムが俺に向かって吠える。半ば反射的に足下の神機を拾い上げて構える。

 

「よくもやりやがったな……」

 

神機を握る手に力が籠もる。それに合わせてコアの輝きも強くなる。

 

「ぶっ殺してやる!!!!」

 

ガルムに向かって走る。勝てるかどうかなんてどうでも良い。ただただ、こいつが憎い。絶対にぶった切ってやる!!!

 

衝動に任せて神機を振り下ろす。それをガルムはとてもダメージを受けているようには思えない軽いステップで躱すと前脚を振り下ろしてくる。

 

「ぐぅうう!?」

 

装甲を開いてそれを受け止めるが、オウガテイルやコンゴウなんかとは比べものにもならないくらい重てぇ。

 

「けど、それがなんだってぇんだ!!!」

 

押し返して、ガルムを切りつけるが浅ぇ。こんなのじゃ倒せねぇ……もっとだ。もっと強く鋭く!

 

ガルムの反撃を躱して、その腹下に潜り込んで目の前の腹を斬る。今度は神機の刃が深く滑り込み、大きく切り裂いた。

 

よし、もう一撃! と思ったところでガルムが後ろに跳び、俺の攻撃が空振る。だが、今あいつは逃げた。そいつは効いてるってことだ。

 

追撃をしようと走り出した瞬間、俺は炎に飲まれ大きく吹っ飛ばされた。何が起きた!?

とりあえず、口に回復錠をいくつかまとめて放り込んで回復してあいつが何をしたのか考える。

 

 

「ぉぉぉおおおん!!!」

 

咆哮と共にガルムが一瞬で距離を詰めて来て、前脚を振り下ろして来る。それを後ろに跳びながら装甲を展開する。ガン! とそれにガルムの爪が当たり、更に後ろに吹っ飛ばされる。

 

ごろごろと地面を転がって、朽ちた電灯にぶつかって止まる。全身の痛みを堪えてすぐさま横に転がると、がしゃんと音を立てて電灯が崩れ落ちる。立ち上がるとガルムがすぐそこに居て、もう次の攻撃に移っていて、前脚が降り下ろされようとしている。

 

ガード? 無理だ。ぺしゃんこになって終わりだ。あれを受け止めれるほどのバカみたいな筋力なんざ俺にゃねぇ。

 

回避? ギリギリ間に合わねぇ。

 

増援が来る? それこそ絶望的だ。どこもかしこも手一杯で、増援なんて送れる余裕はねぇ。極東支部からなんて言わずもがなだ。

 

ガルムの巨大な前脚が迫る。

やっぱ、俺ごときじゃあ隊長がやられちまうような大型はダメだったか……

 

 

「あっさりと諦めてんじゃねぇよ」

 

目を開くと、隊長が神機をで俺をガルムから守りながら立っていた。

なんでと思うよりも、隊長の神機が輝きが気になった。バーストとは異なる赤黒いその輝きは神機だけに留まらず、隊長の体まで包み込んでいた。

 

 

●●●●●●●●●

 

 

激痛で意識が戻って来ると、アキラがガルムの相手をしていた。

おい。何がどうなってる? てか、それはそうとしてこの腹の風穴はマジで何があった?

 

「……動け……ねぇ……」

 

血が出すぎたらしい。今こうして意識が復活してるのが奇跡ってところか……そういや、俺の神機はどこ行った?

 

辛うじて動く首から上だけで探すと、噴水の辺りに突き刺さってるのが見えた。が、流石にあそこまで取りに行くのは無理だ。辿り着く前に失血であの世行きだ。

 

けど、どうする? アキラがガルムの相手をするのはまだ早い。このままあいつがやれるのをここで見てろって?

 

「……冗談じゃねぇ」

 

神機に向かって、血に濡れた手を伸ばす。すると、神機から黒い見慣れた触手が伸びて来て、それが腕輪のコネクターに触手が接続され神機が手元に戻って来る。

 

「こん……じょう……!」

 

神機を地面に突き立てて立ち上がると、何やら神機が輝き始めた。バーストとは違う赤黒い輝きだ。まぁ、なんだって良い。腹の風穴ふさがってて血もなんか止まってるし丁度良い。

 

てか、俺が復帰するまでの間にアキラがピンチになってる!?

 

「行けるか? いや、考えるまでも無いか」

 

神機を肩に担ぎ走る。神機をぶん回すには不向きだが、単純に走る事を考えればこれが一番良い。何より安定するからな。

 

前脚をアキラに振り下ろそうとしているガルムとアキラの間に割り込んで、神機を背中に回し刃を地面に突き立てて装甲を開く。その瞬間、背中と両脚に衝撃が走る。それを堪えつつ、

 

「あっさりと諦めてんじゃねぇよ」

 

ぽかんとした顔でこっちを見ているアキラにそう言い、腰のぶら下がってるぶっ壊れてないスタングレネードを取って、口でピンを引き抜いて頭上に向かって放り投げる。パッと一瞬閃光が走り、背中の重圧が消える。装甲を閉じて、神機の刃を引き抜いて後ろを振り向きスタングレネードの効果で動きを止めるガルムに向き直って、神機を肩に担ぎ、力を溜める。

 

「ちぇすとぉぉおおおお!!!」

 

叫びながら神機を振り下ろす。ぐしゃりとガルムの頭が完全に潰れて無くなる。そして、首の傷口から神機をぶち込んでコアを捕喰させてトドメを刺す。

 

「え、ちょ何? 何が起きてんだよ? マジで意味分かんねぇんだけど? なんで明らかに致死レベルで瀕死だった人がピンピンしてんだよ!?」

 

「俺もよく分からん。てか、アキラお前の通信機ちょっと寄越せ。俺のぶっ壊れてんだ」

 

「残念ながら俺のもっすわ」

 

ははは。どっちも壊れてダメか。

 

「じゃあ、残りに期待して合流すっか」

 

「っすね」





さて、ついに主人公の中尉さんに名前を付けましたとさ。
菅森リョウゴがフルネームでございます。ってか、今回もまたひっでぇもんだ。

主人公にはチートを持たせないモブ路線のつもりだったのに、瀕死からの大復活と言うモブにあるまじき事をさせちまったよ……まぁ今回限りだけどね! これ以降は普通にそこそこ強いゴッドイーターやらせるつもりだよ。てか、こっからチート化するのはアキラ君とマギーちゃん……!
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