とある部隊長の独白   作:⚫︎物干竿⚫︎

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狩って狩って狩って狩りまくれ③

アキラ曰く、孤軍奮闘中のマギーと合流するために出来るだけ高速で移動する。なぜマギーが1人で戦っているのかなんて、考えなくても分かる。俺が戦闘不能になったからだ。てか、アレ一回絶対死んでるよな? 明らかに血の量もヤバかったし。

 

「隊長本当に大丈夫なんすか?」

 

俺の後ろを付いてるアキラのこのセリフももう5回目だ。自分も死にそうになったってのに、ここまで心配してくれるってのは有難いことだが、

 

「だから、大丈夫だって言ってんだろ?」

 

むしろ好調なくらいでちょっと不気味だが、人手が少ない今の状況なら好都合だ。それにしても、あの輝きはなんだったんだろうか。

 

まぁ、そこは俺じゃなくてサカキ博士とか技術屋共が考えることだな。

 

 

マギーの居るエリアに到達すると、そこには大質量のオラクル弾で群れごと文字通り粉砕玉砕されるアラガミ達とその中央で、いつも通りの落ち着いた顔で、大口径のブラストの銃身からオラクル弾をばら撒き続けるマギーが居た。何このバ火力……いや、誤射姫様とかブラッドのロミオとかブラスト使いの銃火力凄まじいけどさ……

 

砲撃を続けるマギーの後ろから大きく傷付いたコンゴウが迫り、その豪腕を振り下ろそうとする。が、その腕で爆発が起こる。

 

 

「マギーと三日三晩掛けて作った破砕爆裂弾はどうよ?」

 

ドヤ顔で銃形態の神機を構えたアキラがそう言う。てか、破砕爆裂って何? それってブラストとかショットガンの領分でスナイパーでやることじゃねぇよな?

 

「ま、バースト状態で神機を活性化させてねぇと、ロクな破壊力も出ねぇ上にコスパもすこぶる悪い正直ネタバレットも良いとこなんだけどなコレ」

 

「当たり前です。そもそもがソレはブラスト用でスナイパー用じゃないんです。本来の火力で運用出来さえすればご覧の通り、アラガミを薙ぎ払えますけどね。と、隊長無事で……血!?」

 

コンゴウを仕留めて、マギーはこっちにやって来てそう言う。てか、バレットって銃身によって異なるのか。まぁ、それもそうか。全部で一緒ならオラクルの貯蔵機能があるブラスト一択だもんな。

 

「落ち着け。ちょっと戦闘不能になってる間にガルムにがぶりされて、腹に風穴空いただけだ」

 

「十分大事ですよ!? は、早く極東支部に……!」

 

「もう塞がってっから大丈夫だ。ほれ」

 

血で真っ赤に染まった服の腹部分をめくって見せる。そこには傷跡一つない。日々の鍛錬で鍛えに鍛えた腹筋があるだけだ。

 

「ブラッドのリヴィ少尉の血の力とやらですか?」

 

神薙が戻って来る少し前辺りにリヴィこと、ブラッドのリヴィ・コレット少尉も血の力に目覚めている。『慈愛』と言い、能力は感応波によって、味方のオラクル細胞を活性化させて回復させると言うものだ。

 

「いんや、なんか神機が光って俺にまでその光が来たと思ったら治った。てか、リヴィはブラッドのメンバーだからこの大群体のボスのマルドゥークの方に掛かりっきりだっての」

 

「そう言えば、そうでしたね。ところで、アキラは意気揚々と向かった割りにはボロボロですね」

 

「流石に大型の相手はキツかった」

 

「当たり前です。隊長が戦闘不能にされるような相手ですよ? アキラ程度の腕でどうにかなる訳が無いでしょう」

 

「うるせぇ!」

 

「喧嘩すんな。それよりもマギーお前の通信機貸してくれ。俺もアキラもぶっ壊れちまったんだ」

 

マギーはそう言うと、耳元につけていた通信機を外して差し出してきた。それを受け取って耳に当てて、

 

 

「極東支部聞こえるか? 俺だ。状況を教えてくれ」

 

『ちゅ、中尉ご無事なんですか!?』

 

通信機の向こうで、オペレーターのフランが驚いている声が聞こえる。おいおい俺ぁ別に死んで無いぞ?

 

『中尉。すぐに極東支部に帰還してくれ』

 

「サカキ博士。今は引き上げてる場合じゃ『支部長命令だ』……了解。直ちに帰投する」

 

通信を切って、通信機をマギーに返す。

 

「隊長。帰還がどうのって、やっぱり……」

 

「なんもねぇから心配すんなって」

 

……そう思いたいだけだがな。

 

 

●●●●●●●●●

 

 

あの後、指定された回収ポイントに向かうと、何やら技師連中が居て俺の神機を封印状態にして俺が乗ったのとは別のヘリで極東支部へ持ってった。

 

で、アラガミの大群体についてだが、ブラッドの奮戦によって群れの首魁のマルドゥークが討伐されたことで半ば自然的に崩壊し、今は一部の隊で残党狩りの真っ最中だそうだ。なお、この残党狩りには神薙も投入されているため、今日の夕飯時くらいにはカタが付くだろう。

 

ん? 大討伐戦自体に神薙は居なかったのかって? その通りだ。まだ神薙はブラッドアーツを修得出来ておらず、感応波の影響で神機がまともに動作しない確率がかなり高いからあえて外されていたそうだ。

 

 

「で、サカキ博士。俺を呼び戻した理由はなんなんだ? リッカも一緒ってことは神機も込みの話ってのは分かるが」

 

場所はサカキ博士の専用のラボだ。サカキ博士と整備技師共を取り纏める班長の1人である楠リッカが居る。この時点で俺と神機その両方の話になるのは確定的だ。

 

「結果から言わせてもらうよ中尉。一時的に君の神機を封印することになった」

 

「はぁ?」

 

「詳しくはリッカ君から話を聞いてくれ」

 

人に丸投げかよこのキツネ……まぁ、良いか。

 

「それじゃあ話すよ。中尉の神機は今、制御出来てるけど暴走してる状態にあるんだ」

 

制御出来てて暴走? それって確か……

 

「ブラッドレイジシステムだっけか? あれみたいな状態になってるのか?」

 

「ブラッドレイジとはちょっと違うね。あれはサクラの感応波でもって神機の全てを引き出してるだけで、暴走とは違うよ。まぁでも暴走のギリギリ一歩手前ってところは似てるかな」

 

「じゃあどう違うんだ?」

 

「簡単に言っちゃうと、このままなんの対策も取らずに使い続けたら、そう遠くない日に中尉の神機はアラガミ化しちゃうんだ」

 

「だからその対策とやらが出来るまでは封印ってわけか」

 

「そう言うことだねそれとは別なんだけど、中尉の侵喰度が一気に上がってるからむしろ、そっちの方が心配だよ」

 

そう言って、リッカがサカキ博士を見やると、

 

「そうなんだよ中尉。今回の戦闘で一気に侵喰度が8パーセント上昇して、合計で46パーセントだ。正直言って、これ以上戦場に立ち続けるのを私は推奨しない。丁度良い機会だ。真面目に引退を検討してくれ」

 

「……引退ね」

 

侵喰度の上昇で一気に白く染まった頭をボリボリと掻いて、

 

「まぁ俺もアラガミ化はしたくねぇし。今回の任務で良い加減限界も感じて来たとこだしそれも悪かねーかもなー」

 

どれだけ鍛えててもやっぱり衰えってのは出てくる。今日のガルムにやられる決め手になったアレだって、後3年……いや、1年でも若けりゃなんとか捌けてたはずだ。いやはや本当俺も歳を取ったもんだ。

 

サカキ博士のラボを出て、部屋に戻ると、

 

「「中尉(さん)!」」

 

神薙とサクラが居て、鬼気迫る表情で大丈夫なのかとか色々と聞いて来る。て言うか、こいつら残党狩りはどうした?

 

「終わらせたに決まってるじゃないですか」

 

「大型の類も全部始末してあったし、小型と中型くらい楽なもんですよ。伊達に英雄って呼ばれてません」

 

「ああそう……てか、読心術はやめろ。って、どうした!?」

 

なんかいきなり2人が泣き始めた。おいおい俺なんかしたか!?

 

「……だ、だって中尉さんが戦闘不能になったって……」

 

サクラがそう言って、神薙がコクコクと頷く。お前ら仲良くなったのか、おじさん嬉しい。てか、俺は本当に幸福者だよなぁ。こうして泣いてくれる女が居るとか、

 

「中尉さん……」

 

「中尉……」

 

「いやあのお2人さん? ここは、我が第5部隊の野郎連中の共同部屋でしてね?」

 

「大丈夫です。アキラ君には言ってありますから」

 

良くねぇ。なんでよりにも寄ってアキラ!? せめてマサヤに……って!?

 

 

「アッーーーーーー!!!」

 

 

今日も極東支部は騒がしい。




さてさて、前回のチートの代償はでかかった中尉さんことリョウゴおじさん。神機が使えません! おまけに侵喰度がもはや完全にレッドライン!

さぁ、盛り上がってまいりました。


中尉「こ、腰が……! 良い年したおっさんにアレはキツかった……」
竿「ガルムちゃんによるいただきます(物理)からの恋する乙女2人のよるいただきます(意味深)……」
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