とある部隊長の独白   作:⚫︎物干竿⚫︎

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クロガネ②

 

神薙が片刃の一見ロングにも見えるバスターの刀身が取り付けられた神機で切り掛かる。

 

あの刀身は神薙自身がリッカと共に研究開発したバスター並の一撃の重さとロング並の鋭さを追求した世界でただ一本の代物らしい。一応、作れなくはないそうだが、アレ一本作るのにべらぼうなくらいの希少な鋼材と複数種の強力なアラガミの素材が必要になるそうで、実質的に神薙の専用のものとなっている。

 

そうなだけあって、その威力は既存の刀身を軽く凌駕する。

 

 

「はぁっ!」

 

気合いの声と共に、浅くだが、確実に神薙の一撃はあのハンニバル(?)を切った。軽い切り傷程度のものであろうと、ダメージはダメージだ。俺が現状で出来る限りを尽くしても傷1つ与えられなかったあのハンニバル(?)に初見で傷をつけた。

 

まぁ、神薙と俺じゃあゴッドイーターとしてのレベルが大きく違うから、俺には出来なくてもあいつなら出来て当然なのかもな。

 

そして、神薙が追撃の一撃を放つが、ハンニバル(?)はこれを盾で防御した。流石に神薙の神機でもあの盾は破れんか。

 

 

「ユウさん!」

 

サクラが呼びかけると、神薙が後ろに下がって、それと入れ替わりにブラッド隊が前に出る。サクラとジュリウスとナナが直前と左右から同時に攻撃を仕掛け、その後ろから更にロミオとギルバートが銃形態の神機で銃撃による追撃を行い、ハンニバル(?)が反撃の様子を見せるとシエルが正確な狙撃によって、それを妨害して完全に封じ込めてしまう。

 

相手の動きを封じ込める。大型種を狩るときの基本だ。ここでどれだけのダメージを与えられるかによって、アラガミ討伐の成否が分かれる。

 

 

「なにこいつメチャクチャ硬いよ!? 」

 

「俺の血の力も殆ど効果がねぇよ!? どうなってんだこいつ!?」

 

「く……! 刃が通らん!」

 

「硬い上にロミオの血の力も効かないなんてね……! でも、流石に射撃は効いてるはず。皆、攻撃の手を止めないでね!」

 

サクラがそう言い、前でハンニバル(?)を叩いていた3人も神機を銃形態に変形させて、銃撃を加える。

 

 

「射線を開けなさい!」

 

 

そこへ神薙の怒号が響き、サクラ達が言われたように射線を開ける。その瞬間、神薙が溜めに溜めたオラクルを解き放つ。赤黒い濃縮されたオラクルと共に凄まじいスピードで距離を詰めて神機をハンニバル(?)に打ち込む。チェイサーと呼ばれるチャージクラッシュの変化系のブラッドアーツのひとつだ。

 

 

「っ!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

雨霰とオラクルの弾雨が降り注ぐ中で、ハンニバル(?)が動き、右の剣で神薙の一撃を受け止めていた。そして、そのまま剣を横に振るって神薙を吹っ飛ばす。幸い神薙は俺みたいな無様を晒すこともなく、無事に着地する。

 

 

「まさかブラッドアーツをものともしないとは……」

 

俺のすぐ側に居るリヴィがそんなことを言う。俺を瓦礫などから守りながら、血の力で回復させてくれている。

 

「半端な攻撃はまずするだけ無駄だ」

 

「どう言う意味だ?」

 

「言った通りだ。あの野郎、あの甲殻で全身をくまなく覆ってるだろ。あいつはアレで物理的にもオラクル的にも身を守っている。たぶん、マップに表示されていないのはあの甲殻が奴自身のオラクル細胞の反応を隠してるんだ」

 

「オラクル的にも、と言うことは射撃も殆ど効果が無いのでは?」

 

「ああ、たぶんな。あいつが今ああしてサンドバックになってんのは、今野郎が息切れ状態でろくに動けねぇからなんだとは思うが……いい加減戻るだろうなぁ」

 

「そうしたらどうなる?」

 

「ハンニバルの神速種ほどじゃ無いが、カリギュラクラスのスピードで暴れまわる。一撃の威力は、あの剣を食らえばほぼ一撃。それに俺も食らった、胸の甲殻を開いて、そこから撃ち出す砲撃ともなると、直撃食らえばゴッドイーターであっても骨も残らん。これを見ろ」

 

リヴィに俺の神機を見せる。

 

「装甲と刃が溶けている?」

 

「ああ。ちなみにその砲撃を一撃止めただけでコレだ。けどまぁ、砲撃は気にしなくていい。たぶんアレは放熱行為だから、殆ど使われることも無いだろう……と、奴がまた暴れ始めるぞ」

 

 

 

ハンニバル(?)吠え、オラクル弾の中を疾走する。サクラをジュリウスをナナを左の盾を薙いで吹き飛ばし、突きを放つために後ろに引いた右の剣を放ち、疾風を纏って駆け抜ける。

 

ブラッド隊を無視してハンニバル(?)が向かうのは、神薙だ。本能的にこの場で最も危険な相手が神薙であると認識したらしい。

 

 

「そっちから来てくれるなんて……嬉しい限りね」

 

見切るのも難しいほどの高速で放たれた突きを神機の刃で受け、そして流し流れるような動きで、袈裟斬りを叩き込んだ。

 

「硬い。ええ、確かに硬いわね……でも、それだけよ」

 

その言葉と共に、バスターとは思えないほどの高速で放たれる斬撃は少しずつ確実にハンニバル(?)に傷を付けて行く。

 

ハンニバル(?)は熟練を思わせる盾さばきでもって、危険なものだけを止めて、後は無視し剣を振るう。余程あの甲殻に自信があるらしい。

 

 

「後ろがガラ空きだぜ。この野郎!」

 

密かに背後からハンニバル(?)に迫っていたギルバートが、槍形態の神機で攻撃を仕掛ける。チャージスピアの特徴である溜め攻撃のチャージグライドの変化系であるブラッドアーツ、クリムゾングライドを放つ。極限まで活性化したオラクルが真紅の輝きを放ち、それと一体となってギルバートが突っ込む。

 

だが、背中を見せていたはずのハンニバル(?)がそれに反応して動く。神薙の斬撃を躱しながら跳び上がると、空中で回し蹴りを繰り出して槍の切っ先を避けてギルバートを蹴り飛ばし、剣を振り下ろしながら着地し、盾と剣を巧妙に使いながら神薙を攻め立てる。

 

「ぐ……! 重いの貰っちまった……!」

 

瓦礫に叩きつけられたギルバートはそう言って、地面に倒れ伏す。戦闘不能だ。

 

「ギル! 今行くから待ってろ!」

 

そう言って駆け寄ったロミオがギルバートにリンクエイドを施して復活させる。

 

「すまねぇ……」

 

「気にすんなって、で、これからどうする?」

 

ロミオがサクラにそう聞くと、

 

「シエルの指示で中尉さんと一緒に、皆は撤退して。シエルあとお願いね」

 

「隊長は……」

 

「ごめんね」

 

申し訳なさそうな顔でサクラはシエルに謝る。それにシエルは、ひとつため息をつくと、

 

「君らしいですね。分かりました先に回収ポイントに向かいます。……戻って来てくださいね」

 

「うん。絶対戻るから待ってて」

 

そう言うと、サクラは戦い続けている神薙とハンニバル(?)のところへと向かって行く。てか、今のセリフはフラグじゃあなかろうか……

 





完全なる傍観者(つまり使えねぇ)だった中尉さん。
自分で作っといて、なんだがなんだこのチートアラガミ。

ちょっとだけネタバレすると、このオリアラガミの元ネタは某狩りゲーに出て来る。白くてデカくて硬くて厚い近接殺しとの名も名高い例の彼です。
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