ハンニバル(?)を神薙とサクラに任せて、ブラッドの奴らと撤退のために回収ポイントに向かう最中、
「なんで、こんなにコンゴウが居るんだよ!?」
神機の刀身でコンゴウの頭をかち割って止めを刺しながら、ロミオが怒鳴る。
ロミオの言う通り、どこから現れたのかコンゴウが通常種に堕天種も合わせて10以上居る。しかも、おまけにハンマー系神機が融合した特殊な個体、神融種であるラセツコンゴウが1体。
やれやれ、戦えない役立たずを1人抱えながらこれだけの数は、流石に若年ではあっても経験豊富な精鋭部隊のブラッドでも厳しいだろう。
けどまぁ……
「戦えないなら戦えないなりに出来ることもあるってもんよ」
スタグレを炸裂させて、コンゴウ達の目を奪うが何体かはスタグレの効果から逃れているものもいる。流石にこれだけの数全部をスタグレ1発ってのは欲張りか。
スタグレから逃れたコンゴウ通常種2体、堕天種1体、ラセツコンゴウがこっちを向き、お得意の前転タックルを一斉にかましてくる。それを回避して廃墟に突っ込ませるが、コンゴウ諸共瓦礫が吹き飛ぶ。ラセツコンゴウが何かやったか?
無駄に長いことゴッドイーターとして生きてるから、堕天種とか接触禁忌種とか色々とヤバいのも相手にして来たが、流石に神融種との戦闘経験は数える程度しかない。
神融種は感応種とはまた違った意味で厄介なのが多い。と言うのも、種融種ってのは神機を取り込んで進化した種で、神機の特徴を多く持っている。例えとしてブラスト系ならば、頭上からの直撃弾やらと特異な軌道の砲撃などをやって来るし、スナイパーなら隠れ潜んでのアンブッシュ……とまぁ、とにかく面白おかしく厄介なのが多い。
さっきのは、ラセツコンゴウがその身に取り込んだハンマー系の神機で何かをやったんだろう。ラセツコンゴウとの交戦経験の無い俺にはこの程度のことくらいしか分からん。
「ごぉぉぉおおお!!!!」
ラセツコンゴウが吠え、吹き飛ばされたコンゴウと瓦礫が地面に降り注ぐ。真上から降って来たコンゴウを神機で受け止めて、そのまま放り投げる。攻撃は出来なくてもこんくらいは出来る。
今はただの重りでしかない神機を構えて、ラセツコンゴウに向かって走る。敵のヘイトを稼いで敵を引きつけ、味方をその攻撃から守る。戦えないゴッドイーターが出来ることと言ったらこんなもんだ。
ラセツコンゴウが大きく振り上げた拳を振り下ろす。それをいつもコンゴウの攻撃を避ける感覚で躱すと、ラセツコンゴウが背負うように取り込んだハンマー系神機から発せられた衝撃波によって大きく吹っ飛ばされる。
なんとか体勢を立て直すが、既にラセツコンゴウが次の攻撃に移っていた。背中の神機が輝き、さながらハンマーのように降り下ろさんとしている合わせた両の拳を大きく後ろに跳ぶことで回避する。拳が地面に叩き付けられた瞬間、ラセツコンゴウの姿が若干歪んで見えるあたり、大分強い衝撃波が発せられているみたいだが、範囲はそこまで広くは無いが、今の状態でまともに攻撃食らおうもんなら骨折どころじゃすまんなぁ……まぁ食らわんがな。
ラセツコンゴウと戯れ(なお、一撃一撃が即死モノ)ていると、ブラッドの連中とコンゴウによる大運動会(殺し合いとも言う)が終了したらしく、ブラッドの皆で寄ってたかってラセツコンゴウを叩く作業が開始され、瞬く間に屠られた。流石は精鋭部隊。
「何が凄いって、神機使えないのにアラガミに向かってけるあんたが一番凄いと思うんだ。俺」
「10年以上ゴッドイーターとして勤続してりゃあ、こんくらいは誰でも出来るぞ。少なくとも、リンドウとかタツミにブレンダンをはじめとした防衛班の連中は出来る」
ロミオの言葉にそう返して、携帯端末を取り出してマップを見る。
やっぱりマップにはあのハンニバル(?)と神薙とサクラの反応は表示されていない。
「やっぱ、あいつはステルス能力持ちの上に超硬くて速いチートってことだな」
俺の推測の通りの結果だとしたら、神薙とサクラでもちょっとヤバいか? いや、あいつらなら大丈夫だ。無理でも逃げ切れるはずだ。
「やれやれ、本当歳は取りたくないわ」
神機から伸びてくる触手を腕輪のコネクターにぶち込んで、無理矢理接続する。接続された神機の触手が這い上がって来る独特の感覚を感じながら、神機の状態を確認。
装甲は使用不能。機関部問題無し、刀身半壊。
ボロボロもいいとこだなこれ。どっちにしろ、極東支部に帰ったらどやされるんだし、もうちょい無茶してくか。
「中尉」
俺の動きに勘付いたジュリウスが声をかけて来た。
「止めるか? 」
「当然だ。今のあなたは勿論、その神機の状態では戦いようがない」
「戦いようがない。か……昔俺も当時の隊長に同じこと言ったことがあるがその人は、もう捕喰形態しか使えないような状態の神機で敵を倒して戻って来た。じゃあ、俺だってそれくらいはやらないとな」
「それとこれとでは話が違う」
「同じさ。バカが無茶やって、それを通すだけのことさ」
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ハンニバル(?)が振り下ろす。剣を神機で受け止める。重い……!
しかもその上、スピードとそれを活かせる技量もある。久方ぶりに見る強敵だ。このハンニバル(?)は、
面白い。楽しい。
「さぁ、もっと見せなさい!」
ハンニバル(?)の剣を弾き返して、その空いた胴を切りつける。浅くても刃は通る。なら、切って切って切って、切り続ければいい。
ハンニバル(?)が盾を翳す。それをインパルスエッジで吹き飛ばして更に切りつける。またハンニバル(?)の甲冑の傷が深くなった。反撃でハンニバル(?)が引き戻した右腕の剣を振り下ろして来るが、ハンニバル(?)の目に銃撃が叩き込まれ、それを妨害する。
サクラの狙撃だ。副隊長のシエルの陰に隠れがちだけど、この子もかなりの狙撃の腕がある。多分、射撃だけなら私より上手いだろう。でも、近接戦闘なら私の方が上だし、中尉と過ごした時間だって……コウタ?あいつはマブの付く友達だし、アリサと何やら……と、意識を戻さないとね。
「なかなかしぶといわね」
楽しいのは良いけど、無駄に硬くてタフいのはそんなに好きじゃない。ウロヴォロスとかはもうダメ。あんなのはただの作業よ作業。
とか思っていると、ハンニバル(?)が胸の甲殻を唐突に開いた。て、あそこ開くの!?
そして、そこから激しく光を放つ結晶体が顔を覗かせていて、今にも何かが出て来そうな感じね。そう思っていたら、本当に何かが出た。直接見ると、目が痛いほどの閃光が結晶体から放たれ、その射線上に廃墟に風穴が開く。崩れたのではなく、当たった部分が消滅したかのように消えている。
「外れてくれてよかったわ。あれは見てからの防御は……いえ、防御もダメね」
「それに防御出来たとしても、神機が保つかどうかですね」
おそらく今のはどんなに上手く防御しても神機が破損するわね。防御不可の大技とはますます燃えて来るじゃないの。
ペロリと上唇を舐めて、神機に強制解放剤を注入してバースト化してさっきの砲撃行ってからなぜか動かないハンニバル(?)に突っ込む。