とある部隊長の独白   作:⚫︎物干竿⚫︎

3 / 21
休暇

暇だ。日々の任務で溜まりに溜まってたデスクワークの類も片付いた。て言うか、俺はどちらかと言うと、神機をぶん回す実働よりもこう言うデスクワーク系の方が好きと言うか得意だ。

 

さて、なぜ俺はこうして暇をしているのかと言うと、昨日言ったミッションでちょっと神機をやらかしてしまった。まぁ、かれこれ10年以上使ってるからどんなに定期的に細かくメンテをしてたって、時にはこうなる。単純に強度不足に陥りつつある。何せ、最近のアラガミは硬いのが多い。オウガテイル程度の小型種ですら少し前の中型種並みだ。

 

 

「そろそろ強化も考えるか……」

 

最後に強化を行ったのが5年前あたりだったはずだ。今は新種の出現や新たな鋼材の開発によって、新しい強化が可能なはずだ。とは言え、俺の力量で狩れるような相手の素材でなければ強化のしようがない。金? 金ならばら撒き出来るくらい有り余ってるよ。使う機会も無けりゃ、自分以外に金が掛かる相手も居ないからな。

 

まぁ、俺だけで無理なら部下連中とかサクラでも誘えば良いだろう。それにそんなに焦る必要も無い。神機が直らない事には緊急事態になろうとも何も出来ないだからな。

 

 

 

「隊長」

 

学生服のようなものを適度に着崩した部下の1人の大重アキラがビールの入った缶を手にやって来た。今年で18になるウチの隊の優秀な前衛だ。ちなみに1年前に入隊したこいつの神機はロング、スナイパー、タワーの組み合わせの第二世代だ。てか、部下2人とも第二世代型だからウチの隊で第一世代型なのは俺だけだと言う……何らかの悪意でも働いてるんだろうか……まぁ、そんな愚痴は置いておいてだ。

 

「おい。お前未成年だろうが」

 

「そう硬いこと言わずに飲みましょうや。それに、今の御時世未成年とか無いじゃないっすか」

 

「いや、一応はあるぞ」

 

「でも、そんなもんを律儀に守ってるのなんて今しや外部居住区にだって居やしませんて」

 

そう言って、左手に持った方の缶を押し付けて来る。

まぁ、俺もアキラくらいの歳の頃には普通に愛すべきバカ達と酒盛りしたりしてたわけだし、あまり強くは言えない。

 

 

 

 

ラウンジの窓際のカウンターに並んで座り、その向こうの居住区を見ながらビールを飲む。それにしても、この配給のビールは不味い。これなら普通に水でも飲んでる方が個人的には良い。

 

 

「隊長は何でまだ現役で戦い続けてるんっすか? もう何度か退役の話出てるんでしょ?」

 

「そりゃあお前ら若造がまだまだ頼り無いからに決まってる……と言えれば、少しはカッコが付くんだろうが、単に俺がそうしたいからまだ戦ってるんだよ。それにまだ30とちょっとだ。後10年は現役で居るつもりだよ」

 

「10年て……下手すりゃ俺とかマギーの方が、先に消えるかもしれないっすねぇ。それが殉職か退役かは分からねぇけど」

 

今、アキラの言葉の中に出て来たマギーと言うのは、俺のもう1人の部下で、ウチの隊の優秀な後方火力だ。神機はブラストかスナイパー、バックラー、ショートの組み合わせだ。と、噂をすれば何とやらだ。

 

 

「そうですね。私もアキラも10年も生きていられるか分かりませんし」

 

白と青のいわゆるゴスロリ系のフリルだらけのドレスみたいな私服を着たほぼ白に近い金の長髪の少女がコツコツと靴の音をさせてやって来た。この少女がマギーこと、マギリア・リヒトイェール。現在17歳。フェンリル本部にて入隊直後、極東支部配属になると言う色々と薄幸な奴だ。

 

「んだよマギー。お子様は引っ込んでな」

 

「子供じゃありません。もう立派なレディです」

 

「俺からすればどっちも子供だけどな」

 

「「ロリコンは黙ってろ」」

 

「俺はロリコンじゃねぇ! 確かにサクラとかみたいな年下になんか好かれるけど、俺は断じてロリコンじゃねぇ!!!」

 

こいつら1年前の来たばっかの頃は従順で綺麗な良い子だったのに……なんでこんなに汚く……アレか? アラガミとの戦闘によるストレスが原因か?

 

いや、考えるまでもなく、極東支部の連中のノリのせいだな……

サカキ博士と言う人畜無害の皮を被ったゲテモノが頭やってるとこだ。下がおかしくないはずがなかった。

 

 

「きょ、今日のところはこのくらいで勘弁してやる……」

 

「そ、それはこっちのセリフです。このヘンタイ」

 

ギャーギャー言いながら取っ組み合いやってた2人も落ち着いたらしい。

 

 

「お前ら本当、仲良いな。第一部隊のエリナとエミールにも負けてないぞ」

 

「「うわ、こいつと仲良しとかマジ勘弁」」

 

おお被ってる被ってる。それも一言一句全くのズレのない綺麗なシンクロ具合だ。

 

 

「おいマギー。かぶせてんじゃねぇよ」

 

「そっちこそ、何かぶせてやがるんです?」

 

「「………」」

 

俺の頭の中で、2度目のゴングがカーンとなり、アキラとマギーの取っ組み合い第2ラウンドが始まった。

それを見守りつつ、愛すべきバカ達のことを思い出す。

 

もうアラガミに食われたり、何だったりで死んじまった友人達。

 

 

「よう」

 

「リンドウ。戻ってたのか」

 

白い背中にフェンリルのロゴが入ったロングコートを着た、腕には本来あるべき赤と黒の腕輪ではなく金色のガントレットを付けた前髪が若干長めの男、数少ない同期の生き残りである雨宮リンドウがやって来て、俺の隣に座る。

 

「補給と諸々の報告にな」

 

「そうか。お前も大変だな。そんなになってまで、こき使われるんだから」

 

「別に良いんだよ。俺も好きでやってんだからよ。て言うか、アレ止めないのか?」

 

「止める必要あるか?」

 

「ないな」

 

取っ組み合いを続けているアキラとマギーの姿は、昔の俺達に似ている。

今は俺もだいぶ丸くなったが、昔はそれはもうアラガミを1匹でも多くぬっころすことしか眼中に無かった俺と人命最優先で時にはアラガミをも戦力として用いたリンドウとは殴り合いになったりもした。その度にボロボロになって、それで……まぁ、若気の至りと言えば若気の至りだな。

 

 

 

「り、リンドウ大尉!?」

 

取っ組み合いを続けていたはずのアキラが素っ頓狂な声を挙げてそう言う。ああ、そういや若いロング使いにとって、リンドウは憧れを通り越して、ある種の崇拝対象だったっけか……

 

 

「おう。いかにも俺が雨宮リンドウだ。で、お前さんは?」

 

「じ、自分は大重アキラ伍長であります! おい、マギーも挨拶しろって!」

 

「何なんですか急に……マギリア・リヒトイェール上等兵であります」

 

なんだかんだ言いつつもマギーも名乗る。一応、この2人の階級は年齢的に考えれば低くないどころか普通にそれなりに高いと言っておこう。

 

 

そこからは嬉し恥ずかしな俺の過去の恥エピソードとかを面白おかしく(リンドウが)喋ったりしながら酒飲んだり、取っ組み合い(俺とリンドウ)したりして、最終的に俺とリンドウは2人仲良く懲罰房行きになりましたとさ。誠に遺憾である。




実力は天と地の差があるけど、あまり気にせずバカをやるスタイル。
ウチの中尉さんとリンドウさんはお互いにふざけあってバカやれるマブダチと言う話。異論は認めるともよ

……にしても、数あるゴッドイーターの二次創作で主人公の年齢が三十路を突破したのなんて他にあるのかしら、

ちなみにオリキャラのアキラ君とマギーちゃんは平時とミッション時で服を変えます。何も無い時は制服っぽいのにゴスロリで、戦闘時にはフェンリル指定の戦闘服を生真面目に着ていきます。

本当にどうでも良い話、アキラ君はGE2時代に使ってたマイキャラがベースでござる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。