都「いやホント、白兵戦シーンが書けないんですよ」
造「他小説の言い訳する作者はしまっちゃおうね~」
営「なにこの茶番」
多分今までで一番変な所が多そうです。
始まるZO☆彡
今日も変わらぬ日だ。しかしアメリカ合衆国の十二月初旬が特別であるように、日本の八月は特別な月である。
この国を護るという大役を担うなら尚更だ。
本日は八月の十三日。テレビでは隣国の民主活動家が拉致された件について騒ぎ立てている。この民主活動家、実は数年前にも暗殺されかけている・・・まあ暗殺だと分かるのはもっと後の話だが。
まあ、それはともかくとして。
「……」
月曜から金曜まで働くこの隊の最新鋭護衛艦「はるな」。その大型ハンガーにヘリコプターを三機収容し、それらの運用能力を持つこの艦。もちろん艦体後部の飛行甲板も大きい。まあかつての空母には及ばないが、そもそも艦種が違うからいいのだ。
飛行甲板には着艦を誘導するため、他にも様々な用途に用いられる誘導線が引かれており、空から見るとカラフルな模様にも見える。模様の他にも寝転んだ猫が……いや、あれは猫じゃない。巫女服を意識したという割には腋とかいろいろ露出している装束に身を包む彼女。護衛艦「はるな」の化身である。そんな装束で寝転ぶ姿は歳が歳ならなかなかにエロスが漂うのだろうが、身長が100ほどの幼い姿では可愛らしさしかない。
「はるにゃさん~何してるんですか~」
と、作業服姿の一尉が近寄ってきた。艦艇の化身、いわゆる艦娘は極僅かな人間にしか見えないはずであるが、なぜかこの護衛艦の乗組員は皆はるなを認識することができる。
はるにゃなどとあだ名で呼ばれているあたり、はるにゃは愛されているのだろう。
「はい、涼しいです!」
近づいてきた一尉の方を振り向いてそう答えるはるにゃ、現在護衛艦「はるな」は南に進路を向けており、飛行甲板上は丁度艦構造物の影となっている。護衛艦なら常に波を切って海を走っているわけで、塩気の多い風も心地よい。
「なるほど、思ったよりも涼しいね」
そう言いながらはるにゃの横へと座り込む一尉。夏となれば作業服姿でも暑いものだ。だからこそ、日陰のおかげでひんやりとした飛行甲板は触っていて気持ちが良い。風通しが良いこともあってちょっとしたオアシスとなる。
「でも一尉さん、お仕事はよろしいのですか?」
「終わってなきゃ来れませんよ、それにほら」
そう言いながら一尉ははるにゃから見えないよう隠していた「あるもの」を取り出す。
「はい、かき氷。氷だけですけど」
ステンレス製の器に乗せられた白い山。暑いのを主計科かどこかが気遣ってくれたのだろうか。
「かき氷……はるにゃ、感激です!」
一尉から半ば奪い取るように器を手に取り、はむはむと頬張り始めるはるにゃ、彼女は帝国海軍の戦艦「榛名」の意志を継いでいるはずだが、やはり見た目通りのお子ちゃまなのである。
「弾薬が切れても氷だけはなくならないのが軍艦だからなぁ……あ、あんまり急いで食べない方が」
「ふぇ?」
あまりの食べっぷりに大切なことを伝えるのが遅れた一尉。
「! っ~~~!」
……やはり間に合わなかったようだ。声にならない声をだしながらこめかみの辺りを押さえるはるにゃ、器の中身を零さないようにゆっくり下ろしたのは流石だが、目尻に涙を浮かべて痛がるはるにゃにはそんなことどうでもよかった。
「だ、大丈夫ですか?」
「だ……大丈夫です……」
でも、きーんってします……。辛うじて付け加えられたその言葉ははるにゃなりのSOSなのだろう。とはいえ冷たいものを一度にたくさん食べたことで起こる頭痛を止めることは不可能だ。嵐が過ぎ去るのを待つしかない。
「あ、はるにゃちゃんが」
「おいこら、どこ見てる」
所変わって艦の一角、外周警戒を命ぜられた乗組員が大きな双眼鏡で周囲を警戒しているはずだが、どうやらはるにゃ観察をしていたらしい。すかさず曹士の手刀が命中する。ヘルメット越しでも痛い。
「イタタ……」
「全く、やけに一点ばかり見ているとは思っていたが……」
はるにゃと交流するのはいいが、観察していたらそれこそストーカーである。本来の外周警戒任務に戻った乗組員であったが、少ししてから眼を見開いた。
「さ、三曹、あ、あれなんですか!」
「えぇ、どれ?」
あれなんですか、とは随分と適当な報告である。全く困った部下だ……そんなことを思いながら双眼鏡を手に取る曹士であったが、彼もまた絶句することとなる。
何かが近づいて来るのである。それも、大きな飛沫を上げながら。飛沫のせいで何かは分からない。
まだ数キロは離れているはずなのに飛沫がはっきりと見えるのだから、これは怖い。
「と、とにかく報告だ」
「報告! 七時の方向より小型艇らしきもの急接近!」
「小型艇らしきもの……? レーダーは何をやってる」
「いや、何も写ってませんよ」
唐突な報告に騒然となる艦橋。ともかくこのままでは衝突コースらしい。それは避けねねば。最新鋭であり、この隊の顔である第一護衛隊群直轄艦を預かる当直士官はそう判断した。
「強速、おもーかーじ」
「強速、おもーかーじ」
即座に復唱が入り、右方向へと艦首を向ける「はるな」。僅かに増速され、ゆっくりとした回避運動に入った。別にミサイルとか魚雷ではないので、急ぐ必要はない。
「もどーせ」
それを聞いた操舵員は舵を元に戻す。
「舵中央」
ともかくこれで衝突は避けられた。
はずだった。
「ありゃ、舵を切ったな」
飛行甲板は艦体後部である。航跡の変化はよく分かる。
「何かあったのでしょうか?」
まだ頭痛は収まってないらしく、頭を押さえながらはるにゃ。
「はるにゃさんなら分かるんじゃないですか?」
はるにゃは猫耳がトレードマークの少女(幼女か?)であるがこの「はるな」の化身である。当然ながらこの艦で分からないことはない。
「そうでした……えっと、小型艇がこっちに向かってきているようです」
「小型艇……? あぁ、アレか」
一尉も小型艇とされている近づいてくる飛沫を見る。しかし妙である。飛沫がやけに大きすぎではなかろうか。しかも小型艇とは思えない速度で接近してくる。
「あ……」
はるにゃは何かに気が付いたようで、なにやらそわそわし始める。はるにゃのそわそわは何か言いたいことややりたいことがある時。今回は前者だろう。
「どうかしたんですか?」
「一尉さん、あれはきっと……」
お――――!
ね――――――――!
え――――――――――――!
さ――――――――――――――――!
ま――――――――――――――――――――!
「……」
人だ。人が海の上を走っている。猛スピードで、だ。
どこの忍者だ。いや、連載始まってないか。
そんなこんなで一尉が混乱している間にも、どんどんその水飛沫は迫ってくる。「はるな」は回避運動をしたが、こんなトンデモ人間誘導弾じゃ回避はとうぜん叶わない。
「ひえい!」
はるにゃがそう叫んだ。比叡? たしか金剛型二番艦……。
しかし一尉にはそれを考える時間すら与えられない。
「はるな」手前で海面が大きく爆ぜた、飛沫から飛び出す少女。
「おねえさまー!」
はるにゃと同じ装束に身を包んだ少女が飛行甲板へと着艦。
水飛沫が大いに飛行甲板を濡らす。
そしてヘリの運用しか想定しないこの「はるな」に着艦ワイヤーなど装備されているわけがなく。
「ふごっ!」
一尉という名のバリケードに強行着艦を敢行してしまった。
「ひえー、まさか甲板にいた方が認識できる方だったなんて……」
こんなことなら認識できなかったほうが良かったかもしれない。いくら小柄とはいえ全力疾走(?)からの体当たり、加えて海水も頭から被ってしまった一尉は海水を払うように体を震わせる。
犯人は大して悪びれる様子もなく、「大丈夫ですか?」などと聞いてくる。大丈夫な訳が無かろうに。
とはいえ……はるにゃと同じ服装、よく似た顔つき。違うのは髪型と、全身からあふれ出んばかりの活気だろうか。
そして海を猛スピードで走ってきた。
「もしや
まあここまで条件が揃えば一尉の予想が外れることはないだろう。彼女は元気いっぱいの声で海軍式の敬礼を披露した。
「はい! はるな型ヘリ搭載護衛艦の二番艦、ひえいです! 姉さまに少しでも近づけるよう、頑張ります!」
はるにゃの二番艦。つまりはるにゃの妹であるひえいはこうしてやってきた。ひえいを認識できる乗組員は半分ほどで、艦を挙げての歓迎会とはならなかったそうだが……まあ主計科の帳簿は当然のように誤魔化されたとか。
ちなみにこの日は護衛艦「ひえい」の進水式。就役し、護衛艦「はるな」と肩を並べるのはまだまだ先の話である。
ひえい「わー、おいしいですねー!」
主計科「それはなにより」
砲雷長「しかしよく「はるな」の座位が分かったな、まだ「ひえい」は艤装も施してないだろうに」
ひえい「お姉様のことですから!」
司令「二番艦はひえいか……次の改はるな型は「こんごう」と「きりしま」で決まりだな」
ひえい「金剛お姉様が……私の妹に……!」
※なりませんでした。
艦長「ひえいが見えない……はるにゃちゃんだけが頼りだよ……」
はるな「はい、はるなは大丈夫です!」