護衛艦はるにゃ、です!【完結】   作:帝都造営

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リハビリです。


もう一度言います リ ハ ビ リ です。久々にはるにゃを書きたくなった。


番外編、です!
聖夜祭? です!


 

 

 

 

 

 

 

 

「一尉さん……はるな、『ぼうりんぐ』がしたいです!」

 

 

 帝国主義の終焉。廃墟からの復興。これらが全世界的に繰り広げられた時代。その間、常に国家と国民を導き続けてきた賢帝が行う半世紀の治世において、12月23日はまだ深い意味を持たない。

 

 そういう訳でこの国の防壁。四方にわたる広大な国境線(うみ)を守護するこの隊の象徴、第一護衛隊群直轄艦の「はるな」は、いつも通りの通常業務と相成っていた。

 

 

「ぼうりんぐ……と、言われましても」

 

 従ってはるにゃ担当官――――念のため言っておくが、公式な役職ではない――――である一尉も平時運用。はるにゃの突然すぎるリクエストに困惑するのみである。

 

「はい! ……ところで一尉さん、ぼうりんぐって何ですか?」

 

「ちなみにはるにゃさん、誰からそんな話を聞いたんです?」

 

 まさか地質調査に使う標準貫入(ボーリング)試験のことではないだろう。もちろんアレだ、何ポンドものボールを転がして、そして十本の白いピンを倒すアレである。

 

「えっと……てれびで言ってました」

 

 言うまでもないが、テレビ放送は電波を飛ばすものだ。電波は陸であろうと海であろうと飛ぶのだから、当然沿岸部でならテレビを見ることは可能だ。もちろんアンテナ含め機器を積んでいなければ見られないはずなのだが、護衛艦であるはるにゃに不可能はない……はずである。受信料とかはどうなるのだろうか?

 

「ふむ……」

 

 まあともかく、テレビで見たのならなんとなく察しはつく。現在この国が空前の好景気に包まれていることは知っての通りであるが、同時にボウリングブームも巻き起こっているのだ。ボウリング場は乱発されるように建つし、若者たちは皆こぞってボウリングへ行く。そして夜を超すのである……で、そのテレビ放送でも、恐らくクリスマスボウリングの話でもしていたのだろう。

 

 

「えっとまずですね、ボウリングというのは……なんだろう、えーと」

 

 一尉はボウリングがどういった存在なのかは知っているが、いざ説明するとなると言葉に詰まってしまう。なんせ彼はボウリングに行ったことがないのだ。

 ちなみにボウリングと言えば男女遊びの典型的なものだが、彼はそもそも男女遊びなんてしたことがなかった。彼はいい意味でも悪い意味でも真面目であった。だからはるにゃのお世話も引き受けるのである(本人曰く)。

 

「一尉さん……?」

 

「いや分かるんですよ、分かるんですけど、どういう風に説明したらいいのかと思いまして」

 

 そんな風に一尉が言葉を濁していると、砲雷長が歩いてきた。

 

「あ! 砲雷長さん、こんにちは」

 

「おう、はるなちゃん」

 

 はるにゃに手を挙げて挨拶、それから一尉の敬礼に答礼する。片手に煙草を持っているあたり、一服やりに来たらしい。艦長が煙草を嗜まない「はるな」において、士官の喫煙所はとりあえず艦長があまり行かない場所、だ。士官室から抜けてきたのだろう。

 

「一尉。ここでなにをしてるんだ?」

 

「はぁ、はるにゃがボウリングとは何かと聞いてきまして」

 

「ボウリングか、そういえば盛り上がってるよなぁ」

 

 女性プロボウラーなどの存在により大いに盛り上がったボウリング。もちろん砲雷長もそれは知っている。

 

「で、はるにゃちゃんはボウリングをやりたいの?」

 

「でも砲雷長、艦内にボウリングするスペースなんてありませんが」

 

「なになに? なんの話ですかぁ?!」

 

 とその時、真横から第三者の声が。

 

「あ、ひえい!」

 

「はい! はるなお姉さま!」

 

 はるにゃの黒髪とは違う短めの茶髪。今日もハツラツとした様子の彼女ははるな型護衛艦の二番艦「ひえい」である。先代では姉妹関係は逆だったというのは知っての通りであるが、一尉たちにとってはひえいははるにゃに懐くべくして懐いた妹にしか見えない。

 

「おおひえい、遊びに来てくれたのか」

 

「砲雷長もこんにちは! あと一尉も!」

 

 ちなみに「ひえい」はまだ艤装作業中で、そのせいなのか暇を持て余している彼女はしょっちゅう遊びに来ている。今日も今日とて、「はるな」が誇る最新鋭の警戒装備を潜り抜けていったいどこから侵入したのやら……いやそもそも、艦艇の魂と言うべき存在である彼女らに侵入とかそういう概念を当てはめていいのか分からないのだが。

 

 

「それで皆さんは、なんの話をしていたんですか!?」

 

「ああ、ボウリングを艦上でやるにはどうすればいいかなぁと思ってね」

 

「砲雷長??」

 

 困惑の声を上げるのはもちろん一尉。そもそも常に揺れ動き続ける艦艇の上でボウリングなど出来るわけがない。

 

「ボウリング……あの、バーンってやってドーンってやってガシャーン! ……ってやつですか?」

 

「そうそう! バーンってやってドーン!」

 

 いやいや砲雷長、そんなノリノリでやられましても。

 

 

「「バーンってやってドーンってやってガシャーン!!」」

 

 

 お二人で楽しそうなことだ。一尉は、小さくため息。被害担当はいつも彼である。

 

「一尉さん……」

 

 はるにゃは心配げに一尉の袖を掴む。既得権益はいつも彼のものである。

 

「あそうだ! 砲雷長、一護群(第一護衛隊群)の皆さんとやればいいんですよ!」

「なるほど、洋上ボウリングか! いいねぇ!」

 

 なにがいいのか全く不明であるが……まあともかくとして、そろそろ場を収めないといけない。

 一尉ははるにゃを見た。はるにゃも一尉を見た。我々は話を逸らさねばならない。

 

「一尉さん……はるな、手伝います!」

 

 

 名誉ある、第一護衛隊群直轄艦として!

 

 

「――――砲雷長、意見具申があります」

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリスマスぅ?」

 

 副長が素っ頓狂な声を上げたのは至極当然だろう。なんせいきなりすぎる。

 

「はい、明日は12月24日です」

 

「いやうん、それは知ってるが」

 

 浄土真宗なんだよなぁ私は。そう言う副長。

 一尉とはるにゃの取った手段は至極簡単だ。話を逸らせばいいのだから、ボウリングなんかよりもっと大きな話題にすり替えてしまえばいいのだ。ここまで二千字近く使ってボウリングが話の主軸を成してきたが、そもそもクリスマスにボウリングに行く若者が多いという報道が始まりであって、ボウリングなど捨て置けばいいのである。

 

「せっかくですし、本艦でもクリスマスを祝うのは如何でしょう?」

 

「とは言われてもなぁ」

 

「一次大戦でもクリスマスは休戦していたと聞いています」

 

 謎の情報を添付する砲雷長。そもそも今は有事ではないし、この国は戦わないと憲法に明記されている。そんな戦争の話を出されても役所的には対応できない。

 

「落ち着け砲雷長、それは互いにキリシタンだったから成り立っていた話だろう」

 

「副長さん! 昔からキリスト教の信者はこの国にもいます!」

 

「いやうん、はるにゃの言う通り禁教令の下でもいたのは知っているとも」

 

 実際、開国後の「信者発見」の逸話はあまりにも有名だ。

 

「「副長さん!」」

 

 

「……なんだぁ、面白い話をしてるじゃあないか」

 

 その時、士官室に入ってくる影。

 

 

「司令!」

 

 太い金線に咲く桜。それが示す階級は海将。

 

「私もその話に混ぜてくれないかね」

 

 第一護衛隊群司令。その人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 知っての通り、艦艇は狭い。スペースに限りのある空間に砲やら魚雷やらいろいろ詰め込んでいるのだから当然だ。

 

 そんな「はるな」の士官室。特に何を飾られていない士官たちの仕事場は、今は食堂だ。そして、今日は祝いの席でもある。

 

 

 そんな席を遠目に見るのは、主計担当の尉官だ。

 

「すみません、普段の献立からは変えられませんでした」

 

 謝る海曹。それを受けて彼は笑った。

 

「なにを言ってる。デザートだけで十分だよ」

 

「イチゴがあれば、大分良かったのですが」

 

 それを聞いて、尉官はまた笑ったのである。

 




















……なんだろう。コメディ書こうとして失敗した感しかねぇ。


とにもかくにも、メリークリスマス!(やや遅刻
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