護衛艦はるにゃ、です!【完結】   作:帝都造営

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他の連載中小説「君はどうして、連日投稿しているのかな?」

帝都造営「そこに、ネタが、あるからだっ!」


気晴らしなのに、気晴らしなのに。連日投稿です。


おひるね、です!

 士官室。それは準海尉以上が出入りする艦の象徴。普段は会議や幹部自衛官たちの仕事場として使われ、食事の時間には士官食堂へと早変わりする。

 艦の雰囲気を知りたければ士官室にお邪魔するのが一番だと聞くが、実際間違いではない。艦を動かす要職たちが集い、仕事をしている場所なのだから。

 

 

 ……そういう点で言えば、最近、食事の際にA卓(司令官の他、艦長たちが指揮権継承順に座る)とB卓(他の幹部自衛官たちが座る)の間で、はるにゃの取り合いをしているぐらいのこの艦は、きっと明るい護衛艦なのだろう。

 

 ……どうなんだろうか。この現状。

 

 

 

 

 ともかく、今日は特に何もない日。最も燃費のいい経済速度でのんびり太平洋を進むこの国の最新鋭護衛艦「はるな」。士官室には電卓を叩く音や算盤を弾く音、書類に何かを書き込む音や会話が聞こえる。ここが艦の設備でゆっくりとだが海に揺られていることを除けば、至極普通のオフィスのようだ。

 

 はるにゃは仕事を邪魔しちゃいけないからと食事以外の時は士官室にいないのだが、今日はどうしてか、ここ士官室にはるにゃはいた。

 

 

「……」

 

「……寝てる」

 

「寝て、ますね」

 

 士官室の一つの席を占領。身長100ほどの小さな身体は、寝息に合わせてゆっくりと動いている。なんか知らないけど生えている猫耳もそれに同調している……なぜはるにゃがここで?

 

「とりあえず、このままじゃ可愛(かわい)そうだ」

 

「一尉、漢字が間違っています」

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? なんだこの人だかりは」

 

「あ、副長」

 

 副長が士官室に入ると、何やら出来ている幹部自衛官たちの集まり。仕事をしている人間よりも人だかりに参加している方が多いのではないだろうか。

 

「お前らなぁ……仕事をサボって」

「「シィイイイー!」」

 

「……何なんだよ」

 

 注意しようとしたらいきなり人差し指を立てて、静かにしてくれと言われる副長。全く、弛んでるなぁと思いつつ人垣をかき分けて……納得した。

 

「ありゃりゃ、はるにゃちゃん寝てるのか」

 

 机の上で、小さな護衛艦の化身が寝息を立てている。誰のか知らないがタオルで枕が作られて、気持ち良さげな寝息を立てていた。大の大人が乗るのにはふさわしくない机でも、はるにゃが寝ればキングサイズのベッドである。

 

「でもなんで寝ていたんでしょう?」

 

 もはや誰も「何故ここで」は話題としていなかった。なんせ護衛艦「はるな」ははるにゃそのものである。どこに至って不思議じゃあない。

 

「さぁ、夜更しでもしたのかな」

 

 とそこで誰かが言った。

 

「そう言えば、はるにゃちゃんは普段どこで寝てるんでしょう?」

 

「……そう言えばそうだ」

 

 はるにゃの話題といえば艦対抗競技並みの話題性である。その今まで特に気にしてこなかった話題に皆飛びつく。

 

「やっぱり艦内神社でしょうか」

 

 神棚にどうやって住むのだろうか。はるにゃならやってのけそうだが。

 

「レーダーマストのてっぺんでは?」

 

 高い。しかし猫も高いところは嫌いじゃない、はるにゃも好きなのだろうか。

 

「いいやヘリ格納庫だろう」

 

 「はるな」は世界で唯一ヘリ三機を運用できる巡洋艦級の艦。「はるな」の象徴である。

 

「図書室じゃないですか?」

 

 案外、皆に認識される前はここで本を読んだりもしていたのかもしれない。今も読んでいるのだろか?

 

 

 ……もちろん、根拠も何もない雑談である。まだはるにゃを認識してから大して時が経っていないというのに、はるにゃは既に艦内話題ランキング第一位となっていた。

 

「でも……寝るんですね、はるにゃも」

 

 そう、はるにゃが寝ているということ自体、驚くべき発見である。護衛艦には当直任務というものがあって、常に誰かが起きている。

 故に睡眠を知らないのが護衛艦だと思っていたが、どうやら認識を改める必要がありそうだ。

 

 

 

 

 

 そんな雑談から一時間ほど、流石に給料もらって仕事をしている故にいつまでもはるにゃ鑑賞に興ずるわけにもいかない幹部たちは、各々の仕事を片付けていた。

 

 そして、一人の発言が、状況を動かす。

 

「……そろそろ夕食ですね」

 

 夕食、つまり夕食である。さっき言ったとおり士官室は士官食堂としての役割も兼ねるのだ。早く仕事道具を片付けないといけない。士官室係を待たせるわけにもいかないからだ。

 

「で、誰が起こします……?」

 

 そう言いながら発言主は机の一角を見た。一時間前と変わらず、すやすや眠っているはるにゃ……あ、ちょうど寝返りをうった。

 

「……起こし辛いな」

 

 なんと幸せそうな寝顔だろう。黒髪がくるんと横たわっているベッドの上の幼い寝顔、起こしづらい事ありゃしない。

 

 とは言え、起こさないわけにもいかない。

 

「誰が起こします?」

 

「ここでの最高位は副長です。どうぞ」

 

「えっ、私が起こすのか?」

 

 実際、もめるよりかはこっちのほうが早くていい。

 

「は、はるにゃ~、朝だぞ~」

 

 洋上では、もうすぐ陽が沈む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はるにゃちゃんの寝床……確かに、考えても見なかったですね、司令」

 

「ふむ、それもそうだな」

 

 艦長と司令がそう言えば、艦長の隣に座っていたはるにゃは首を傾げた。ちなみに、司令や艦長が座る所謂A卓では指揮権継承順に座るのだが、なぜかそこにはるにゃも紛れ込んでいる。艦艇の指揮権を艦艇が握ることは万に一つもないと思うのだが……。

 

「はるにゃちゃんはどこで寝ているんだい?」

 

 そう問うたのは飛行長である。格納庫の方にいた為に、先程の会話には参加していなかった。

 

「えーと・……暖かいところで寝ています」

 

 そう返すはるにゃ。口元にカレーがついている。

 

「暖かいところ……つまり機関室か」

 

 機関長が誇らしげに応じる。ちなみに機関科の指揮権継承順位はめちゃくちゃ低い。艦の底にいるのだから当然なのかもしれないが、彼らが艦を支えているのである。

 

「いや機関室は暖かいというよりか暑いでしょう」

 

 誰かが口を挟む。別に暑いというわけではない。それはただの先入観だ。

 

「いえ……機関科の皆さんはいつも忙しそうなので……」

 

 はるにゃは微笑みながらそう言った。機関が止まれば艦はおしまいだ。はるにゃで例えるなら心臓が止まることだ。

 

「気にしなくても、もっと遊びに来てくれていいんだよ? そうすりゃ分隊員の士気も挙がる……あと口元にカレー付いてるよ」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

 そう言いながら士官室係よりナプキンを貰うはるにゃ。両手を使って口元のカレーを拭き取る。

 

「機関室でないなると……やはり艦内神社……?」

 

 砲雷長は艦内神社説押しのようだ。暖かいところ、というワードは忘れ去られたらしい。

 

「いや、流石に狭いだろう」

 

 人が入れるわけがない。

 

「しかし「はるな」の魂は艦内神社に宿るはずですよ」

 

「いえ……分霊された艦内神社とはるなは、関係ないですよ?」

 

 はるにゃに否定されてしまった。艦内神社の神様と関係ないとなると、艦内神社あたりでは干渉し合ったりもするのだろうか? 流石に試せないが。

 

「そうなると具体的にどこで寝ているんだい? はるにゃちゃんは」

 

 司令が聞いた。

 

 はるにゃは笑顔で答える。そう、笑顔で。

 

 

「はい、はるなは皆さんのお布団の中で寝ています!」

 

 

 さて、士官室内で牛乳に手をつけていたものはことごとくむせた、唐突すぎる問題発言にスプーンを落としかけた者は全体の何割だろうか。

 

 騒ぎの張本人は、なんのことかも分からず、とりあえず美味しそうにカレーを口に運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに次の朝、一尉は寝不足だった。他にも寝不足の幹部が数名いたが、一体何があったのだろうか。

 




司令「一緒に……寝てる?」

はるな「はい、司令とも艦長とも一緒に寝ましたけど……ご迷惑だったでしょうか」
艦長「違う私は幼女嗜好じゃない」

司令「気付かなかったな……」

はるな「はい、仕事のご迷惑にならないよう、熟睡されている時にだけご一緒させてもらってますので」

一尉(いやむしろ邪魔しに来て、そっちのほうが気持ちよく眠れるから!)



つまり一緒に寝ると温かいねって話。午前5時の榛名時報で変な事考えた?
……警務官、呼びますね?
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