亮さんとのデュエルから少したった
そして、十代君と翔君の制裁タッグデュエルも無事に終えることができた
ところで、あのデュエル以来、亮さんとの交遊関係は続いている
…交遊関係と言ったのはどちらかというと、無礼かもしれないが先輩後輩よりもお友だち感覚といった付き合い方をしているからだ、…明日香さんも亮と呼んでるし…
たまに、イエロー寮に来てはホイールに乗りたがる癖が付いたみたいだけど…
ちなみに、ホイールのことはあのデュエルの後うやむやになったので、こちらとしては言い訳をする手間が省けて助かった
そんな風に気さくに接してくれるので、こちらとしては嬉しい
三沢君の寮の昇格話が持ち上がったのは、そんな頃であった
そして、デュエルは今日
しかし、思わぬハプニングがあった…、それは三沢君のデッキが海に捨てられるということだった
しかもその犯人は万丈目君らしい、さらに彼は今日の三沢君の対戦相手だった
それについて一番食って掛かったのは小原君だったが、憤りを感じる私たちに、三沢君は本当のデッキはここにあると、体につけている6つのデッキを見せて、その内1つをディスクにセットした
そして、今まさにそのデュエルが始まろうとしていた
「いくぞ、万丈目!」
「来い、三沢!」
「「デュエル!」」
万丈目:LP4000
三沢:LP4000
「俺のターン!カード、ドロー!『地獄戦士 ヘル・ソルジャー』を召喚!」
地獄戦士:
★4 ATK1200
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」
万丈目:LP4000
フィールド:
【モンスター】
地獄戦士:
★4 ATK1200
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:4枚
…『地獄戦士』は、戦闘で自分が受けるダメージを相手にも与えるカード…、中々いい布陣だ
「俺のターン!ドロー!俺は『ハイドロゲドン』を召喚!」
ハイドロゲドン:
★4 ATK1600
最初から、『ハイドロゲドン』か…
あれは三沢君のお気に入りの1つで、バトルでモンスターを破壊する度にデッキから同名カードを出せるモンスター…、つまり万丈目君が防がなければ、必然的に2体目で直接攻撃が通るわけである
結果はその通りで、『地獄戦士』の効果で三沢君はダメージを受けるも、2体の攻撃でライフの半分を削り取ったのである
…だが、万丈目君もただではやられない
伏せカードの『リビングデットの呼び声』から特殊召喚をトリガーとする『地獄の暴走召喚』につなげ、『ヘル・アライアンス』で攻撃力3600まで上げた『地獄戦士』で反撃に出る
もちろん、ラーイエロートップの実力は伊達ではなく、三沢君も『オキシゲドン』と『ハイドロゲドン』で捨て身の反撃に出る
万丈目:LP1000
フィールド:
【モンスター】
地獄戦士:
★4 ATK2000
【魔法・罠】
ヘル・アライアンス
手札:2枚
三沢:LP600
フィールド:
【モンスター】
ハイドロゲドン:
★4 ATK1600
ハイドロゲドン:
★4 ATK1600
オキシゲドン:
★4 ATK1800
【魔法・罠】
なし
手札:5枚
「どうして三沢君はダメージを受けるとわかって 攻撃を……」
「いや、これでいい」
「え?」
「翔。万丈目の『地獄戦士』を見てみろよ」
疑問を表す翔君に、亮さんと十代君が解説する
そう、三沢君は捨て身で『地獄戦士』を減らして、攻撃力を落としていたのだ
そこからは早かった、怒りに任せた万丈目君は手札とフィールドを代償に『火炎魔神 ヘル・バーナー』を召喚して勝負を仕掛けるも、三沢君お気に入りのエースモンスター『ウォーター・ドラゴン』を作り出した
…水素2個に、酸素1個で水を作り出すところも、彼らしいと言える
…いつか、『カーボネドン』1体と『オキシゲドン』2体で二酸化炭素を作ったりするのだろうか?
「『ウォーター・ドラゴン』の効果、炎属性、炎族モンスターの攻撃力を0にする」
「なんだと!?」
火炎魔神 ヘル・バーナー:
ATK3000→0
「『ウォーター・ドラゴン』!《アクア・パニッ シャー》!」
万丈目:LP1000→0
………………
…………
……
…
三沢君と万丈目君のデュエルの次の日の早朝、私はホイールに乗っていた
三沢君はデュエルに勝利したものの、十代君を倒した後に昇格すると提案を断っていた
…真面目な人だな…
まぁ、その話はそこそこに、今はドライブ中である
…理由は何てことない、柄にもなく早起きしてドライブしたくなったため、…それから亮さんに壊されていないか確認するためだった…
…最近はわりとマシになってきたけど…
…何か、近い将来あの人暴走しそうな気がする…
そんなことを考えていると、レッド寮付近の港に付いた
…潮のにおいがアレだけど、中々いい眺めだ…
………………
…………
……
…
しばらくいただろうか…、そろそろ帰ろうと思った時に足音と独り言が聞こえてきた
「このままじゃ、終わらないからな…」
見ると、荷物を持った万丈目君だった
こちらが見ていると、向こうも気付いたようだ
「万丈目君…」
「む、貴様は確か昨日、遊城 十代たちと一緒にいた…」
「山白 青人。君は、…島を出るの?」
「フン、貴様には関係ない…」
結構敵意を感じる…
「待って、万丈目君、いなくなるなら最後にデュエルしてほしい」
「なぜ貴様とのデュエルに付き合わねばならんのだ」
「うーん、餞別?見送り?…、いや、デュエリスト…だから?」
「はぁ?」
さすがの万丈目君も困惑しているようだ
「何か惜しいんだよね、オベリスク1年元トップとデュエルできなくなるのが…」
私も十代君にあてられたのか(明日香さん曰く、あいつに会うとおかしくなる)、亮さんという強力なデュエリストとのデュエルが効いたのか、以前は取らなかった行動をとっていた…
…人って、変わるのかな…
「下らん…」
「それなら!っ…この一戦だけでいい」
「…!」
万丈目君は、私の突然の表情の変化に驚いたのか、一瞬唖然とする
私は、瞬時にホイールにまたがり、右ハンドルのボタンを押す
「デュエルモード・オン。マニュアル・モード。」
ホイールにセットしたデッキから手札を準備する
「僕の先攻!モンスター1体を守備表示でセット!カードを1枚伏せて、ターン終了!さぁ、万丈目君のターンだよ!」
「なっ、お前何をやって…」
「デュエルだよ!さぁ、かまえて!デュエリストが出会った時、そこは戦場になるんだ!君は、戦場から背けるの?」
珍しく焦っている万丈目君…、後から考えると自分でも意外に思えた…、これまでなら面倒なことにはできるだけ手を出さなかったのに…
「ち、なんだかわからんが付き合ってやる!」
「「デュエル!」」
青人:LP4000
万丈目:LP4000
「俺のターン!カード、ドロー!」
万丈目君のデュエルを見たのは3回、その内2回は闇属性主体のデッキを使っていて『地獄将軍 メフィスト』、『火炎魔神 ヘル・バーナー』を主力に『地獄(ヘル)』カードでサポートする戦術をとっている
…今回は、どう攻めてくる…?
「俺は手札から儀式魔法『仮面魔獣の儀式』を発動!」
「仮面魔獣…」
「手札からレベルの合計が8以上になるようにモンスターを生け贄にして、『仮面魔獣 マスクド・ヘルレイザー』を儀式召喚する!」
手札の★4の『リボーン・ゾンビ』と★5の『地獄詩人 ヘルポエマー』をこちらに見せて墓地に送る
「現れろ、『マスクド・ヘルレイザー』!」
仮面魔獣 マスクド・ヘルレイザー:
★8 ATK3200
呪術の杖を携えた、形容しがたい魔獣が現れる
…新たな『地獄(ヘル)』モンスター…、しかも手札を3枚使ったとはいえ攻撃力3200…
「『地獄戦士 ヘルソルジャー』召喚!」
地獄戦士:
★4 ATK1200
「さらに魔法カード『火炎地獄』を発動!相手に1000ポイントのダメージを与える代わりに、自分はその半分のダメージを受ける!」
フィールドが燃え上がる
「「ぐああぁ!」」
青人:LP4000→3000
万丈目:LP4000→3500
「バトル!行け、『地獄戦士』!《ヘル・アタック》!」
裏守備モンスター『メタモルポット』に《ヘル・アタック》が炸裂する
「『メタモルポット』リバース効果発動!互いの手札を全て捨て、デッキから新たに5枚ドローする!」
「だが、これで貴様の壁モンスターはなくなった!威勢だけはよかったようだが、これで終わりだ!『マスクド・ヘルレイザー』でダイレクトアタック!」
『マスクド・ヘルレイザー』が杖をかまえて、こちらに襲いかかる
「速攻魔法『クリボー』を呼ぶ笛を発動!その効果で、デッキから『クリボー』を手札に加える!そして、『マスクド・ヘルレイザー』のダメージを受ける際に捨てることで、その数値を0にする!」
無数の『クリボー』が機雷化によって、こちらへのダメージを防いでくれる
「ち、命拾いしたか…。俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」
万丈目:LP3500
フィールド:
【モンスター】
仮面魔獣 マスクド・ヘルレイザー:
★8 ATK3200
地獄戦士:
★4 ATK1200
【魔法・罠】
伏せカード2枚
手札:3枚
「僕の、ターン!」
「おい、まだやる気か」
「まだって、それこそまだ3ターン目…、デュエルはまだ始まったばかりだよ!」
とはいえ、さっきは万丈目君を逃すまいと焦ってカードを出したから、結構ヤバかったんだけどね…
…伏せカード2枚か…、だが今を外したら詰められなくなる!
「手札の『サンダー・ドラゴン』を墓地に送ることで同名カードを2枚手札に加える!」
フィールが足らない…
よし、ここで加速する!
ギュルン、ギュルン!とエンジンをふかしながら、私はディスプレイ横のボタンに触れる
「フォーメーション・チェンジ」
「いくよ、万丈目君!」
ハイスピードで唖然としている万丈目君の横を通り抜けて、変形したホイールで地面を蹴り、フィールを高める
…もっと速く、疾れー!
「さらに魔法カード『融合』!天空に木霊せし咆哮よ、赤き雷撃となりて轟け!融合召喚!出でよ、『双頭の雷龍 サンダー・ドラゴン』!」
双頭の雷龍:
★7 ATK2800
「まだまだ!墓地の悪魔族3体をゲームから除外!」
『クリボー』、『幻影の壁』、『深淵の暗殺者』を除外する
「漆黒に眠りし魂、今悪夢とともに解き放て!いでよ、死の世界の支配者『ダーク・ネクロフィア』!」
ダーク・ネクロフィア:
★8 ATK2200
「さらに、『ブレイドナイト』召喚!」
ブレイドナイト:
★4 ATK1600
銀の鎧に身を包んだ騎士が現れる
よし!
…展開を終えた私は、再び元の場所にホイールを停車させる
「バトル!『ブレイドナイト』で『地獄戦士』を攻撃!《ブレイドアタック》!」
「く、だが、『地獄戦士』がバトルした時に俺に戦闘ダメージが発生した場合、相手に同じダメージを与える!」
青人:LP3000→2600
万丈目:LP3500→3100
「次に速攻魔法『月の書』!モンスター1体を裏守備表示に変更する!対象は、『マスクド・ヘルレイザー』!」
「な、バカな…」
「そして、この瞬間手札が1枚以下になったことで『ブレイドナイト』の攻撃力は400上がる!」
ブレイドナイト:
ATK1600→2000
「『マスクド・ヘルレイザー』の守備力は1800。行け、『ダーク・ネクロフィア』!《ダーク・アイズ・ディシジョン》!」
「だが、ただではやられん!魔法カード『ヘル・ブラスト』!自分のモンスターが破壊された時、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力の半分を相手ライフに与える!くらえ!」
対象は『ダーク・ネクロフィア』か!
「ぐっ!」
青人:LP2600→1500
何だか前は速攻のアイコンがなかったような…
く…
「だが、『双頭の雷龍』の攻撃が残っている!行け、万丈目君にダイレクトアタック!《ライトニング・チャージ》!」
「うあああ!」
万丈目:LP3100→300
「カードを2枚伏せる!僕はこれで、ターンエンド!」
青人:LP1500
フィールド:
【モンスター】
双頭の雷龍:
★8 ATK2800
ブレイドナイト:
★4 ATK2000
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:0枚
本当なら、ここで『ダーク・ネクロフィア』の効果で相手モンスター1体を奪えるのだが、相手フィールドにモンスターはいない…
…万丈目君は、どう攻めるだろうか…
「俺のターン!まだ、勝負は着いていない!俺を誰だと思っている!俺は、万丈目さんだ!」
本人は気づいていないが、デュエルの開始時と比べて大分熱くなっているようだ
…こんな展開は考えていなかったけど、デュエルを提案してよかったかも…
「『ヘル・ドラゴン』を召喚!」
ヘル・ドラゴン:
★4 ATK2000
「さらに、罠カード『リビングデットの呼び声』を発動!自分の墓地からモンスター1体を復活させる!蘇れ、『マスクド・ヘルレイザー』!」
仮面魔獣 マスクド・ヘルレイザー:
★8 ATK3200
伏せカードは『リビングデット』か…
なるほど、『ダーク・ネクロフィア』の効果をやり過ごすために、発動させなかったのか
何にせよ、これで準備は整ったわけだが…
「まずは『ヘル・ドラゴン』で『ブレイドナイト』を攻撃!」
相討ち狙いか…、ならば…
「罠カード『和睦の使者』!こちらへの戦闘ダメージを0にする!」
よって、ダメージを受けるのは『ヘル・ドラゴン』のみ…
「しぶとい奴め…。カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
万丈目:LP300
フィールド:
【モンスター】
仮面魔獣 マスクド・ヘルレイザー:
★8 ATK3200
【魔法・罠】
リビングデットの呼び声
伏せカード2枚
手札:1枚
「どうだ、これが俺の、万丈目さんの力だ!」
さすがだ…、やっぱり万丈目君は強い
…何だか、十代君に破れた時よりも強くなっている気がする…、彼の底力ってやつなのだろうか?
「僕のターン!僕は魔法カード『強欲な壺』を発動!デッキから2枚ドローする!さらに、魔法発動!…」
その時、世にも恐ろしい女性の声が聞こえてきた
――万丈目君! デュエルに負けたぐらいで雲隠れ なんて、情けないわよ――ッ!――
「「…」」
すごい声…、万丈目君も顔ひきつってるし、…ていうか多分明日香さんの声だった気が…
…潮時かな…
そう考えると、ホイールのディスプレイの脇にあるボタンを押して、ソリット・ビジョンを止める
「む…?」
「時間切れかな…。君がいないことに、みんな気付いたみたいだ…」
手札を見せながら彼に言う
…最後に引いた2枚は『大嵐』と『収縮』…
「勝負はどっちに転んだかはわからない。島を出るなら止めはしないよ…、付き合わせて悪かったね…」
最後に、十代君を苦戦させた君という強敵と闘っておきたかったんだけどね
「フン、手間をかけさせやがって…。いいか、俺は、必ずお前たちを下してやるからな…!」
静かにそう言うと、停泊してあったクルーザーに乗り込み、海の向こうへと消えていった
…万丈目君…
「ふう、行ってしまったのニャ」
感慨にひたっていると、後ろから間延びした声が聞こえてきた
………………
…………
……
…
「それにしても、変わったデュエルディスクを持っているのニャ」
ホイールを引きずりながら、レッド寮の寮長である大徳寺先生と、それから先生のネコのファラオと並んで歩く
「でも、先生がどうして港に?」
「私が、うちの寮の生徒たちが万丈目君を探しているところを見かけたのニャ。だから、私も万丈目君を探していたのニャ。そしたら、君が万丈目君とデュエルしているところが見えたんだニャ。」
ニャーとファラオも鳴く
ちょうど、レッド寮に着いた
「さて、私は森に入った生徒たちを探しに行かなければならないのニャ。 君も、今日は無理をしないで、寮でおとなしくしているといいのニャ。」
そう言うと、ファラオと一緒に森の中に入っていった
…先生、なぜ万丈目君を止めなかったのかとか、Dホイールのことについては聞かなかったな…、それどころかデュエルで疲れたのを見抜いて気遣ってくれた
…何だか眠い…
万丈目君、それから大徳寺先生…、この2人のことに想いを巡らせながら、自室に帰るのだった
10話終わりです。
この学園にとって、主人公がDホイールを所持していることは寮長がネコであることと同じくらい当たり前のことなのです(多分)
さて、今回は主人公の暴走&初の万丈目戦でした。驚くほど積極的。人は変わるのです(多分)。
まじめな話、アニメにして数話後に変わる人もいるのですが…
万丈目君のデッキについては「ヘル」ときて、このモンスターが浮かびました。手札の消費は激しいですが、万丈目君なら使いこなしてくれそうな気がしました。
万丈目君は、このデュエルをどう思ったのか…
それでは、また。