遊戯さんの記憶とのデュエルからまたしばらくたった
あの後光が収まると、ガラスケースが割れてデッキがなくなっているという状況に遭遇した
聞いた話だが、そのデッキを十代君たちが追っていたところ、レッド寮の海岸近くで遊戯さんの幻影が現れて十代君がデュエルしたらしい
その話の内容からやはりと思ったが、学園の危機について聞いたみたいだが、その時が来ればなんとかなるさ、とあっけらかんとしていた
本人としては、遊戯さんのライフをほとんど削れなかったことの方がくやしいらしい
そんなこんなで時はたち、現在アカデミア本校と姉妹校にあたるノース校との代表戦が行われることになっていて、その代表選手の候補として十代君、三沢君、それからなぜか私が上がっていた
聞けば、昨年出場した亮さんが推薦してくれたらしい、…本人は今年は新しい風を入れるべきだとして是非出てくれと言ってくれた
…とても有難い話である。有難いのだが…
「あー、頭いたい…」
ここ一週間ほど寝ないで「詰めデュエル過去問200」に没頭していたところ、高熱を出してしまった
そして、今日が代表戦の選抜日である
…あー、やってしまった…、頭いたい…
「あー、デュエルー…」
「大人しくする!」
「ですわ!」
今、自室でベッドで横になっている
両脇にはジュンコさんとももえさん、窓の前に小原君と大原君、入り口に亮さんと明日香さんという構図である
「というか、十代君と三沢君のデュエル見に行かなくていいの?」
「何いってるのよ?」
「三沢君に、青人君を出すなと言われたでしょう?」
はぁ…、そうだった…、確かに三沢君との付き合いは長くなるし、限界を超えれば暴走することぐらい知れてるか…
…でも、でも、じゃあ…
「じゃあ詰めデュエル…」
「ダメに決まっているでしょう?」
明日香さんに取り上げられる
…くっ…
「詰めデュエルー、詰めデュエルしたくてふるえるー」
「ああ、もう黙りなさい!」
「普段冷静な青人君がここまで暴走するなんて…」
「三沢の言ってたこと、本当だったんだな…」
「う、うん…」
こうなったら…
近くにあったディスクと、カードの束を1つ取って立ち上がる
「くおお、デュエルだあ!」
手札を見ると、ドラゴン族が5枚…
…これ、デッキじゃなくて詰めデュエルで使うカードの束だ…
「ドロー!魔法カード『強欲な壺』で2枚ドロー!手札のドラゴン族5体を素材に『融合』を発動!さらに、墓地に送られたドラゴン族5体を素材に『龍の鏡』を発動!ハハハハ、これぞ空前絶後!史上最大のショーのクライマックスだ!いでよ、2体の、『F・G・D』…!…あ…」
その瞬間、力が抜けて、意識がなくなっていくのを感じた
その後、「薬、効いたわね…」「ああ、そのようだな…」という声がしたとかしないとか…
………………
…………
……
…
目覚めると夕方だった
「お、起きたか」
「随分と遅い目覚めだな」
代表戦の選抜はもうすでに終わったようで、十代君たちレッド寮や三沢君たちが傍らにいた
デュエルは融合を対策した三沢君が優勢だったが、HEROと魔法のコンボで逆転した十代君が勝利したらしい
…でも、やっぱりそのデュエル見たかったな…
あ!と思って枕元のカードをあさる…、あった!
「代表選抜おめでとう、十代君。これ、もしよかったら使って。」
そう言っていくつかのカードをわたした
…その後方で、「あー!」というような声が聞こえた気がした
「お、HEROのカードだ!いいのか?こんなにいいカードもらって」
「うん、今日せっかく亮さんに推薦してもらったのにダメにしてしまったから…。だから、僕の代わりに十代君に勝ってほしいんだ!頼んだよ、十代君。」
「わかったぜ、青人。お前のHERO、絶対活躍させて見せるからさ。」
十代君はにっこりと笑って受け取ってくれた
その後は、しばらく話して解散した
後日、十代君には仲間から多数のカードが押し寄せられたとか…、全部断ったらしいけど…
…原因は私かな、反省しよう…
………………
…………
……
…
「アニキ、気を楽に持って下さいね。」
代表戦当日、私たちは十代君のサポートをしていた
翔君は十代君を励ましている
「アニキは前に万丈目に勝ってるから、楽勝ッスよ」
そうなのだ、十代君の対戦相手は、3か月前に学園を飛び出して行った万丈目君がだった
…思えば、あの時の私とのデュエルは決着はつかなかったんだっけ…
「そうかな」
「弱気は禁物なんだな」
珍しく殊勝な十代君に、隼人さんが元気付ける
…本当、珍しい…何かあったのかな?
「別に弱気な訳じゃないさ。ただ、今の万丈目は尊敬するぜ、たった1人で別の学校の頭取って、ここへ殴り混んできやがったんだからな。なんか、あいつかっこいいぜ!」
「うん、でも十代君だって代表を勝ち取ったんだ…、敗ける気はないでしょ?」
「ああ、当たり前だぜ」
「君のデッキには新しいヒーローが入っている…、しっかり活躍させてよ?」
「もちろん、任せてくれよ」
いよいよ準備が整ったようだ
席に戻ると、テレビカメラも回り始めているのが見えた
なんでも、今回のデュエルは万丈目グループ、つまり万丈目君のお兄さんたちが中継すると言っているらしい
…なんだか無茶苦茶な気もするが…
そんなことを考えていると、クロノス先生が壇上に上がってきた
「そそ、それではこれよーり、デュエルアカデミア本校とノース校、対抗デュエルを始めるノー ネ!まず紹介するのーは…アカデミア本校代表、ドロップアウトボー…じゃなかった遊城 十代!」
いつも質問に行く時とうってかわって、今日のクロノス先生は緊張しているようだ
…先生、しっかり…!…
なんだか心配になる
「ノース校代表は…」
「いらん、俺の名は自分で告げる」
それに反発するも、クロノス先生はマイクのコードが絡まって「ドロップ、アウト…」と言いながら落下していた
…大丈夫かな…?
「お前達…この俺を覚えているか!この学園で俺が消えて清々したと思っているヤツ!俺の退学を自業自得だとほざいたヤツ!知らぬなら言って聞かせるぜ!その耳かっぽじって、よく聞くがいい!地獄の底から不死鳥のごとく復活してきたオレの名は… 一、十、」
「「「「「百、千、」」」」」
「万丈目さんだ!」
「俺は!」
「「「「「サンダー!」」」」」
「万丈目!」
「「「「「サンダー!」」」」」
万丈目君の言葉に、ノース校の応援席は沸き上がる
…すごい…、万丈目君がここまで盛り上げるなんて…
「いくぞ!十代!このデュエル、敗けるわけにはいかないからな。」
「来い!万丈目!」
「万丈目さんだ!」
「「デュエル!」」
万丈目:LP4000
十代:LP4000
「俺の先攻!ドロー!俺は『仮面竜 マスクド・ドラゴン』を守備表示で召喚!」
仮面竜:
★3 DEF1100
顔の部分が仮面に覆われた竜が現れる
そして、その瞬間、ノース校側から歓声が沸き起こる
「ターンエンド!」
万丈目:LP4000
フィールド:
【モンスター】
仮面竜:
★3 ATK1100
【魔法・罠】
伏せカードなし
手札:5枚
「俺のターン、ドロー!俺は『E・HERO バーストレディ』を攻撃表示で召喚!いでよ、『バーストレディ』!」
E・HERO バーストレディ:
★3 ATK1200
「『バーストレディ』、『仮面竜』に攻撃だ!《バースト・ファイヤー》!」
炎属性のヒーローが放った炎が『仮面竜』を直撃する。
「甘い、狙い通りだぜ。『仮面竜』の効果発動!このカードがバトルで墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族を特殊召喚することができる!俺は『アームド・ドラゴン LV3』を特殊召喚!いでよ、『LV3』!」
アームド・ドラゴン LV3:
★3 ATK1200
オレンジ色の小型のドラゴンが現れる
「レベルって…」
「条件を満たすと、どんどんレベルアップしていくモンスター」
「しかし、伝説とも言われてる非常にレアなカード…。奴は1体どこで…?」
翔君の疑問に明日香さんが答える
それに対して、三沢君は万丈目君の強さに疑問を抱く
…伝説か…、万丈目君はここまで来るのにどれほどの苦労をしたのだろう…?
「十代君敗けるな!敗けてはならんぞ!」
そんな思いにひたっていると、鮫島校長の方から激が飛んできた
…そっちはそっちで、何があった??
「あったり前じゃん、こんな面白そうなカードがどうなるか、最後まで見届けなくっちゃ!俺は、カードを伏せてターンを終了する!」
十代:LP4000
フィールド:
【モンスター】
E・HERO バーストレディ:
★3 ATK1200
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:4枚
そんな時でもさすがは十代君、あっけらかんとしている
でも、おそらく次のターンに万丈目君のフィールドに強力モンスターが召喚される
…大丈夫だろうか?
「そして、恐怖の俺のターンがはじまる!ドロー!俺のスタンバイフェイズが訪れたことで、『アームド・ドラゴン』の効果が発動!このカードを墓地に送ることで、『アームド・ドラゴン LV5』を手札かデッキから特殊召喚できる! いでよ、『アームド・ドラゴン LV5』」
アームド・ドラゴン LV5:
★5 ATK2400
オレンジ色から赤色に変わって、少し成長したドラゴンが現れる
「気を付けろ十代、レベルが上がったことで、『アームド・ドラゴン』の特殊能力も飛躍的に上がったはずだ!」
三沢君が警告を飛ばす
…確かに、レベルアップと聞いて、そう考えるのが妥当だ…
「フン、そんな雑魚に効果は使わん!いくぞ!俺は『アームド・ドラゴン』で『バーストレディ』を攻撃!《アームド・バスター》!」
「させるか!罠カード『ヒーローバリア』!モンスター1体の攻撃を無効にする!」
よし、なんとか防いだ…
「ちっ、防いできたか…。だが『アームド・ドラゴン』には特殊効果が備わっている!手札のモンスターを墓地に送り、その攻撃力以下のモンスター1体を破壊する!俺が捨てたのは、攻撃力2200の『ハリケイン・ドラゴン』!《デストロイド・パイル》!」
「く、『バーストレディ』…」
…『アームド・ドラゴン』の能力は破壊効果か…
「リバースカードを1枚セットしてターンエンド!」
万丈目:LP4000
フィールド:
【モンスター】
アームド・ドラゴン LV5:
★5 ATK2400
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:4枚
「すごいわね、万丈目君のモンスター」
「ああ、奴がこの学園を離れている間、これほどまでに力を付けていたというのか…」
「アニキー…」
あの最後のデュエルもすごかったけど、今回はその上をいくデュエル…
彼のデュエルは日々進化しているようだ…
「へぇー、すげえなお前のモンスター」
そんな中、十代君は笑っている
「だけど、俺も負けるわけにはいかないぜ!俺のターン、ドロー!頼んだぜ、『バブルマン』!」
E・HERO バブルマン:
★4 DEF1200
「『バブルマン』は、召喚時にフィールドに他のカードがない時、カードを2枚ドローできる!」
これで手札は6枚、十代君の反撃だ
「魔法カード『HERO's ボンド』を発動!俺の場にヒーローがいる時、手札のヒーローを2体呼ぶことができる!これがヒーローの絆だ!」
そう言うと、十代君はこちらに顔を向ける
「青人、お前のくれたカードだ!活躍、見逃すなよ!」
「うん!」
楽しげな十代君がいる一方で、万丈目君が「青人だと?」と呟いている気がした
「俺は『E・HERO オーシャン』と『E・HERO エアーマン』を特殊召喚するぜ!」
E・HERO オーシャン:
★4 ATK1500
E・HERO エアーマン:
★4 ATK1800
「そして、フィールド魔法『海』を発動!」
「う、海だと?」
「十代が海?」
「十代のデッキには海に適応したカードは入ってないはずだぞ」
万丈目君、明日香さん、三沢君が疑問を表す中、十代君の狙いに気付いた私は呼び掛ける
「行け十代君、今こそヒーローの力を見せてやれ!」
その言葉にニッと笑う十代君
「何を狙っているかは知らんが、貴様のフィールドのモンスターでは俺の『アームド・ドラゴン』は超えられんぞ」
「いいや、これでいい。超えられないなら、超えなくていいんだ。行け、『オーシャン』、『エアーマン』!」
『オーシャン』と『エアーマン』は、『アームド・ドラゴン』を横切る
「何…!」
「『オーシャン』は海のヒーロー、よってフィールドが『海』の時、直接攻撃ができる!そして、『エアーマン』もまた、攻撃力を半分にすることで直接攻撃できる!」
「な、ぐはー!」
万丈目:LP4000→1600
「やった、アニキが先制だ」
…なんだか、自分のカードが活躍するのってうれしいな
「どうだ!」
「く、十代め、姑息な手を…」
「へへ、俺は魔法カード『悪夢の蜃気楼』を発動!さらにカードを1枚セットしてターンエンド!」
十代:LP4000
フィールド:
【モンスター】
E・HERO バブルマン:
★4 DEF1200
E・HERO オーシャン:
★4 ATK1500
E・HERO エアーマン:
★4 ATK1800
【魔法・罠】
悪夢の蜃気楼
海
伏せカード1枚
手札:0枚
13話終わりです。
主人公目線で進むので、一気に対抗戦まで飛びました。
自分の趣味にかまけてチャンスを逃す、そんな主人公です。
けれど、されど主人公であり、しっかり自分のカードは渡します。
さて、十代君は主人公の渡した漫画版の『E・HERO』を使うという展開になりました。
今回はせっかくなので、OCG効果ではなく漫画版を採用しました。『エアーマン』の差が激しい…。
次回は、この展開がどう勝負に影響を与えるのか…
それでは、また。