「何だか大変なことになったな…」
自室で、『ペンタクルス』、『カップ』のカード、それから首にかけている金色に輝く鍵を見ながら考えていた
遊戯さんやシャーディーさんが言ったように、学園にとうとう危機が訪れたようなのだ
事の発端は、今週月曜日の放課後だった
錬金術の講義の後、十代君、万丈目君、明日香さん、亮さん、クロノス先生、大徳寺先生、三沢君、神楽坂君、そして私の9名が校長先生に呼び出された
なんでも、この学園の地下には三幻魔と呼ばれるとてつもないちからを持つカードが七正門に封印されているらしい
そして、それには封印の鍵があるのだが、それを狙う敵「セブンスターズ」と名のる集団が鍵を狙ってきているらしい
その鍵を私たちにデュエルで守ってほしいと言うことだった
なぜ私たちかというと、学園内でデュエルの腕がたつということはもとより、若い人であるならばデュエル・エナジーが高いということが理由らしい
このデュエル・エナジーとはデュエルによって発生する力の源であり、これが高いほどデュエルの外的要因に対抗できる可能性が上がるらしい
最後に校長先生は苦悶の表情を浮かべ、「私の事を恨んでもかまいません。しかし、その覚悟を決めていただけるのなら、よろしくお願いします。」と頭を下げた
鍵は神楽坂君と大徳寺先生を除く7人が受け取った、…神楽坂君の手を押しのけて鍵を取った私に「すまない、だが俺もお前に協力するぜ」と言ってくれた
その日の未明に、とうとう危機的状況が幕を開けた
十代君が第一の刺客「ダークネス」と闘ったらしい
鍵と闇のカードたちに導かれてたどり着いた火山のふもとで、倒れている十代君、それからダークネスの魂から解放された行方不明の明日香さんのお兄さんの雪吹さん、それから鍵を持つ名嘉真たちが駆けつけていた
その状況から、どれだけ悲惨な闘いだったかがわかる
闇のデュエルに対する恐怖や重圧感…、事は私たちが考えるよりも深刻なのかもしれない…
…もうすぐ日付が変わる頃か…
眠りにつく前、窓の外でキィキィという音が聞こえた気がした
………………
…………
……
…
「私のターン、このフィールド魔法の効果により、『古代の機械獣』は生け贄を1体減らして召喚できるノーネ!『古代の機械獣』でシニョール山白にダイレクトアタック!《プレシャス・ファング》!」
「うわああぁ!」
青人:LP1600→0
クロノス先生の部屋で、今デュエルをしていたところだ
「シニョール山白、大丈夫なノーネ?」
「はい、ありがとうございます」
少しやり過ぎたという顔で私に手をさしのべた
「ふーむ、やっぱりこの2枚のカードはいかんせん強すぎるノーネ。生徒相手に使うものではないでスーノ。それにしてーも、やっぱり見たことがないノーネ。本当に君のカードなノーネ?」
「あはは…」
いつもお世話になっているということで、感謝の気持ちにと『古代の機械』カードを送ったのだが怪しまれていた
…やっぱり、好奇心だけで動くものではないな…、あのカード、本当はこの街にないカードだし…
「まぁ、せっかくの生徒からーの贈り物を粗末にするわけにもいかないノーネ。シニョール山白、感謝するノーネ!」
「いえ、よろこんでいただけて光栄です。また、講義の方をお願いします!」
「期待するノーネ!」
ドンと胸を叩きながら言うと、それにしてーも、と続けた
「近頃ーは、物好きもいたものなノーネ。このご時世ーに、吸血鬼なンーテ。」
そう、最近は吸血鬼の女性を見たと言う話が耐えないのだ
その時、鍵が光った気がした…
………………
…………
……
…
「して、闘いの条件ーはいかほどなノーネ?」
あの後、鍵が導くように先生と一緒にイエロー寮と女子寮の中間にある湖の前に向かうと、怪我をした十代君、それから一緒にいるであろう明日香さんと神楽坂君を除く鍵を持つ人たちが集まっていた
そして、湖畔からレッドカーペットが出てくると、その彼方から深紅のドレスを身にまとった吸血鬼であり、そして第二の刺客と名のるカミューラが現れ、クロノス先生とデュエルをすることになったのだ
「「デュエル!」」
カミューラ:LP4000
クロノス:LP4000
「私の先行、ドロー!私は『不死のワーウルフ』を攻撃表示で召喚!」
不死のワーウルフ:
★4 ATK1200
蒼白い狼男が現れる
「カードを1枚伏せてターン終了よ。」
カミューラ:LP4000
フィールド:
【モンスター】
不死のワーウルフ:
★4 ATK1200
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:4枚
攻撃力1200に、伏せカード1枚…、この攻撃力のラインは微妙なところだな…
「私のターン!その伏せカードで欺こうとも、私の目はごまかせないノーネ!永続魔法『古代の機械城 アンティーク・ギア・キャッスル』発動!そして、『古代の機械兵士 アンティーク・ギアソルジャー』を攻撃表示で召喚するノーネ!」
古代の機械兵士:
★4 ATK1300→1600
銃を携えた機械兵士が現れる
「『古代の機械城』は、『古代の機械』の攻撃力を300ポイント上げる永続魔法」
「さらに、発動後に召喚されたモンスターの数だけ『古代の機械』の生け贄を減らす効果もある」
「さすがはクロノスといったところか」
亮さん、三沢君、万丈目君がそれぞれクロノス先生について評価する
「正解でスーノ。ですが、私はさらに、『古代の機械戦車 アンティーク・ギアタンク』を『古代の機械兵士』に装備するノーネ!」
古代の機械兵士:
ATK1600→2200
攻撃力がさらに上がった…、それに『古代の機械戦車』の効果はそれだけではなかったはず…
「その厄介な犬っコロコロを除去する方法はないでスーガ、準備はできたノーネ!」
先生は準備と言ったが、それは多分私とのデュエルの際に厄介なモンスターを山ほど見たことが過剰に影響されている気がする
…守備モンスターが『ニュードリュア』の時は「マンマミーア」と叫び声をあげていたし、攻撃力3000の『モノマネ幻想師』が出た時は、「ゴルゴンゾーラ!チイイィッズ!」という雄叫びをあげていたし、『サイバーポッド』で『巨人』2体を破壊した時は、「ペーペロンチーノ!」という悲鳴とともに吹き飛んだり…
「いくノーネ、『古代の機械兵士』!目標、『不死のワーウルフ』!一斉砲撃なノーネ!」
「うぅ…っ」
カミューラ:LP4000→3000
「よし、クロノスの先制が決まった」
万丈目君はガッツポーズを取るが、当の先生は表情が曇っていた
「そのカードの効果は、なんなノーネ?」
「うっふふ、あら察しがいいわね。『不死のワーウルフ』は、戦闘で破壊された時にデッキから同名カード1体を攻撃力を500アップさせて特殊召喚するわ!」
不死のワーウルフ:
★4 ATK1200→1700
「フン、何を出すかと思えーば、高々攻撃力を500上げて雑魚を並べるだけなんーて、心配して損したノーネ。」
「何ですって…?」
クロノス先生の言葉に、カミューラは青筋を立てはじめた
…おっかい、というか声にドスが…
「シニョール山白のカードの破壊に続く破壊に比べれーば、そんなしょうもない雑魚なんーて、怖くもなんともないと言っているノーネ♪カードを1枚伏せてターンを終了するノーネー♪」
そう言って高笑いをするクロノス先生と私はカミューラに物凄く睨まれる
…ひいぃぃぃぃ!先生!必要以上の挑発はやめてくださいぃ!後が、後が怖いから!
そう震えていると、万丈目君たちに「お前、クロノス相手に一体何をやらかしたんだ?」と聞かれた
「まぁいいわ、この先生を葬ったら、次はあなたの番よ!」
カミューラはこちらを指さしながら言った
…相当根に持たれたな…
クロノス:LP4000
フィールド:
【モンスター】
古代の機械兵士:
★4 ATK2200
【魔法・罠】
古代の機械城
古代の機械戦車
伏せカード1枚
手札:2枚
「私のターン!ドロー!いいわ、少し私の本気をあなたに見せてあげるわ。フィールド魔法『不死の王国ーヘルヴァニア』を発動!」
フィールドが中世ヨーロッパの湖畔の王城に変化する
「なな、これは、禁断のフィールド魔法なノーネ!」
さっきまで高笑いをしていた先生に顔が青ざめはじめた
「あれは、手札のアンデット族を墓地に送ることで、フィールド上の全モンスターを破壊するカード!」
亮さんが驚きながら説明してくれる
…全体破壊とは、余程さっきのことでお怒りらしい…
「『ヘルヴァニア』の効果発動!手札のアンデット族を1体墓地に送り、フィールド上の全モンスターを破壊!」
『古代の機械兵士』と『不死のワーウルフ』が破壊される
「でもシニョーラは甘いノーネ!『古代の機械戦車』が破壊された時、相手に600ポイントのダメージを与えるノーネ!」
「く、こざかしいわね…」
カミューラ:LP3000→2400
「だが、『ヘルヴァニア』を破壊したターンにモンスターは召喚できない。どうするつもりだ…?」
そんな中、万丈目君は疑問の声を上げるが…
「私にはこれがあるわ。」
「それは、魔法カード『生者の書ー禁断の呪術』!」
「相手の墓地のモンスター1体をゲームから除外して、自分の墓地のアンデット族を1体復活させるカード!」
亮さんと三沢君の言葉に、カミューラは口元を緩める
「その通りよボウヤたち。ご褒美に、人形にしてあげたいくらいねぇ。」
「ふざけるな!誰が、貴様なんかの…!」
「その通りなノーネ!私の大事な生徒たちにーは、指一本触れさせないノーネ!さぁ、さっさとデュエルを続けるノーネ!」
カミューラの言葉に、万丈目君を遮ってまで怒りをあらわにするクロノス先生
「つれないのねぇ。いいわ、そこのあなたから人形にしてあげる。魔法カード『生者の書ー禁断の呪術』を発動!あなたの墓地の『古代の機械兵士』を除外して、墓地の『ヴァンパイア・バッツ』を復活させる!」
ヴァンパイア・バッツ:
★2 ATK800→1000
少し大きめのコウモリが現れた
…さっきの『ヘルヴァニア』のコストか…!
「『ヴァンパイア・バッツ』は、自分フィールド上のアンデット族の攻撃力を200アップさせる!」
「まーた、新しい雑魚が現れただけなノーネ。さっさと来るがいいノーネ!」
「ふふ、ならばお望み通りいたぶってあげる。『ヴァンパイア・バッツ』でプレイヤーにダイレクトアタック!《ブラッディ・スパイラル》!」
キィィンという、超音波がクロノス先生を襲う
「ぐぅ、あががが…」
クロノス:LP4000→3000
闇のデュエルの影響が効いたのか、先生は地面に伏している
「どうかしら、誇り高いヴァンパイアの一撃は」
「そ、その程度なノーネ?こんなものへでもないノーネ…!」
高笑いをしながら立ち上がった先生だが、顔に脂汗をかき、心なしかフラフラしているように見える
「先生…」
「生徒諸君、安心するノーネ。所詮闇のデュエルなんーて、まやかしに過ぎないノーネ!」
そう言うと、先生はこちらに向かって笑いかけた
「やせ我慢ね、私はこれでターンエンド。」
カミューラ:LP2400
フィールド:
【モンスター】
ヴァンパイア・バッツ:
★2 ATK1000
【魔法・罠】
不死の王国ーヘルヴァニア
伏せカード1枚
手札:2枚
「私のターン!ドロー!」
ドローしたカードを見て、ムフフと笑った
「こんな暗いところーは、生徒たちの教育上よろしくないノーネ。ということーで、場所を替えるノーネ!フィールド魔法『歯車街 ギア・タウン』を発動!」
フィールドが王城から歯車が回り続ける街に変わる
…このフィールドは…
“まぁ、せっかくの生徒からーの贈り物を粗末にするわけにもいかないノーネ。シニョール山白、感謝するノーネ!”
「これで、『ヘルヴァニア』の効果は使えないノーネ。ミネストローネ。」
「く…」
先生の得意そうな顔にカミューラは悔しそうな表情をあらわにする
「うまい、これなら除去カードを使わなくても、フィールド魔法を除去できる!」
「フィールド魔法はフィールドに1枚しか存在できない。そして、発動する時、それ以前にあるフィールド魔法を無条件に破壊できるというわけだ。」
「へぇ、やるじゃないか、クロノスの奴」
「当然なノーネ!」
…よし、先生の反撃だ
「『歯車街』の効果発動!このカードは『古代の機械』を召喚する際に、生け贄が1体少なくなるノーネ!これによーり、手札のレベル5の『古代の機械工兵 アンティーク・ギアエンジニア』には生け贄が必要なくなるノーネ!さらに、『古代の機械城』の効果を受けて攻撃力300ポイントアップすルーノ!」
古代の機械工兵:
★5 ATK1500→1800
ドリルを構えた機械兵が現れる
「いくノーネ、『古代の機械工兵』で、そのちょこまかとうっとうしいコウモリーを攻撃するノーネ!」
『工兵』の攻撃が迫る
「バカね、ヴァンパイアは不死身の生き物。『ヴァンパイア・バッツ』は、デッキの同名カードを墓地に送ることで、その破壊から免れる!」
「バカは、そっちなノーネ!破壊は免れてーも、ダメージは受けるノーネ!さらに、『古代の機械工兵』が攻撃した時、相手の魔法・罠を1枚破壊できるノーネ!」
カミューラ:LP2400→1600
『工兵』がカミューラの伏せカードを破壊する
「ふふふふ、かかったわね、おバカさん。私の伏せカードは『不死族の棺(バンパイア・ベット)』!」
「なな、しまったノーネ…」
破壊したカードがフィールドに再び現れる
…これは、破壊を条件に発動する罠…
「『不死族の棺』はフィールドで破壊され、墓地に送られた時に発動する罠。自分の墓地からアンデット族1体を特殊召喚する。蘇れ、『不死のワーウルフ』!さらに、『ヴァンパイア・バッツ』によって攻撃力200アップ!」
不死のワーウルフ:
★4 ATK1200→1400
「ぬぅ、次から次へーと、まるでゾンビみたいーに…。私はカードを1枚伏せて、ターンを終了するノーネ!」
クロノス:LP3000
フィールド:
【モンスター】
古代の機械工兵:
★5 ATK1800
【魔法・罠】
古代の機械城
歯車街
伏せカード2枚
手札:0枚
「私のターン!誇り高きヴァンパイアをそこら辺のゾンビと一緒にしないでもらいたいわね…。」
クロノス先生のゾンビ発言に少し不快な顔をするカミューラ
…そこら辺って…
「魔法カード『天使の施し』!」
「ヴァンパイアが天使のカードを使うのか…」
万丈目君が複雑そうな顔で見ている
…まぁ、いい得て妙ではあるけど…
「続いて魔法カード『強欲な壺』!」
ドローのラッシュが続く…
「ふふ、これで整ったわ、クロノス先生。手札から『死者蘇生』を発動!墓地からモンスター1体を復活させる!蘇れ、『ヴァンパイア・ロード』!」
ヴァンパイア・ロード:
★5 ATK2000
紳士のような顔を持つヴァンパイアが現れる
…これを捨てるためのドローだったのか…
「これで終わりなんて思わないでね。『ヴァンパイア・ロード』をゲームから除外して、『ヴァンパイア・ジェネシス』を特殊召喚する!」
ヴァンパイア・ジェネシス:
★8 ATK3000→3200
紫色のヴァンパイアを通り越した怪物が現れた
「攻撃力3200…」
「しかも、カミューラのフィールドには、他にモンスターが2体いる…」
「このターンの攻撃がすべて通れば…」
三沢君、万丈目君、亮さんが心配そうな面持ちで見ている
「今ならチェンジを認めてあげてもいいわよ。…そうね、そっちの子かしら、その生意気な子でもいいわ。」
亮さん、次に私を指さしながら言った
…生意気って、絶対なんか勘違いしてる!
「何度も言わせないノーネ、生徒に触れることーは、私が許さないノーネ!」
「まぁいいわ、このターンであなたを葬り去ってあげる。覚悟はよくって?『ヴァンパイア・ジェネシス』で、『古代の機械工兵』を攻撃!《ヘルビシャス・ブラッド》!」
「ぐ、いったぁ!」
クロノス:LP3000→1600
「でもこの瞬間、私の罠カードが発動するノーネ!永続罠『未完の時空機械筐 タイムボックス』!このカードは自分のモンスターが戦闘で破壊された時、相手モンスター1体を除外し、カードを1枚ドローするノーネ!『ヴァンパイア・ジェネシス』には消えてもらうノーネ!」
『ヴァンパイア・ジェネシス』が『時空機械筐』に吸い込まれていく
「まだよ、『不死のワーウルフ』でダイレクトアタック!《ハウリング・スラッシュ》!」
「ぐうぅ、この犬っコロコローめが」
クロノス:1600→200
「これでとどめよ!」
「シニョーラはどこを見ているノーネ?」
古代の機械兵士:
★4 ATK1300→1600
いつの間にか、クロノス先生のフィールドに『古代の機械兵士』が現れていた
「バカな、いつの間に…?」
「私はこのカード『ダメージ・コンデンサー』を発動していたノーネ!自分が戦闘でダメージを受けた時、手札を1枚捨てて、その数値以下のモンスターをデッキから特殊召喚するノーネ!」
思い通りにいかなかったカミューラ相手に、クロノスは脂汗を浮かべながらも挑発的に笑う
…すごい、さすがはクロノス先生だ
「かわいくないの…、バトルは中止よ。でも、手札は0枚、残りライフは200で何ができるのかしら?」
今度は挑発的に笑うカミューラが言った
「クロノス先生は強いぜ」
その時背後で、十代君の声がした
振り向くと、隼人さんに支えられた十代君と、そのお見舞いにいた人たちが来ていた
「ドロップアウトボーイ…」
そんな十代君の言葉に目を丸くするクロノス先生…
…そりゃそうか、いつも目の仇にしていた生徒にそう評価されると、そんな気持ちになるよね…
「戦った俺が言うんだ!間違いない!クロ ノス先生見せてくれよ、先生のターンを!」
かまわず十代君は続ける
そんな十代君をよそに、クロノス先生はフンと鼻をならす
「そういうことなノーネ。私の教え子ーが、特別講義を見たがっているノーネ。だからご託は後にして、早くターンを進めてくれるとありがたいノーネ!」
「ふふ、早とちりはよくないわね。まぁ念は入れさせてもらうわ。場のモンスター2体を生け贄にして『闇よりいでし絶望』を守備表示で召喚!」
闇よりいでし絶望:
★8 DEF3000
巨大な影のような怪物が現れる
…守備力3000ということは『巨人』を警戒しているのか?
「魔法カード『貪欲な壺』を発動!墓地のモンスター5体、『不死のワーウルフ』3体と『ヴァンパイア・バッツ』2体をデッキに戻して2枚ドロー!」
…ここまで計算しての『施し』と生け贄召喚か…
「私はカードを1枚伏せてターン終了するわ。次のターンを楽しみにしておくことね。」
カミューラ:LP1600
フィールド:
【モンスター】
闇よりいでし絶望:
★8 DEF3000
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:1枚
「永らくお待たせしたノーネ。1度しか言わないかーら、よく聞くノーネ!」
コホンと咳払いをすると、私たちに向かって言葉を口にする
「このクロノス・デ・メディチが第一に宣言すること、それーは断じて闇のデュエルの存在なーど、認めるわけにはいかないことでスーノ!何故ならデュエルとーは本来、青少年に希望と光を与えるものであーり、恐怖と闇をもたらすものではないノーネ!」
「だよな……クロノス先生」
「それで、闇のデュエルは存在しないと……」
「存在してはならないと言っていたのか」
十代君をはじめ、みんなが口々に述べる
…そうだね、だから先生は必死で何でもないフリをして…
「私のターン、ドロー!『強欲な壺』で2枚ドロー!…さらに、『歯車街』の効果により、『古代の機械』の生け贄が1体少なくなるノーネ!『古代の機械兵士』を生け贄にして『古代の機械巨人 アンティーク・ギアゴーレム』を召喚するノーネ!」
古代の機械巨人:
★8 ATK3000→3300
…来た、クロノス先生の切り札…
「バトルなノーネ!」
「バトルフェイズ開始時に罠カード『砂塵の大竜巻』を発動するわ!これで、あなたの『古代の機械城』を破壊!」
古代の機械巨人:
ATK3300→3000
「く、数値が同じでーは、破壊できないノーネ…。リバースカードをセット!さぁ、シニョーラのターンなノーネ!」
クロノス:LP200
フィールド:
【モンスター】
古代の機械巨人:
★8 ATK3000
【魔法・罠】
歯車街
伏せカード1枚
手札:0枚
「とんだ茶番だったわね。私のターン、ドロー!」
嘲笑うように言うと、ドローしたカードではなく手札のカードをディスクにセットする
「でも、これで終わりよ。魔法カード『幻魔の扉』を発動!」
禍々しい扉が、カミューラの後ろに現れる
…『幻魔の扉』…?
「幻魔の扉…?」
「聞いたことないカードだ」
「俺もだ」
みんな知らないカードのようだ…
「まず、相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する。」
「なな、何と言う効果なノーネ!」
「それだけじゃないわ、その後墓地のモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。」
…何と言う効果だ…、こんなカードが相手では…
「もちろんリスクもある。このデュエルに敗けたら、私の魂は幻魔のものとなる。でも私、謹み深いから生け贄の役はその子たちに譲ってあげるわ。」
カミューラのチョーカーが光出す
…あれは、まさか…
「なな、なんということーを!」
「難しいことじゃないわ、その子たちを助けたければ、あなたが敗ければいいのよ。」
怒りをあらわにするクロノス先生とは対照的に涼しげな顔で言うカミューラ
「く、ここまでなノーネ…」
何か覚悟したように目を閉じて見開く
「諸君、よく見ておくノーネ…そして、約束するノーネ」
私たちを見据えて、先生は毅然として続ける
「例え闇のゲームに負けたとしてーも、闇は光を凌駕できない、そう信じて決して心を折らぬと私と約束してくだサーイ」
「「「「クロノス教諭(先生)…」」」」
…く、先生…
!…闇、光…、は!もしかすると…
“闇のカードを持つ時、現実世界の闇のゲームにおいて、そなたを守る力となるだろう。”
急いでディスクを起動して、あるカードをセットする…
「む…、何なのこの感覚は…」
カミューラが何かを感じとり、焦っているようだ
「残念だけど、僕たちに闇の力は通用しません。」
「な、何ですって!?」
『カップ』から発せられた光がカミューラのチョーカーに直撃し、効力を吸収する
「己、何てことを!」
「青人、お前…」
「何をやったんだ?」
カミューラの怒りの声の後、亮さんと十代君が尋ねてきた
「彼女の闇の力を封じさせてもらった…」
物凄い剣幕で怒っているカミューラを見ないようにしながら、クロノス先生の方を向いた
「先生、僕たちは大丈夫ですから、講義の続きをお願いします。」
「フ、何だかわからないけーど、教師が生徒に助けられてしまったノーネ…。…シニョーラ・カミューラ、一度発動したカードは無効にしないと効力を失わないノーネ!ルール通り、シニョーラの魂を使うノーネ!」
焦りもなく、クロノス先生はそう言い放つ
「く、けれど勝てば問題ない。いいわ、誇り高きヴァンパイアの魂を幻魔に預け、発動!」
クロノス先生の『古代の機械巨人』がカミューラのフィールドに移った
…闇の力は抑えたが、この効果はやはり強力だ…
「『古代の機械巨人』は攻撃宣言時にカードの効果の発動を無効にするんだったわね。どの道、これで終わりよ!」
…その通りだ、『機械巨人』はうまく扱えば相手を壊滅させられる強力効果…、だが先生もそのことは当然知っているはず…!
「ふふん、ならば攻撃される前に発動させればいいノーネ!罠カード『威嚇する咆哮』発動!残念ながらこのターン、シニョーラに攻撃は許されないノーネ!」
カードが発する咆哮に、モンスターは攻撃の意思を放棄する
「仕方ないわね、私はこれでターンエンド。でも、モンスターも手札もない状況でどこまで持つかしら?」
「デュエルは諦めたーら、そこで終わりなノーネ。」
カミューラ:LP1600
フィールド:
【モンスター】
闇よりいでし絶望:
★8 DEF3000
古代の機械巨人:
★8 ATK3000
【魔法・罠】
なし
手札:1枚
「諸君、特にシニョール十代、特別講義を再開するノーネ!私のターン、ドロー!」
引いたカードを思いっきり、振り上げる
「ドローとは、未来への無限の可能性なノーネ!だから、私はこのカードに掛けるノーネ!魔法カード『流転の宝札』を発動!デッキからカードを2枚ドローし、ターンの終わりに手札を1枚捨てるか、私は3000ポイントのダメージを受けるノーネ!」
そう言うと、右手をかまえる
「なるほど、これがクロノス教諭にとって最後のターンになるわけか…」
「先生は、このターンのドローに掛けたんだ…」
「先生はどんなカードを引くんだろうな…」
想いはそれぞれにクロノス先生を見守る
「いくノーネ!ドロー!」
恐る恐るといった具合に、カードを見る
「このデュエル、私の勝ちなノーネ!」
「ご託は、状況を見てからにするのね…。私のフィールドには強力モンスターが2体、対するあなたのフィールドには何もないのよ!」
カミューラが勝ち誇って言っている
「ならば、これを見るノーネ!魔法カード『サイクロン』!フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊するノーネ!私は、『歯車街』を破壊なノーネ!」
『サイクロン』が直撃し、『歯車街』が沈んでいく
「自分のフィールド魔法を破壊するなんて、完璧にプレイングミスね。」
「シニョーラは見た目通り、ロマンチスト過ぎるノーネ!」
「え?」
「『歯車街』にはもうひとつの効果があるノーネ!それは、このカードが破壊された時、『古代の機械』1体を特殊召喚することなノーネ!」
これについて、みんなは「何と言う効果だ」「さすが、クロノス先生」と声をあげていた
「現れるノーネ!『古代の機械巨竜 アンティーク・ギアガジェルドラゴン』!」
古代の機械巨竜:
★8 ATK3000
機械仕掛けの竜が現れる
「攻撃力3000…、『古代の機械巨人』と並んだ…」
「フン、『古代の機械巨人』と相討ちになったところで、まだ私のフィールドにはモンスターが控えているわ!」
依然余裕そうなカミューラ
「シニョーラ・カミューラ、やっぱりあなたは勉強不足でスーノ!手札から速攻魔法『リミッター解除』を発動!これによーり、機械族モンスターの攻撃力は2倍になるノーネ!」
古代の機械巨竜:
ATK3000→6000
「な、そんなバカな!」
「今回の闘い、生徒の協力がなければ私が敗けていたかもしれないノーネ!感謝するノーネ!」
焦るカミューラを尻目に、クロノス先生はこちらに向き直って頭を下げた
「さて覚悟はいいノーネ?あなたにーは、『古代の機械巨人』を操ることは難しかったノーネ。バトル!ゆけ、『古代の機械巨竜』!目標『古代の機械巨人』なノーネ!」
『古代の機械巨竜』は、目標に向けて一直線に飛来する
「そんな!一族の復興があああ!」
カミューラ:LP1600→0
…クロノス先生の勝ちだ!
そう思った直後、カミューラの背後に現れた『幻魔の扉』と、2枚の闇のカードの発光を最後に、光に包まれて意識が途切れた
17話終わりです。
セブンスターズ偏に突入、そして第二の刺客まで進みました。
デュエルはクロノス先生VSカミューラ。そして、主人公の介入があったとはいえ、かっこよく生徒たちにデュエルとは何たるかを示すことができたかなと思います。
実技担当の彼が弱いはずありません。
さて主人公ですが、ついに闇のカードをみんなが見ている前で使ってしまいました。
こうなると、秘密にしていたことが色々明らかになるのですが…
それでは、また。