デュエルモンスターズ 赤の記憶を求めて   作:トパートパール

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まずはじめに、お気に入り登録してくださった方々、どうもありがとうございます。
この場を借りて、お礼申し上げます。できる限り、更新の方を頑張りたいと思います。
※と言いながら、今回はオリカ祭りです…


PIECE-18 漆黒の記憶 一族の悲劇

「やはり試練か!」

 

 

明転した場所を見て一言

…『幻魔の扉』に闇のカードの共鳴…、三度目にもなれば大体わかってくるものだ…

普段は恐怖するものだが、クロノス先生のデュエルを見て気持ちが昂っている

1回目の試練と同じような暗いフィールド、目の前には『幻魔の扉』と傍らには先ほどデュエルを行っていた闇のデュエリスト・カミューラが倒れていた

 

 

「いいよ、いつでもかかってきなよ!」

 

 

そう言いながらデュエルディスクを展開すると、後ろから闇が突き破って私のDホイールが現れた

…今回は相手が良心的でない分、こっちの方がいいと言うことか…

そう結論付けると、ディスクをホイールに取り付け、ホイールにまたがる

 

 

「デュエルモード・オン」

 

 

…このデュエルはスタンディング扱いか…

 

 

幻魔の扉:LP4000

青人:LP4000

 

 

幻魔の扉:LP4000

フィールド:

【モンスター】

Vサーヴァント:

★4 ATK1800

Vサーヴァント:

★4 ATK1800

【魔法・罠】

幻魔境

伏せカード2枚

手札:0枚

 

 

デュエルは奴の先攻らしい、メイドのような無表情なモンスターを2体とフィールド魔法を出してターンを渡してきた

…やはりというか、喋らんか…

例によってディスプレイを確認する

…この方が、情報的に楽ではあるが…

 

 

Vサーヴァント

闇 アンデット族

★4 ATK1000 DEF1000

①:このカードの召喚に成功した時、自分の手札からレベル4以下のアンデット族モンスターを1体特殊召喚できる。

②:自分のフィールド上に存在するアンデット族モンスターの攻撃力は400アップする。

③:このカードがフィールド上に存在する場合、自分のフィールド上に存在する他のアンデット族モンスターは攻撃対象にならない。

 

 

幻魔境

フィールド魔法

①:1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊することができる。

②:①の効果で破壊し墓地に送ったモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 

…『幻魔の扉』が相手ならこれぐらいはすると思っていたが、そろいもそろって酷いカードだ…

 

 

「僕のターンだ!」

 

 

相手のフィールドに『Vサーヴァント』が2体…、奴らには自分以外を攻撃から守る効果がある…攻撃では倒せない…

…手はあるが、使えるのは次のターン以降か…

 

 

「『封魂石 スカーレット』を召喚!」

 

 

封魂石 スカーレット:

★4 ATK1200

 

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

青人:LP4000

フィールド:

【モンスター】

封魂石 スカーレット:

★4 ATK1200

【魔法・罠】

伏せカード2枚

手札:3枚

 

 

ターンを終了すると同時に『スカーレット』が破壊される

ディスプレイを確認すると、やはりというか『幻魔境』の効果だった

…覚悟はしていたが、毎ターン除去が飛んでくると辛いものがある…

でも…

 

 

「この瞬間『スカーレット』の効果発動!フィールドを離れた時、自分の魔法・罠ゾーンにセットされる!そして、墓地に送られなかったため、『幻魔境』の効果は発動しない!」

 

 

そう、あくまでも「破壊し墓地に送る」ことが②の効果の発動条件…、つまり墓地に送られない『封魂石』には通用しないのだ

すると、次はメイドモンスター2体がナイフを飛ばそうとしてくるのに気付いた

 

 

「それも想定済みだ!永続罠『撹疾転換灯(ランターン)』!発動時、相手モンスターすべての表示形式を変更する!」

 

 

ところが、攻撃を止める気配はない

とっさに頭を下げて、攻撃を避ける

投げられたナイフは頭上を通りすぎ、地面にカツンと当たって跳ね返った

…あ、危ない!あんなもの当たったら、ライフの前に本物のライフがなくなる!

…だが、なぜ攻撃が止まらなかった…?

顔を上げてディスプレイを確認すると、相手の場に罠カードが発動していた

 

 

「『高貴なる血統』…」

 

 

高貴なる血統

通常罠

①:このカードを発動したターンの終了時まで、アンデット族「V」モンスターはカードの効果を受けない。

 

 

…なるほどな…

 

 

Vサーヴァント:

ATK1800→1000

Vサーヴァント:

ATK1800→1000

 

 

青人:LP4000→2000

 

 

…しかし、3ターン目にして結構削られたな…

『高貴なる血統』で『Vサーヴァント』の効果がなくなったといえど、中々…

そう考えていた時、フィールドの周りに中世西洋の貴族の生活と思われる画像がスライドのように流れた

皆、スーツをピシッと着こなしていて、優雅でありながら威厳が感じられるものだった

…これは、一体…?

 

 

Vサーヴァント:

ATK1000→1800

Vサーヴァント:

ATK1000→1800

 

 

幻魔の扉:LP4000

フィールド:

【モンスター】

Vサーヴァント:

★4 ATK1800

Vサーヴァント:

★4 ATK1800

【魔法・罠】

幻魔境

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

…何だったのだ?さっきのは…

まぁいい、このターンであれが使える!

 

 

「僕のターン!魔法カード『反転時計石(インバース・クロック)』!このカードは自分の場の『封魂石』を対象に発動し、その『封魂石』がモンスターなら相手の魔法・罠カードを、魔法・罠カードなら相手のモンスターカードを、永続罠の数だけ破壊する!」

 

 

我ながら扱いにくいカードではあるが、相手の破壊行為を想定していれば文字通り運命を反転させる強力カードだ

 

 

「『スカーレット』は永続罠扱い、よって相手のモンスターを『スカーレット』と『撹疾転換灯』の2枚分破壊する!」

 

 

メイド姿のモンスターが破壊される

…酷ではあるが、これで道は開けた

 

 

「『反転時計石』は発動後、永続罠1枚を墓地に送らなければならない。『撹疾転換灯』を墓地へ…。そして、来い、『封魂石 カーマイン』!」

 

 

封魂石 カーマイン:

★4 ATK1100

 

 

「『カーマイン』は自分の場の罠1枚につき攻撃力を300ポイントアップする!さらに、永続罠『赤色石碑(タブレット)』を発動!自分の場の『封魂石』の攻撃力を800ポイントアップする!」

 

 

これで永続罠は2枚、さらに『赤色石碑』の効果を得て攻撃力は…

 

 

カーマイン:

ATK1100→2500

 

 

「ゆけ、『カーマイン』!プレイヤーにダイレクトアタック!《イグニート・ストリングス》!」

 

 

『カーマイン』の放った炎が、扉に直撃する

 

 

幻魔の扉:LP4000→1500

 

 

…よし!大ダメージだ!

だが、多分次のターンにはまた『幻魔境』の効果が来る、油断はできない…

 

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド。」

 

 

青人:LP2000

フィールド:

【モンスター】

封魂石 カーマイン:

★4 ATK2500

【魔法・罠】

封魂石 スカーレット

赤色石碑

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

自分のターンを終了したことで、『幻魔境』の効果が来るかと身がまえていたが、どうやら様子が違う

またも、周りにスライドが流れてきたのだ

 

そこには優雅な生活から一変して、捕らえられていく貴族たちが映っていた

そして、スライドが終わったと同時に執事らしき人が立ち尽くしているイラストの罠罠カードと、その罠カードに描かれている人物が相手のフィールドにいた

 

 

悲嘆の従者

通常罠

①:自分フィールド上に存在するアンデット族「V」モンスターが相手によって破壊されたターンの終了時に発動できる。自分のデッキからアンデット族「V」モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

②:①の効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、発動したターンに破壊されたカード×500アップする。

 

 

Vバトラー

闇 アンデット族

★4 ATK1700 DEF600

①:このカードがフィールド上に存在する場合、自分のフィールド上に存在する他のアンデット族モンスターは攻撃対象にならない。

②:このカードが破壊される場合、自分のデッキ・手札から「Vバトラー」1枚を墓地に送ることで、その破壊を無効にする。

 

 

Vバトラー:

ATK1700→2700

 

 

…あの映像は、このデュエルと何か関係が…?

そう考えていると、いつの間にか『カーマイン』はいなくなり、執事がこちらに杖をかまえて襲いかかる…、まるで主を奪われた復讐のように…

 

 

「罠発動!『凍結石補給(コールド・コール)』!相手の攻撃を無効にして、デッキから『封魂石』1枚を魔法・罠ゾーンにセット!」

 

 

…ふぅ、伏せてなかったら危なかった…

 

 

幻魔の扉:LP1500

フィールド:

【モンスター】

Vバトラー:

★4 ATK2700

【魔法・罠】

幻魔境

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

相手がターンを渡してきたところで一息つく

…それにしても、さっきからカードを使われる度に流れてくる映像は一体なんだ?やけにはっきりとしている…

まるで、誰かの記憶のようだ…、!…記憶…?まさか…

ならば、多分…

 

 

「僕のターン!魔法カード『記憶石復活(メモライズ)』を発動!魔法・罠ゾーンの『封魂石』をモンスターとして復活させる!さらに、『スカーレット』は自分以外の封魂石を復活させる!《フィル・ミラージュ》!」

 

 

封魂石 カーマイン:

★4 ATK1100

封魂石 バーミル:

★4 ATK1300

 

 

「続いて魔法カード『変色連灯魔棒(エクスチェンバー)』発動!デッキから永続罠1枚を裏側でセットし、このカードを罠扱いでセットする!」

 

 

…これで罠は『スカーレット』、『赤色石碑』、『変色連灯魔棒』の3枚…

 

 

「そして、『封魂石』は『カーマイン』と『赤色石碑』の効果でパワーアップ!」

 

 

封魂石 カーマイン:

ATK1100→2800

封魂石 バーミル:

ATK1300→3000

 

 

もうひとつ、ダメ押しだ

 

 

「『バーミル』の効果発動!『封魂石』の数まで相手モンスターを選択し、効果を無効にして攻撃力を半分にする!《ダスカレーション》!」

 

 

Vバトラー:

ATK2700→1350

 

 

「バトル!ゆけ、『カーマイン』!『Vバトラー』を攻撃!《イグニート・ストリングス》!」

 

 

炎の剣閃が『Vバトラー』を直撃する

が、同時に相手の伏せていた罠カードが発動した

 

 

血濡れの復讐劇

通常罠

①:自分フィールド上に存在するアンデット族モンスターが破壊された時に発動できる。このターンに受けたダメージを全て0にし、相手のバトルフェイズを終了する。

②:①の効果を発動した次の自分のスタンバイフェイズにデッキ・手札から『Vジェネシス』1体を特殊召喚する。

 

 

破壊された執事は、次は必ず復讐してやるというような憎悪の目をこちらに向けて、消えた

それと同時に、捕らえられた人々が兵士の手にかかり、住んでいたであろう城は荒廃し、そして最後に1人佇む女性が映し出されていた

…これが扉が奪った彼女の魂の記憶…

なんとも痛ましい惨劇だ、映像であったならば目を逸らしていたかもしれない…

正に同情を禁じ得ないところであると言えるだろう

でも、仮にこのデュエルにその女性の意思があったとしても、敗けるつもりは毛頭ない

 

 

「バトルフェイズは終了する。そして、僕はレベル4の『バーミル』と『カーマイン』でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!運命に抗う怒濤の記憶、今目覚め、その威厳を示せ!いでよ、『開魂石 ボルドクス』!」

 

 

開魂石 ボルドクス:

☆4 ATK2200→3000 ORU2

 

 

黒装束に身を包んだ術師が、やや紺に近い杖を携えて現れる

 

…『開魂』は『封魂』として扱われる…

 

 

「僕はこれで、ターンを終了。」

 

 

青人:LP2000

フィールド:

【モンスター】

開魂石 ボルドクス:

☆4 ATK3000 ORU2

【魔法・罠】

封魂石 スカーレット

赤色石碑

変色連灯魔棒

伏せカード1枚

 

手札:1枚

 

 

そして、奴のターンを迎えたことで例のごとくフィールド魔法がこちらのモンスターを破壊にかかる

 

 

「この瞬間『ボルドクス』の効果発動!ターンの終了時まで、このカードの攻撃力を500下げることでそのターンのあらゆる破壊を無効にする!《ディーニュ・フードル》!」

 

 

ボルドクス:

ATK3000→2500

 

 

『ボルドクス』が杖を地面に刺すと、雷による盾ができる

だが、次の瞬間相手のフィールドに黒い怪物が現れる

 

 

Vジェネシス

闇 アンデット族

★8 ATK3000 DEF2100

①:1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動する。自分または相手の墓地に存在するアンデット族モンスターを1体選択して自分のフィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは、攻撃力が500アップする。

 

 

すると、相手のフィールドに先ほどの執事が復活した

 

 

Vジェネシス:

★8 ATK3000

Vバトラー:

★4 ATK1700→2200

 

 

…だが、攻撃力ならこちらもまだある…

そう考えていると『赤色石碑』が破壊された

 

 

「『サイクロン』か…」

 

 

ボルドクス:

ATK2500→1700

 

 

2体が『ボルドクス』に向けて迫る

 

 

「くぅ!」

 

 

青人:LP2000→200

 

 

幻魔の扉:LP1500

フィールド:

【モンスター】

Vジェネシス:

★8 ATK3000

Vバトラー:

★4 ATK2200

【魔法・罠】

幻魔境

手札:0枚

 

 

…九死に一生というやつだな…、『ボルドクス』の攻撃力が下がった時は、もうダメかと思った…

ターンの終了時を迎えたことで、『ボルドクス』の攻撃力が戻るが、その代償としてオーバーレイ・ユニットが1つなくなる

 

 

ボルドクス:

ATK1700→2200 ORU2→1

 

 

僕のターン!」

 

 

…よし、予定通り『ボルドクス』は無事だ

これで、奴を葬れる

 

 

「『ボルドクス』の効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使うことで、最も高いモンスター1体を破壊し、他の相手モンスターの攻撃力を破壊しモンスターの攻撃力の半分の数値だけダウンさせる!《デトリュイール・トネール》!」

 

 

『ボルドクス』が杖をもう一度地面に刺すと、『Vジェネシス』を破壊し、そこを起点に電流が広がる

…『Vジェネシス』の攻撃力は3000、その半分の1500が攻撃力からマイナスされることになる

 

 

Vバトラー:

ATK2200→700

 

 

…この効果を使ったターンに『ボルドクス』が与えるダメージは半分になるが…

 

 

「永続罠『幻影同化(ファントマイズ)』発動!『封魂石』が与えるダメージは2倍になる!」

 

 

すべての準備は整った!

 

 

「今、その苦しみを解き放ってやる!バトル!ゆけ、『ボルドクス』!『Vバトラー』を攻撃!駆けろ、《エクレール・ヴィオ》!」

 

 

暗い紫色の雷が、疲れはてた執事を貫く

…疲れたろう?ゆっくり、休んでくれ…

なぜだか、そう思ってしまった

 

 

幻魔の扉:LP1500→0

 

 

ライフが0になった瞬間、幻魔の扉は崩れていく

そして、辺りの闇は晴れ、建物の中であろう広い場所に出る

試練は終わったのかと思って『ペンタクルス』のカードを見てみると、イラストの破片が少し大きくなっていた

それと同時に、頭に何かが流れ込んでくる…

…ぐぅっ!…これは…

しばらくすると流れがおさまる…

 

 

「…と、とにかく…、ここは…」

「私の城よ」

 

 

頭をしっかりさせて顔をあげると、先ほどのデュエル中に見たよりも大人の顔立ちになったカミューラが立っていた

 

 

「なるほど、『幻魔の扉』が倒されたから、魂が解放されたか…」

「そうね、あなたのお陰よ。でも、人間に助けられるなんて、気に入らないわね…」

 

 

少し不快感を現しながら静かに言った

 

 

「やはり、あれはあなたの記憶だったか…」

「記憶って、ちょっと!何を見たのよ!」

 

 

相当見られたくなかったものらしく、すごい剣幕で怒鳴られた

少し呼吸を整える

 

 

「多分、あなたが覚えているヴァンパイア社会の繁栄から衰退まで…。『幻魔の扉』があなたの魂を取り込んだ影響か、一部分を見ることができました。」

 

 

それを聞いたカミューラは、フンと嘲るような笑いをする

 

 

「それで?私に同情でもしたのかしら?」

「…どうかはわかりませんが、少なくとも人間に対して敵意を向ける理由はわかりました。」

 

 

…正直、あれが同情なのかわからない…いや、同情なのだろう。だが、親しい人が人間に、しかも見たところ目に映る人全てによって、そのような仕打ちを受けたとしたら、自分でも見境なく恨むだろうと思う

 

 

「…不愉快ね、その目。それじゃあ、同情して死んでくれるのかしら?それとも、人間を裏切って手伝ってくださるの?…まぁ、その後あなたの魂も頂くことになるけどね」

 

 

一息ついて目を見開く

 

 

「それは違う!確かに、それについては人間の側に問題があったでしょうが、今私たちに牙を剥くのならば、そうはさせません!」

「なっ…」

「あなた方から全てを奪った人間の行為は、どんな事情があれ許されることではありません!でも、その人たちはもういないのです…。」

 

 

目をしっかりと見て続ける

 

 

「…今生きる人間は、あの頃のとは違う、我々は無関係だ、良い人間もいる、復讐などという下らないことはやめて前を向いて歩け、などという無責任なことは言いません。我々だって、時代が違えばそうしていた可能性は否定できません。人間は臆病な生き物ですから。」

 

 

カミューラが何か言おうとしているが、でも!、と遮る

 

 

「今僕はあなたに、あなた方に対してはなにもしていない。もしあなたが復讐するというなら、恨んでもかまいません、全力であなたを叩き潰します!仲間には指一本触れさせません!」

 

 

…頭がグワングワンする…、もう少し…

 

 

「ただ、少し言わせてもらうとするなら、僕にも上を向いて歩けない辛さを、みんなが居れる場所にいれない寂しさを少なくとも知っています!」

 

 

先ほど『ペンタクルス』のカードを通して見たものは、周りに怯え、自信を喪失し、常に人の様子をうかがうようにして視線を低くしていた姿だった

 

…ひと時の記憶だったが、追い詰められる焦燥感や休みのない言いようのない疲労感を感じさせるには十分だった…

…私は今のように、前を向いて、平常心で歩けていただろうか…?

 

ふう、…だから、この人に

 

 

「誇り高いヴァンパイア一族かそうでないか、おそらくあなたの行動次第ではないでしょうか?人に利用されるなんて悲しいこと、どうかしないでほしい…です。」

 

 

…はぁ…はぁ…、酸欠が…限界かも…、最後の方、話合ってたかわからないし…、でもこれが私の気持ちだ

そんな私を見据えて、カミューラは口を開く

 

 

「気に入らない…、やっぱりあなた、生意気ね…」

 

 

それから一息つくと、目を閉じて続けて話す

 

 

「家族を、あの子を目の前で殺された…、人間はやっぱり憎い。急に考え方を変えるなんてこと、私にはできないわ。…死んでいった仲間に、顔向けできないもの…。」

 

 

悲しそうな顔をすると、軽く息をつく

 

 

「いいわ、あなたの言ったこと、少し考えてあげる」

 

 

それから、少し呆れたような顔をされた

 

 

「はぁ…、何フラフラしてるのよ…、だらしないわねぇ…」

 

 

そう言うと、近付いてきて手を貸してくれた

 

 

「それにしても、あなた…」

「ん?」

「よく見ると、可愛いわね。人形にしちゃおうかしら」

 

 

そう言うカミューラの口がヤバイことになっていた

…ひいいいぃ!怖い怖い、やめてええぇ!

 

 

「冗談に決まってるでしょう?全く、情けない…」

 

 

再び呆れたような顔をして言う

…至近距離であの顔を見たて、ビビらない人は多分いないと思う…

そんなことを考えていると、首につけていたチョーカーを外して渡してきた

 

 

「はい。淑女が差し出しているのだから、さっさと受け取る。ほら、しっかり両手を添えて。」

 

 

呆気にとられていると、カミューラが私の手を掴んで握らせた

 

 

「それは、私の雇い主からよ。ヴァンパイア一族の復活を持ちかけられたけど、結局は使い捨てだったみたいだけどね。あなたの言う通り、利用されていたのよ、その人間に。」

 

 

…やはり、そうだったのか…

 

 

「それに、あなたには不思議な力があるみたいだから、心配ないでしょう?」

 

 

…そう言えば、勢いで『カップ』のカードを使ったんだっけ…

みんなに何て説明しようかな…

 

 

「私は、ここであなたの言ったことをもう一度考えてみるわ。安心なさい、あなたたちには手を出さないから。」

「そうか、それは助かるよ」

「ところで…」

 

 

クンクンと、匂いを嗅ぎながら私に聞く

 

 

「あなた、ニンニク好きなの?」

 

 

あ、そう言えば…

 

 

「これのことですか?」

「あなた、変わっているわね」

「あ、昼間にお礼にってことでもらった物なんですけどね」

 

 

クロノス先生が、吸血鬼の噂について馬鹿馬鹿しいと言いながら、「シニョールも1つもって歩くといいノーネ」と渡されたのだ

 

 

「もしかして人間の間では、まだニンニクや十字架は苦手と思われているのかしら?」

 

 

呆れ顔で心外だわと呟く

…まぁ、伝承で伝わっちゃってるしね…

実際のところ、寿命やコウモリと邂逅する能力はあれど、血を吸ったり、ましてや人間を襲うということもないのである

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくたって、城を後にした

…疲れた、セブンスターズ、試練…、終わった後はドッと来るな…

試練と言えば、前の時といい、今回といい現実世界とリンク、もっと言えば闇のゲームに関わりがあるところで起こっている…

もしかすると、記憶の他に何かあるのかも知れない…

いつか、明らかになるのだろうか?

そんなことを考えながら、寮に向かった

その私の後ろ姿を見ながら、カミューラは「あの子が生きていたら、こんなだったのかしら」と呟いていた

その顔は、闇のデュエリストとしての顔ではなく、弟を持つ姉のような優しげな顔をしていた




18話終わりです。
カミューラとの和解、それから試練の謎について少し触れました。
アニメでは終始非道に描かれていましたが、復讐が絡まなければ心やさしい女性であったように思えます(確か、同族の死に涙を流していたシーンがあったと思います)。

ちなみに、本作のヴァンパイアの扱いですが怪物ではなく、特殊な力や寿命を持った人間の亜種で、人間側が怪物だと思い込んでいたという設定です。元々のモデルがそんな感じであったと聞き及んでいるのですが、そう考えると人の心理というものを表しているのかもしれませんね。

今回のオリカですが、自己強化後の『ヴァンパイア・バッツ』と『不死のワーウルフ』を元にしました。そして、フィールド魔法になった『幻魔の扉』…悪夢です。


それでは、また。
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