そっと見守ってあげてください
昼下がり、レッド寮に着くとたくさんの人で賑わっていた
どうやら、宣伝効果はあったようだ。…というのも、この日のために色々準備をしていたのだ。具体的には、コスプレデュエルのポスターの制作、巨大な看板の作製、それから中等部時代から在籍していて顔の広い小原君や取巻君、明日香さんたちに呼び掛けを依頼した
ちなみに、ポスターや看板に描かれているのは繊細な技術を導入したかのようなデュエルモンスターズきっての人気者『ブラック・マジシャン』と『ブラック・マジシャン・ガール』。これらは隼人さんの力作らしいのだが、形・バランス・色使いとどれをとってもプロレベルであった
…なるほど、デザイナー志望の大原君が尊敬するだけのことはある
「青人君、こっちッス」
こちらに気付いた翔君が、手を振っている
「ささ、みんな中で着替え終わってるッス。それから、預かっていた例の物もちゃんと運んでおいたッスよ」
お礼を言って、中に通してもらう
中はカーテンで仕切った個室タイプの更衣室になっていた
「あったあった」
そして、翔君の言っていた例の物の蓋を開ける
「いつ見ても、すごい本格的…」
思わず、呟く
…さすがはヴァンパイアの貴婦人、裁縫はお手のものらしい
そう、あの晩カミューラに相談したのはコスプレデュエルの衣装のことだ。裁縫も苦手分野の1つなので、話してみたところ複雑そうな顔をしながらも引き受けてくれた(曰く、「仕立ては得意だけど、モンスターの格好をして楽しいなんて、人間てわからないわ。…それから、私は絶対に出ないからね。見世物なんて、もっての外よ!」)
…と言いつつ、あのドレスは『ヴァンパイア・レディ』に似てなくもないと思う…
そんなことを考えながら、黒をベースにした服とバイザーを取り出す(ちなみに、『威圧する魔眼』で見つめられたように寒気がしたため、急遽考え事をやめることにした)
………………
…………
……
…
「それじゃあ、コスプレデュエルのトーナメント抽選をはじめるッス」
私が着替え終わったところで、トーナメント形式で行われるコスプレデュエルのクジによる抽選がはじまった
レッド寮名物と謳うだけあり、みんな一段と力が入っている
『ハーピィ・レディ三姉妹』の明日香さん・ジュンコさん・ももえさん、『白い泥棒 ホワイト・シーフ』の雪吹さん、『XYZ―ドラゴン・キャノン』の万丈目君、(なぜか)『アマゾネスペット虎 タイガー』の三沢君、『闇魔界の騎士 ダークソード』の取巻君、『絶対防御将軍』の慕谷君、『闇霊使いダルク』の小原君、『ビッグ・シールド・ガードナー』の大原君といった具合だ
…みんな中々似合っている(十代君は、迷ったあげく気付いたら『魔導戦士 ブレイカー』『鉄の騎士 ギア・フリード』『エルフの剣士』といったパーツを滅茶苦茶に合わせたものになったようだ)
…似合ってると言えば、『ブラック・マジシャン・ガール』のコスプレをしてた女の子、やたら似合ってたような気がする
「それにしても青人、意外と派手なものにしたんだな…」
「確かに、悪魔族モンスターをよく使ってるけど…」
「『冥府の使者 ゴーズ』って…」
そう、カミューラに仕立ててもらったのは『冥府の使者 ゴーズ』…、ピンチの時に駆けつけてくれるかっこいい奴だ
ちなみに、この衣装に合わせてデッキ内容も闇属性と悪魔族モンスターを多くなるように改良してある
…黒と赤の服にバイザーは中々イカしていると思う…、肩を出すのはちょっと恥ずかしいけど…
………………
…………
……
…
「さて、みなさん準備の方はいいですか?では、張り切っていきましょう!デュエル開始ッス!」
蝶ネクタイをしてマイクを持った翔君が開始宣言をする。…どうやら、自分自身のコスプレを忘れてしまったので、今日は司会に専念するらしい
その隣には、再現度200%の『XYZ―ドラゴン・キャノン』のコスプレをした万丈目君が実況を努めていた(本人曰く、「こんな格好で、デュエルができるか」)
次々とデュエルが開始されていく
明日香さんはダンサータイプのサイバー・ガールとともに『ハーピィ・レディ』のように舞うように勝ち進む
一方、明日香さんのお兄さんの雪吹さんは『白い泥棒 ホワイト・シーフ』の派手なスーツにマント、シルクハットを生かしたパフォーマンスに力を入れていた(そして、当然のように見惚れた女子生徒たちのハートをい抜いていた)
…というか、雪吹さんって、ああいう性格だったんだ…
取巻君は『闇魔界の騎士 ダークソード』らしくドラゴン族を従えて、相棒の慕谷君は『絶対防御将軍』らしく迫り来る攻撃を跳ね返しながら相手を蹴散らしていた
…さすがはブルー生だ
もちろん、イエロー生も負けてはいない
小柄で『闇霊使いダルク』が意外と似合っている小原君は獣族を従えて表示形式を弄ぶように、反対に大柄の大原君は『ビッグ・シールド・ガードナー』の如く高火力で抑え込むような姿が絵になっていた
そして、私も『ゴーズ』になりきって普段はやらないようなクールな演出を心がけながら勝ち進んできた。最初は色々恥ずかしかったけど、慣れれば楽しいものだ
そして現在、段々と生き残っている数が少なくなった準決勝、私の目の前にはこの間の相棒である十代君が立っている。…ちなみに、彼は前述のコスプレ状況から、デュエルディスクが付けられないことを理由に結局いつもの服装で参加していた。彼の服装を見て、改めて自分がどういう格好をしているかを思い知らされ、少し気恥ずかしくなってくる…
「俺の相手は青人か…。楽しいデュエルをしようぜ」
「私は『冥府の使者 ゴーズ』だ。遊城十代、今日はいつかのデュエルの借りを返させてもらおう」
…口調についてはご理解いただこう。今日は『冥府の使者 ゴーズ』なのだ
ちなみに、いつかの借りとは、データ収集の時に負け越したことを指している
「いくぞ」
「来い」
「「デュエル!」」
青人:LP4000
十代:LP4000
「先攻は私だ。手札から手札を1枚捨て、魔法カード『コストダウン』を発動!この効果により、手札のモンスターレベルは2下がる!よって、私はこのカードを通常召喚!いでよ、闇の執政者『暗黒魔族 ギルファー・デーモン』!」
暗黒魔族 ギルファー・デーモン:
★6 DEF2500
紅蓮色の翼を持つ悪魔が現れる
「先攻は攻撃宣言を行えない。私はこれでターン終了だ」
青人 :LP4000
フィールド:
【モンスター】
暗黒魔族 ギルファー・デーモン:
★6 DEF2500
【魔法・罠】
なし
手札:3枚
…出だしはこんなところだろう。…一応、突破されようとも手はある。…ただ、今手札には魔法も罠もないことが、気になるところではあるが…
「へぇ、倒しがいのあるモンスターじゃねえか。やっぱ、こうでなくっちゃな」
…実にいつも通りの十代君だ…
「俺のターンだ!魔族カード『融合』発動!手札の『スパークマン』と『クレイマン』を融合し、『E・HERO サンダー・ジャイアント』を融合召喚!」
E・HERO サンダー・ジャイアント:
★6 ATK2400
雷を操る巨大なヒーローが現れる
「『サンダー・ジャイアント』の効果発動!召喚した時、元々の攻撃力がこのカードより下のモンスターを破壊する!食らえ、光の一撃《ヴェイパー・スパーク》!」
『サンダー・ジャイアント』の放った雷が天命のごとく、『ギルファー・デーモン』を焼き尽くす
「どうだ、正義の鉄槌が悪を倒したぜ!」
コスプレはしてなくとも、ノリは合わせてくれるようだ
こっちも、ノリは負けていない
「フフフフ、かかったな!暗黒の呪いを思い知れ!」
「なんだこれは!?」
『ギルファー・デーモン』のいたところから黒い煙が出て『サンダー・ジャイアント』を襲う
…中々凝った演出だと思う
E・HERO サンダー・ジャイアント:
ATK2400→1900
「『サンダー・ジャイアント』の攻撃力が下がった…?」
「『ギルファー・デーモン』は暗黒の術を操る魔界貴族。その特殊能力は、破壊された時に相手に装備され、攻撃力を500下げるのだ!」
少し大袈裟な演出を決めて内心満悦だが、これで私のフィールドはがら空きになってしまった
「攻撃力は下がっちまったが攻撃はまだ終わってないぜ!行け、『サンダー・ジャイアント』!悪魔の親玉を攻撃だ!《ボルティック・サンダー》!」
「ぐぅ!」
青人:LP4000→2100
…今ので半分近く削られたか…、だがこれで条件は満たした
「よっしゃ、先制攻撃が通ったぜ!」
「それはどうかな?」
「何!?」
ちょうど自分の胸辺りから紫色の煙が渦巻いている
「見えないのか?私の体から溢れる冥府への扉が…」
「冥府の扉だと?」
「そうだ。そして、この私のピンチに冥道より使者は現れる!いでよ、我が分身『冥府の使者 ゴーズ』!」
冥府の使者 ゴーズ:
★7 ATK2700
私と同じ格好をした本家本元の冥府の使者が現れる
「俺のターンにモンスターを特殊召喚?」
「その通り。我が分身は、自分フィールドにカードが1枚もない時に命が削られた時、冥府より派遣され手札から特殊召喚される!さらに、この効果で特殊召喚された時、『冥府の使者 カイエントークン』も遣わされ、その攻撃力を削られたライフと同じにする!いでよ、我が相棒『カイエン』!」
冥府の使者 カイエントークン:
★7 ATK?→1900
『ゴーズ』とは対となる白をベースにした服を身に付けた、真面目そうな女性職員が現れる
「そう簡単にはいかねぇか…、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
十代 :LP4000
フィールド:
【モンスター】
E・HERO サンダー・ジャイアント:
★6 ATK2400
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:2枚
「行くぞ、私のターン!我が尖兵『デーモン・ソルジャー』を召喚!」
デーモン・ソルジャー:
★4 ATK1900
「げっ、レベル4で攻撃力1900かよ…」
十代君の驚愕の声が聞こえる中、マントを翻しながら、その闇の尖兵は現れる
…通常ならばこれで勝敗が決するが、問題はあの伏せカードだ…。とはいえ、2枚の手札にはモンスター以外はない…
「バトルだ!我が分身よ、今度は闇に楯突くヒーローを葬れ!審判の一撃を受けろ!」
「ぐ、『サンダー・ジャイアント』…」
十代:LP4000→3700
『ゴーズ』はさっきのお返しとばかりに、2連斬りを果たす
…お返しと言っても、攻撃を受けたのは『ゴーズ』の格好をした私なんだけど…
「とどめだ、遊城十代!我が総攻撃を受けろ!」
「まだだ!ヒーローだってタダじゃやられないぜ!罠カード『ヒーロースピリッツ』!ヒーローがバトルで破壊されたターンの戦闘ダメージを1度だけ0にする!…ぐっ!」
十代:LP3700→1800
…防ぐ手だてを考えていたか…、でも『サンダー・ジャイアント』は葬れた。十代君のデッキは融合召喚や下級ヒーローを用いたコンビネーションを主体とするものだ。しかし、複数のカードを消費するがゆえに1度突破されると建て直しが難しいはず…。さあ、次はどう来る…?
「しぶとく生き延びたか…。ターンエンドだ」
青人 :LP2100
フィールド:
【モンスター】
冥府の使者 ゴーズ:
★7 ATK2700
冥府の使者 カイエントークン:
★7 ATK1900
デーモン・ソルジャー:
★4 ATK1900
【魔法・罠】
なし
手札:2枚
「俺のターン、ドロー!俺は『E・HERO バブルマン』を召喚!」
E・HERO バブルマン:
★4 ATK800
湧き出す泡を背景に、重装備を施したヒーローが現れる
…この展開は…
「『バブルマン』の効果発動!召喚した時、場に他のカードがなければ2枚ドローする!さらに、魔法カード『突然変異 メタモルフォーゼ』を発動!『バブルマン』を対象に、そのモンスターと同じレベルの融合モンスターに変化させる!来い、『バブルマン・ネオ』!」
E・HERO バブルマン・ネオ:
★4 ATK800
「ほぅ、『バブルマン』をパワーアップしてきたか…」
…あれは『ヒーロー・キッズ』との融合体…、来るか?
「驚くのは早いぜ!装備魔法『バブル・ショット』を『バブルマン・ネオ』に装備!その効果で、攻撃力を800ポイントアップ!」
E・HERO バブルマン・ネオ:
ATK800→1600
『バブルマン・ネオ』に水のエネルギーが蓄えられた大きな武器が装備される
「『バブルマン・ネオ』で『冥府の使者 ゴーズ』を攻撃!そして、『バブルマン・ネオ』は戦闘したモンスターを破壊する!食らえ、《バブル・ショット》!」
「く…、我が分身が…」
激しい水流が我が分身…もとい『ゴーズ』に炸裂する
「そして、『バブル・ショット』は装備モンスターが破壊される場合、その身代わりとなりダメージは0になる。これで終わりじゃないぜ、魔法カード『融合回収 フュージョン・リカバリー』発動!墓地から『融合』と融合に使用した『クレイマン』を手札に戻し、『融合』!『クレイマン』と『バブルマン』扱いの『バブルマン・ネオ』を融合し、『E・HERO マッドボールマン』を融合召喚!」
E・HERO マッドボールマン:
★6 DEF3000
『クレイマン』を1回り大きくしたような巨大なヒーローが行く手を塞ぐ
「俺は、これでターンエンドだぜ」
十代 :LP1800
フィールド:
【モンスター】
E・HERO マッドボールマン:
★6 DEF3000
【魔法・罠】
なし
手札:1枚
…『ゴーズ』を排除しつつ、強力な壁まで用意してきたか…。しかし、こちらの手札にはこれを突破できるカードはない…
「私自身を退けるとは中々やるな。私のターン!魔法カード『闇の誘惑』!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスターを1体除外する」
…おぉ、魔法と罠が1枚ずつ…。仕込みもそろそろ大詰めを迎えそうだ
「鉄壁の守りを固めたようだが、この魔法カードによって突破が可能となる。魔法カード『ユニオン・アタック』!自分のモンスターを結集させ、敵モンスター1体とのバトルを可能にする!」
…『カイエン』と『デーモン・ソルジャー』の攻撃力の合計は3800…
「バトル!行け、『カイエン』、『デーモン・ソルジャー』!『マッドボールマン』を攻撃!《シャドウ・ブライト・コンビネーション》!」
「く…すまねぇ、『マッドボールマン』…」
『カイエン』の光の剣と、『デーモン・ソルジャー』の闇の刃で『マッドボールマン』を退ける
「1枚カードを伏せて、ターン終了」
青人 :LP2100
フィールド:
【モンスター】
冥府の使者 カイエントークン:
★7 ATK1900
デーモン・ソルジャー:
★4 ATK1900
【魔法・罠】
伏せカード1枚
手札:1枚
「俺のターン!魔法カード『戦士の生還』発動!墓地から戦士族の『バブルマン』を手札に戻し召喚!」
E・HERO バブルマン:
★4 ATK800
「『バブルマン』の効果により、2枚ドロー!魔法カード『天使の施し』を発動!」
…『バブルマン』を戻したところから予想していたが、いつもながらにすごいドローだ…
「魔法カード『融合』発動!『バブルマン』と『フェザーマン』を融合!神秘の烈風に正義の力を宿せ!来い、『E・HERO
Great TORNADO』!」
E・HERO Great TORNADO:
★8 ATK2800
漆黒のマントをはためかしながら、烈風のヒーローが姿を現す
「こいつは、俺の仲間からもらった魂のカードだ!こいつで、今お前の闇を振り払ってやるぜ!」
…なんか設定が混ぜこぜになってきてるような気がするんだけど…、じゃあこの『ゴーズ』の格好をした人は一体誰だという設定なんだ…?…ともかくあれが召喚されたということは…
「『Great TORNADO』の特殊効果発動!このカードが融合召喚された時、相手のモンスター全ての攻撃力を半分にする!《ダウン・バースト》!」
冥府の使者 カイエントークン:
ATK1900→950
デーモン・ソルジャー:
ATK1900→950
「まだまだ、魔法カード『オーバーソウル』!その効果により墓地からヒーローを1体特殊召喚するぜ!蘇れ、『スパークマン』!」
E・HERO スパークマン:
★4 ATK1600
「バトルだ!『スパークマン』で『カイエントークン』を攻撃!《スパーク・フラッシュ》!」
「くっ!」
青人:LP2100→1450
…見とれている場合ではなかった!次で決まってしまう!
「とどめだ、闇を打ち砕け!『Great TORNADO』で『デーモン・ソルジャー』を攻撃!《スーパーセル》!」
「ぐっ!そうはさせん!手札から『クリボー』を墓地に送り、1度だけダメージを0にする!」
…危ない危ない…、あれを食らっていたら負けるところだった…
「あっちゃー、やっぱうまくはいかないもんだな。ターンエンドだ」
十代 :LP1800
フィールド:
【モンスター】
E・HERO Great TORNADO:
★8 ATK2800
E・HERO スパークマン:
★4 ATK1600
【魔法・罠】
なし
手札:0枚
…なんとか耐えたが、攻撃力2800にどう対処するか…
「私のターン!『強欲な壺』を発動し、2枚ドロー!」
…来たか、メインエースの1体…。彼女も戦いたいと思っているのかな?
だが、これで取るべき方法は決まった
「罠発動!『闇次元の解放』!除外されている闇属性モンスターを1体選択して特殊召喚する!現れろ、『魔族召喚師 デビルズ・サモナー』!」
魔族召喚師:
★6 ATK2400
マントに錫杖を携えた悪魔のような姿の魔法使いが空間の歪みから出でる
…前のターンに『闇の誘惑』で仕込んでおいたカードだ
「『魔族召喚師』?そんな、カードをいつの間に…!?」
「我ら冥府の住人には造作もないことだ」
…少なくとも、普段の私のような人間界の住人には造作もあることだ …。自分で言っててそう思う…
「そして、『魔族召喚師』を再召喚!これにより、新たに手札・墓地から悪魔族を呼ぶことが可能となる!蘇れ、我が分身よ!」
冥府の使者 ゴーズ:
★7 ATK2700
…もっとも、『魔族召喚師』がいなくなると、この効果で蘇ったモンスターも破壊されてしまうが、このターンで決める分には問題ないはず
「さらに、墓地の悪魔族を3体除外!漆黒に眠りし魂、今悪夢とともに解き放て!いでよ、死の世界の支配者『ダーク・ネクロフィア』!」
ダーク・ネクロフィア:
★8 ATK2200
…来てくれた以上は、こいつで決める!
これで、主力モンスターはそろった…。
「フィールド魔法『伏魔殿―悪魔の迷宮― デーモンパレス』発動!これにより、我が悪魔族は攻撃力を500上げる恩恵を受ける!」
冥府の使者 ゴーズ:
ATK2700→3200
ダーク・ネクロフィア:
ATK2200→2700
悪魔の庭園の恩恵を受けて、私の新旧エースモンスターはさらに強力になる
「いかがかな?我が宮殿に招待された気分は」
「へ、これ以上なくワクワクしてるぜ」
少し趣向を凝らした質問をしてみると、十代君らしい答えが返ってくる
…あの目はまだ勝負を諦めてはいないらしい…。でも伏せカードはない。一気に決める!
「行くぞ!まずは、我が分身で『Great TORNADO』を攻撃!受けろ、冥府の裁きを!」
「うぅ」
十代:LP1800→1400
「続け!『ダーク・ネクロフィア』で『スパークマン』を攻撃!《ダークアイズ・ディシジョン》!」
「く…」
十代:LP1400→300
「とどめだ!『魔族召喚師』でダイレクトアタック!」
…伏せカードはない。これで決まりだ!
そう思った時、半透明のモンスターに攻撃を弾かれる
「危ねぇ危ねぇ、墓地からこいつの効果を発動させてもらったぜ」
「それは、『ネクロ・ガードナー』!」
…そうか、前のターンの『天使の施し』で手札から捨てていたのか…
「『ネクロ・ガードナー』は、墓地から除外することで、相手の攻撃を1度だけ無効にする!」
…そう来たか…。でも…
「なぜ、最初の攻撃で『ネクロ・ガードナー』の効果を使わなかった?」
…そうすれば、ライフを少しは多く残せていたし、尚且つ私の思惑によるものだとしても『ダーク・ネクロフィア』を除去できていた可能性はある
「お前の『ダーク・ネクロフィア』の効果は知ってるぜ。破壊されたターンの終わりに俺のモンスターを奪うことができる。たとえ、『ネクロ・ガードナー』で『ゴーズ』の攻撃を防いでも、お前のことだ、『ダーク・ネクロフィア』で自ら攻撃して破壊するだろう。確かに、その方が『ダーク・ネクロフィア』を葬れるし、お前のライフは減らせる。…けど、そうなっちまったら、今度は俺のヒーローを倒さなきゃいけなくなっちまうからな」
…ライフよりも、ヒーローを選んだか…。彼らしい選択だ…
「なるほどな。私はこれでターン終了だ」
青人 :LP1450
フィールド:
【モンスター】
冥府の使者 ゴーズ:
★7 ATK3200
ダーク・ネクロフィア:
★8 ATK2700
魔族召喚師:
★6 ATK2400
【魔法・罠】
伏魔殿―悪魔の迷宮―
闇次元の解放
手札:0枚
…今お互いの手札は0枚…。しかし、彼はこんな状況でも何度も逆転してきた…。逆転を恐れる自分と、それが気になる自分がいる。…さあ、勝負だ!
「さぁ、かかってこい」
「言われなくても、そのつもりだぜ。俺のターンだ」
いつもと変わらない様子でドローすると、こちらに笑顔を向けた
「魔法カード『ホープ・オブ・フィフス』発動!墓地から5枚のヒーローをデッキに戻し、3枚ドローする!」
十代君の墓地から『サンダー・ジャイアント』、『マッドボールマン』、『バブルマン』、『クレイマン』、『スパークマン』が次々にデッキに戻っていく
…やはり、十代君の引きはすごい…。これはもう、嫌な予感しかしない…
「『E・HERO ワイルドマン』を召喚!」
E・HERO ワイルドマン:
★4 ATK1500
大剣を携えた、他のヒーローとは少し雰囲気の違うヒーローが現れた
「さらに、魔法カード『ミラクル・フュージョン』を発動!こいつは、フィールド・墓地から素材となる『E・HERO』を除外して新たなヒーローを融合召喚するぜ!俺は、フィールドの『ワイルドマン』と墓地の『エッジマン』を融合!現れろ、『E・HERO ワイルドジャギーマン』!」
E・HERO ワイルドジャギーマン:
★8 ATK2600
半身を黄金の鎧に包んだ、隆々としたヒーローが現れる
…既に『エッジマン』も『天使の施し』で捨てられていたのか…
「さてと、ここはヒーローが戦うには少し暗すぎるぜ。フィールド魔法『スカイスクレーパー』発動!」
発動と同時に『伏魔殿』が砕け散り、きらびやかな『摩天楼』が映し出される
…しまった!新たなフィールド魔法が発動されると、『伏魔殿』は維持できない
冥府の使者 ゴーズ:
ATK3200→2700
ダーク・ネクロフィア:
ATK2700→2200
「私のモンスターの攻撃力が…」
ビルの上を見上げると、その上に立つ『ワイルドジャギーマン』の姿があった。…まさに、ヒーロー対悪役の1シーンである
「『スカイスクレーパー』はヒーローの攻撃力が少ない時、その攻撃力を1000ポイント上げる。どうだ?ヒーローの取って置きの舞台に招待された気分は」
「フフ…、至極最高の気分だよ。さあ、来い!」
「あぁ、行くぜ!『ワイルドジャギーマン』は、相手モンスター全てに1度ずつ攻撃することができる!行け、『ワイルドジャギーマン』!《インフィニティ・エッジ・スライサー》!」
BATTLE:1
E・HERO ワイルドジャギーマン:
ATK2600→3600
冥府の使者 ゴーズ:
ATK2700
DAMAGE→900
BATTLE:2
E・HERO ワイルドジャギーマン:
ATK2600
ダーク・ネクロフィア:
ATK2200
DAMAGE→400
BATTLE:3
E・HERO ワイルドジャギーマン:
ATK2600
魔族召喚師:
ATK2400
DAMAGE→200
青人:LP1450→0
…負けてしまったか…。とは言え、久々にワクワクするようなデュエルをした気がする
そんなことを考えていると、十代君が近づいてくる
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ」
「僕もだよ、十代君」
「なんだ?もう、あの言葉遣いをやめちまうのか」
苦笑する十代君に優勝を託して拳をつき出すと、おぅ任せとけと彼も同じく拳をつき出すのだった
………………
…………
……
…
あの後、コスプレデュエル大会では十代君が優勝を決めてくれた
対戦相手は例の『ブラック・マジシャン・ガール』の格好をした人だった。『ブラック・マジシャン・ガール』は、やはりと言うべきかデュエルモンスターズの中で人気があり、その人気者相手のデュエルでは十代君は完璧にアウェイであったようだ。優勝を逃したのは悔しかったけど、あの避難とブーイングの中でデュエルをする苦行からは逃れられて良かったかなと思ったりもしている
こうして、今年の学祭は幕を閉じた
色々な催し物を楽しんだり、時に人の意外な1面を知ったり、そしてデュエルしたり、思い詰めるような日々ばかりであった私にとっては最高に楽しい日となった
ところが後日、コスプレデュエルことが話題になった
口調については、いつもそっちの方がいいんじゃないか?と言われたり、コスプレについては、意外な趣味として語り継がれ、自己嫌悪のもとに立ち直るまでしばらくかかったのは、また別のお話である
29話終わりです。
学園祭最終話ということで、主人公のコスプレデュエル(+黒歴史回)でした。普段はさわがないような性格の人でも、何かの時にはっちゃけてキャラ崩壊を起こすこともあるということですね(?)。そして、そのことが語り継がれるかたわらで、当人は黒歴史に悶え苦しむということなのです。わりと当人は結構へこんでると思うので、そっとしておいてあげてくださいね(経験談)。
ところで今回よく考えてみると、OCG効果の『ゴーズ』を登場させてしまいました。一応、原作効果から原作内(アニメも含めて)で効果の変更がない場合は、原作効果での登場をさせています。加えて、主人公たち原作に登場しないオリキャラの使うカードについては、試練などの場面でオリカをバンバン使うので、普段のデュエルではほぼOCGの範囲内で抑えるように心がけております。
ところが、すでに本小説の何話かで主人公が『ゴーズ』を使用する描写があり、尚且つ今回のお話が完成した後にそのことに気付きました。オリキャラ以外ならば『ゴーズ』を原作の通常モンスターというように変更すれば良かったのですが、オリキャラということで悩んだ末にOCG効果で出すことにいたしました。
自分自身に課したルールのようなものなので気にならない方は良いのですが、『エアーマン』等との兼ね合いについて気になる方におかれましてはお詫び申し上げます。以後気をつけます。
ということで、次回も宜しくお願いします!
それでは、また