デュエルモンスターズ 赤の記憶を求めて   作:トパートパール

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新章スタートです。
今回試練ではありませんが、オリカが1枚だけ登場します。

それから、本小説で初めて青人以外の視点が登場します
※◆◆◆は登場人物の視点変化(sideチェンジ)


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PIECE-32 新たなる動向


デュエルアカデミアでの1年が終わり数日が過ぎた

 

私は一時的にみんなと別れ、島を出て童実野町に帰ってきていた

理由としては、アカデミアが休みのこの期間に何か記憶の手掛かりを探すため、それから約1年間開けていた本土の仮の住まいを確認するためだ

…確かにこの世界の住人ではない私は学校に通う必要はないのかもしれないが、やはり仲間ができた以上は一緒に形だけでも卒業したい。何より、私は彼らを気に入っている。この世界に留まれるかもわからない自分としては、少しでも彼らと一緒に過ごしたいのだ。

そして、約1年の間、住んでいないにしてもせっかく与えられた我が家なのだから、さすがに気にもなる。

そんなわけで、なつかしい家に帰ってきた。帰ってみると、1人の暮らしには贅沢な家の中はそのままだった。物を動かした後どころか、塵1つない…。その様は、まるでここだけ時が動いていないかのようであった。ただ1つ、机の上にあった黒い封筒を除いて…

 

あやしいとは思ったのだが、家の唯一の変化。見過ごすことはできなかった。なにより、記憶の手掛かりであれば、願ってもないことである

 

中身を確認したところ、今日の日付で「埠頭で待つ」との内容であった。気になった私は、Dホイールを飛ばして指定された場所へと向かった

そして今、その封筒にあった言付け通りに童実野町の埠頭で、1人の男と対峙していた

 

 

「来たか…」

 

 

黒いコートに身を包み、龍の顔のような仮面を付けたその男はそう呟いた

 

 

「お前が、山白青人…と名のる者か…?」

 

 

こちらに顔を向けると、静かな口調で聞いてきた

…何者なんだ、彼は…。それに、この重苦しい雰囲気は一体…

 

 

「あなたは、一体…」

 

「失礼、申し遅れた。俺の名前はヴァイド」

 

 

こちらが控えめに訪ねると、真っ直ぐ見つめて言った。そして、私と同じく右腕に付けたデュエルディスクを構えてこう言った

 

 

「闇と背徳の象徴。そして、貴様を陰に染める者」

 

 

その瞬間、周囲の景色が歪んだ

…こいつ、一体…!?

 

 

「デュエルだ。俺が勝ったら、貴様を利用させてもらう」

 

「な、これは…」

 

 

…町から切り離されたこの空間は、もはや自分の想像の及ぶ場所ではない…。…デュエルに、勝つしかない…

 

いきなりのことで頭が追いつかなかったが、そのことだけはいち早く理解した

 

 

「言っておくが、これは試練ではない。記憶のカードを使うことはできんぞ」

 

 

…なぜ、『封魂石』のことを…。く、ともあれ、このデュエルでは『封魂石』は使えない。だが、魂のデッキという意味では問題ない

腰のデッキケースから、普段使用しているデッキを取りだし、ディスクにセットする

 

 

「いいだろう…。何だかわからないが…、行くぞ!」

 

「かかってくるがいい」

「「デュエル!」」

 

 

ヴァイド:LP4000

 

青人:LP4000

 

 

「俺の先行か。ドロー!俺は『アックス・ドラゴニュート』を攻撃表示で召喚!」

 

 

アックス・ドラゴニュート:

★4 ATK2000

 

 

 

斧を持った黒い竜戦士が現れる

 

 

「1枚カードを出して、ターンエンドだ」

 

 

ヴァイド:LP4000

フィールド:

【モンスター】

アックス・ドラゴニュート:

★4 ATK2000

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:4枚

 

 

…1ターン目から攻撃力の高いモンスター…。これが、奴の戦術なのか…?

 

 

「僕のターン!手札より『サンダー・ドラゴン』を墓地に送り、デッキから同名カードを2枚手札に加える!さらに『融合』を発動!天空に木霊せし咆哮よ、赤き雷撃となりて轟け!融合召喚!いでよ、『双頭の雷龍 サンダー・ドラゴン』!」

 

 

双頭の雷龍:

★7 ATK2800

 

 

おなじみとなった私のエースモンスターが現れる

 

…よくわからないが、危険なデュエルならば速攻で終わらせる!

 

 

「さらに、『カードガード』を通常召喚!」

 

 

カードガード:

★4 ATK1600→1900

GC:0→1

 

 

 

カードの上に陣取る悪魔が、それを守りように現れる

 

 

「『カードガード』は召喚時、自身にガードカウンターを1つ置き、攻撃力を300アップする!バトル!『双頭の雷龍』で『アックス・ドラゴニュート』を攻撃!《ライトニング・チャージ》!」

 

「フ…、なかなか…」

 

 

ヴァイド:LP4000→3200

 

 

「『カードガード』でダイレクトアタック!《トリック・ショット》!」

 

 

 

つづけて、巨大なカードが奴の体を直撃する

 

 

ヴァイド:LP3200→1300

 

 

ダメージを受けても特に微動だにする様子はない。その様子が、私を不安にさせる

 

 

「『カードガード』の効果発動!このカードに乗っているガードカウンターを取り除くことで、味方のカードにガードカウンターを1つ置く!カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

 

カードガード:

ATK1900→1600

GC:1→0

 

双頭の雷龍:

GC:0→1

 

 

青人:LP4000

フィールド:

【モンスター】

双頭の雷龍:

★7 ATK2800 GC:1

カードガード:

★4 ATK1600

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:2枚

 

 

…ガードカウンターが乗っているカードは1度だけ破壊を免れる。その上で、罠カードによりさらに守る手だてを立てる。…相手の動向からして、まだ油断はできない。…だが、このターンをしのげば勝利は近くなるはず…

 

 

「俺のターンだ。なかなか見事な攻撃だったが、そんな単調な技は俺には通用しない。魔法カード『ナイト・ショット』!相手のセットされている魔法・罠カードを1枚破壊する!この時、相手は対象となったカードを発動できない!まずは、そのカードに消えてもらおう!」

 

「くっ…」

 

 

私の伏せカードが閃光に貫かれる

 

…伏せカードは『和睦の使者』…、いくらフリーチェーンと言えど、チェーンできなければ意味がない…

 

 

「伏せカードをはずしたところで、そろそろいかせてもらおうか。魔法カード『死者蘇生』を発動!墓地から『アックス・ドラゴニュート』を復活させる!そして、手札のモンスターの効果を発動!自分の場の攻撃力2000以上の闇属性1体に、このカードの姿を宿す!」

 

 

すると、『アックス・ドラゴニュート』が闇のシルエット上に変化する

 

 

「冥き魂よ、新たなる漆黒を纏いて染まりし闇より昇華せよ!現れろ、N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 ネオ・ヴァイド デプス・アイズ・ウルソール・ドラゴン!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

 

 

シルエットは変化し、漆黒に染まりながらも、体の縁を真っ赤な光が点滅している龍が舞い降りる

…『深淵眼』…?そんなカードは聞いたことがない…。ならば、この世界には存在しないカード…?

 

 

「驚いているようだな。だが、当然の反応だ。このカードはな、俺自身が作り出したカードだ。言うなれば、お前の『封魂石』と同じようなもの」

「『封魂石』…?」

 

 

…そうだとすると、これは奴の一部か何かということなのか?…いや、それよりも…

 

 

 

「なぜお前が『封魂石』のことを…!」

 

「答えが知りたくば、カードに聞くことだ。まずは、このカードの力を存分に味わうがいい。罠カード『タイラント・ウィング』を『深淵眼の小陽魂龍』に装備!これにより、このターンのみ攻撃力が400アッブし、2回の攻撃が可能となる!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

ATK3000→3400

 

 

…く、来るか…

 

 

「バトル!『深淵眼』の攻撃!《焔のブレイズ・ストリーム》!」

 

 

暗い太陽を思わせるような砲撃が迫る

 

 

BATTLE:1

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

ATK3400

双頭の雷龍:

ATK2800

 

DAMAGE→600

 

BATTLE:2

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

ATK3400

カードガード:

ATK1600

DAMAGE→1800

 

 

「ぐぅ!」

 

 

青人:LP4000→1600

 

 

…一瞬にしてライフが半分以下に…!なんという力だ…

 

 

「だが、ガードカウンターを身代わりにすることで、『双頭の雷龍』の破壊は免れる!」

「まぁ、いいだろう。俺はこれでターンエンドだ。この瞬間、『タイラント・ウィング』は破壊され、『深淵眼』の攻撃力は元に戻る」

 

 

深淵眼の小陽魂龍:

ATK3400→3000

 

 

ヴァイド:LP1300

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

【魔法・罠】

なし

手札:2枚

 

 

「僕のターン!」

 

 

…強い…。ここは反撃ができるまで、耐えるしかない

 

 

「カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

 

青人:LP1600

フィールド:

【モンスター】

双頭の雷龍:

★7 ATK2800

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:2枚

 

 

「では、俺のターン。バトルだ!」

「そうはいかない!罠発動!『威嚇する咆哮』!このターン、相手は攻撃宣言できない!」

 

 

カードから激しい咆哮が発せられ、『深淵眼』の動きが止まる

 

 

「これで終わりではないぞ。『深淵眼の小陽魂龍』の効果発動!自分の手札を1枚墓地に送ることで、攻撃を放棄して攻撃力の半分をダメージとして与える!受けよ!《アビス・デス・バースト》!」

「ぐぅああ!」

 

 

青人:LP1600→100

 

 

『深淵眼』の攻撃力3000の半分の1500のダメージが襲いかかる

…ぐぅ…、この衝撃は…

 

 

「カードを1枚セット。さて、『深淵眼』がいる限り、次のターンでお前の敗北が決まり、俺の目的が完了する。俺はこれでターンエンドだ」

 

 

ヴァイド:LP1300

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

…強力な攻撃力にダメージを与える効果…。確かに奴の言う通り、あのカードがいる限り、絶望的状況は変わらない…。どうにか、このターンで倒さなければ!…1枚でいい。奴を倒すカードを!

 

「僕のターン!」

 

 

…シンプルなカードだが、倒すことは可能だ!ありがたい!

 

 

「バトル!行け、『双頭の雷龍』!」

「攻撃力の劣るカードで来るか…」

 

 

そう呟くが、特に動揺を見せてはいない

 

 

「ダメージステップ時、手札から速攻魔法『突進』を発動!『双頭の雷龍』の攻撃力を700アップする!」

 

 

双頭の雷龍:

ATK2800→3500

 

 

「くらえ、《ライトニング・チャージ》!」

 

「ほぅ…」

 

 

ヴァイド:LP1300→800

 

 

…なんとか、『深淵眼』は倒すことができた…

 

そう思いながら、心の中でほっと一息つく

 

 

 

「カードを1枚セットして、ターン終了。この瞬間、『突進』の効果は終了し、『双頭の雷龍』の攻撃力は元に戻る」

 

 

 

双頭の雷龍:

ATK3500→2800

 

 

青人:LP1600

フィールド:

【モンスター】

双頭の雷龍:

★7 ATK2800

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:1枚

 

 

「俺のターン。『深淵眼』を倒したか…」

 

 

…キーカードを破壊されたにも関わらず、驚きもしない…。こいつ、本当に何者なんだ…?

 

 

「お前の目的は何だ?」

「俺には目的がある。そのために、お前を利用させてもらう。残念だが、それ以外の答えは持ち合わせてはいない」

 

 

…だめだ、こいつの正体をつかめない…。やはり、デュエルで勝つしかないということか…

 

 

「デュエルはまだ終わっていない。リバースカードをさらに1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

ヴァイド:LP800

フィールド:

【モンスター】

なし

【魔法・罠】

伏せカード2枚

手札:1枚

 

 

…ならば勝つだけだ!このターンの攻撃さえ通れば…

 

 

「僕のターン!行け、『双頭の雷龍』で直接攻撃!」

 

 

…いけるか…?

 

 

「単調だな。罠発動『聖なるバリア―ミラー・フォース』!攻撃モンスターをすべて破壊する!」

「何だと!?」

 

 

2ターン前に伏せられていた伏せカードが発動し、攻撃を『双頭の雷龍』へと跳ね返す

…く、『深淵眼』の破壊と、前のターンに発動しなかったことで、少し油断していた…!

 

 

 

「カードを1枚伏せて出す。ターン終了」

 

 

青人:LP100

フィールド:

【モンスター】

なし

【魔法・罠】

伏せカード2枚

手札:1枚

 

 

 

「俺のターンだ。罠カード『リビングデッドの呼び声』!墓地よりモンスターを1体特殊召喚する!再び闇より現れろ!『深淵眼の小陽魂龍』!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

 

闇より現れたそのモンスターは、激しく咆哮する

 

…く、もう復活してきたか…

 

 

「そして、手札を1枚捨てて『深淵眼』の効果発動!」

 

 

 

…まだだ!

 

 

「速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動!モンスター1体の攻撃力を400上げる代わりに、効果を無効にする!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

ATK3000→3400

 

「しかし、効果が無効になったことで攻撃は残っているぞ。バトル!行け、『深淵眼の小陽魂龍』!《焔のブレイズ・ストリーム》!」

 

 

再び、奴の砲撃がこちらに牙を剥く

 

 

「頼む、『クリボー』!このターン、1度だけダメージを0にする!」

 

 

無数の『クリボー』が壁を作って、攻撃を遮断してくれる

…何とか敗北は免れたか…

 

 

「いくら『深淵眼』の攻撃を防ごうが無駄だ。カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

ATK3400→3000

 

 

『禁じられた聖杯』の効果が終了し、『深淵眼』の攻撃力が元に戻る

 

 

ヴァイド:LP800

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

【魔法・罠】

リビングデッドの呼び声

伏せカード1枚

手札:0枚

 

 

…私の手札は0、少なくとも次の奴の猛攻を防ぐ手だてはない…。ただ破壊するだけではダメなんだ。奴はきっとまた『深淵眼』を召喚してくる…。そうなると、今度こそ本当に終わりだ…。このドローに全てが掛かっている…。応えてくれ、私のデッキ…

 

 

「僕の、ターン!」

 

 

…お前が力を貸してくれるのか…

 

 

「墓地の光と闇をゲームから除外!光と闇を宿せし魂よ、混沌を打ち破り、新たな世界を切り開け!」

 

 

現れた光と闇の混合が、歪んだ周囲の景色を包み込む

 

 

「いでよ、『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』!」

 

 

カオス・ソルジャー-開闢の使者-:

★8 ATK3000

 

 

今再び、亮さんとのデュエルに決着を付けた希望の戦士が舞い降りる

 

 

「頼むぞ、『カオス・ソルジャー』」

 

 

すると、『カオス・ソルジャー』も静かに頷いたように見えた

 

 

…『カオス・ソルジャー』の1つ目の効果は、モンスターを無条件で除外する効果がある。しかし、奴は『深淵眼』の1度目の効果を使う時に、手札から罠カードを墓地に送っていた。一瞬だが、あれは『スキル・プリズナー』に見えた。『スキル・プリズナー』は、墓地にある時に自身を除外することで、モンスターの効果からカードを1枚守る罠…。迂闊に除外効果を使用しようものならば、次のターンで奴の勝利が確定してしまう。それならば、取る手は1つだ

 

 

「バトル!『カオス・ソルジャー』で『深淵眼』を攻撃!」

「攻撃力は同じ…。ならば相討ち狙いか…」

 

 

そう呟く奴に向けて、もう1枚のフィールドにあるカードを起動する

 

 

「ダメージ計算時に罠発動!『スキル・サクセサー』!発動ターンにモンスター1体の攻撃力を400アップする!」

 

 

カオス・ソルジャー―開闢の使者―:

ATK3000→3400

 

 

「届け!《開闢双破斬》!」

 

「『深淵眼』…」

 

 

ヴァイド:LP800→400

 

 

「この瞬間、罠発動!『時の機械―タイム・マシーン』!戦闘で破壊されたモンスター1体を同じ状態で特殊召喚する!蘇れ、『深淵眼』!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

 

 

カプセルが開かれ、『カオス・ソルジャー』が撃破した『深淵眼』が再び蘇る

 

…でも、そんな手は通用しない!

 

 

「『カオス・ソルジャー』の効果発動!このカードが相手モンスターを破壊した時、続けて攻撃できる!行け、時空突破だ!《開闢双破斬》!」

「っ…!」

 

 

ヴァイド:LP400→0

 

 

…か、勝った…

 

周りの歪みがなくなっていく

 

 

「俺を倒したか…。仕方ない、勝った褒美だ。アンティを支払おう」

 

 

放心していると、私に対してそのように言ってくる

 

 

「なっ…」

 

 

そうこうしている内に、カードケースが光っているのが目には入る。開けてみると、『ペンタクルス』と『カップ』に絵柄が描き加えられているのがわかった

 

 

「お前という存在はわかった。また会おう」

 

「待っ…!」

 

 

気が付くと、元の埠頭に1人で立っていた。辺りはすっかり暗くなっている

…一体何だったのだ?

 

 

しかし、あの圧倒されるような後味と、手元の2枚のカードが、夢ではないことを物語っている

 

…わからない。奴が何をしたかったのか…。そして、あの雰囲気は本物だが、デュエルの時はどこか手を抜いていたようにも思える…。ただ1つ言えることは、私の周りで何かが起こりはじめているということだ

しばらくの間、そうして周囲を気にする余裕もなく、考えに没頭していた。そのせいか、私はこちらを見続けている視線に気づくことができなかった

 

 

◆◆◆

 

 

「あ、お帰り」

「うん、戻ったー」

 

 

僕が顔を上げると、いつも通りの無表情で独特にクルっとした青髪の同居人が帰ってきた

 

 

「どこ行ってたのー?雑賀さんのとこ?それとも、クラーゾおじいちゃんのとこ?言ってくれたら、私もついていったのに」

「どっちも同じ場所。それに、ついてこなくていい」

 

 

…まぁ、確かに雑賀さんもうちのクラーゾおじいちゃんも、住んでいるのは同じダイモンエリアのアパートなんだけど…。それにしても、引っ越してきてから随分経つのか…

僕とクラーゾおじいちゃんは、元々は違う土地で暮らしていたのだが、地元の2つの拮抗するグループの対立が激化したことを切っ掛けに、このダイモンエリアに引っ越して来たのだった。それから色々あった後に同居人の彼女と再び出会い、共同で住むことになったのだ。一応、同じ女同士なので気兼ねはない

 

 

「忘れてた。はい、これ」

 

 

そんなことをボーッと考えていると、彼女が僕にカードの束を渡してきた

…ってこれ…!

 

 

「私の『サイ』カード!ミサキが持ってたの?私いろいろ探してたんだよ」

 

「透赤(とうか)、うるさい。それに、表に置いておいた透赤が悪い」

「あ…」

 

 

…そういえば、Dホイールの整備の時に、そこに置いたような…

 

 

「…アハハハ…」

 

 

…無表情からのジト目は辛いものがある

 

 

「ごめんって。それより、そろそろ始まるよ、テレビ」

 

 

そう言いながら、テレビのスイッチを押す。ミサキはそれを一瞬見ると、いつものように機械をいじり始めた

 

ただ、その横顔は、普段は見せることのない真剣な表情をしているようにに見えた




第32話終わりです。
新章はじまりにして、オリキャラが新たに2人登場しました。1人は主人公にデュエルを挑んだ正体不明の存在・ヴァイド、もう1人は現代の童実野町にいないであろう女の子・透赤(とうか)。2人がこの先、どのように関わってくるのか…

ところで、DS版のゲームをされたことがある方は見覚えのある名前が出てきたかと思います。設定はできるだけ変えないようにしながら、オリジナルの設定を入れていこうかと考えております。

さて、長話もアレなので今回はこの辺で…

それでは、また
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