デュエルモンスターズ 赤の記憶を求めて   作:トパートパール

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主人公以外のオリカが多数登場します。そして、主人公の出番が少なめです。ご了承ください。


PIECE-33 スタートアップ!「サイ」を持つ少女

◆◆◆

 

 

 

時空の中のような、暗い空間

 

ここは、俺自身のプライベートルームだ。入ってきた俺は、ふぅと一息つくと歪みの一端に腰を掛ける

 

…奴は…いや、今は山白青人と呼ぶことにしよう。山白青人…、あいつの実力は…、まぁ予想通りといったところか…。多少の物足りなさには目をつぶろう。奴の状況を考えると、妥当と言えるのだが…

ともあれ、『深淵眼』をぶつけることには成功した。仕込みは順調と言っていい…。次は…

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「たいりょーたいりょー」

 

 

 

少し大きな紙袋を手に抱えて帰路を急ぐ

 

…ちょっと買いすぎたかな…。とりあえず、買える時に買っておかないと…

 

今日の買い出しは僕。同居人のミサキと交代でやる決めごとの1つだ。

 

…思い出してみると、ミサキとの出会いは不思議なものだったなぁ。だって、町の入り口で僕とおじいちゃんの顔を見るなり、「喉かわいた…、水…」って言ったとたんにバッタリ倒れちゃうんだもん。別名「砂漠のオアシス」のこの町でさ…。でも、話してみると口数少ないし毒舌だけど、結構優しい人なんだよね…

 

 

 

「魔女だぁ!」

 

「魔女が出たぞ!」

 

 

 

そんなことを考えていると、通りかかったストリートデュエル広場の方から悲鳴混じりの声が聞こえてくる。

 

 

 

「魔女…?」

 

「嬢ちゃん気を付けな、黒薔薇の魔女だ!早く逃げねぇと!」

 

 

 

僕が頭がはっきりしないまま呟いていると、デュエルを見ていたであろう若い男性がそう言いながら足早に去っていくところだった

 

…魔女って、まさか…!そうだ、この場所は前に魔女が出た場所だって噂されていたところ…

 

その時、背後でドラゴンの咆哮と衝撃波で視界が暗転した

 

 

 

 

 

……………

………

……

 

 

 

 

 

「ここは…?」

 

 

 

辺り一面が歪んでいる空間にいた

 

…おかしいな、さっきまでストリートデュエル広島の近くにいたような…。…そうだ、魔女…!

 

 

 

「ほぅ、この空間に紛れこんでくる奴がいるとはな…」

 

 

 

僕が辺りを見回していると、向かい側から黒いコートに仮面を着けた人が歩いてきた

 

 

 

「あなたが、魔女…?」

 

「魔女…、魔女ねぇ…。俺がそう見えるか?」

 

 

 

…違うらしい。そうだよね。魔女が「俺」なんて言わないよね…。だったら…

 

 

 

「ここはどこ?あなたはなぜここに?」

 

「ここから出たいか?」

 

 

 

まだ質問の言葉を続けようとしていた僕を遮って、目の前の人が厳かにそう聞いてきた

 

 

 

「…ええ、もちろんよ。…っていうか」

 

「ならば、俺とデュエルだ」

 

 

 

言葉を続けようとしている僕に、右腕に着けたデュエルディスクを構えてきた

 

 

 

「申し遅れたな。俺はヴァイド。お前が勝てば、この『ソード』のカードをやる。こいつを使って、脱出するがいい」

 

 

 

そう言うと、ヴァイドと名乗った男は1枚のカードを取り出した

 

…って、この人は脱出の方法を知っているの?でも、…

 

 

 

「それは、あなたにも必要なものでしょ?それに、私が持ってったらあなたが…」

 

「俺には、ここにいる目的がある。ゆえに不要だ。おしゃべりはここまでだ。いくぞ、お嬢ちゃん」

 

 

 

それ以上は、話してはくれないみたいだ。元々この人には、話が通じるような雰囲気でもなさそうだし

 

…って、お嬢ちゃんって…

 

 

 

「女だと思っていたら怪我するからね!」

 

 

 

…こういう子ども扱いされるのは嫌いだ

 

ビシッと指をさしてそう言った後、背中のリュックからディスクを取り出し、代わりに持っていた買い物袋をつめる

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

ヴァイド:LP4000

 

透赤:LP4000

 

 

 

お互いにデュエルディスクを展開し、デッキから5枚のカードをドローする

 

…って、えっ…?このカードって…。何で僕のデュエルディスクに!?

 

 

 

「嬢ちゃんには悪いが、先攻は俺のようだな。ドロー!魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!手札のモンスター1体を墓地に送り、レベル1モンスター1体をデッキから特殊召喚する!『チューニング・サポーター』を特殊召喚!」

 

 

 

チューニング・サポーター:

★1 ATK100

 

 

 

使用者とはうってかわって、鍋を被ったような可愛らしいモンスターが召喚される

 

 

 

「魔法カード『機械複製術』を『チューニング・サポーター』を対象に発動!この効果により、対象の攻撃力500以下の機械族を2体増やすことができる!さらに、チューナーモンスター『ダーク・スプロケッター』を召喚!」

 

 

 

チューニング・サポーター:

★1 ATK100

 

チューニング・サポーター:

★1 ATK100

 

ダーク・スプロケッター:

★1 ATK400

 

 

 

「一気にモンスターが4体も…」

 

「レベル1の『チューニング・サポーター』3体に、レベル1の『ダーク・スプロケッター』をチューニング!紅色の剣を掲げ、怒涛の咆哮を放て!」

 

 

 

★1+★1+★1+★1=★4

 

 

 

「シンクロ召喚!いでよ、『魔界闘士 バルムンク』!」

 

 

 

魔界闘士 バルムンク:

★4 ATK2100

 

 

 

赤いマントを翻しながら、その剣の使い手が現れる

 

 

 

「シンクロ素材となった『チューニング・サポーター』の効果発動!この時、1枚ドローする!3体の『チューニング・サポーター』の効果により、3枚ドロー!カードを3枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

 

ヴァイド:LP4000

フィールド:

【モンスター】

魔界闘士 バルムンク:

★4 ATK2100

【魔法・罠】

伏せカード3枚

 

手札:2枚

 

 

 

…1ターン目からシンクロ召喚…。しかも、カードを残している。いや、それよりも…

 

相手の盤上もさることながら、僕自身の手札の状況にも驚いていた

 

…『サイ』カード…。ずっと持っていたけれど、ディスクには反応しなかったカードたち…。それがなぜ僕のデッキに…?

 

 

 

「どうした?嬢ちゃんのターンだが…」

 

「…っ!私のターン!」

 

 

 

…迷っている場合じゃなかった。この際、そんな些細なことはどうでもいい。それに、昔から見てきたカードだもん。動かし方は知っている!

 

 

 

「手札から『サイバード』を特殊召喚!」

 

 

 

サイバード:

★3 ATK1200

 

 

 

緑のオーラを放つ雷色の鳥が僕の場に降り立つ

 

 

 

「『サイバード』は自分の場にモンスターがいない時、手札から特殊召喚できる!さらに、自分の場にサイキック族モンスターがいる時、このカードも特殊召喚!ゴー、チューナーモンスター『サイコネクター』 !」

 

 

 

サイコネクター:

★2 ATK1000

 

 

 

こちらも緑のオーラに包まれながら、電極をつけた『チューン・ウォリアー』のような戦士が空を切る

 

 

 

「ほぅ、チューナーとチューナー以外のモンスターがそろったか…」

 

「まだだよ!永続魔法『サイコネクション』を発動し、その効果で『サイバード』と『サイコネクター』を手札に戻す!」

 

「むっ…?」

 

 

 

『サイバード』と『サイコネクター』が姿を消すと、モンスターたちがいた場所から『サイコネクション』へ緑のオーラが吸収される

 

 

 

「『サイコネクション』は、任意の数の風属性モンスター手札に戻すことでサイカウンターを自身に蓄積する!そして、『サイバード』と『サイコネクター』をそれぞれの効果によって再び特殊召喚、さらに『サイベース』を通常召喚するよ!来てちょうだい、私のモンスターたち!」

 

 

 

サイコネクション:

SC:0→2

 

サイバード:

★3 ATK1200

 

サイコネクター:

★2 ATK1000

 

サイベース:

★4 ATK1000

 

 

 

さっきまでのモンスターに加え、大きな発射台を取りつけた『ワンショット・ブースター』のようなモンスターが加わる

 

 

 

「ここで、『サイコネクション』の効果を発動するよ!自分フィールドのサイキック族モンスターの攻撃力は、その数×100アップし、サイカウンターの数×200アップする!」

 

 

 

サイバード:

ATK1200→1900

 

サイコネクター:

ATK1000→1700

 

サイベース:

ATK1000→1700

 

 

 

「3体のモンスターを並べたか…。しかし、『バルムンク』には及ばんな」

 

「まだ終わってないよ!『サイベース』は、守備表示にすることで次のスタンバイフェイズまで他のサイキック族の攻撃力を1000アップする!『サイベース』、シフトオン!『サイバード』、スタンバイ!よろしく!」

 

 

 

ブースターが準備された『サイベース』に『サイバード』が着陸する

 

 

 

サイベース:

ATK1700→DEF1800

 

サイバード:

ATK1900→2900

 

 

 

「よっし、これで攻撃の準備は整ったよ!バトル!いくよ、『サイバード』!『魔界闘士 バルムンク』を攻撃!ゴー!《バースト・シュート》!」

 

 

 

『サイバード』が『サイベース』によって打ち出され、『バルムンク』へと勢いよく向かっていく

 

…目標上々!それに、『サイベース』によって打ち出された『サイバード』には罠カードは効かない!ぶっちぎれ!

 

 

 

「なるほど、見事なモンスターの連携だが罠カードを使わせてもらおう!」

 

「うっそ!?」

 

 

 

相手の場の伏せカードが表になる…

 

…やっば、『シンクロ・ストライク』…!

 

 

 

「『シンクロ・ストライク』は、シンクロモンスターの攻撃力をシンクロ素材としたモンスター1体につき500ポイントアップするカードだ。素材モンスターは4体、よって攻撃力は2000アップする!」

 

 

 

魔界闘士 バルムンク:

ATK2100→4100

 

 

 

「えっ…!」

 

 

 

…何そのヤバい数値…。でも…

 

 

 

「こっちだって、これで終わりじゃないんだから!速攻魔法『ツイストーム』発動!このカードは自分フィールドのサイキック族モンスター1体を手札に戻し、その攻撃力を他のサイキック族に加える!『サイコネクター』、スタートアップ!」

 

 

 

『サイコネクター』が『サイバード』の後ろに接続して加速させると、その反動で『サイコネクター』が手札に戻る

 

 

 

サイバード:

ATK2900→4500

 

 

 

「『サイコネクター』が手札に戻ったことで『サイコネクション』の恩恵は100減っちゃうけど、それでも『サイコネクター』の攻撃力1700を受けることができる!」

 

「ほぅ、『バルムンク』の攻撃力4100をも上回るか…」

 

 

 

ヴァイド:LP4000→3600

 

 

 

「どーお?私はこれでターン終了。『ツイストーム』の効果も切れるよ」

 

 

 

サイバード:

ATK4500→2800

 

 

 

透赤:LP4000

フィールド:

【モンスター】

サイバード:

★3 ATK2800

サイベース:

★4 DEF1800

【魔法・罠】

サイコネクション SC:2

 

手札:2枚

 

 

 

…危なかった…。あの攻撃力は予想外。反則だよ。でも、あの人、強い…

 

 

 

「ならば、そのエンドフェイズに罠を発動!永続罠『ウィキッド・リボーン』!ライフを800支払うことで、墓地のシンクロモンスター1体を復活させる!『魔界闘士 バルムンク』を特殊召喚!」

 

 

 

ヴァイド:LP3600→2800

 

魔界闘士 バルムンク:

★4 ATK2100

 

 

 

「そして、俺のターン!そろそろ本気でいかせてもらおう。俺はフィールドの『バルムンク』を除外する。このカードは通常召喚の放棄と攻撃力2000以上の闇属性モンスター1体の除外を条件に手札から特殊召喚できる!」

 

 

 

彼がそう言うと、フィールドに黒い影が広がり、龍のような形を作りはじめた

 

 

 

「冥き魂よ、新たなる漆黒を纏いて染まりし闇より昇華せよ!現れろ、『N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 ネオ・ヴァイド デプス・アイズ・ウルソール・ドラゴン』!」

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍:

★8 ATK3000

 

 

影が晴れると、赤いオーラを放つ漆黒の龍が姿を現した

 

…なんだろう…さっきよりもすごい重圧感がある…。それよりも…

 

 

 

「攻撃力3000…」

 

「いくぞ、バトルだ!『深淵眼の小陽魂龍』で『サイベース』を攻撃!《焔のブレイズ・ストリーム》!」

 

 

 

『深淵眼』の赤い流星のような攻撃が迫る

 

 

 

「『深淵眼』が守備モンスターを攻撃する時、攻撃力が守備力を超えていれば、その差の数値分のダメージを与える」

 

「えっ…、貫通効果…!…くうぅっ!」

 

 

 

透赤:LP4000→2800

 

サイバード:

ATK2800→2700

 

 

 

「あ、『サイバード』の攻撃力が…」

 

「さらにレベル8のモンスターが守備モンスターを破壊した時に罠カード『破壊神の系譜』を発動!そのモンスターはもう1度攻撃できる!行け、『深淵眼』!《焔のブレイズ・ストリーム》!」

 

「くう!」

 

 

 

透赤:LP2800→2500

 

 

 

「モンスターが全滅…!…あなた、中々やるね」

 

 

 

…ちょっとピンチかも…

 

 

 

「俺はリバースカードをセットしてターンエンドだ」

 

 

ヴァイド:LP2800

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 :

★8 ATK3000

【魔法・罠】

伏せカード1枚

 

手札:1枚

 

 

 

「私のターンだよ!『サイブロッカー』を守備表示で召喚!」

 

 

 

サイブロッカー:

★4 DEF2000

 

 

 

メタル化を施した『シールド・ウォリアー』のようなモンスターが構えをとる

 

 

 

「さらに、自分の場にサイキック族がいることで、『サイコネクター』を特殊召喚!『サイコネクション』の効果で、『サイコネクター』を手札に戻し、サイカウンターを1つ乗せる!」

 

 

 

サイコネクション:

SC:2→3

 

 

 

…この後、再び『サイコネクター』を特殊召喚すれば、『サイブロッカー』のレベルと合わせてレベル5のシンクロモンスターを召喚できる。でも、サイカウンターの数が少し足りない…。ここは…

 

 

 

「私もカードを1枚伏せてターン終了するよ」

 

 

 

透赤:LP2500

フィールド:

【モンスター】

サイブロッカー:

★3 DEF2000

【魔法・罠】

サイコネクション SC:3

伏せカード1枚

 

手札:1枚

 

 

 

…それに、サイカウンターが足りていても、あの伏せカードからは嫌な予感がする…

 

「俺のターン!罠カード『タイラント・ウィング』を『深淵眼』に装備し、攻撃力を400アップする!」

 

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 :

ATK3000→3400

 

 

 

「さらに、『タイラント・ウィング』には装備モンスターに2回攻撃の能力を与える効果がある!」

 

「まじ!?」

 

 

 

…ていうか、やっぱり!?

 

 

 

「バトル!『深淵眼』の攻撃!《焔のブレイズ・ストリーム》!」

 

「でも、『サイブロッカー』が戦闘した時に発生する自分へのダメージは半分になる!…くうぅ!」

 

 

 

透赤:LP2500→1800

 

 

 

「さらに、この瞬間罠カードオープン!『トランスター』!サイキック族が破壊された時、そのモンスターの破壊を除外に変更し、2回目の自分のスタンバイフェイズに特殊召喚する!さらに、その間あなたはバトルを行うことができない!」

 

 

 

『サイブロッカー』は光を放出させながら未来へと向かい、その光から放たれた粒子は『深淵眼の小陽魂龍』に次々に張り付いていく。そして、まるで静電気にコーティングされたかのように、その体はピカピカと光り続けている

 

…危なかったー…!それにしても、本当、この人って容赦ないよね…。さっきの『シンクロ・ストライク』もだけどさ…。…あ!そう言えば、勝てばここから脱出する方法をくれると言っていたけど、じゃなかったらどうするつもり…?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「この攻撃も防ぐか…」

 

 

 

…やはり、奴の対となる存在なだけのことはある…

 

 

 

「ねえねえ、あなたさ、私をどうするつもり?」

 

 

 

俺がそう考えていると、目の前にいる小娘がこちらに質問を投げ掛けてくる…

 

…なるほど…

 

 

 

「どうするとは…?」

 

「勝ったら私をここから脱出させ るって言ってたけど」

 

 

 

…ふむ、デュエルもそうだが、勢いだけのデュエリストではない…。思いの外冷静だ…

 

 

 

「負けたら、と…。ほぅ、俺に勝てないと諦めたか?」

 

「はっ!?」

 

 

 

馬鹿にされたと思ったのか、デュエルの前と同じように、ビシッとこちらに指を突きつけてくる。彼女の冷静さは、デュエル内のことだけのようだ

 

 

 

「冗談!そうやってナメてると、怪我するって言ったでしょ?」

 

「ふむ、ならば問題ないな。俺のエンドフェイズに『タイラント・ウィング』は破壊され、『深淵眼』の攻撃力はもとに戻る。さぁ、嬢ちゃんの番だ」

 

 

 

…もう少し見させてもらおうか…

 

 

 

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 :

ATK3400→3000

 

 

 

ヴァイド:LP2800

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 :

★8 ATK3000

【魔法・罠】

なし

 

手札:2枚

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

…なんか、馬鹿にされた気がする!頭に来たよ!

 

 

 

「いくよ、私のターン!」

 

 

 

…とは言っても、状況はやや僕の劣勢か…。でも、これで巻き返すしかない!

 

 

 

「魔法カード『セレクターム』を発動!墓地のサイキック族モンスター1体を除外して2枚ドローし、その後1枚捨てる!」

 

 

 

『サイバード』を除外し、ドローする

 

…!…見えた!

 

その時、僕の脳裏に次のターンのカードたちのシンクロが見えたような気がした

 

 

 

「カードを1枚伏せてターン終了」

 

 

 

透赤:LP1800

フィールド:

【モンスター】

なし

【魔法・罠】

サイコネクション SC:3

伏せカード1枚

 

手札:1枚

 

 

 

…僕の手札にはこの1枚。後は、次のターン次第…

 

 

 

「俺のターン!『深淵眼』の力を見るがいい」

 

「でも、『トランスター』の効果によって、バトルは封じられている。攻撃する手段はないよ」

 

「攻撃ではない。『深淵眼』の効果発動!手札を1枚墓地に送ることで相手に1500ポイントのダメージを与える!《アビス・デス・バースト》!」

 

「なっ…!うわぁっ!」

 

 

 

透赤:LP1800→300

 

 

 

『深淵眼』から放たれた砲撃が僕を襲う

 

…くぅ、油断してた…。そんな効果もあったなんて…

 

 

 

「俺はカードを1枚セット。ターンエンドだ」

 

 

 

ヴァイド:LP2800

フィールド:

【モンスター】

N-ViD 深淵眼の小陽魂龍 :

★8 ATK3000

【魔法・罠】

伏せカード1枚

 

手札:0枚

 

 

 

…来た、伏せカード…

 

 

 

「私のターン!この瞬間、『トランスター』の効果によって、『サイブロッカー』はフィールドに戻る!」

 

 

 

サイブロッカー:

★3 DEF2000

 

 

 

フィールドに現れた時空の歪みから再び『サイブロッカー』が姿を見せる

 

「さらに、自身の効果で『サイコネクター』を特殊召喚!『サイコネクション』の効果も発動!サイカウンターを2つ追加するよ!」

 

 

 

サイコネクション:

SC:3→5

 

 

 

「そして、この2体を再び呼び戻す!カモン、2人とも!」

 

 

 

サイブロッカー:

★3 DEF2000

 

サイコネクター:

★2 ATK1000→2200

 

 

 

「準備完了!スタートアップ!さぁ付いて来て、みんな!レディ!レベル3の『サイブロッカー』に、レベル2の『サイコネクター』をチューニング! 白銀の風束ね、その叫び、天空に轟かす!彼の魂よ、ひとつとなれ!」

 

 

 

★3+★2=★5

 

 

 

「シンクロ召喚!カモン、『ソード・シルヴェール』! 」

 

 

 

ソード・シルヴェール:

★5 ATK2200

 

 

 

長めの銀髪と羽織を風になびかせながら、剣を手にその剣士は舞い降りる

 

 

 

「『サイコネクション』の効果発動!『ソード・シルヴェール』をパワーアップ!」

 

 

 

ソード・シルヴェール:

★5 ATK2200→3300

 

 

 

「『サイコネクション』は、フィールドのサイキック族1体につき100、サイカウンターの数1つにつき200攻撃力を上げるカード!よって、攻撃力1100ポイントアップ!『ソード・シルヴェール』、スタートアップだよ!」

 

 

 

僕の声を受け、白銀の剣士も攻撃の構えをとる

 

…勝負はここ!いくよ!

 

 

 

「ゴー!『ソード・シルヴェール』!『深淵眼の小陽魂龍』を攻撃!」

 

 

 

剣に手をかざしてエネルギーを集中させている時、『深淵眼』の前に黒い影が立ちはだかる

 

 

 

「墓地の『ネクロ・ガードナー』の効果発動!1度だけ攻撃を無効にする!」

 

「そうはいかないよ!速攻魔法『サイコート』を手札から発動!サイキック族がフィールドにいる時、フィールド外で発動する効果をカットする!」

 

 

 

僕の最後の手札をディスクにセットし、『ネクロ・ガードナー』を妨げるようにフィールドに結界を発生させる

 

…これで終わりなんて思わない。だって、まだあの伏せカードは生きているから…!

 

 

 

「いい読みだが、カウンター罠『神の宣告』!ライフを半分払うことで、魔法・罠・モンスターの召喚を無効にする!」

 

 

 

ヴァイド:LP2800→1400

 

 

 

「ふふっ、やっぱりね」

 

「んっ…?」

 

 

 

仮面をつけたその口元が、少しゆがんだように見える

 

…読んでた!だって…

 

 

 

“なるほど、見事なモンスターの連携だが罠カードを使わせてもらおう!”

 

“罠カード『タイラント・ウィング』を『深淵眼』に装備し、攻撃力を400アップする!“

 

 

 

「カウンター罠発動!『トリガーン』!サイキック族がいる時、バトルフェイズのカード効果を無効にする!」

 

 

 

3枚のカードが発動している中、僕のカードがそれに終止符を打つ。それによって、『ネクロ・ガードナー』は『サイコート』の外へと追いやられ、消滅する

 

 

 

「アタック!『ソード・シルヴェール』!《ストーミング・ギャラクシー・ドライブ》!」

 

 

 

剣から放たれた白銀の嵐が『深淵眼』を直撃する

 

 

 

「ぐっ…!」

 

 

 

ヴァイド:LP1400→1100

 

 

 

「そして、『ソード・シルヴェール』の効果発動!戦闘でモンスターを破壊した時、その破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

「っ…!」

 

 

 

ヴァイド:LP1100→0

 

 

 

…ふぅ、結構ギリだったかな…。それにしても、『神の宣告』まで使ってくるなんて…

 

 

 

「見事だ」

 

 

 

デュエルが終わって少し放心していると、そのデュエルの相手が言葉を放ってきた。それと同時に、彼の手元からシュルシュルと何かが飛んできて、綺麗にディスクのデッキホルダーに収まる

 

 

 

「約束通り、アンティだ。その『ソード』を使って行くがいい」

 

「ぅえ…?」

 

 

 

突然のことにあっけにとられていると、デッキホルダーのトップのカードが光り出す。取ってみると、少し派手な装飾をあしらった剣が描かれている

 

…これが、『ソード』のカード…、綺麗…

 

その光に包まれながら、僕は元の世界に戻ったのだった

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「………」

 

 

 

混沌と歪んだ真っ黒の空間で、ノイズ掛かったような人影が1つ見える

 

 

 

「…世界だ…」

 

 

 

不完全な人影が、姿とは裏腹にしっかりとした優しげな声で呟く

 

 

 

「…僕の世界…君の世界…、…君は楽しい…?」

 

 

 

その優しげな声が響く中、ノイズはさらに加速する

 

 

 

「…楽しいといいな…、…僕の分まで…楽しんでね…」

 

 

 

 

 

……………

………

……

 

 

 

 

 

「…!…夢?」

 

 

 

私はもたれていた椅子から立ち上がり、窓の外を見る。周りを海に囲まれた孤島に建つアカデミアが見えてきた

 

 

 

「夢か…」

 

 

 

…不思議な夢だったな。うまく言葉には言い表せないけど、なんか知っているような…

 

あの『深淵眼』を使うデュエリストとのデュエルからしばらく経ち、後数日後にはアカデミアが再開する。結局、あれから変わったことは起こらず、記憶に関する手掛かりもないままだ

 

でも、1つハッキリしていることがある。それは、今年も何かが起こるということ。だが、今の私は1人ではない。多くの仲間がいる。そう思うだけで、心強く感じることができる

 

まだ見ぬ新しい出来事、そして私たちの2年生の日々がここからはじまるのだ




第33話終わりです。
今回は早くも登場したオリキャラ同士のデュエルでした(まだ、キャラが定まっていない感がありますが…)。これまで1人の視点だったものをどう描写するかなど、手腕が問われるところです(うーん、難しい…

以後は、キャラが増えたことや物語の進展により、主人公の出番や視点が減ったり、舞台が変わったりということが増えていくかと思います。それに伴って、オリジナルな展開が増えるかと思いますが(タグについても検討中ですが)、お楽しみいただけたらと思います。

これ以上あまり言及したらネタバレになるかなと思うので、この辺で。

それ、ではまた
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