主人公のデュエルはなしです。
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…ふう、何とか終わった…
一時は自分の詰めの甘さにヒヤヒヤしたが…
今、私は海馬ランドのラウンジで、お弁当を食べながら先程の考察をしている
『天よりの宝札』でドローした時、ドローしたのは順に『強欲な壺』、『ダーク・ネクロフィア』、『和睦の使者』、『融合』、『黒き森のウィッチ』…
もし、『天よりの宝札』を使われなければ、次のターンには『強欲な壺』、それを使って2枚ドロー…、『ダーク・ネクロフィア』、『和睦の使者』をドローする
その後、墓地の悪魔族3体、『ジャイアントウィルス』2体と『クリボー』を除外して『ダーク・ネクロフィア』を特殊召喚して、そのまま『デス・ウォンバット』を攻撃…、仮に罠でもカウンター罠『盗賊の七つ道具』で回避
エンドフェイズに通常罠『和睦の使者』をセット…、これで次のターンのバトルと戦闘ダメージを防ぐ
確か、『ミノタウルス』は『ガイアパワー』の影響で攻撃力2200だった
これなら、『ミノタウルス』で相討ちを狙われても『ダーク・ネクロフィア』は無傷、『盗賊の七つ道具』を加味してライフ500でも後続の『ケンタウロス』の一撃を受けることもなかった
仮にもう一度『野性解放』を使用されようものなら、相手モンスターが破壊されるだけなので、しめたものである
…ん?
いや、あれは『宝札』を使った後の状況だっけ…
使われる前は、『ミノケンタウロス』と『デス・ウォンバット』だったか…?
…ダメだ、こんがらがってきた、やめよう…考え過ぎるのも良くない…
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どうやら、随分と長く考えこんでたらしい…
遅いかもしれないが、まだ他のデュエルはやっているかと試験場に戻って来てみた
来てみると、フィールドは夜の町をイメージするようにきらびやかだ…
…あれはフィールド魔法『スカイスクレーパー』…
「さあ、舞台はととのった! 行け、『フレイム・ウィングマン』!」
黒い詰襟の少年が、そう言っているのが聞こえた
『スカイスクレーパー』に『E・ HERO フレイム・ウィングマン』…
『スカイスクレーパー』は、『E・ HERO』が攻撃力の高いモンスターと戦闘する時、攻撃力を1000上げるカード
そして、『フレイム・ウィングマン』は攻撃力2100のモンスターだか、おそらく攻撃力は3100に上昇している
さらに『フレイム・ウィングマン』は戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果を持つ…、つまり、もし攻撃表示モンスターを破壊したとするなら、攻撃表示モンスターの攻撃力+戦闘ダメージで実質『フレイム・ウィングマン』の攻撃力分のダメージが飛んでくる
さて、その相手モンスターは何か…
「マンマ・ミーア、私の『古代の機械巨人』が…」
試験官であろう、おかっぱの男性が嘆き声を上げていた
…『古代の機械巨人』の攻撃力は3000だったはず…
3000の効果ダメージ…、殺人的だ…、というかあの受験生、私より容赦ない…
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ふう、ようやく帰った
…何か、試験だけで色々疲れた…
まぁ、面白いものも見れたし、それはそれでよかったか…
面白いと言えば、結局あのデュエルはあの効果ダメージで、試験官の残りライフ2900を削り取ったらしい…
…ライフだけ見るなら、おそらく逆転勝利だったのだろう…
ともかく、仮にアカデミアに合格したとするなら、彼のような強者がわんさかいるということが予想される…
試練がどのように起こるかわからない以上、用心するに越したことはないだろう…
そう思いながら、今後のことを考えることにした
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…ふう、着いた
本当に孤島だ…
あれから、しばらく経った
アカデミアの合格通知が来て、今黄色い制服を着ている
ラーイエローというところに組分けされたらしい…
ここには、オベリスク、ラー、オシリスの3つに区分けされる
オベリスクは中等部からのエリート、ラーは入試でよい成績を残した者、そしてその下のオシリスといった具合だ
…割りと評価されたらしい…
また、デュエルアカデミアに通う者は、この孤島で生活しなければならない
当然島に自宅があるわけないので、寮に入ることになる
ここでも、先程の3つのように区分けされる
…他のところはどうかわからないが、ゆっくりできそうなところだ…
自室の扉を開けながらそう思った…
「よいしょっと」
荷物を置いて、椅子に腰かける
荷物と言えば、あの風変わりなDホイールは置いてくることにした
…本当は足として持って来たかったのだが、あれを持ち込んだ時点で相当目立つだろう
最悪、教師陣に怪しまれないとも限らない
ギュルン!
そう考えていると、前の方でエンジン音が聞こえた
まさかと思って見ると、そのホイールがあった…
なぜここにとモニターを見ると「自動転送システム作動」の文字が表示されていた
…マジか…
驚いた…
これなら、もし光の中に消えたり、何かと合体したり、空を飛んでも納得する自信がある
…というか、今さらながらこれは誰がつくったのだろう?
平行次元の自分とか?…いや、まさか…
私は機械の類いは苦手だ
そんな風に考えごとをしていると歓迎会の時間が迫っていることに気づいた
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歓迎会は私の状況を忘れるほどに有意義なものだった
あの後、歓迎会の開始時間ギリギリに行った私は、会場がほぼ満席の中で目の前の開いているテーブルを見つけると、藁をもすがる感じで、大柄の男性(一応15歳前後なのだけれど)に「相席いいですか?」と尋ねた
その人は「えっと…」と返答に迷っていたようだが、直後に「どうした?大原」と現れた小柄な友人に大原君が事情を話すと、「俺らと一緒でよければ、どうぞ」と言ってくれた
彼らは、最初に話した人が大原君、声をかけてきたひとが小原君というらしい
二人はアカデミア時代から仲がいいらしく、息ぴったりに話してくれた
…なるほど、もしタッグデュエルがあるとすれば、彼らはすごいチームになりそうだ…、と考えていたら大原君はデュエルは苦手で、デザイナー志望なそうだった…
その後は、デュエルアカデミアらしくカードのことについて色々話した
カードの中でも特に私は詰めデュエルが好きだということを話すと、後ろから「その話、詳しく聞かせてもらおうか」と、声が聞こえた
好青年な彼は三沢と名乗り、中でも理論について興味があると話しかけられ、何だかんだで意気投合してしまった
余談だが、彼は筆記試験で1番、実技も高得点で通ったようだ…、本人は大したことではないと謙遜していたが…
…ふむ、まさかそんな優等生と話が合うとは…
それからは4人で私の作った詰めデュエルを出した
話は盛り上がり、『ブラック・マジシャン』についての問題を出していると、「それはどうかなと」髪の尖った人が良かれと思って話に加わった
彼は、神楽坂といって主に他者の戦略研究を好んでやるらしい
…戦術コピーとは面白い、良いデッキアドバイザーになれるのではないか?
そんなこんなで話しは終わり、今度はデュエルしようと言ってお開きにした
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…さて、どうしたものか…
歓迎会が終わった後、詰めデュエルの話題が尾を引き、いてもたってもいられなくなった私はまだ開いているであろう資料室に詰めデュエルをしようとアカデミアに入った
時間的にギリギリ、しかも歓迎会の今日なら人はいないのではないかと内心浮わついていたのだ
…思えばそれがいけなかった
資料室に行く途中のデュエルスペースで何やら言い争っているらしい声が聞こえた
何かなと思い、入り口の外から様子を伺っていると「あら、あなた」という女性らしき声がした
一瞬ヒヤッとしたが、振り向くと、ブルーの制服を着た女性が立っていた
彼女は天上院明日香と名乗った
聞くと昼間にここでブルー生とレッド生とのいざこざがあったらしい
それを彼女が止めに入ったようだが、嫌な予感がしたから来たということだった
…ふむ、ランク付けをされているわけだから何かあるとは思ったが、こんなに早くお目にかかることになるとは…
…と言いながら、2人で中に入ってしまった…
…まいったな…、いい気持ちはしないが、あまりこういうことに首を突っ込みたくはなかったのだが…
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中では、ブルー生が3人、デュエルをしている黒髪の男、万丈目というらしいが…、眼鏡の男と短髪のホリの深い男、レッド生が2人、入試の最後で『フレイム・ウィングマン』を召喚していた男、遊城十代、それから眼鏡の気弱そうな少年、その内、ブルーとレッドがデュエルをしていた…
デュエルの方は
「『ヘルポリマー』か…」
自分フィールド上のモンスター1体をコストに相手の融合モンスターを奪う罠カード…
…確かに、入試のあの場面を見ていたら、悪くない対策と言えるだろう…
その効果で万丈目君の場には『フレイム・ウィングマン』、遊城君の場には守備力2000の『クレイマン』で、万丈目君のターンか…
召喚した攻撃力1200の『地獄戦士』の直接攻撃と、『フレイム・ウィングマン』の効果ダメージを合わせて2000のダメージ
欲を言えば、攻撃力の高いモンスターを召喚していれば良さそうだったが…
…やはりというか、その低い攻撃力を狙われて、攻撃力1600の『スパークマン』に撃破される
『地獄戦士』の効果、戦闘で受けたダメージを相手にも与えることでダメージを与えたが、ここで使ってしまうのはもったいない…
次の万丈目君のターンで決着を着けようとするが、互いのフィールド上のモンスターを入れ換えてバトルする『異次元トンネルーミラー・ゲート』に阻まれ、万丈目君のライフを1500まで減らした上に、『フレイム・ウィングマン』を奪い返すまでに至った
「ふむ、中々やるな…」
「アニキかっこいい」
「へへん」
「お調子者」
眼鏡の少年が声援を送ると、遊城君はそれにブイサインを返し、天上院さんはどこか楽しそうに呆れ口調をもらした
「調子に乗るなよ、魔法カード『ヘル・ブラスト』を発動!」
…む、あれは自分フィールド上のモンスターが破壊されたターンに相手モンスターを破壊し、そのプレイヤーに攻撃力の半分のダメージを与える通常魔法…、中々、使いづらそうなカードだな…
それによって、遊城君のライフは550まで削られる
それから頭に血が昇ったのか、『リビングデットの呼び声』で復活させた『地獄戦士』をコストに攻撃力1800の上級モンスター『地獄将軍 メフィスト』を召喚した
「いけない、ガードマンが来るわ」
遊城君のターンが回ってきたところで、天上院さんがガードマンの気配を察したらしい…
「俺は、ここを動かない」と駄々をこねる遊城君を引きずって、この場を離れることになった
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あの後何とかガードマンの目をかいくぐって出ることができた…
…結局、詰めデュエルをしそこなったか…
その横で、何やら天上院さんと遊城君が話している
「どう?オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は」
「まぁまぁかな、もう少しやるとは思ってたけどね」
天上院さんの問いに遊城君は自信満々といった表情で返す
「この勝負、俺の勝ちさ」
そう言いながら、手元のドローカードを見せてくる
それは、
「『死者蘇生』…」
墓地のカードを無条件で呼び戻す魔法…
…なるほど、『フレイム・ウィングマン』を復活させて『メフィスト』を葬れば効果ダメージと合わせて勝ちというわけか…
「なるほどな…」
そう呟くと、遊城君がこちらに気づいたようだ
「あれ?そう言えばお前、誰だ?」
「これは失礼しました。僕は、1年の山城 青人です。どうぞよろしく、遊城 十代君。」
「ああ、よろしくな。俺のことは十代でいいぜ、かたっくるしいのは抜きだ。それより、お前どんなカード使うんだ?なあ、デュエルしようぜ!」
あいさつもそこそこに、「やろうぜやろうぜ!」とデュエルを挑んでくる
…なんというか、気さくというのか、無邪気というか…、すごく生き生きしている…
「ちょっとアニキ、青人君困ってるッスよ。それに、今はもう夜中ッス。青人君だって、疲れてるはずッスよ。」
すると、眼鏡の少年が止めに入ってくれた
…いいコンビだな
「あー、そうだね、デュエルは機会があったら受けてたつよ。ところで、君は…?」
「僕ッスか?そう言えば、僕たち初めましてだよね。僕は丸藤 翔。オシリスレッドの1年です。僕も、気軽に接してくれるとうれしいッス!」
「十代君に、翔君か。よろしくね。それから、オベリスクブルーの天上院さんね…」
それから、オベリスクブルーの女性に向き直る
「明日香でいいわ、青人君。そう言えば、あなたあそこで何してたの?デュエルを見に来たってようでもなかったし…」
「あー、資料室に詰めデュエルを…」
「なるほどね。でも、あんな時間になんて、あなた変わってるわね。」
どこか、面白そうに明日香さんは言う
…今日はたまたまなんですけどね…
「なあ、詰めデュエルって何だ?」
「もう、アニキー」
そんなこんなで、夜の楽しい時間は一時は過ぎていく
ただ、この日の徹夜は思いの外響き、詰めデュエルができるのは数日間先であったことは、また別の話である
第4話終わりです。
GX本編の2話ぐらいまで進みました。
主人公はラーイエローで小原君・大原君コンビ、三沢君、神楽坂君と知り合いになり、万丈目君と十代君のアンティデュエルに巻き込まれる形で、彼らとも知り合いになりました。
今後は彼らがメインになっていくでしょう(特にラーイエローの影が濃くなればいいです)。
それから、今回のように主人公の関わらない本編のデュエルは、このようなダイジェスト形式で行っていく予定です。
それでは、また。