デュエルモンスターズ 赤の記憶を求めて   作:トパートパール

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主人公のデュエルはなしですが、主人公が動きます。



PIECE-8 アカデミアの帝王

「私がアナタを呼んだ理由はわかっているノーネ?」

「はい、すみませんでした」

 

 

私は今、デュエル実技担当のクロノス・デ・メディチ教諭の自室に呼び出されていた

理由は、昨日から今日の夕刻にかけてである

タイタンと別れた後、見覚えのないカードを見つけ、気がつくと朝になっていた

記憶がないところをかえりみるに、どうやら眠っていたのだろう

問題はこの後だ

起きたはいいものの、体に力が入らない、というか、眠気が…

原因は多分、あのデュエルが予想以上に堪えたのだろう

そのまま眠りに落ち、『ミノタウルス』と『巨大ネズミ』に追いかけられるという悪夢を見て、目覚めたのは昼下がりだった

さすがに、これはマズいと思って急いで学校へ…、教室に着くと残っていた生徒はわずか、仕方なく踵を返すとクロノス教諭が仁王立ちしていた

 

 

「聞いているノーネ?シニョール山白。」

 

 

それから、現在に至るというわけである

 

 

「確かに勉強に力を入れることーは大事なノーネ。しかしながら、授業をないがしろにすることーは、いけないでスーノ。シニョールが、詰めデュエルの理論に夢中になっていることーは知っているノーネ。」

 

 

…どうやら、この方は私が詰めデュエルに日夜没頭していて寝坊したと思っているようだ

…意外と知られているんだなー、詰めデュエルが好きなこと

 

 

「アナタの寮長のシニョール樺山から聞いているーノ。熱心な学生なそうなノーネ。この学園の教師として、私は嬉しいノーネ。」

 

 

 

見ると、あの強面な先生が微笑んでいた

…評価されていることは、素直に嬉しいな…

 

 

「だからこーそ、そのような生徒がダメになっていくのーを、見ていたくはないノーネ!いいですーか?今度からーは、しっかり気を付けるノーネ。そして、わからないことがあれーば、いつでもこの私を頼るノーネ。」

 

 

自分の胸をドンと叩いて激励してくれた

 

 

「すみませんでした。それから、ありがとうございます。また、お話ししたいです。」

「ウム、話しは以上なノーネ。それから…」

 

 

クロノス教諭は背を向けながら続けた

 

 

「オシリスレッドのドロップアウトボーイには関わってはいけないノーネ。あいつは、我が校の生徒を堕落させるノーネ!絶対、そうなノーネ!」

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

クロノス教諭の部屋を後にする

…ドロップアウトボーイとは、十中八九、十代君のことだろう…

彼には冷たく当たっているのを見たことがあったけど、そんな背景があったとは…

十代君はそんなこと無さそうなんだけど…

はぁ…、うまくいかないもんだねぇ…

まぁ、おそらく普段の態度が原因だろう…、サボってるし寝てるし…

そして、その十代君たちの状況が良くないことを聞いたのは、その次の日のことである

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

「制裁…?」

「そうよ」

 

 

明日香さんが言うには、十代君たちが現在立ち入り禁止の特待生寮に無断で侵入したことで、十代君と翔君の制裁タッグデュエルというものを近々執り行うというものだった

それを聞いた明日香さんや、同じレッドの前田 隼人さんが校長に抗議したそうだったが、校長は倫理委員会の決定は覆せないと苦々しげに答えたそうだ

そして昨日、十代君と翔君がデュエルするも、翔君のお兄さんに対するコンプレックスが爆発するという結末を迎えたらしい

…そう言えば、今日の授業で翔君を見かけなかったような…

 

 

「そうか、大変なことになったね…」

「ええ、だから十代は翔君のお兄さんの亮にデュエルを挑むそうなのよ」

 

 

亮って、あのカイザーって呼ばれている人か、…噂でしか聞いたことないけど…

…何だか、色々と大事になっているな…

こういうことは当人同士で解決する方がいいんだろうが、事は退学が絡んでいる

いつもの私ならそっとして置くことを選ぶが、あまり時間もないらしい

…それに、多少なりとも付き合いがある身としては、看過できないな…はぁ、このお人好しが…

 

 

「ありがとう、明日香さん」

「青人君、どこか行くの?」

「うん、オシリスレッドへ。状況がどうなっているのか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ…レッド寮ってやっぱ遠いいな…

ホイールに乗ってきて正解だったかも…

1度イエロー寮に戻って着替え、もしかすると歩き回るかもと思い、ホイールを出してきた

…後から思えば、昼間にホイール出して良かったんだろうか?先生たちが何か言ってこないとも限らないし…

着くと同時にカンカンと階段を下ってくる足音が2人分聞こえた

 

 

「お、青人」

「あ、十代君、それにそちらの方は…」

「俺は十代と同じ部屋の前田 隼人なんだな」

 

 

少し大柄のレッドの制服を着た男性が答えた

 

 

「あなたが前田さん。僕はイエロー1年の山白 青人といいます。よろしくお願いします。」

「こちらこそなんだな」

 

 

会釈をすますと、十代君に向き直る

 

 

「それで…」

「青人、翔がいなくなったんだ」

「翔君が…」

 

 

何だか唐突だけど、連れ戻さないといけないようだ

 

 

「わかった、僕はイエロー寮の方を回ってくるから、君たちはこの近くを探して」

「わかった。…ていうか、そのバイクどうしたんだ?」

「ああ、えっと、…後で話すよ」

 

 

そう言うと、来た道へと進路を取って、エンジンを吹かした

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

「見当たらないな…」

 

 

女子寮を過ぎた辺りまで来ていた

と、その時ブルー女子の制服を来た女性が2人視界に入った

 

 

「ジュンコさんにももえさん」

「あ、あんたは…」

「ごきげんよう、青人君」

 

 

ホイールにまたがったまま声をかける

 

 

「今日、翔君を見かけたかい?」

「いや、見てないわ」

「私も見ておりませんわ。何かあったんですの?」

「というか、あんたそのバイク?どうして…」

「実は翔君が寮を出たらしくて、…あ」

 

 

もしかすると…

 

 

「あそこかも!ごめん、ありがとう、また今度。」

「ええ?あっ、ちょっと!」

「行ってしまいましたわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

…見えた!灯台だ

ここまで、行きも帰りも翔君とすれ違わなかった…

この島の広さと、行動距離を考えると、思い当たったのは灯台付近だった

…すごい回り道したな…

考えてみれば、家出というか寮出と聞いて、真っ先に思い浮かべるべきは港だった

やっぱ、ロクに考えないとこうなるんだなぁ…

近づくと、2人の人影が見えた

スピードを上げて近づくと、向こうも気付いたみたいだった

 

 

「あら、あなた、青人君」

「明日香さん、それに…」

 

 

明日香さんと、ブルーの男性が立っていた

服装からして上級生なのだろう…

 

 

「彼が亮、翔君のお兄さんよ」

「へぇ、あの、はじめまして。僕は、イエロー1年の山白 青人と言います。」

「ああ、よろしく。それより、そのバイクは君のか…。見たところデュエルディスクが付いているようだが…」

「どうしたの?それ…」

「あはは…、ええっと…」

 

 

やっぱり、ホイールは目立つようだ

…というか、この町にはない技術だっけ…

…はぁ、なんか色々結構ヤバいかも…

 

 

「ふむ、デュエルディスクの付いているバイクなど初めて見た。実に興味深い…」

 

 

…そりゃあ、この町にないものだから…

亮さんは無表情ながらも、興味津々といった感じでホイールを観察している

…というか、この人意外とお堅い人じゃないのかも…

 

 

「是非とも1度、乗せてもらいたいものだ」

 

 

なんか、この人のペースで話を進められてアタフタしていると、「フッ、冗談だ」と言ってくる

だから、少し好奇心から言ってしまった

 

 

「いいですよ。ただし、僕とデュエルして下さい」

 

 

…勢いに任せて、言った後に後悔した…

すごく身に余ることだとわかっていたが、でも、亮さんとのデュエルは数ヶ月以上できないと、さっき明日香さんから聞いていたから、つい言ってしまった

…えっと、何で明日香さんとこんな話したんだっけ…、まぁいいや…

とにかく、学園一と言われて興味がわかないわけなかった

 

 

ザッパァン…!

 

 

と、その時遠くから何かが海に落ちた音が聞こえてきた

見てみると、レッド生が2人海に落ちていた…、ていうか、翔君と十代君だ…、ああ!そうだ、翔君を探しに来たんだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

十代:LP4000

亮:LP4000

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は『E・ HERO フェザーマン』を攻撃表示で召喚!カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

 

十代:LP4000

フィールド:

【モンスター】

E・HERO フェザーマン:

★3 ATK1000

【魔法・罠】

伏せカード1枚

手札:4枚

 

 

あの後、イカダを作って島を出ようとした翔君とそれを止めようとした十代君、2人を助けようと海に入った隼人さんのもとに私たち3人は向かった

そして、翔君を突き放すような言動を放つ亮さんに、十代君は翔君への別れの選別としてデュエルを挑むことになった

何だが重苦しい…

…翔君…

 

 

「『サイバー・ドラゴン』で攻撃!《エヴォリューション・バースト》!」

 

 

レベル5でありながら、フィールド次第で特殊召喚できる強力モンスターの攻撃が『フェザーマン』に炸裂する

…燃え尽き方がエグい…

 

 

十代:LP4000→2900

 

 

十代君は、次のターンに融合モンスター『E・ HERO サンダー・ジャイアント』を召喚して反撃に出るも、亮さんは『サイバー・ドラゴン』2体で『サイバー・ツイン・ドラゴン』を融合召喚して再び優位に立つ

 

 

十代:LP2500

亮:LP1600

 

 

「面白れぇ、面白れぇぜカイザー、このデュエル!」

「ああ、俺もだ」

 

 

追い詰められているにもかかわらず、楽しそうにデュエルする十代君

亮さんも、心なしか楽しそうだ

…すごいな、十代君は…、色んな意味で…

そして、デュエルは大詰めを迎える

 

 

サイバー・エンド・ドラゴン:

★10 ATK8000

 

 

 

「『サイバー・エンド・ドラゴン』は貫通効果を備えている!」

 

 

全力を出してきた十代君をリスペクトとし表れた、亮さんのエースモンスター『サイバー・エンド・ドラゴン』

『パワー・ボンド』を使って融合された『サイバー・エンド・ドラゴン』は、元々の攻撃力4000の2倍となった

 

 

「『サイバー・エンド・ドラゴン』で、『マッド・ボールマン』を攻撃!《エターナル・エヴォリューション・バースト》!」

「十代君!」

 

 

十代:LP2500→0

 

 

入学以来無敗だった十代君が破れた

 

 

「楽しいデュエルだったぜ」

 

 

それでも、亮さんに十代君は笑ってそう言った

…やっぱり、すごいな、十代君…

そして、どうやら2人の想いが翔君に伝わったようである

…そうか、初めからこうするために…

 

 

「青人といったか?」

 

 

そう考えていると、亮さんが私に声をかけてきた

 

 

「明後日の夕刻、君の挑戦を待つ」

 

 

…へ?

 

 

「お、今度は青人が戦うのか?」

「え?お兄さんと?」

 

 

何かあったんスか?と、翔君は聞いてくる

 

 

「例のバイクも一緒にな」

 

 

あ、そういえばそんなこと言ったような…

 

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

すると、少し微笑んでから亮さんは踵を返した

…そうか、そうと決まれば、早速デッキを考えなければ…

そう考えると、私も挨拶もそこそこにホイールで寮へと向かった




8話終わりです。
主人公がこれまでと打って変わって大胆な行動に出ました。
そして、いろいろ動きまわったがためにDホイールのことがばれてしまいました…(そのおかげで、カイザーとのデュエルにこぎつけたわけなのですが…)

冒頭でクロノス先生に主人公が連れて行かれるわけですが、ラーイエローの彼に対しては普通の教師らしい対応でした。アニメでは話が進むにつれて飴と鞭の教育方針があることが明らかになるのですが、そういう面を見るとレッドに冷たくしてはいるものの、根っから潰そうとしているのとはまた異なるのかなと思えます。

さて、カイザーは今回Dホイールに興味を示していましたが、アニメでも時おり無邪気(というか天然?)な面を見せていた時があったように思います。そう考えると十代君と似ているような気がします。案外似た者同士なのかもしれません。

次回は、カイザー戦ですがどうなることやら…


それでは、また。
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