SDガンダムバインド~聖獣神話~   作:狼の騎神ガロ

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どうも、ガロです!ポセイディア戦後半、カナンの聖獣の片鱗があるという影人の聖獣はどうなるのか、それではどうぞ!


11話 渦巻く願い

ガイアディアとポセイディアが向き合い、その周辺にアローディア、ゼースディア、ヘルメディアが浮いている。

 

「おい影人、なんでてめぇここに来た…」

 

ゼースディアはガイアディアを睨む。今来るのはとてもまずい、できればこのまま撤退させたいのが彼の願いだ。

 

「いや、エリさんに頼まれて…ですけど…」

 

「エリに?……どういうことだエリ!」

 

アローディアは疑問を抱き、エリに通信を繋ぐ。

 

『私だって本当は連れていきたくなかったです。しかし、お二人は影人さんより早くから戦っていて、同調のリスクは影人さんより上です…だから…』

 

「俺たちを同調させないためにここは影人にまかせて休めってことか?」

 

『はい…お2人は手出しをしないでください。ですが万一の時は影人さんを止めてください…私には止めるのは難しいです…』

 

「わかった…あいつはいろいろ危険だからな…」

 

通信を切りアローディアとゼースディアはガイアディアから離れて後退する。

 

「影人、ここは一旦任せる」

 

「ポセイディアは水を自在に操る聖獣だ、気をつけろ」

 

「了解!」

 

「ははは!準備は整ったみたいだねガイアディア…それじゃあ…」

 

アクアリエが剣を掲げると同時にポセイディアが吼え、水でできた弾がポセイディアの周囲に形成される。

 

「第2ラウンド…開始!!」

 

剣を振り下ろすと、水弾、そしてポセイディアの口から渦を巻いた水流がガイアディア向けて放たれる。左手に持つ銃で水弾を打ちながら水流を回避し、ポセイディアに向けてレーザーを放つ。しかしそれはポセイディアが生成した高圧の水でできた壁に阻まれ相殺される。

 

「くっ!水を操るってそういうことか……」

 

「おやおや?カナンの聖獣様、その程度かい?ならこっちから行かせてもらうよ!」

 

アクアリエは自分の剣に高圧の水を纏わせながら接近し、ガイアディアに切りかかる。ガイアディアはそれを避けながら剣を振るい、銃弾で牽制する。よけられながらも剣と剣がぶつかりあい、鍔迫り合いの状態になった。

 

「なぁ、さっきから言ってるカナンの聖獣ってなんなんだ…」

 

「なんだ、レジスタンスのやつらから聞いてないのかい?カナンの聖獣ってのは、聖獣を超越した聖獣。言ってみれば創造主たちのことさ」

 

「創造主……」

 

「そう、そして!」

 

ガイアディアを蹴り飛ばし、アクアリエが剣を構え突進する。

 

「その力の片鱗が君の中にあるってことさ!!」

 

そのまま剣を振り下ろす。咄嗟に剣を体の前で構えて防いだガイアディアだが、敵わずに水面近くまで落とされる。しかし即座に飛行して難を逃れる。

――――――――

「苦戦してますね、影人さん…」

 

その様子をエリは基地のモニターから見ていた。その近くにはスーツの男性……智章の姿もあった。

 

「しかし、大神がカナンの聖獣となると、切り札は我々人類の元にある…ということになるな」

 

智章の呟きを聞いてエリは彼の方を見る。

 

「いくら影人さんにカナンの聖獣の力があるとはいえ、目覚めさせるには、影人さんを同調させなきゃいけないんですよ?……それは絶対してはならないことです」

 

エリは拳を握りしめながら智章に言う。しかし…

 

「カナンの聖獣がいなければ、戦況は硬直したままかもしれない…新たな犠牲をだすつもりか?」

 

智章はあくまで冷静だった。そしてこの言葉は、影人に多くを救うための犠牲になれとも捉えることが出来た。

 

「だからって、もう誰も同調させるわけにはいきません!」

 

「時縞、俺たちは平和のための犠牲だということを忘れるな」

 

「っ……」

 

智章の言う事の意味を十分理解し、言い返すことのできないエリ。すると…

 

「エリさん、影人が戦ってるんですよね!?」

 

「京香さん?」

 

突如京香から通信が届いた……

――――――――

戦況は硬直し、弾の撃ち合いばかりが続いていた。ガイアディアの方には疲労が見えるほどだ。

 

「あれ?もう限界?困ったな……君がそんなんじゃ、エイロスを倒すなんて夢のまた夢だよ」

 

「っ!?」

 

アクアリエの一言がガイアディアを動揺させる。今のままではマイシスは倒せない、両親の敵など取れない…そう影人の心に突き刺さった。

 

「なら、もっと…強く…」

 

震えるような声でニルヴェスタの中の影人が呟く。

 

「そうさ!でないと、僕らに殺されるよ〜?君の仲間たちが!」

 

さらにアクアリエが煽る。すると…

 

「……っ!がはっ!ぐぅう!」

 

ガイアディアが心臓部を抑え始める。ゼースディアとアローディアが警戒する中、アクアリエとヘルメディアは興味深そうにそれを見ていた。

 

「はは、始まったみたいだね!!」

 

「果たして神が出るか悪魔が出るか……」

 

「ガッ!グアァアアアア!!」

 

《Quell->EX[lic]->{hymi

kageto<=>apolodya};》

 

ニルヴェスタの影人の目の前にこの文字が表示される。すると……

 

「がぁぁぁぁぁあ!!」

 

ガイアディアに重なるように、赤く、猛々しい暴龍のイメージが浮かび上がる。

 

「あれは!?」

 

「あれがカナンの聖獣か…だが、物騒極まりないぜ、あんなの…」

 

その場にいた聖獣が警戒を強める。が、その時……

 

『影人!!』

 

「きょう……か……」

 

ニルヴェスタの中の影人が京香の声を聞いた。どうやら通信で語りかけているようだが、今の影人には関係なかった。

 

『影人、何聖獣に殺されかけてるのよ……私はカナンの聖獣とかそういうのは全然わからない。けど、これだけはわかるわ…

 

あんたは…影人は…一番強い人よ!』

 

「京香、何言って……」

 

力強く、京香は激を飛ばしていく。

 

『力だけが強さじゃないってことは、あんたが一番わかるでしょ…心の強さ、みせつけてやんなさい!!』

 

「………そうだね…ありがと……」

 

影人が笑顔を浮かべ、真っ直ぐポセイディアを見る。ガイアディアからは龍の幻影は見られず、その周囲にはルミナピットが漂っていた。

 

《 ahih=wa-fen-du chena-uia; 》

 

「なんだ、結局カナンの聖獣にはならなかったか……まあいいや、ならここで殺すだけだから!!」

 

ポセイディアが水弾を飛ばしていく。それをピットで相殺しながらポセイディアに飛ばす。ピットは光の速さで動くため、対処をしきれずにすべて受けてしまう。

 

「ぐっ!この!!なら……」

 

ポセイディアが自身の首から下を切り離す。すると辺りに渦潮が発生して切り離した部分がその渦潮の中に入り回転しはじめる。その渦潮は次第にガイアディアの方を向き…

 

「オーバーキル・ストリーム!!」

 

その渦潮とともにポセイディアの胴体が高圧の水と共に突進する。

 

「くっ!」

 

ピットや砲撃でも渦潮は消えずに、ガイアディアは渦潮に飲み込まれる。そして水圧を乗せたポセイディアの突撃でダメージを受ける。

 

「がぁ、くっ……どうすれば……」

 

すると影人はアレシディアとの戦いを思い出す…炎を吸収し自身の力にしたあの力を…

 

(あの力があれば…)

 

影人がそう思ったその時…

 

《Quell->EX[lic]->{hymi kageto<=>apolodya};》

 

たちまちガイアディアの熱量が上昇し、渦潮がみるみる内に蒸発していく。

 

「これは…」

 

「カナンの聖獣の力の片鱗か…」

 

渦潮が消えたことでアローディアとゼースディアはガイアディアの姿を視認できた。先程とは違い、暴龍のイメージは消えていた。一時的にだが、制御しているようだ。ガイアディアは熱と光を右手の剣に纏わせる。

 

「エクリプス…プロミネイトォォォ!!」

 

そのままビームのようにポセイディアに飛ばしていく。そして真っ直ぐにポセイディアに直撃すると、胴体は首の元に戻っていく。

 

「はは、どうやらカナンの聖獣の片鱗はあるみたいだね…楽しませてもらったよ。それじゃあね!」

 

そしてアクアリエたちは水となって消えた。

 

「どうやら制御したみたいだな、カナンの片鱗を持つもの」

 

ヘルメディアがガイアディアを見る。

 

「あんたは結局何者なんだ?」

 

「我は福音教会の者だ…お前が覚醒するときを我々は待つ」

 

そしてそのままヘルメディアもどこかへと飛び立っていき、レジスタンスの聖獣たちもそれぞれた…

―――――――――

「おや、あなたが連絡をするとは珍しいですね、東条事務次官」

 

福音教会の教会。その地下のヘルメディアが佇むその近くで、フユマサが電話を手にしていた。その相手は智章だった。

 

「なぜヘルメディアをあの場に送った。もうすでに大神がカナンの聖獣だと気付いてたのか?」

 

「まぁなんとなくでしたが…ですが今回で合点がつきました…あれは創造を司るカナンの聖獣ですね……」

 

「そうか…それさえわかればいい…では……」

 

「待ちなされ事務次官さん」

 

電話を切ろうとしていた智章を静止して、フユマサは真剣な眼差しをどこかに向けて

 

「たまには息子さんとも話をするべきですよ?彼には必要なことです」

 

こう電話越しに告げる。智章はどこか気まずそうに答えながら電話を切ると、フユマサはため息を吐いた。

 

「はぁ、まったくこの親子は…似たもの同士と言うのでしょうか…」

 

「フユマサ、どうかしたの?」

 

すると彼の近くにムジナがやってきた。それに気づくとフユマサはムジナのほうを向き笑顔を浮かべる。

 

「いえ、なんでもありません……それよりムジナさん、見定めはどうですか?」

 

フユマサの問にムジナは無表情ではあるが口角を上げる。

 

「ほとんど終わり。もうすぐで決まる」

 

「そうですか…」

 

嬉々とした表情を浮かべ、フユマサは真っ暗闇の方向を見る。そこには黒く禍々しいものがいるように見えた…

 

「ならもうすぐ目覚めるのですね…創造の対立に存在する、虚無のカナンの聖獣の片鱗も……そして我々スフィアの民は救われる…」

―――――――

「しかしあいつが制御するとはな…」

 

電話を切った智章はポツリと呟きながら部屋の窓の外を見つめる。見慣れた東京の町並み。五年前に火に包まれた町を。

 

「これで俺たちは守ることができる…この世界を…やつが完全に目覚めるまでは、俺達は犠牲にならないといけないか……」

 

携帯をふと見ると先程のフユマサの言葉を思い出す。すると彼はどこかに電話をかけた

 

「……梨奈か、家に帰る。あいつにもそう伝えてくれ」

 

電話を切ると彼は素早く荷物を纏めて家へと戻った…

――――――――

智章が家に戻ると、メイド服を来た若い女性が玄関で出迎えていた。お手伝いの梨奈である。

 

「おかえりなさいませ、智章様」

 

「ただいま梨奈…あいつは?」

 

「リビングにいらっしゃいますよ」

 

「………わかった」

 

荷物と上着を彼女に預け、智章はリビングに向かう。そこには…

 

「帰ってきたのか、親父」

 

「あぁ…」

 

智章のほうに顔だけを向けて智樹が椅子に座っていた。この二人はどこか意見が食い違い仲が悪い。

 

「ったく、親父は国防省が家じゃねぇのか?」

 

「俺の家はここだ。陽菜乃がいるこかがな」

 

この智章の言葉が智樹の琴線に触れ、智樹は激昴しながら智章を見る。

 

「母さんのいるここが居場所…?ならなんであの時いなかった!母さんはあんたが来るのを待ってた!!苦しいなかでも!!それなのに…ここが居場所だ?ふざけるんじゃねぇよ!!!」

 

「智樹……」

 

それだけでは収まらないのか、智章の胸ぐらを掴む。

 

「それに、みんなを救うために犠牲になる…だ?母さんを支えられないお前は、誰も助けられないんだよ!!」

 

そのまま智章を突き飛ばし、智章は尻餅をつく。騒ぎに気付いたのか梨奈が部屋の中に入る。

 

「お二人共!何を!?」

 

「気にするな梨奈……こうされるのは当然の報いだ…」

 

智章に近づく梨奈を静止しながらゆっくりと立ち上がる。

 

「俺は親父の考えを真っ向から否定する…みんなを助けることを優先するなら……俺は自身も家族…目の前の大事な人を守る!!」

 

そのまま智樹はリビングを出ていく。その背中を梨奈と智章はただ見送る。

 

「智樹様……」

 

「気にするな、あいつとはいずれ分かり合える…梨奈、夕飯の準備を頼む」

 

「は、はい!かしこまりました!!」

 

梨奈は急いで台所に向かって調理を始める。智章は1人のリビングで、家族の写った写真を手に取りまっすぐに見つめていた。その日の夜は、智章にとっていつもよりも暗く感じるほどだった……

――――――――

同じ頃、レジスタンスから戻った影人は京香と座りながら話をしていた。

 

「ありがと京香…京香のあれのおかげで暴走せずにすんだよ」

 

「あんなの一回しかしないんだから、次からは私いなくても暴走しないでよ?」

 

笑顔で話をしている最中、花奈が現れて二人の前に現れた。

 

「けどキョウカの言葉で復活するなんて、まるで主人公とヒロインだね!」

 

「主人公と……」

 

「ヒロイン……?」

 

花奈に指摘されて両者はお互いを見る。次第に顔が赤くなり…

 

「い、いやいや!私はそういうために言ったんじゃないわよ?影人が消えると…その……あぁいや、この話は終わり!花奈も変なこと言わない!!」

 

京香がこう言い放って立ち上がるとどこかに歩いていった。

 

「え、あ……京香……」

 

「あははは!カゲトおっかしーの!!」

 

咄嗟のことでキョトンとしており、京香がいたところをただただ見つめる影人を見て花奈は大爆笑している。しかし我に返ると……

 

「花奈お前ぇえええ!」

 

「あはは、落ち着きなって!!」

 

顔を赤くして花奈を揺する。

 

「それよりカゲト」

 

しかし突然花奈の顔が真面目な表情になる。それを感じ揺するのをやめて花奈を見る。

 

「カナンのマイソロジーを封じられたのは多分一時的。きっとカゲトを同調させるためにまた語りかけるかも…

けど、カゲトなら大丈夫だよ。キョウカがいることは、カゲトにとっての一番の強さだから」

 

そして花奈は影人から離れて笑顔を浮かべる。

 

「まぁまずはキョウカと添い寝できるくらいには初心卒業してもらわないとね〜!そのほうが面白いし!」

 

「お前ぇぇぇぇえ!!」

 

「じゃね〜!!」

 

「な!?」

 

再び肩を掴もうとしたが、花奈が消えたことで空を掴み少しつまづく。

 

「まったく……京香も花奈も…」

 

京香といてからというもの、家は騒がしくなり、なんでもないことで騒いだりすることが多くなった。それは影人にとっては困り事でもあり嬉しいことでもあった。

 

「まったく……けど、それがいいんだろうな……」

 

影人は自分の影を見つめながら呟く。マイシスとの戦いに身を置いてはいるが、それでも今自分がいるのはここだということを再確認した。

 

「ありがと、京香、花奈……」




アクアリエ「ははは!まさかカナンの聖獣が人間に渡るなんてね…けど僕たちマイシスは負けないよ、この世界のリセットのためにね
次回SDガンダムバインド聖獣神話『福音の調べ』日常が影に染まる前に」

次回はほぼ智樹が主役の話です!お楽しみに!それでは!
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