SDガンダムバインド~聖獣神話~   作:狼の騎神ガロ

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みなさんお久しぶりです!今回は影人の聖獣の能力、そして、聖獣との初戦闘です!お楽しみに、ではどうぞ!


第5話 金色の疾風

レジスタンスの基地、そこで、巨大なモニターを見つめるスーツ姿の男性が二人いた。

1人はストップウォッチを首からぶら下げた、ボサボサした黒髪の男性。

もう一人は、茶髪のストレートではあるが、まるで紳士然とした風貌の男性。

そして見つめるモニターの先には、先程のガイアディアの戦闘の様子が映っていた。

 

「これが、アスヴェル、地球の聖獣…ガイアディア…疾風さん、これどう思います?」

 

紳士然とした男性は、隣の男性に声をかける。疾風さん、と呼ばれた男性は、ただジーっとモニターに映るガイアディアを見つめながら、

 

「…契約してまだまもないというのもあるが、あいつ、動きの一つ一つが大振りだな…だが、特訓させればもしかしたら俺たちより強くなるかもしれないぞ?……大地、こいつと接触は図れるか?」

 

「そうですね…おそらく、あの契約者は先程影無が出現した辺りに住んでると思うので、そこら辺で張り込んでれば…」

 

すると、大地と呼ばれた男性はスマートフォンを取り出し、何かを調べながら呟く。

 

「はぁ、張り込みしないといけないのか?おい大地、俺がせっかちなのわかって言っているのか?」

 

「でもそうでもしないとガイアディアの契約者とあえませんよ?」

 

「うぐっ!?くっ、なら仕方ないか…“教会”が悪い企みを企てる前に、やるしかないしな…」

 

「あぁ待ってください疾風さん」

 

「なんだ、まだあるのか!」

 

ストップウォッチをぶら下げた男性は、しぶしぶ了承し、この場から出ていこうとするが、紳士然とした男性により止められる。

 

「あの人は……ガイアディアはまだ覚醒したばかり。もしこちらに引き入れようとするなら…変なことしないでくださいよ?」

 

「善処は……する」

 

そう言って疾風と呼ばれる男性は出ていった。

 

「はぁ…疾風さん、こういう時本気だしちゃうからな…怪我しなければいいんですけど、ガイアディアの契約者さん…」

―――――――――

「ふぅ…疲れた…」

 

バイトを終え、京香に言われた通りクレープを買ってきた影人は、自宅にまっすぐに向かっていた。そんな中、

 

「ようやく見つけたぞ、大神影人」

 

誰かにふと声をかけられた。その方を振り向いてみると、スーツを着て、首からストップウォッチをぶら下げた、ぼさぼさの黒髪の男性がいた。

 

「あの……あなたは…」

 

「俺は、レジスタンスの影無対策室聖獣チーム、小金井疾風だ」

 

影人がおそるおそる尋ねると、疾風と名乗る男性は、早口で自分の所属を名乗る。そのせいか影人は首をかしげていた。

 

「つまり、エリの仲間だ。今日はお前に用があってきた」

 

「俺に…ですか?」

 

「あぁ、お前の力を図ろうと思ってな…

ひとつ聞く、影無と戦ってる様子をみると、お前は俺達の仲間ってことでいいんだな?」

 

疾風の問に影人は縦に頷いて肯定のいを示す。するとそんな中…

 

「影人…?」

 

「京香!?」

 

ふと、凛たちとの外出から戻ってきた京香に声をかけられる。

 

「知り合いか?」

 

「いえ、知り合いというより、家族ですが…あの…あなたは…」

 

「俺を助けてくれた人の所属してる組織の人だって。あ、京香、これ持ってて」

 

簡単に京香に疾風のことを紹介し、クレープの入った袋を渡す。

 

「うん…あの、それで影人にはどんな用で…」

 

「こいつの聖獣としての実力を試しに来た、単なる興味だがな……おい影人、あんまり人を待たせるな…さっさと聖獣を召喚したらどうだ?」

 

「……」

 

「ま、まい……そろじー?影人、何それ」

 

疾風の言葉に、影人は沈黙し、京香は疑問を抱き影人に尋ねる。それでも沈黙を破らない影人の代わりに、疾風が口を開く。

 

「なんだ、話してないのか…影人は、神様を自分の影に宿したんだ、信じられないかもしれないけどな…

エリ、あれ頼むぞ」

 

疾風が、ここにはいないエリに声をかけると、影人たちは、紫色の空間に飲み込まれた。そしてしばらくすると、朝の状態の街に影人たちはいた。しかも、人は、影人、京香、疾風以外は誰もいないようであった。

 

「な、なにこれ、どういうこと!?みんないないっぽいし、しかも日が登ってる!」

 

その様子に京香は驚くが、影人と疾風の間には、そんなことを気にする余裕はないほどの緊張が走っていた。日の光が影人と疾風を照らし、両者の“影”を映し出す。そして…

 

「ならまずは俺から行こう……チェンジ」

 

《チェンジ、アローディア》

 

疾風が呟くと、彼の影が疾風を包み、その姿を変えさせる。

金色の体に、至る所から燃える緑の炎。足は4脚で、右手にはランス、左手には盾を持った、西洋の騎士のような風貌の聖獣。

 

「俺はアローディア、金星…ヴォルネの聖獣だ……さぁ影人、お前も聖獣を召喚しろ!」

 

疾風…いや、アローディアは、右手の槍【イナンランス】を影人に向ける。びっくりしたのか、京香は影人にしがみつく。

 

「か、影人、これどういうこと!?なんかいきなり影からぐわーってなるし、しかもあれなに!召喚ってか変身よねあれ!……って、これが…影人の言ってた星の神様?」

 

「お、落ち着いて京香!とにかく、詳しいことは後で話すから…」

 

なんとか京香をなだめ、影人はアローディアの方を向く。

 

「あなたはレジスタンスの人なんですよね?……なら、京香を安全な場所に連れていくことはできますよね?」

 

「あぁ、お前も行ったことのある基地の場所に転移させよう。だが、その京香ってやつに、今の自分の姿を見せたらどうだ?余計にそいつを心配させるだけだぞ」

 

イナンランスを向けながらアローディアは答える。影人は京香から少し離れた。

 

「京香、隠しててごめん、これが、今の俺の姿なんだ……

 

チェンジ!!!!」

 

《チェンジ、ガイアディア》

 

疾風と同様に、影人の影が影人を包み、その姿を白く、アローディアとは異なる騎士の姿に変える。

 

「影…人……それは…」

 

変貌した姿に京香は驚き、それ以上の言葉は出なかった。

 

「ガイアディア、アズヴェル…地球の神様なんだって…」

 

「それがガイアディアの姿か…

エリ、あいつをお前のところに」

 

「ま、待って、影人とまだ……!?」

 

京香は再び紫色の空間に飲み込まれ、この場から消えた。

 

朝の街にいるのは、白い聖獣と金色の聖獣の二体だけ…静寂が走る。先に動いたのはアローディアだった。アローディアが動いた瞬間…

 

 

イナンランスが、ガイアディアの左肩を貫いていた。

 

 

 

「………!?ぐぁぁぁぁぁぁあああ!?」

 

そこから少しして、痛みが影人を襲った。今貫かれているのはガイアディアの肉体なのだが、そのガイアディアと契約している影人にも、同じ箇所に痛みはあった。

 

「それが聖獣になって感じる痛みだ。聖獣が傷つけば、契約者も傷つく……」

 

「くっ……やぁ!」

 

ガイアディアは、現在至近距離にいることを利用して、右手の剣で攻撃しようとする。しかし、それは、即座にアローディアの、顔のついた盾に防がれる。さらに…

 

「【アポロガード】……」

 

その盾から超音波が放たれ、ガイアディアを妨害する。

 

「ぐ、ぐぁぁああ!」

 

苦しそうに頭を抱えるガイアディアに対し、アローディアはイナンランスを抜き、蹴り飛ばす。超音波によって無抵抗になっていたガイアディアはそのまま蹴り飛ばされる。

 

―――――――――

「うわぁ!?びっくりした…もう、何なのよ…っ!?」

 

レジスタンスの基地に転送された京香。ふと顔を見あげた時に見えたモニターに映っていたのは、影人が変身したガイアディアが、一方的に攻撃される様だった。

 

「か、影人!?ねぇ、大丈夫なの影人は!」

 

影人のことが心配になった京香が叫ぶと、その近くに紫髪のポニーテールで、スーツに身を包んだ女性が現れた。エリだ。

 

「あぁ、これは結構派手にやられてますね…影人さん」

 

「あの、なんで影人とあの人は戦ってるんですか?味方なんですよね?」

 

「えぇ、味方ですよ。だから、こうして戦っているんです……力の発現を促すために」

 

「力の…発現?」

 

京香が尋ねると、エリはモニターを見るように促す。ガイアディアは左手に持つ槍でアローディアを狙い光弾を放つが、とても素早く動くアローディアには効かず、光弾を放った瞬間によけられ、ガイアディアはアローディアに翻弄されていた。その様子を見て、エリが説明を始める。

 

「例えば、あの金色の聖獣だったら、“音速で動く”と言った具合に、それぞれの聖獣には、固有の能力があるんです。それに目覚めない限り、この戦いでは生き残れない…」

 

「生き残れないって…影人を命懸けの戦いに巻き込むんですか!?」

 

「巻き込むも何も、影人さんはすでにそれを選んでいますよ?」

 

エリの言葉に京香は沈黙する。

 

(影人はそういう人だよね…いつも誰かのために無茶をするし。今朝の影無襲撃のときだってそうだったから……)

 

「私、何かサポートできないかな…」

 

そんなことを思いながら、ジッとモニターを見ていた。

――――――――

「これで終わりだと思ったら大間違いだ!はぁあ!」

 

そしてアローディアは一瞬で距離を詰め、四方八方からガイアディアを貫いていく。その動きは目で追いつけず、さらにガイアディアはされるがままだった。

貫くと、アローディアはガイアディアを打ち上げ、即座にガイアディアの上に飛び上がる。そして、

 

「はぁ!」

 

盾でガイアディアを殴る。とっさに反応できたガイアディアは、腕を組みその衝撃を抑える。しかし威力が強かったのか、ドンという音とともに地面に叩きつけられ、砂煙があがる。

 

「いつつ……」

 

ガイアディアはゆっくりと立ち上がる。アローディアも着地し、再びガイアディアに槍を向ける。

 

「…ならこっちから!」

 

ガイアディアは左手の槍から光弾を放ちながら接近していく。しかしそれはアローディアの盾で防がれる。さらに接近しながら、剣で斬りかかる。だが、それもアローディアが突き出した盾で防がれ、つばぜり合いの状態となる。

 

「くっ……うぅ……」

 

「ふん…俺の盾と矛、さらにこの速さをもってすれば、お前なぞ簡単に!!」

 

盾でガイアディアを払う。よろけるガイアディアの隙を見逃さず、アローディアは槍を思い切り後ろに引き、

 

「G.R.B《グレートローリングボルト!》」

 

高速突きをガイアディアに見舞う。よろけていたせいで、まったくガイアディアは防ぐことができず、無数の突きを受けたガイアディアはその場に膝まついた。しかし、そんなガイアディアの首元に、アローディアは槍を突きつけた。

 

「おい、お前の力はそんなものなのか?お前は……そんなんで影無を倒そうとするのか?

……お前に問おう、何のために影無と戦う?何がお前をそう決断させた?」

 

「俺は……守りたい、生きたいと願いたい人たちを……それに、もうこれ以上……」

 

影人の脳裏には、死んでいった両親、そして、ガイアディアと契約する前に見た、泣きじゃくる京香の姿が浮かんでいた。

 

「目の前で誰かが泣くのを見たくない!だから……俺は死ねない……負けてられないんだ!!」

 

そう影人が決心すると、ニルヴェスタという聖獣の中の空間にいる影人の瞳の色が、黒から緑に変色した。さらに…

 

《 ahih=wa-fen-du chena-uia; 》

 

無数の文字列が浮かび上がり、再びあの詩が脳内に響きだす。

変化は影人だけではなかった。ガイアディアの目が一瞬光ったかと思うと、左腕に透明な盾が出現し、それと同時に、ガイアディアの周りを、光の胞子のようなものが走り始めた。

 

 

ガイアディアの能力が、発現した瞬間である……

 

 

―――――――――

ある天文台、そこの望遠鏡のところで、1人の少女が空を見上げていた。

 

『覚醒したな…』

 

「うん、ようやく、目覚めた、カゲトが……」

 

その少女は、誰かと話をしているようだった。

 

『アズヴェルのガイアディアの力を継承した、オオガミ カゲト…』

 

「うん、私たちが三年前に見つけた、太陽たる存在……」

――――――

「へぇ、やりますね影人さん。能力が発現しましたね……でも、あの能力は一体…?」

 

レジスタンスの基地では、エリが興味深そうにその様子を見ていた。京香も、祈るようにしてそれを見ていた。

 

(影人、あなたが決めたなら、何も言わないわ。だから…全力ぶつけなさい!)

―――――――

「それがお前の力か影人…なら、俺にその力を見せてみろ…この、音速のアローディアに!」

 

「言われなくても…でなきゃ何にも守れない!」

 

お互いに武器を向け合う。先に動いたのはガイアディアだ。ガイアディアが、槍の引き金を弾くと、周りの胞子がアローディア目掛けて放たれた。アローディアは先程同様に音速で回避しようとするが…

それよりも早く胞子がアローディアを直撃した。それは銃から撃ち込まれた弾丸のように、アローディアを攻撃し、よろけさせる。

 

「面白いな…まさか音速を超えた攻撃とはな…」

 

「当たり前です、“光”は“音”より速い…」

 

アローディアの呟きに、ガイアディアは再び武器を向けながら言う。

 

「そうか…だが、音速で動いているものを捉えることはできるかな!」

 

するとアローディアの体の節々から放出されている緑の炎が大きさを増し、その炎と共に、アローディアは加速しながら、ガイアディアの周りを駆け回る。アローディアの思惑通り、ガイアディアは動きを止め、必死にその姿を捉えようとしている。そして、

 

「そこだ!」

 

アローディアはガイアディアの上から、槍を突き出す。しかし…

 

「そうすることはもう見え見えだ!」

 

ガイアディアはその方向を向かずに光の胞子を飛ばした。光の速さで動くそれに反応できず、アローディアは盾を構えながらも胞子を受け続ける。

アローディアの位置を確認したガイアディアは、その方を向き槍を向ける。すると、胞子がその槍の先に集中し、エネルギーを増していく。

 

「エクリプスグレイズ…【モナド】!」

 

そう叫ぶと、防戦一方のアローディア目掛けて、細い光の帯が放たれた。胞子の対処で精一杯のアローディアにそれを防ぐ術はなく、それが直撃すると、爆発と共に、アローディアは地に落ちた。

 

「はぁ、はぁ…なるほど…つまるところ、“光を操る能力”か?ガイアディアの力は…」

 

やはり痛みを感じたのか、アローディアは肩で息をしているようだった。ガイアディアは応じずに盾に、右手の剣を擦り合わせ、剣を引っ張った。すると、胞子は剣に集中し、刃を延長させる。

 

「これで終わりです…エクリプス…グラ……!?」

 

そしてその刃でアローディアを切り裂こうとした瞬間、ガイアディアの…影人の意識は途絶え、召喚が解かれ、その場にバタリと倒れた。

 

「どうやら、能力についていけなかったようだな…にしても、なかなかに強い能力だな、うまく制御すればやはり俺たちを超えるやも…」

 

アローディアも召喚を解き、疾風はガイアディアの能力を分析しだすが…

 

『疾風さん、分析は後にして早く戻ってきてください。この空間作るの面倒だし疲れてくるんですから…』

 

まるで天の声のように語りかけるエリによって止められた…

―――――――――

「っ…うぅ……」

 

影人が目を覚ますと、そこは建物の中だった。病室だろうか。辺りを見渡すと、自分はベットの中にいて、そのそばには京香がいた。

 

「お疲れ様、影人。何か掴めた?」

 

「いや、あの時は無我夢中だったから……特訓がいるかな…」

 

ゆっくりと影人は起きながら呟く。すると、ドアがノックされ、二人の人物が入ってくる。エリと疾風だ。

 

「あぁ。お前の光を操る能力は、もし敵なら脅威になるかもしれないな。何せ音速で動く俺よりも早く攻撃することが…」

 

「疾風さん、そんなに早口で言わなくていいですから…」

 

ペラペラと影人の聖獣の能力について早口で語る疾風を、エリは静止させる。そして、一息ついてエリが喋り出す。

 

「まぁ何はともあれ、これでようやく、私たちも、あなた方を迎えることができますよ…大神影人さん、それに…」

 

エリは京香の方を見る。

 

「あ、えと…倉敷京香です」

 

まだ自己紹介をしていなかったことを思い出した京香は、頭を下げながら自己紹介をする。そして…

 

「はい。では改めて…倉敷京香さん、そして大神影人さん、ようこそ

 

国防省所属聖獣神話研究組織及び対マイシス武装認可組織レジスタンス

 

へ!」

 

笑顔で影人たちはレジスタンスに歓迎された。

 

 

 

 

「ねぇ、影人、なんでこんなに名前が長いの?」

 

「俺に聞かないでくれ、てかこっちが知りたい」

 

その後、ひそひそとこんな会話がなされたのは、言うまでもない…




卯月「初めまして、島村卯月です。あの、みなさんは幽霊って信じますか?私は、小梅ちゃんの話を聞いたりして信じているのですが……まさか本物の幽霊とお話するなんて思ってもいませんでした……
次回、SDガンダムバインド~聖獣神話~『影の影?』日常が、影に染る前に」

いかがでしたか?今回疾風の召喚した聖獣アローディアは、原作にも登場した聖獣です!さて、次回は京香に次ぐメインヒロインが登場!お楽しみに!
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