SDガンダムバインド~聖獣神話~   作:狼の騎神ガロ

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久々の投稿となります!今回は新たな組織、聖獣との遭遇、さらに影人の身に異変が!!
それではどうぞ!!


第8話 祈る者、壊すモノ

ゼースディアの一撃により、戦闘は終了し、影人たちはレジスタンスの基地へと帰投した。しかし……

 

「影人さん、お疲れ様です」

 

「は、はい!お疲れ様です隊長!」

 

ゼースディアになった時の大地の印象が残っているのか、大地が出撃前の話口調になっていても、影人はガチガチに緊張し、大地の呼びかけに敬礼しながら答えていた。

 

「お疲れ様……ところで影人、なんだか戻ってきてから大地さんを怖がってない?」

 

その様子が気になったのか京香が飲み物を渡しながらひそひそと話しかける。

 

「いやいや、戦闘中の大地さんを見てないからそうなんだって…」

 

「私も見てたわよ?通信は聞いてなかったけど、みんなをちゃんと纏めるいいリーダーだと思うんだけどな……それにほら、あんなに優しそうだし」

 

にっこりと笑いながら話す京香だが、それを聞いている肝心の影人は…

 

『始めますかね……殺戮ってやつをよぉ!』

 

『おいアルバ隊!てめぇらこっちに影無を引き寄せろ!』

 

「うん、あんな怖かったら絶対統制とれるよ……」

 

やはり戦闘時の大地に恐怖を覚えていた。

 

 

「もう…大地さん、なに新人の影人さん怖がらせてるんですか」

 

「そうだぞ、まぁ遅かれ早かれあれは見るだろうけど…」

 

「あはは、戦いになるとあの一面がでちゃうんですよね…」

 

そんな中、影人たちから少し離れた場所でエリと疾風が、怯えている影人を見ながら大地と話をしていた。エリたちが呆れながら言う中、大地は苦笑いしながら応答する。

 

「はぁ…まるでゲームってなると人が変わる小児科医の研修医みたいですね……」

 

「エリさん、それどういう例えですか……」

―――――――――

一方、どことも知れない場所、その中で、一箇所だけが明るい光に包まれていた。そこには異形のモノが3体……

 

「くそ!いつになったら俺はやつらと戦える!!」

 

赤い異形 グレアは、その中をうろうろしながら苛立ちを見せる。腕を組み、指でつつきながら歩き、ある所で止まると、近くにいた黒の異形に目を向ける。

 

「おいエイロス!いい加減戦わせろ!影無を呼び出して潰すのはもうこりごりだ!」

 

「グレア、イライラするのはわかりますが、衝動に任せては何もいいことはありませんよ?」

 

「だが、このままじゃ俺たちの計画も一向に進まないぞ!」

 

なだめても依然として強情なグレアに、エイロスは痺れをきらした。

 

「はぁ……なら、いいですよ、いってきても……」

 

「っしゃあ!その言葉を待ってたぜエイロス!いっちょ派手に暴れてくるかね!」

 

「待ったグレア…どうせ人間側にはあいつがいる、聖獣に邪魔されて終わりだと僕は思うけどな……」

 

やる気に満ち溢れているグレアを諭すようにアクアリエは言う。罵り合う中ではあるが一応は仲間なのである。

 

「何を言ってるアクアリエ、それがいいんだろ!聖獣同士のほうが熱く燃えたぎる!」

 

「脳筋の考えは全然わからない…それに、僕たちの目的はただ暴れるんじゃなくて…」

 

「アスヴェルの猿を滅ぼし、再びカタストロフを始める……だろ?」

 

それでもなお止めようとするアクアリエをグレアはまっすぐ見る。アクアリエはその瞳に、彼ならではの憎しみがあるように見えた。

 

「まぁ君の惑星…ホムラの現状を見たら仕方ないか……まぁ、暴れすぎないようにね…」

 

「あぁ……」

 

最後にこんな言葉を交わしてグレアはその場を出ていく。

 

「しかし、あなたがグレアの心配とは、珍しいですね…」

 

グレアが出て行ったあと、ふとエイロスはアクアリエに問いかける。

 

「あいつの心配なんてしたくないけど、嫌な予感がするんだ……」

――――――――――――――

数日過ぎた頃である。影人は1人で街を歩いていた。買い物ついでの散歩ということらしい。

 

「えっと今日は卵、ほうれん草、ひき肉……っ!?」

 

スーパーで買うものを呟きながら歩いていると、ふと右腕に何か暖かい、人の感触のようなものがあった。見なくてもだいたいの予想はついた、そう……

 

「花奈、突然ひっつくな!」

 

「いいじゃん、私とカゲトは一蓮托生、比翼の羽なんだから〜♪」

 

そう呟きながら花奈がさらにギュっと影人に抱きつくと、やはり影人の顔はさらに赤くなる。

 

「確かに俺の影なのかもしれないけど、離れろ!こんなとこで失神させる気か!」

 

「むぅ…わかったよ……」

 

まだまだ物足りない表情を浮かべるも、花奈はふっと消えた。そしてまもなく……

 

「お?影人じゃないか!」

 

正面の人混みの中から声をかけられた。その姿はすぐに見つかった。白く薄手のコートに身を包んだ、影人と同じくらいの歳の青年、智樹である。

 

「おぉ、智樹!!」

 

智樹に気づいた影人は手を挙げて彼に近づく。しかし、彼にはどうにもその服装が気になった。

 

「というかどうしたんだよその服、コスプレか?」

 

「コスプレじゃねぇよ、これから教会にいくとこだからさ……なんならお前も一緒にどうだ?」

 

「え?いいのか?」

 

「あぁ。もしかしたら、花奈ちゃんが言ってたことの解決に繋がるかもしれないぜ?」

 

「かも……しれないな、よし、行ってみるかな、タイムセールまで時間あるし」

 

「タイムセールって……お前は主夫かよ…まぁいい、こっちだ」

 

随分と家庭的な影人に笑いながら影人を案内する…

――――――――――

案内されたのは、都会から少し離れた、周りを森で囲まれた小さな教会。表札には、『(宗)福音教会』と書かれていた。

 

「福音教会、か…お前がここに世話になってるのは知ってたけど、どこの宗教なんだ?」

 

「俺もよくわからないんだ……何やら、星の神様らしいんだけど……」

 

「星の神様!?それってまさかマイソロジー!?」

 

星の神様、という言葉に反応して、花奈が出現する。智樹はもう驚く様子を見せていなかった。

 

「おぉ、花奈ちゃんか…そのマイソロジーってのはわからないけど、ひとまず入ろうぜ?」

 

そのまま智樹に案内され、教会の中に入る。内部は普遍的な教会とさほど変わらず、何列にもわたって椅子が並び、何人かが正面に向けて祈りを捧げている。

その正面には大きなガラスがある。さらに中央にはステンドガラスがあるが、そのガラスに描いてある絵がとても特徴的であった。影人と花奈はその絵に食いつく様に見入る。

 

「こ、これって……」

 

「カゲトのガイアディアにクロスディア、アレシディアとかヘルメディアもいる……マイソロジーの絵かも、これ……」

 

絵画の中には、ガイアディアなど、十体の聖獣と思しきものの絵が書かれていた。ある場所ではそれ同士が争ったり、惑星と思われる丸いものを背景に描かれていた。なぜここに聖獣の絵があるのか…そんなことを気にしながらその絵に注目していると…

 

「この絵が気になりますかな?」

 

ふと後ろから声をかけられ、振り向くと1人の男性がいた。見た目は40代ほどで、赤いシャツの上に白いコートを羽織っていた。

 

「あ…教祖様」

 

その男性に気づき、智樹は深々と頭を下げる。その様子を不思議に思ったのか、もう一度入ってきた男性を見る。

 

「初めまして、私はフユマサ・プロフェシア。この福音教会の教祖をしています」

 

フユマサと名のる男性は、笑顔のまま影人たちに挨拶をする。

 

「大神影人です、智樹の紹介でここに来ました」

 

「ヒナタカナ、カゲトのか…むぐぅ!?」

 

「ややこしくなるから言うな!」

 

影人たちの自己紹介の最中、花奈が影人の影と言う前に少々顔を赤くしながら口を塞ぐ。フユマサと智樹は微笑みながらその光景を見るが、フユマサは何やら疑念の視線を花奈に送っていた。その視線に気づいたのか、花奈はキョトンとする。

 

「あの……私に何か?」

 

「いえ、何やら不思議な雰囲気を醸し出してるのでね…私の気のせいかもしれませんが……」

 

「は、はぁ……あ!ところで、あの壁の絵って、マイソロジーのですよね?」

 

フユマサの言葉に依然キョトンとしている花奈だが、ふと、壁画のことを思い出して尋ねる。するとフユマサはにっこりと微笑んだ。

 

「はい、我々が崇拝する神は、聖獣となっています。あなた方も、聖獣のことをご存知なのですか?」

 

「はい…というより……その…自分が聖獣になったというか…なんというか…」

 

フユマサの問いかけに、言っていいのか少し戸惑いながら影人が答える。

 

「おや、聖獣の祝福を受けたのですね…ということは、ここに来たのも何かの縁なのでしょうね……」

 

「影人がなってるやつが、俺たちの信仰する神様なんて……すげぇよ影人!」

 

影人が聖獣であることを知った途端、智樹が影人の両腕を握る。まったく違う反応に、影人は戸惑う。

 

「ど、どうしたんだよお前いきなり…」

 

「だって聖獣なんだぞ!俺たちを救済してくれる神様の1人!!」

 

「智樹君、聖獣様に失礼ではないか…」

 

興奮冷めやらない智樹をフユマサが宥める。それだけ福音教会の者にとっては聖獣は特別な存在だろう…なだめたところで、フユマサは影人たちに謝罪する。

 

「すみません…智樹君は、我々の中でも、特に聖獣の救済を願っているもので……」

 

「いえいえ、にしても、智樹が…そういやお前は…」

 

「その話はあんまりしないでくれ、影人……それよか、あのこと聞いてみないのか?気になるんだろ?」

 

影人が智樹に話かけると、彼は複雑な表情を浮かべ、半ば強引に話を変える。思い出したかのように影人はフユマサに問う。

 

「そういえば、聖獣になって能力を使っているといずれ人ではなくなるかもしれないってことを聞いたのですが……フユマサさんは、何かご存知ですか?」

 

「人では無くなる……」

 

フユマサは顎に手を当てしばし考え、一つの可能性を口にする。

 

「同調……チェイン現象、ですかね…

人間が聖獣の力を使えば、聖獣にどんどん心を喰われていき、いずれ肉体を聖獣に支配され、心は失われる…それが、チェイン現象です。心が弱い者ほど、より聖獣に喰われやすいともいいます……」

 

「心が弱い者ほど喰われる……聖獣に……」

 

自分の手を見ながら、影人は少し震える。それを見てか、フユマサは影人の肩に手を置く。

 

「心が弱いというのは、復讐や怒りに囚われることです。あなたなら、きっと大丈夫だと信じています……」

 

「フユマサさん……」

 

言葉をかけられ影人がふと顔を上げると、フユマサが微笑みながら影人を見ていた。そしてフユマサは影人から離れ、一礼をする。

 

「あなたに神の加護があらんことを……」

―――――――――

その後、影人と花奈は教会を後にし、人混みのなかを話をしながら歩いていた。

 

「すごいな、聖獣を信仰している宗教があるなんて……」

 

「マイソロジーも神様だもんね…にしても、途中から話に参加できなかった……ねぇ、トモキって、なんであそこまでマイソロジーに助けてもらいたいのかな……」

 

「確か、親御さんと何か因縁があるみたいだけど……ん?」

 

しばらく会話を続けると、何やら不思議な雰囲気の男性を見つける。髪は赤で、なにやら黒い服の上に白衣を付け、下はダメージジーパンを着ている。その男性は影人に気づくと、まっすぐに影人に近づいてきた。

 

「なぁ、お前聖獣だろ?なんとなくだが、俺と同じ気配がするぜ?」

 

「っ!?なんでそのことを!」

 

影人は激しく驚きながら目の前の男性を見る。花奈もかなり警戒をしており、

 

「カゲト、この人マイソロジーだよ……もしかしたら、チェインしてマイソロジーに喰われてる……」

 

「同調して喰われてる!?あの人が……」

 

花奈の呟きを聞きながら再び目の前の男性の姿を見る。外見を見たところは、普通の人間と代わりは無い。

 

「ほぅ…よくわかったな……俺はマイシスのグレア……ホムラの聖獣だ!」

 

グレアと名乗る男性が指を鳴らすと、影人とグレアがいる場所が炎に包まれ、気づくと神殿のような場所についた。辺りからは炎が吹き上がり、グレアの背後には巨大な赤い星……彼の守る惑星の火星が映っていた。影人は戸惑いながら辺りを確認する。

 

「ここは……」

 

「ニルヴェスタのような空間だと思えばいい。それよりよぉ、せっかく聖獣がいるんだ…はは、あのままアスヴェルの猿を焼き殺そうと思ったが、聖獣と戦う方が気晴らしになる!」

 

グレアは静かに笑いながら叫ぶ。一方の影人は俯きながら、強く拳を握り震えて……

 

「アスヴェルってことは……人間を殺すってことか……」

 

いつもとは違う低い声でそう問う。

 

「当たり前だ、お前らは争いを続け、この星を枯らせ、ゆくゆくは他の星すらその血をもたらそうとする……なら消した方がいいだろ?」

 

「だから俺の父さんと母さんも殺したのか……!」

 

「カゲト!まって!怒りに囚われないで!マイソロジーに喰われる!!」

 

花奈が必死に影人をなだめようとするが、影人は聞く耳を持っていないようであった……

 

「人間は全て殺す…俺の星を守るためにな……」

 

「許さない……許さない!!マイシスは……絶対に……チェンジ!!!」

 

 

【チェンジ ガイアディア】

 

 

激昴しながら影人はガイアディアになり、グレアに向かっていく。対するグレアは臨戦態勢になるでもなく、何もせずに向かってくるガイアディアを見るだけであった。

 

「いいぞガイアディア……怒れ、もっと怒れ!そして我々と同じように聖獣に魂を捧げろ!!」

 

「黙れぇぇええええええ!」

 

そのままガイアディアは右手に持つ剣をグレアに向けて振り下ろす。

だがその剣はグレアの体を斬り裂くには至らなかった、なぜなら……

 

「ふん、短調だなお前の剣は…片手で受け止められる……」

 

「っ!?」

 

キィン!と金切り音を立てながら、その剣はグレアが変身した異形の右腕で受け止められていたのだ。赤く、篭手のような物を装備した腕の、さながらゴットガンダムのような姿、そして背中にはそれとは違う禍々しい日輪……

バインドゴットガンダム・グレアとなり、それを受け止めた。

 

さらに、その背後からは巨大な赤い鳥が現れる。不死鳥を思わせ、翼には砲門がある機械的な装備もあるその鳥からは、炎が浮かび上がっていた。

 

「相手になれ…このグレア、そして、火星…ホムラの聖獣アレシディアのなぁ!!」

 

そう叫びながらグレアはガイアディアを押し離す。ガイアディアは押し離されてもなお、目の前の敵を殲滅せんと、体制を変えて再びグレアに向かう。しかし、グレアの前にアレシディアが立ちふさがる。

 

「どけぇええええ!!」

 

「キュィィィィ!」

 

2体の聖獣は共に叫ぶ。互いに、その奥には怒りを感じる叫びに感じられる咆哮をあげ、ガイアディアが左手の槍をアレシディアに突き出す。それはヒラリと身を翻して避けられ、アレシディアが生成された火球の直撃を受け、倒れてしまう。

しかし、すぐに立ち上がり、ガイアディアはルミナビットを展開してアレシディアとグレアに向け放出する。光の速さで放出されるそれを避けることは出来ず、直撃してそれらの爆発を受けるが……

 

「ふふ、爆発さえしなければダメージはなかっただろうな…」

 

「っ!?」

 

アレシディアもグレアもまったくダメージを受けていないようだった。

 

「くっ、ルミナビットは当たったはずなのに……」

 

「カゲト!アレシディアは火を操るの。だから、爆発するものではダメージを与えられないよ!」

 

聖獣に詳しいのか、花奈が戸惑うガイアディアに助言する。

 

「ほぉ、聖獣のことを知ってるんだな、お前……だが、知ったところでお前にどうにかできるか?ガイアディア!」

 

「やるしかないんだぁああ!」

 

花奈に感心しながらも、アレシディアとグレアは同時にガイアディアに向かう。まずはアレシディアが飛び立ちながら体当たりを仕掛ける。ガイアディアがそれを避けるも、その直後のグレアのパンチに対応が遅れ、なんとか盾で防ぐも、勢いは殺せず、床に突き落とされる。

 

「マルスアルケミックサイロ!!」

 

「キュィイ!」

 

さらに間髪いれずにアレシディアの翼に備えられた砲門から、大量のミサイル、マルスアルケミックサイロが、ガイアディア向けて放出される。

 

「っ!ルミナビット!」

 

すかさずルミナビットを放ちそれを相殺する。相殺されたことによって、巨大な爆発が起きる。

 

「わぁ!?」

 

それは花奈が少し吹き飛ばされてしまうほどのものだった。そして、その爆発によって生まれた炎は、即座にアレシディアの力となった。炎がアレシディアを包み、巨大な火の鳥の姿となって燃え盛る。

 

「スパルタン……インフェルノォオ!」

 

「キュィィィ!!」

 

グレアが叫ぶと、一直線にガイアディアに向かい突進を仕掛ける。

 

「なら……エクリプス……」

 

対抗すべく、ガイアディアは盾に剣を滑らせ光を貯め……

 

「グライド!!」

 

剣から衝撃波を飛ばし、アレシディアへとぶつける。衝撃波と火の鳥は互いに衝突し弾ける。しかしアレシディアの勢いは止まらず…

 

「がぁぁあ!!」

 

そのまま炎はガイアディアに直撃し、ガイアディアを後方へと、突き飛ばし、ガイアディアは倒れてしまう。

 

「カゲト!!」

 

心配した花奈がガイアディアの元に駆け寄る。

 

「……絶対に倒す…お前たちだけは……」

 

だがガイアディアは…いや、影人はすぐに立ち上がり、睨みつけるようにアレシディアとグレアを見る。

 

「ふん、お前に勝てるか?復讐に囚われてるお前には」

 

「復讐……?」

 

睨むような目に、グレアは嘲るような視線を向けて答えていく。

 

「あぁ、俺がお前達に向けるものよりも狂気じみたものだ……ふふ、それで本当に聖獣か?」

 

「そんなの知るか……」

 

ニルヴェスタの中で、影人は唸るような声を上げて答える。それに対応するように、ガイアディアにも、何やら禍々しいオーラが見えてくる。

 

「たとえ復讐だとしても、俺はお前らからみんなを守んなきゃなんないんだ……でないと……」

 

その脳裏には…

 

―お母さんたちの分も生きて…―

 

「もうあんなのは見たくないんだよ!!だからお前らを……」

 

脳裏に浮かぶ凄惨な光景を払拭するように、俯きながら首を振る。すると…

 

《 ahih=wa-fen-du chena-uia; 》

 

一瞬、目の前に文字列が並んだと思えば、それはすぐに消え…

 

「ゼッタイ ニ ケシサル!」

 

《Quell->EX[lic]->{hymi kageto<=>giadya};》

 

まったく見たことのない文字列が浮かび、影人の瞳が黒から赤に染まり、ガイアディアの瞳も赤く染まった。

 

「カゲト…まさか……」

 

その現状に、花奈は心配そうな眼差しを向ける。あの状態は危険だ、本能的に察知していた。それはグレアも同じであったが…

 

「ほう…同調したか……ならかかってこい!ガイアディア!」

 

より好戦的になり、グレア自身でガイアディアに向かう。蹴り、パンチの猛攻を加えていくが、それはあっけなく避けられ、グレアが右ブローを与えるのを回避した直後、回転して腹部に蹴りを入れ、グレアを突き飛ばす。

 

するとグレアに入れ替わるようにアレシディアがガイアディアの前に現れ、大量のミサイルをガイアディアに向けて放つが…

 

「キエロ……」

 

ガイアディアは剣を空を切り横に振る以外は何もしていなかった。しかし…

 

 

ミサイルはそのまま地に落ちたのだった……

 

 

「なに!?貴様何をした!!」

 

戸惑いながらも、グレアは続けざまにアレシディアに火球を放つように命令し、アレシディアはガイアディアに向けて火球を放ち続ける。だが、火球はガイアディアにむかう前に消滅し、ガイアディアはそのままグレアへと向かっていく。その姿は、その場にいるもの全てが、恐れを感じるほどだった…

 

「カゲト、怒りに身を任せないで!マイソロジーに喰われるよ!」

 

「シルカ…トオサン ト カアサン ヲ コロシタヤツ ガ メノマエ ニ イルンダ…コロサナキャ…ケサナキャ…イケナインダ……!」

 

咎める花奈を他所にガイアディアはグレアを何度も…何度も斬る。逆袈裟で打ち上げ、グレアが倒れてもなおグレアに迫る。立ち上がったグレアは、せめてもの抵抗と右フックを与えるが、容易く左手で弾かれ、同時に剣による刺突を与えられ、さらに突き飛ばされる。

 

「くっ……何故だ……何故だぁあああ!……やれアレシディア、スパルタンインフェルノ!!」

 

怒りを覚えたグレアによって、アレシディアは再び炎を纏い突撃する。

 

「ムダダ…エクリプス・グレイズ【モナド】!」

 

だが、ガイアディアが槍をアレシディアに向けただけでその炎は消え去り、さらに光を収束させたレーザーをアレシディアに放つことで、アレシディアは神殿の柱に激突し、機能停止となった。

 

「なっ!?アレシディアをここまで追い詰めるだと……アスヴェルの猿ごときがぁぁああ!」

 

倒れるアレシディアを見て、グレアは激昴するが、ガイアディアにとってはもうどうでもよかった。ただ真っ直ぐに目の前の敵を見つめ、剣を構える。その背中からは、普段の輝く左右5枚ずつの翼の他に、炎が揺らめいていた。その炎は次第に剣にまとわりついていく。そしてその剣を振り上げ…

 

「エクリプス……プロミネイト!!!」

 

炎と共に振り下ろされようとしたその時……

ピュン!

何者かの紫色の光弾が2体の間を横切り、ガイアディアがその方に目を向けた隙を見計らい、グレアは炎を放ち退散した。それと同時に空間は消滅する。

 

「ナゼ ジャマ ヲ スル…!」

 

人は花奈以外誰ひとりとしていなかった。しかしガイアディアは飢えた獣のように、先程光弾の撃たれた方向を見る。そこには…

身体中に無数の刃をつけ、両手にそれぞれ違う刀を持つ、灰色の武士のような何かがいた。その武士は何も言わずにその場を立ち去った。

 

「ナンダッタンダ……今の…俺は……」

 

ガイアディアは変身を解き、徐々に自我を取り戻した影人は呼吸を整えながら、先程の武士のような姿の何かがいた方向をじっと見つめていた…

―――――――――――

「あの少年……名前は確かカゲト…か……あの力、そして赤い目…」

 

白いコートに身を包んだ男性が何やら光に照らされている、先程ガイアディアが会った灰色の武士のような姿の神を、両手を広げ見つめている。

 

「まさか彼は……ふふふはははははは!我ら福音教会に祝福の時が来たか……さぁスフィアの民たちよ祈れ!!カナンへの扉は開かれる!!導きたまえヘルメディア!我らに幸福をもたらせ!!」

 

その武神を見上げながら、男性は……フユマサ・プロフェシアは高らかにそう叫ぶのであった……




智絵里「…四つ葉のクローバーは、たくさん私に幸せをくれました。暗いところにいても、幸せになれるんです…その幸せをみんなにあげられたらいいな…次回、SDガンダムバインド聖獣神話『幸福と祝福』日常が、影に染まる前に……」

さて次回は始めて聖獣と同調してしまった影人、そして福音教会の一員である智樹に焦点を当てて話が動きます、お楽しみに!
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