元現代人は転生海賊一味を作りたい   作:四つ葉

10 / 13
 祝・話数二桁達成!

 これからも宜しくお願いします。


9.船出

「本当に行くのか?」

 

 ボートに乗った俺に、革命軍の船の上から声をかけてくる男――――サボ。

 

「あぁ。 ずっと夢だったし。

また会ったら一緒に飯食おうぜ」

 

 俺は、サボにそういって拳を突き出した。

 サボも、小さく微笑むと、俺の拳に自分の拳をくっつける。

 

「あぁ。 元気でな!」

 

 こうして俺の、海賊としての人生が始まった。

 

△▼△▼△

 

 ――――十年前。

 あれは、俺が革命軍に引き取られて、2ヶ月ぐらい経ったあたりだろうか。

 まだ子供で、ろくに戦闘も出来なかった俺は、革命軍で掃除や荷物運びなどの雑用をしていた。

 そんな中、俺は友達みたいに接していたサボにある夢を話した。

 

「…海賊になりたい?」

 

 サボは、興味津々という表情になり、問いかけてきた。

 

「…何で?」

「何で、って言われてもなぁ…。

とにかく、昔からの夢なんだ」

 

 まさか前世で漫画の中の海賊に憧れたから、とは言えないだろう。

 …というか、俺がこの世界で何か大きい事をしたら、ONE PIECEの漫画の作品の内容に影響するのかな?

 それともここは、漫画の中じゃなくてその世界の平行世界、なのかな…?

 まぁ、でも関係ないか。

 

「へぇ…。 何だか、よく分からないけど海賊って懐かしいな」

 そりゃ、君も一度は海賊を目指してたからね。

 

「サボは何か夢があるのか?」

 

 俺が逆に問いかけると、サボは視線を空中に泳がせ、暫く経ってから答えた。

 

「う~ん…。 特にないけど、でも今は、俺を助けてくれたドラゴンさんに恩返しをしたいかな」

 

 にっ、と、欠けた歯を見せつつ微笑む。

 

「そう、か…」

 

 そう言えば、俺もドラゴンに助けられたようなもの――――いや、助けられたんだよな。

 いつか、恩返しが出来たら良いな。

 

「俺も、機会があればやりてぇな」

 

 

 

 

 

 

 それはまた別の日。

 確か俺が、初めて任務に出させてもらえた時の事かな?

 あの時は、今まで蓄えた自分の力を、早く使いたくてしょうがなかった。

 

 といっても、任務内容は海賊と繋がっている海軍支部の調査だったけど。

 

「…おい、大佐の部屋に気になるものがあるぞ」

 

 一緒に調査に来ていた男が、呼びかけてくる。

 俺は、大佐の部屋まで行くと、そこの机の下の床のタイルがはずれる仕組みとなっていた。

 男は既にそのタイルをはずしていて、中を見ろ、と言わんばかりで穴を指さしていた。

 

 中を見なくても分かる。 穴を覗かなくても既に、その穴は、黄金の輝きをちらつかせていた。

 覗いてみると、やはりそこには無数の金塊や、現金が貯められていた。

 

 海軍の大佐が、何故こんなものを持っているのか、そしてまた何で隠しているのか。

 これは、海賊と繋がっているに違いない。

 

 そう確信したとき、部屋のドアから聞きたくない声が聞こえた。

 

「おいお前たち、何をしている!」

「げ!」

 

 恐る恐るドアの方を見ると、そこには怒りで顔が歪んだ海兵…調査前に一度見た、大佐だった。

 

「すぐそこから離れろ!」

 

 大佐は、背中にかけている刀より少し大きい太刀を引き抜くと、突進してくる。

 

 ――殺す気満々じゃないですかー。

 しかし俺は慌てず、人差し指を大佐に向かって突き立てた。

 

突酸(アサルト)

 

 刹那、指から小さい酸が放たれ、大佐の肩をかすった。

 

「く…」

「ちっ、覇気使いかよ」

 

 突酸(アサルト)は、かなり強い酸を小さく凝縮したものを打ち出す技だ。

 実際に人間に試したのは無いが、それでも木に向かって撃ったら跡形もなく溶け去った。

 しかし、革命軍の武装色が使える人に協力してもらい、木を硬化させてもらってから木に技を放つと、その木は溶けることがなかった。

 つまり、俺の酸は武装色に通じないのだ。

 

 まぁでも、突酸(アサルト)は普通に銃弾としての性能もある。

 

 俺は、ただひたすら突酸(アサルト)を打ち続けた。

 

 しかし大佐はやはり、腐っても大佐な為、俺の放った酸を武装色で硬化させた太刀で弾く。

 

「甘く見るなぁ!」

 

 大佐はそう叫ぶと、太刀を上段に構え斬りかかってきた。

 それはとても素早い動きだった。

 大佐になったのも頷ける。

 

 だが俺にとっては――――。

 

「遅いな」

 

 文字通り一瞬で、大佐の背後にまわった。

 

 これは<(ソル)>…地面を何度も蹴り、残像すら出現させないほどの速度で動く<六式>の一つだ。

 

酸拳(アシッドフィスト)!」

 

 武装色を硬化させ、かつ酸を纏った拳を、全力で後頭部にぶつける。

「がっ…」

 

 大佐は唾を吐き出し、白目を向いて倒れた。

 

「はぁ…やっちまったな」

 

 と、ずっと見ていた男が溜め息を吐いた。

 

「え?」

 

 きょとんとしていると、男は俺の背後を指さす。

 

 振り返ってみると、そこには突酸(アサルト)の流れ弾で溶け、残骸と化した部屋の家具などがあった…。

 

△▼△▼△

 

「…懐かしいな」

 

 サボや他の人に見送られ、海に出てから暫く経って、ようやく俺は意識を現在に戻した。

 

 色々あって名残惜しいが、それでもやっぱり、これからの事はワクワクする。

 

 ――海賊になって、転生者だけの海賊団を作って、そしてその先は…。

 

 落ちないように気をつけてから、ボートの上に立ち上がり、腕を空に突き出した。

 

 パクリだが、それでも言わせてもらおう。

 

 

 

 

 

「海賊王に、俺はなる!」

 




 はい、という訳で船出の回です。
 次回からついに、ソイズの海賊としての物語が始まります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。