これからも宜しくお願いします。
「本当に行くのか?」
ボートに乗った俺に、革命軍の船の上から声をかけてくる男――――サボ。
「あぁ。 ずっと夢だったし。
また会ったら一緒に飯食おうぜ」
俺は、サボにそういって拳を突き出した。
サボも、小さく微笑むと、俺の拳に自分の拳をくっつける。
「あぁ。 元気でな!」
こうして俺の、海賊としての人生が始まった。
△▼△▼△
――――十年前。
あれは、俺が革命軍に引き取られて、2ヶ月ぐらい経ったあたりだろうか。
まだ子供で、ろくに戦闘も出来なかった俺は、革命軍で掃除や荷物運びなどの雑用をしていた。
そんな中、俺は友達みたいに接していたサボにある夢を話した。
「…海賊になりたい?」
サボは、興味津々という表情になり、問いかけてきた。
「…何で?」
「何で、って言われてもなぁ…。
とにかく、昔からの夢なんだ」
まさか前世で漫画の中の海賊に憧れたから、とは言えないだろう。
…というか、俺がこの世界で何か大きい事をしたら、ONE PIECEの漫画の作品の内容に影響するのかな?
それともここは、漫画の中じゃなくてその世界の平行世界、なのかな…?
まぁ、でも関係ないか。
「へぇ…。 何だか、よく分からないけど海賊って懐かしいな」
そりゃ、君も一度は海賊を目指してたからね。
「サボは何か夢があるのか?」
俺が逆に問いかけると、サボは視線を空中に泳がせ、暫く経ってから答えた。
「う~ん…。 特にないけど、でも今は、俺を助けてくれたドラゴンさんに恩返しをしたいかな」
にっ、と、欠けた歯を見せつつ微笑む。
「そう、か…」
そう言えば、俺もドラゴンに助けられたようなもの――――いや、助けられたんだよな。
いつか、恩返しが出来たら良いな。
「俺も、機会があればやりてぇな」
それはまた別の日。
確か俺が、初めて任務に出させてもらえた時の事かな?
あの時は、今まで蓄えた自分の力を、早く使いたくてしょうがなかった。
といっても、任務内容は海賊と繋がっている海軍支部の調査だったけど。
「…おい、大佐の部屋に気になるものがあるぞ」
一緒に調査に来ていた男が、呼びかけてくる。
俺は、大佐の部屋まで行くと、そこの机の下の床のタイルがはずれる仕組みとなっていた。
男は既にそのタイルをはずしていて、中を見ろ、と言わんばかりで穴を指さしていた。
中を見なくても分かる。 穴を覗かなくても既に、その穴は、黄金の輝きをちらつかせていた。
覗いてみると、やはりそこには無数の金塊や、現金が貯められていた。
海軍の大佐が、何故こんなものを持っているのか、そしてまた何で隠しているのか。
これは、海賊と繋がっているに違いない。
そう確信したとき、部屋のドアから聞きたくない声が聞こえた。
「おいお前たち、何をしている!」
「げ!」
恐る恐るドアの方を見ると、そこには怒りで顔が歪んだ海兵…調査前に一度見た、大佐だった。
「すぐそこから離れろ!」
大佐は、背中にかけている刀より少し大きい太刀を引き抜くと、突進してくる。
――殺す気満々じゃないですかー。
しかし俺は慌てず、人差し指を大佐に向かって突き立てた。
「
刹那、指から小さい酸が放たれ、大佐の肩をかすった。
「く…」
「ちっ、覇気使いかよ」
実際に人間に試したのは無いが、それでも木に向かって撃ったら跡形もなく溶け去った。
しかし、革命軍の武装色が使える人に協力してもらい、木を硬化させてもらってから木に技を放つと、その木は溶けることがなかった。
つまり、俺の酸は武装色に通じないのだ。
まぁでも、
俺は、ただひたすら
しかし大佐はやはり、腐っても大佐な為、俺の放った酸を武装色で硬化させた太刀で弾く。
「甘く見るなぁ!」
大佐はそう叫ぶと、太刀を上段に構え斬りかかってきた。
それはとても素早い動きだった。
大佐になったのも頷ける。
だが俺にとっては――――。
「遅いな」
文字通り一瞬で、大佐の背後にまわった。
これは<
「
武装色を硬化させ、かつ酸を纏った拳を、全力で後頭部にぶつける。
「がっ…」
大佐は唾を吐き出し、白目を向いて倒れた。
「はぁ…やっちまったな」
と、ずっと見ていた男が溜め息を吐いた。
「え?」
きょとんとしていると、男は俺の背後を指さす。
振り返ってみると、そこには
△▼△▼△
「…懐かしいな」
サボや他の人に見送られ、海に出てから暫く経って、ようやく俺は意識を現在に戻した。
色々あって名残惜しいが、それでもやっぱり、これからの事はワクワクする。
――海賊になって、転生者だけの海賊団を作って、そしてその先は…。
落ちないように気をつけてから、ボートの上に立ち上がり、腕を空に突き出した。
パクリだが、それでも言わせてもらおう。
「海賊王に、俺はなる!」
はい、という訳で船出の回です。
次回からついに、ソイズの海賊としての物語が始まります。