そして一章二話目!
お楽しみください!
「
俺は、立ちふさがってくる海賊を酸で溶かしていく。
「ったく、何でこんな多いんだよ…」
敵のしつこさに、思わず愚痴をこぼす。
「あの…」
後ろから、シェイルのか細い声が聞こえてきた。
そういえばこいつ、今更だけど何者何だ? この島の事にもやけに詳しかったしなぁ…。
「? なんだ?」
「あっ、いや…他の人は助けないのかな、って…」
言いながら、申しわけなさそうに他の牢屋を見る。
「あぁ…今は助けねぇ。 大人数だと逆に邪魔だ」
それに、戦力になるかもわかんねぇんだし、俺単独だった方が確実に良い。
シェイルは……勝手についてきてるだけだ。
「とりあえず俺をここに閉じ込めた偉そうな船長を倒したら、また助けに来ようと思う」
「え…倒すんですか?」
間の抜けた声が、その場に響いた。
「はぁ? あったり前だろ?
俺をこんな目に合わせといて、あのまま椅子にふんぞり返るとでも思うなよ…」
まぁ、実際そこまで偉そうではなかったが、とりあえず初めての島だし、この島を牛耳ってる悪者らしいし、倒すべきだ。
「す、凄い決断力ですね…」
「何で?」
「だって、ソイズさんも見たでしょ? あの船長の勢力を」
「関係ないな」
所詮
「シェイルは戦うか?」
「え……あ…いや…」
俺がそう問いかけると、急にしどろもどろになる。
つまり嫌ってことか。 それに見たところ、こいつ戦闘員に見えないし、戦えない、な…。
「じゃあお前はここ出たら鍵持ってまたここに来いよ。 んで、他のやつを逃がしてやれ」
「いや…それもなかなか危険じゃないですか?」
「俺よりはマシだろ」
「あ…それは…」
再び言葉が詰まり、俯くシェイル。
何だか…大丈夫かこいつ?
「とにかく、俺は行くぞ。 ずっとそこに居たいなら居ろ」
そう言うと、シェイルは顔を上げて、歩き出す俺についてきた。
△▼△▼△
「…あの…ソイズさん?」
「…何?」
「さっきから同じ通路しか通ってないと思うんですけど…」
「そんなことはない」
「え、でも…」
「気のせいだ」
「いや、やっぱり」
「じゃあお前が先頭になれよぉ!!」
「え、逆ギレ…?」
呆れた様子でシェイルが呟いた。
まぁ…確かにこれは完全に俺が悪いな…。
しっかしどうするか…。 これは完全に…。
「迷った」
「やっぱり!」
まさかこんなに通路が入り組んでるとは思わなかったぞ…? 脱走されることも考えて作られてたとか? でもこんな入り組んでたら、見張りも大変だと思うんだけど。
「はぁ…」
「はぁ、って…僕がため息吐きたいですよ…」
そう言うと、シェイルは俺の前に立った。
「もういいです。 ソイズさんが言った通り僕が先頭になりますよ」
そう言ってすたすたと歩き出した。
「あ、ちょい!」
何も言えないまま、俺はシェイルについて行く。
…
……
………
沈黙。
見事に話すことがなくなった。
う~ん、さっきまでは話してたのに、話題が底を尽きちゃったな~。 なんか…うん…。
「…そういえば、ソイズさんの…頭の羽根は、何なんですか?」
と、静かだったのが耐えられなくなったのか、シェイルが声を上げた。
「ん…これ?」
俺は頭の黄緑色の羽根を指差し、問いかけた。
「はい。 それ、何でつけてるんですか?」
「ん~、それがねぇ、分かんないんだよ。 気付いたらあったというか…。 でもはずしちゃ駄目な気がしてさ」
俺が革命軍の船で目覚めた時からこの羽根はあったけど、一体何なんだろう。 物凄く…大切なもののような気がするんだけどなぁ…。
「気付いたらあったって…怖くないですか?」
「はは、まぁ、よく考えたらそうだな」
怖いと言えば怖いが、それでもこの羽根は記憶がなかった頃の手がかりみたいなものだからな。 はずす訳にはいかない。
「…ん? あ、ソイズさん! 出口っぽい扉が見えましたよ!」
と、前でシェイルがそう叫んだ。
言われて前を見てみると、確かに出口っぽい扉があった。 扉の隙間からは光が漏れていて、外を感じさせる。
「よぉっしゃぁー! ついに脱出かー!」
俺は、一気に扉の前まで走り、両手を突き上げてそう叫んだ。
「そうですね…。 割と順調でしたね」
「あぁ、後半は敵も少なくなってきてたしさ」
シェイルにそう微笑んで、扉のドアノブを掴む。
さぁ、あの船長に復讐だ!
「…で、そのまま逃げられると思ったか?」
瞬間、俺の見聞色が反応した。
急いでバックステップを踏み、その場から逃げ出したのとほぼ同時に、扉から刀が生えてきた。
「どぅわっ! …何だ?」
扉からだいぶ離れて体勢を立て直した所で、呟く。
刀が引っ込んでいく。
やがて、扉から刀が完全に引き抜かれると、扉が豪快に開いた。
そこに居たのは、黒と白で美しい光を放つ刀を持った男。 見たところ筋肉はあまりついていなく、細身なその男は、刀を下に下ろし、ゆっくりと中に入ってきた。
「やれやれ…脱走するとは、やんちゃな奴らだな」
切っ先をこちらに向け、渋い声でそう言う。
「…なんか、骨のありそうな奴が出てきたっぽいな」
「あわわわわ…」
シェイルがガタガタと震えている。
いや、ビビりすぎ。
「お前もお前だ、シェイル! 裏切り者の癖に、脱走するとは生意気な!」
今度は刀をシェイルに向け、そう叫ぶ男。
え? 裏切り者?
俺の意識はその言葉に向けられるが、男は大してそのことに触れず、刀を構えた。
「まぁいい。 今はそんなことよりも、おまえ等を再びあの牢に戻すことが先だ。 今度は海楼石の格子の牢屋に入れてやる」
男は口角を上げながら切っ先を再びこちらに戻し、そう言った。
ん~、何だか気になることはめっちゃあるけど、今はそんなことを気にしてられないみたいだ。
とりあえず、戦闘開始!