「
俺は、一旦敵から距離をとると、脚を思いっきり振った。
――<
「なめているのか!」
切っ先をこちらに向け、突進してきた。
「…って、速い!」
彼の鋭い斬撃を、ギリギリで避けると、
「
拳に酸を纏い、敵の後頭部を殴ろうとした。 しかし、敵は瞬時に反応し、刀でその拳を受けた。
――溶けない! 覇気使いかよ…。
そう確認すると、身を屈め、再び距離をとる。
――
「はぁ!」
敵が再び突っ込んでくる。 そして、目の前で止まると、刀を下段で構え、斬り上げようとする。
しかしその前に、俺は脚と靴を武装色で固めると、足の裏で刀を抑えた。
「…っとぉ、油断した」
刀を踏みつけたまま、もう一方の脚も武装色で固め、跳躍した。
「うぉ…」
俺が跳んだことにより、刀が床に叩きつけられる。 敵の重心が前になることを確認し、もう一方の足で敵の顔面を思いっきり蹴った。
「おらぁっ!」
「がっ…」
蹴ったあと、片足で着地する。
「ぐっ…」
脚がジンジンする。 とっさに顔を武装色で固められたか…。
「はぁ…ふぅ…。 踏ん張れない空中であの威力とか…化け物か」
「いや、お前の反応も早いよ」
敵は、刀を杖にしつつ、立ち上がった。
「…き、気をつけてください、ソイズさん! そいつは素早い動きで敵を翻弄する、“
後ろから、シェイルの声が聞こえる。
――だから、何でそんな強い奴がここに居るんだよ。
「そうさ…俺は懸賞金7600万ベリー、この世界に名を轟かす、“歯車海賊団”二番船船長のカムイだ!」
切っ先を上に向け、そう叫ぶ。
…いや、何で説明したし。
「
刀を横に構え、飛びかかってきた。
俺は、次来る攻撃に備え、拳を武装色で固め、尚且つ酸を纏った。
「
カムイが、思いっきり刀を振った。 それに合わせて、こちらも拳を合わせる。
「つっ…」
拳が刀に当たった瞬間、斬撃が
「ぐっ…つぅ…」
痛みに耐えつつ、脚で刀を蹴り上げた。
俺は刀をカムイの手から放す目的でやったのだが、刀は全く放れる気配はなく、逆に相手に次の攻撃をさせるチャンスをあげてしまった。
「はぁっ!」
「つ…!」
カムイが、刀を振り下ろす。
鋭利な刀が脳天を裂く前に、武装色で固めた両腕をクロスさせ、刀を防いだ。 先程の傷が痛む。 その痛みを無視し、刀を両手の甲で挟み、無理やり身体の横に持ってこさせる。
「む…ぐ……力だけは強いな…」
カムイがそんなことを言っているが、気にしない。
「
左足に酸を纏い、カムイの横っ腹を精一杯蹴った。
「どぅわっ!」
カムイがめっちゃ吹っ飛――――ばせない。
刀を抑える力を強めて、カムイが吹っ飛ばないようにする。
結果、相手は大きく横に振られた。 それでもカムイは刀にしがみつき、絶対に刀から離れない。
「クソッ…これでも駄目なんかよ…。 握力イカレてるだろ」
呟きつつ、カムイが振られる速度が最速になったあたりで手の甲の力を緩める。 と、カムイが勢いよく吹っ飛んだ。
「ぐはっ!」
「
俺は一気に倒しきるために、
これは銃弾としても効果がある。 とりあえずうてば大丈夫! …なはず。
「シェイル! 行くぞ!」
「えっ? あっ、はい!」
正直あいつを倒しきれる自信がない。 出来たとしても、その時は俺は体力を消耗しきっているだろう。 それはまずいことだ。
そう考え、俺達は全開になっている扉から外に出た。
ついでに、バリケードも張っておいた。
△▼△▼△
「ハァ…ハァ…ふぅ…」
「ゼェ…ゼェ…」
あの牢獄からかなり遠いところまでやってきた、と思う。 闇雲に走って来ただけだし、途中で何回か階段を上ったりして、今どこで何階かも分からないけど。
「…ゼェ…はぁ……。 そ、ソイズさん、強いですね」
「まぁな。 一応ずっと訓練してたし」
「…訓練?」
「あ、言い忘れてたっけ。 一応、元革命軍だ」
「えぇ!?」
そんな驚くことなかろうに。 いや、でも驚くもんなのか?
「ちっさい頃革命軍に救われてな。 それから今までずっと革命軍で仕事してたんだ。 まぁ、辞めたけど」
「え、何で辞めちゃったんですか?」
「夢を、叶えるためだ」
自分で話していて、気持ちが高揚していくのが分かる。 こうやって、夢のことを語るのは、サボ以外には初めてかな…。
「海賊になりたかったんだ、ずっと」
「え…」
「この大きな海を、自分の意志で、自由に冒険したいんだ。 いずれは、伝説の秘宝を見つけ、海賊王になる!
…あと、ついでに悪者を倒す!」
…っていうのもあるけど、やっぱ一番の理由はルフィに憧れて、だけどな。
「ついで、って…だいぶ適当ですね…」
「うるさい!」
…それにしても、こいつと話してて飽きることがないな…。 楽しいや。
…あ、そういえば…。
「なぁシェイル。 さっきカムイが言ってた、“裏切り者”って――――」
「居たぞォ!」
俺が問いかけようとしたとき、右の方から海賊の叫び声が聞こえてきた。「あ、やべ」
逃げる途中、敵を蹴散らすとき酸を使わなかったからなー…割とすぐバレたか。
「シェイル、行くぞ!」
「はい!」
俺達は、左に向かって走り出す。
窓でもいい、とにかく外に繋がる場所があったら――――。
「って、あった!」
窓だ。 後ろを向き、シェイルがついてきていることを確認する。
「うぉぉ!」
そして、俺は高さを確認もせずに、窓を突き破って外に飛び出た。
いやぁ、やっぱり戦闘シーンは苦手ですね。 どうも早く終わらせてしまう。
何とか克服せねば。