元現代人は転生海賊一味を作りたい   作:四つ葉

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7.記憶を喰らう者

「なっ…今何て言った!?」

 

 

 ドーン島、ゴア王国。

 とある一軒の貴族の屋敷に、少年の叫び声が響いた。

 彼はサボ。 自らの父親により、コルボ山からこの屋敷に連れ戻されていた。

 屋敷で待っていたのは、いつの間にか両親が養子に貰っていた義弟のステリー。

 今、サボはそのステリーからとある事実を聞かされていた。

 

「聞こえなかったのか? だから、グレイターミナルを燃やすんだよ。 天竜人が来る前に、この国の“汚点”を全て破棄しなきゃいけないからね」

「ふざけるな! あそこにはまだ、沢山の人が居るんだぞ!」

「…はぁ。 言ったろ? この国の“汚点”は()()廃棄するって」

「…ッ! まさか…!」

 

 サボは顔を真っ青にすると、パイプを片手に、窓から屋敷を抜け出したのであった。

 

△▼△▼△

 

 時は、数時間前のコルボ山に遡る。

 

 エース、ルフィ、そして俺は、サボが居なくなってしまった事で落ち込んでいた。

 

 

 ――――くそ、まさかあいつらが海楼石を用意してたとは…。 少し能力を人の前で使いすぎた…。

 

 サボの親とその手下がやってきて、俺はすぐに戦闘の用意をしたが、海楼石の棒を首に当てられ、動く事が出来なかった。

 その後エースもルフィもボコボコにされ……サボは連れ去られてしまった。

 …いや、あっちから見たら連れ去っていたのは俺達なのかもしれない。 俺があいつらの立場なら、そう見ていた。

 

 

 …はぁ、それにしても早かったな。

 これから少なくとも頂上戦争あとまで、記憶が万全なサボとは会えない訳か。

 楽しかったのになぁ…。

 

「…あれ?」

 

 と、家の外に見慣れない人影が居るのに気付いた。

 …何だ? こっちをチラチラ見てる…。 怪しいな…。

 

「悪ィ、ちょっと」

 

 俺は二人にそう言うと、家の外へと出た。

 

 さっき人影を見た場所まで行くと、人影がこちらに気付き、逃げ始めた。

「あっ、ちょっと待て!」

 

 思わず声を出し、追いかける。

 

 人影は、うまく木を使い、視界から逃れようとする。

 しかし、視界から外れるほど、人影は足が速くない。 まぁ、俺が速い、って事もあるかもしれないがな。

 

△▼△▼△

 

「ハァ…。 くそ、どこ行った?」

 

 グレイターミナル。

 人影は、この場まで来ると、ゴミの陰に隠れ、どこかへ消えてしまった。 あいつはかなり隠れるのが得意なようだ。

 …でもな…。 俺には見聞色の覇気がある!

 

 俺は、人影の位置を特定すると、その場に向かって酸弾(アシッドショット)を――――

記憶食(メモリアエデッセ)

 

 ――――放てなかった。

 

 突然、酸を放とうとしていたゴミの中から白い口のようなものが現れ、俺の頭にかぶりついた。

 

「うぐわぁぁぁ! 痛………………くない?」

 

 不思議と、痛みは感じなかった。

 いつの間にか口も消えている。

 何だったんだ? さっきの。

 

「おっ、こりゃ()()()()!」

 

 と、口が現れたところから声が聞こえてきた。 それと共に、ゴミからひょいと誰かが顔を出す。

「ッ! 誰だ、お前…!」

 

 いつでも戦えるように、構える。

 

「ウカカッ、まぁそんな構えるなって。 ちゃんと自己紹介するからよ。

俺ぁ、トローク・アルト。

さすらいの賞金稼ぎで、一応、悪魔の実の能力者よぉ」

 

 アルトは、ゴミの上に立つと、そのたらこみたいな唇で話し続ける。

 

「メモメモの実、って言ってよぉ。 他人の記憶を覗けんだ。

んで、覗いた記憶を喰う事が出来るんだ」

「記憶を…喰う?

そんな事して何になるんだ?」

「そう。 そう思うだろ?

でもなぁ、これがメモメモの実の一番良いとこなんだ。

記憶を喰うとな、その喰った記憶の中の“経験”“名声”“力”“技術”をぜーんぶ俺のもんに出来んだ。

凄ェだろ?」

「な…」

 

 チート過ぎるだろ!? 俺が食いたいわその実!

 

「ま、容量があるから、あまり喰いすぎると頭がイカレちまうし、悪魔の実が関係した技術や力は喰っても俺のもんに出来ねーけどな」

 

 …いや、それでもやっぱチートだって。

 

 ようは、海軍大将の海軍大将になってからの記憶を喰えば世間から海軍大将として見られるし、その悪魔の実を除く力を使えるんだろ? 強すぎだわ。

「おめぇ、今強い奴の記憶喰えば最強とか思ったろ?

でも、そうはいかねーんだ。 記憶を喰うには、さっきおめぇに使った技を当てなきゃいけねぇんだ。

強ェやつはなかなか当てられなくてよぉ、偉い奴は護衛がついてるし、おまけに記憶はまずいし」

「まずい、って…さっきも言ってたけど、記憶に味があんのか?」

「そりゃああるさ。 まずければ自分に合ってない…自分が取り入れるべきじゃない記憶なんだよ。

俺ぁ、きたねぇ街に生まれたからよぉ、貴族とかの記憶は合わねぇんだよなぁ」

 

 ウケケッ、とまた笑うアルト。 そしてゴミから降りると、俺のすぐ近くまで来た。

 反射的に、アルトから離れる為、後ろに跳んで後退する。

 自分でも見事に思うほど綺麗に着地した瞬間、疑問に思った。

 

 ――――あれ、何で俺こんなにスムーズに動けるんだ?

 

 俺はまだ修行はしてない…。 あれ? でもサンサンの実は食べたよな? というか俺いま何歳だ?

 

「お、早速混乱してるなぁ」

 

 アルトが、楽しそうに呟いた。

 混乱……あ、そうか!

 

「さっきの攻撃で、俺の記憶を奪ったな!」

「ウケッ、気付くの遅過ぎだ」

 

 …確かに遅過ぎだ。 わざわざ目の前で説明されてた、ってのに…。

 俺は何の記憶を奪われたんだ?

 …くそ、4歳ぐらいまでは覚えてるのに、そこから現在までの記憶がねぇ…。

 ここはどこだ? 俺はどこからここまで来た?

 アルト(こいつ)を追ってきたことは覚えてるのに……ん~なんかモヤモヤする!!

 

 混乱している思考を整理しようと、頭を抱えて座り込む。

 

「…まぁ、んなこたぁ良いんだ。 俺ぁ、おめぇに聞きてぇことがあってよ」

 

 アルトが、俺を見下ろして口を開く。

 

「…聞きたいこと?」

 

 俺は、思考の整理を止める。

 記憶を喰われたんじゃ、いくら考えても蘇ることはきっとない。

 だから、アルトの“聞きたいこと”とやらを聞くことにした。

 

「ずばり…」

 

 アルトも俺と同じように座り込み、視線を同じにする。

 

「――――――――おめぇ、何者(なにもん)だ?」

 




メモメモの実のことを一応詳しく記しておきます。


まず、メモメモの実の記憶を喰う(盗む)条件は技を当てることですが、事前に当てる相手の記憶を覗いておけば盗む記憶を選ぶことが出来ます。
覗いていなかったら、ランダムで盗めます。

記憶が盗まれると、盗まれた者の経験は全て盗んだ者の経験となるので、4歳(修行開始の年齢)からの記憶を奪われたソイズは、ガープやルフィの事を忘れてしまい、また、ガープやルフィにとって、アルトがソイズの立場に居ます。
なので、ソイズとルフィ達の関係はほとんど断ち切られました。

記憶は捨てることも可能で、捨てると記憶は消え去ります。
当然捨てた事は誰も覚えてなく、復元も不可です。

また、相手の記憶は盗めても、筋肉などの肉体についているものは当然盗めません。
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