狩人闘恋万華鏡〜迅竜の恋情と覇竜の傷跡〜   作:ドーントレス

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はい、どうも皆さんお疲れ様ですドーントレスです。
実はこの作品、章分けしてるんですけど、次の次の章くらいで最終章にしようと考えております。

まぁ、そうは言っても一つの章でぐだぐだダラダラとやってますので完結するのはまだもうちょっと先になりますね。

前書きにこんなこと書くもんじゃねぇと思いながら書かせていただきました
では本編を「「「どうぞ‼︎」」」ちょ…おぃ苦笑


第17話 「とある激おこ」

 

 

sideセニア

 

窓から侵入してきたハンゾウさんは、ゆっくりと歩を進めこちら側に近づいてくる。

それと同時に後ろの男は圧倒されたかのように一歩また一歩と後ろへ下がっていく。

ハンゾウさんは私の前で止まると、拘束具を引きちぎるようにして椅子から解放してくれた。

そしてもう一度男の方に向くと少しため息を吐き、そして再び無言で男に近づいて行く。

 

「な…なんでだよ⁉︎い、いくらなんでも早すぎるだろ⁉︎」

 

男の慌てふためき様はおもわず笑ってしまいそうになるが、抑え込む。

 

「あんなぁ…おめぇさんはもうちょっと相手をしっかり見て、知ってから喧嘩売ったほうが良いぜ?」

 

ハンゾウさんは歩みを止め、男を見下すようにゆっくりとしかし強く言葉を紡ぐ。

やがて男の方も大分落ち着いてきたのだろう。

余裕が出てきた男はギルドナイトの帽子を被り直し、ハンゾウさんを睨む。

そして僅かに口角を上げると腕を組み見下し返すように顎を上げてハンゾウさんに向き合う。

 

「しかし流石は幻のハンターだなぁ。

敵陣に1人で乗り込むとは…良いのかい?こっちには人質がもう1人居るんだぜ?」

 

「……」

 

ハンゾウさんは動かない。

足を肩幅くらいに広げ、楽な姿勢でしっかりと相手を見据えている。

 

「ようやく状況が理解できたようだな…何にも考えずに突っ込んできたりするたぁ、力は強えがお頭がまだまだ出来上がってねぇんじゃねぇのか?」

 

「…」

 

「な?セニアちゃんよぅ?こんな体力馬鹿の筋肉モリモリマッチョメンの変態なんかより俺のほうが良いと思うだ「…やれやれ、よぉくそんなに口が回るなぁ…」ーんだと?」

 

ようやくハンゾウさんが言葉を発する。

そこには明らかな失望と若干の同情、そして嘲笑が混じっている。

 

「弱い犬ほどよく吠えるたぁよく言ったぁもんだ。

そろそろてめぇのその腐りきったお頭で考えた作戦とやらを見せてくれよ?ま、もう手遅れだがな」

 

「てんめぇ…調子こいてんじゃ、ねぇぞ‼︎」

 

刹那

 

部屋全体が電気を帯び始める。

金属部分が放電し、電流が男の体にまとわりつくように走る。

 

「テメェが一歩でも動けばもう1人を殺す‼︎動くんじゃぁねぇぞ‼︎」

 

男は両腕に電気を集中させ、ハンゾウさんを殴りつける。

人間とは思えぬ早さで繰り出されるラッシュをハンゾウさんは避けることもせず、全てを全身で受ける。

しかし、殴られこそしているけれど全くハンゾウさんは動かない。

次第に男の顔から消えラッシュを始めた時にあった下卑た笑みは消え、ただ必死に拳を振り続ける。

 

「くっそ!クソクソクソクソ‼︎なんなんだよ!早く!飛べよ!死ねよ‼︎消え失せろよ‼︎どうなってやがんだよ⁉︎」

 

やがて男の顔に恐怖の色が出始め、男は狂ったように叫ぶ。

 

刹那

 

男は宙を舞った。

何が起きたか分からないと言いたげな顔をして…

 

「はぁ…言ったとうり一歩も動いちゃいねぇからな。

テメェなんざ動かなくても軽く捻れんだよ」

 

世界がとてもゆっくりと時間を刻んでいるかのような感覚に襲われる。おそらくあの男もそうなのだろう…

 

その中で唯一、世界から隔離されたハンゾウさんを捉えられる者など…誰1人としていない。

 

「んじゃあ、反撃といきますかねぇ」

 

ハンゾウさんは軽く跳躍すると空中にいる男の鳩尾を貫通させん勢いで蹴りを入れ、吹っ飛んだ男を壁を蹴って加速し回りこんだところで殴り下ろすと首を掴み、もう一度投げとばす。

呆然と佇んでいた私の前に落ちた男は呻き声をかすかにあげ、弱ったギギネブラのように這いずってこちらに近づいて来る。

全身に鳥肌が立つ感覚を覚え、テーブルの向こう側まで凄いスピードで逃げた。

 

ハンゾウさんは再び歩いて戻ってくると這いつくばってる男の背中を踏みながら問う

 

「…ローザはどこだ?」

 

いつもより低く、ゆっくりと問いかけるその様子は今まで見てきたどんなハンゾウさんにも当てはまらない…

今まで私達には決して見せなかった『マジギレ』そのものだった。

 

「教え…てや…るもんか…よ…ぐぉあ!」

 

「…もうだけ一度聞く。ローザはドコダ⁉︎」

 

「はぐぁ!…くっ…くくくく!まだまだ、俺には…手は残ってんだよ‼︎」

 

男は叫ぶと奥歯を噛み締め、何かを噛み砕く。

 

刹那

 

「っ⁉︎」

 

男の身体が膨張し始め、鎧から黒き剛毛が生え、頭から二本の角が天をも穿たんと生え伸び、雄々しく雄叫びを上げてハンゾウさんを振り落とし、そのまま振り落としたハンゾウさんをバックキックして吹っ飛ばす。

そして、私は言葉を失った。

そこには、さっきまで這いつくばっていた男の姿はなく、ギルドナイトの帽子を猛々しい角で貫いた私の最も苦手な牙獣種《ラージャン》がいたのだから。

 

『は、はは、はぁっははははは!サイッッッッッコウだなぁ!このチカラはぁヨォ‼︎』

 

ラージャンからくぐもった男の声が聞こえる。

ラージャンは跳躍し、ハンゾウさんを捕まえると

 

『ここはチョット窮屈だなぁ!外でアソボゥゼ‼︎』

 

ハンゾウさんを窓から外に投げ、自分も走って外に飛び降りていった。

 

私はまだ頭では理解し切っておらず、何をどうすればいいか分からなかったが、ハンゾウさんを追うことにした。

急いで扉の方へ向かい、廊下に飛び出し「待ちなよ。そんな走ったら危ないぞ?」た瞬間にインナーを引っ張られこけた。

 

ビリって言う嫌な音したけど大丈夫かなぁ…

私は強打した腰をさすりながら立ち上がり、私を止めた人物の方へ向く。

その時は文句の一つでも言ってやろうと顔を強張らせていたのだが、その人の顔を見た瞬間、私の顔から力が抜ける。

ちょっと間抜けな顔をしているかもしれないが、今はそんなこと気にしている余裕も考えもなく、その代わりに一筋の涙が自然に溢れ出ていた。

 

「…やあ、セニア。いい子にしてたか?」

 

「…おね、えちゃん?」

 

そう、そこにはもう会えないかと思っていた最愛の姉『セイラ』の姿があった。




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