今回はちょっと他に比べて長めです。
それでもcamwon!って方、是非とも感想お寄せください笑
では今回もごゆるらんとどうぞ
sideマツバ
…小生は、ハンターである。
名門マツバの家の次期当主で…実は陰陽師の血を受け継ぐ結界師としての才能を持ち合わせ、英才教育を受けてたりもする。
そして、小生は…
そろそろこの『ボヤけた世界』に慣れてきつつある。
…幼少の頃より、小生はこの『ボヤけた世界』を感じており、何処でそれが起きても(なんというか、眩暈のようなもの)再び目が覚めた時は大抵屋敷に戻っていた。
そして、目が覚めるまで父と母は小生の側にいつも居てくれた。
小生も、父と母のその行為に非常に感謝していた。
何故なら
ーーー小生の中に巣食う『ヤツ』を見張っててくれていたのだからーーー
しかし、そんな小生も…今は1人。
『ヤツ』と向き合わなければならない。
陰陽道にて絶大なる力を持つ父も、小生を優しく包み込んでくれる母も
此処には…いないのだから
小生は幼少の頃より思い描くこともなく現れる、白き凍てつくその扉を前に覚悟を決める…そして
小生は扉に手を置き、力を込め押す。
扉は…
開かなかった。
「えっ?ちょっ…えぇ?」
どん何力を込めても、タックルしても必殺小生ヘッドバッドを繰り返しても扉は頑として開こうとしない。
最終奥義小生ヒップアタックをかました時にバランスを崩してすっ転び、尻餅をついた時に扉に貼り紙を見つけた。
読むと
『忙しいのでまた後日にお願いします。
ps:人に用事がある時は、あらかじめアポを取ろう。これ、社会人の常識ね。』
と書かれていた。
「えっ⁉︎小生の中での事なのにまさかの閉め出し⁉︎アポの取り方分かんねーし!
…あ、番号書いてある…ってどうしろってんじゃぁあああああ!!」
小生の世界で1人。小生の声が響く。
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sideローザ
ったく…今日は厄日かねぇ…
セニアが意識不明になったり、あんまり仲良くも連携もしたことない奴と2人で海に潜ったり…止めにこれかい…
あたいはマツバの右後ろに移動し、ボウガンを構える。
「確か…『ナバルデウス』だっけか?確かあいつは自分からは攻撃してこないんじゃ…」
「どうやら、そうも言ってられんようだ…
ヤツは既に臨海状態にある。
しかし…ナバルデウス程の古龍が一体何故…此処が棲家とも思えんし…」
…なんか、マツバのキャラ変わってないかい?
まぁ、でもマツバの言うとうり、既に胸部から腹部にかけての発光器官を赤く発行させるナバルデウスの状態は穏やかとはほど遠い。
しかし流石は古龍と言うべきか…そんな興奮状態にあっても此方を見据えるだけの冷静さを兼ね備えているようだ。
「どうする?一旦引き返すかい?あたいら2人じゃちょいと心許ないよ…特に、あのサイズの相手は…」
そう、今目の前に居るのはあの『ラオシャンロン』に次ぐ超巨大古龍。少し地面に触れるだけで地震を起こし、それによる津波は島一つ飲み込むと言われる。
古龍観測班の友人が皆口を揃えて「討伐しに行きたくない古龍ランキング上位」だと言う。
因みに、あたいも一度腕利きのパーティを組んでナバルデウス程の討伐に向かったことがあったが…壊滅的な被害を受けて逃げ帰るのが精一杯だったさ。
それに…今回のそれはサイズが違い過ぎる。
そして、パーティは前回の1/2の人数しかいない…どう考えても討伐はおろか、撃退ですらできないだろう。
そしてもう一つ。
あたいらの潜った岬の近くには、泳げないハンゾウと意識不明なセニアがいる。
ナバルデウスを刺激して津波を起こされたりしたら…おそらく泳げないハンゾウは波に攫われ溺死する。
そうなったらセニアも…
やはり、ここは退くべきだ。
そう判断し、マツバにその旨を伝えようと隣に並んだ時、事態は急変する。
「っ⁉︎危ない!!!」
不意にマツバにどつかれ、あたいは水の抵抗を受けながら後ろ向きに、海面の方へと突き飛ばされる。
刹那
『コォォオアアァァア!』
「っ⁉︎…マツバ!」
ナバルデウスはノーモーションで激水流を放った。
その水流はマツバを飲み込み、近くの岩盤を粉砕しながらやがて消える。
「マツっ…ごぶぁ!」
マツバを助けに行こうにも、これ以上はあたいの息が続かない。
うっかりさっき叫んだので空気を吐いてしまったのだ。
仕方なく一度水面から顔を出し、呼吸を整える。
「はっ…はっ…すー……よしっ」
あたいはもう一度海底に向け潜水を開始した。
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sideマツバ
………?
ここは…何処ぞ?
小生…確かさっきまで閉め出し食らって門が開くまで体育座りで待機していたは「おぅ…そこにおるな?」…っ⁉︎
小生が振り向くとそこには…
「な、なんと…」
「我とこうして面を合わせるのは初めてだな。
ようこそ、我の領域へ…歓迎するぞ主人?」
小生が立っていた。
…頭が…理解ができない。
こういう時はさっきの言葉を文節が如く区切ってみよう!
小生/が/立って/いた/。
うーん…やはりわからぬ…分からぬ上に何か間違えているような気がしてならない…
「のう、そろそろいいか?」
「む?どうしたのだ小生」
「しょ?…まぁ良い。
我が誰かなどということは大した問題でもなかろうから省くぞ。
それよりも今は急を要する」
むぅ…すぅんごく気になるが…まぁ、小生がそう言うのならそうなのだろう。
「一体何があったのだ小生」
「…実は、今貴様と我は…」
「死にかけている」
「…ぇへぁ?」
目の前の小生が変なことを言うからつい小生も変な声が出てしまった。おそらく、もう一度発音しろと言われても出来ん奴だな。
しかし、そんな小生を笑うこともなく目の前の小生は言葉を続ける。
「死なぬように辛うじて簡易障壁を張ったのだが…奴の火力は馬鹿にならぬ程でな…故に死にかけている」
「えぇ…小生の知らないところで小生死にかけてたの?小生硬化薬飲んだとこまでしか覚えてないんだけど…」
「あぁ、貴様のその判断は正しかった。
硬化薬の効果も相まって衝撃による心不全にも陥らずに済んだ。
ま、我はあの味が好かんから貴様が飲み干したタイミングで入れ替わったのだがな」
こ、こいつ!!!
「まぁ、そんなことは今はどうでもよかろう。
問題は、水中では氷獄結界が作れんということだ」
「むぅ…ならば他の空間結界で奴を封じることは?」
小生の問いに目の前の小生は首を横に振り答える。
「万全な状態ならともかく、今の貴様ではあの古龍を捉えられる程の結界はおそらく無理であろう…」
「…え?で?小生は何すればいいの?今の聞いてたら完全に手詰まりな感じがしてならないけど」
「…それは…っ!」
小生の世界が強い横揺れに襲われる。
やたらめたらにガタガタ揺れるので酔いそうになが、目の前の小生が駆け寄ってきて小生の肩を掴む
「いいか?今の貴様は圧倒的酸素不足だ。傷もそれなりにひどい…早いことさっきのローザとかいう女を連れて一度離脱するんだ。
…今回の件は…もっと厄介…のが絡……い…!」
そこで小生の世界が真っ暗になり、再び目を覚ますと小生を抱え、浮上しようと泳ぐザボア装備の女性の姿があった。
まったく…ここぞという時にカッコがつかないな…小生は…
無意識にふと足元を見やると、白い巨体をうねらせ、ナバルデウスが追ってきているではないか‼︎
小生はそれを知らせようとするが、腕から指先…脚にも力が入らず、意識するとめっちゃくちゃお腹が痛くなる。
ナバルデウスとの距離がつまり、ローザ殿が一瞬奴を見て舌打ちし、しかし変わらず泳ぎ続けた。
…しかし…これでは捕まってしまう…
小生にも、責任とプライドとちょっぴりかっこつけたい気持ちがある!小生は残りのいくばかりかの力を振り絞ってローザ殿が抱えていた腕をふりほどいて奴に正面から突撃‼︎
までを考えていた小生をローザ殿が前に抱えて空に向かってボウガンを放つ。
刹那
「うぉぉおおおるぁぁぁぁあい!!!」
凄まじい怒声とともに
海が…割れた
『コォォォオオアァア!!!』
水中に特化したナバルデウスは空中に投げ出され、悲鳴をあげながら落下していく…もちろん、小生達も…
「…って…あれ?」
まるで魔法にでもかかったかのように小生達は浮いている。
何もない筈の空中にだ…でも、ローザ殿は立っているし、小生も…
これは…一体全体何がどういう…あぁ、世界が白く…
そこで小生は意識を手離した。
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sideローザ
あ、危なかった…
マツバを見つけるまでにナバルデウスと一対一で一方的な鬼ごっこをしてたけど…もう2度と御免だね…あんなの
あたい達はそのまま陸へと戻ってきた。
あたいがマツバを抱えて飛び降りると、さっきまで体色を変え、姿を消していたオズが元の紫色へと戻る。
「ありがとさん、助かったさね!」
オズにそう言うと、オズは顔ごとこちらに振り返り、あたいの目を見つめてくる。
おそらく、あたいの言葉は通じてるけどオズの言葉はあたいには分からんからこういう状態になっているのだろう。
ま、いいさね。
「ローザ!大丈夫だったか⁉︎」
「あぁ、あたいは大丈夫だよ。しっかし…合図が通じたのは良かったけど…普通海割るかねハンゾウ?」
ハンゾウが心配してセニアを担いで寄ってきた。
ハンゾウの手には大剣…いや、あれは鞘付きの太刀か?
アカムの大剣には確か中心に赤いラインが入っていた筈だ…
「し、しっかたねぇだろ!なんか水中で闘ってるような音がして加勢しに行きたかったけど…俺泳げねぇから逆に足引っ張っちまうし…で、海上に火炎弾が打ち出されたからそこを狙って…でも海に入らなくてもいい方法がみつかんなかったから…そんで」
「はぁいはい、わぁかったから」
そう言ってハンゾウに近づき、背伸びして頭を撫でてやる。
ハンゾウは固まってたが…まぁ、あたいもなんでこんなことしたのかは分からんし、なんとなく恥ずかしかったから、すぐに離れてセニアの容態について尋ねてみた。
「ずっと目を覚まさねぇんだ…脈も呼吸も正常なんだが…気になることが一つだけあってなぁ…」
ハンゾウはそう言うとセニアの顔の近くに寄るように指示してきた。
あたいはハンゾウの向かい側に跼み、セニアの顔を見る。
いつも通りの可愛い顔だが…ハンゾウはおもむろにセニアの左目の瞼をそっと開けた。
そこには、本来のセニアの綺麗なルビー色の目ではなく、暗く濁った藍色の眼球があった。
「っ!これは…」
「あぁ、ここだけおかしいんだ…他に外的異常は見られなかった…ただ…この目を除いてな」
あたい達は暫く考え…そして一刻も早く『古龍の秘薬』が必要なことを再確認した。
「ちょ…小生…死ぬ…た、助け…バタ」
「「あ、」」
そしてひとまず自分で効果音までつけて倒れたマツバの治療に取り掛かるのであった。
最近たくさんの方に読んでいただけるありがたさが身にしみます…UAが5000を超えたらちょっとした企画も考えてみたり⁉︎…へ?そんなんいいから続きに集中しろ?
ふっ…
すんませんしたーーー!!!
ロ「か、感想待ってるよ」