次の次の次くらいに日恋編の山場になる筈です。(あくまで筈だよ…筈だからね!)
ということで今回も文章力低下待ったなしの駄文ですが読んでいただけると喜びます。
それではごゆるらんとどうぞ
sideハンゾウ
あれから少し時間が経ち、ローザとオズは再び海底へと潜って行った。
ナバルデウスの声も聞こえねぇし、おそらく大丈夫であろうとは思うが…いや、海のことはこれ以上考えないようにしよう…
そしてやっぱり俺は、セニアと訳わからんが1人増えた看護対象とともに海岸で待機している。
ローザにはわりぃが、海岸は見晴らしが良く辺りには強そうなモンスターの気配もないから…
「ふぁああ、うぅん…」
正直…めっちゃくちゃ暇だ。
マツバは時折奇声をあげながら眠りこけていやがるし、セニアは意識を取り戻さないままだ。
「………」
さざ波の音がする以外平和的で何もない海岸…
これといった釣りポイントもなく、役に立ちそうな物も落ちていない。
狩りのときなら100%スルーして行く場所だろう。
そんな平和的で何もない海岸で唯一俺を襲ってくるもの…それは睡魔だ。
はっきり言ってさっきから2回くらい(意識が)落ちかけている。
もし、セニアを襲った奴が目の前に現れたらと気を張って堪えているのだが、正直…どのモンスターよりもこいつは強いと思う。
早く戻ってきてくれと海中のローザに届かない無茶を言うと、俺は沈み込むように目の前が暗くなる感覚をおぼえ、そして…
意識を完全に手放してしまった。
それと同時に目覚めてしまった者も…すぐ側にいた。
“…コワイもの…ナクす”
虚ろな目で黒き影を纏い、『彼女』は海中へと消えていった…
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sideローザ
「〜ったぁく!ナバルデウスの次はあんたかい‼︎」
『ぎょぁあああしゅ!!!』
再び海中へと潜ったあたいを歓迎してくれたのは、みんな大好きアヒル足クソ魚こと【水竜『ガノトトス』】だった。
最初はナバルデウスを警戒しながら、オズに連れられさっきの海底まで降りるとあら不思議。
ナバルデウスはいなかったが代わりにガノトトスの群れが臨戦態勢でお出迎え、5本の高圧水流同時斉射を掠ったおかげでスリングがお釈迦になり、ボウガンを手放してしまった。
回収に向かうあたいを見逃してくれる訳もなく、二匹はオズの方へもう残りの三匹はあたいを狙って物凄いスピードで突進してくる。
見事にあたいとオズを引き離し、2対1、3対1と相手の圧倒的有利な戦闘に持ち込んでくる。
ったぁく…こいつら、統率とれすぎだろ!
誰か裏で操っている奴でもいるんじゃないかなんて勘ぐっちまうよ!ま、でもこんな悪趣味な魚操る奴なんざよっぽど性格の悪い奴か、感性がひん曲がった変態のどちらかさね。
そんな奴がこの世界にいないことを信じたいね。
あたいはボウガンを拾い上げ、真っ直ぐ突進して来た一匹に正面から張り付き、鼻っ柱に銃口をあてがうと引き金をガク引きする。
ガク引きとは引き金をいきなり奥まで引き、弾を撃つ引き方で、素人が獲物を狙い過ぎて焦り引く時とかに見られる射法である。
当然、この射法による命中率は皆無に近い。
しかし、ゼロ距離では命中精度も何もないのでそのまま装填されていた弾はガノトトスの鼻っ柱にぶち当たり、そして頭蓋骨を粉砕する。
ガク引きのもう一つの面として、この引き方はセルフ連射をしやすく、通常のヘビィボウガンには連射機能なるものが付いていないので、どうしてもこの射法になってしまう。
通常のヘビィボウガンによる『一撃一撃を狙って撃つ』射法は、引き金の引いても弾のでない部分(『あそび』と言う)を引き絞りながら狙いを定める。
この射法は命中率を重視した一般的なものである。代わりに連射性は捨てているとも言える。
つまり、ローザは状況を判断し『狙い撃つよりも確実に当たる方法による高威力射撃』がこの射法だと考えた訳だ。
これは余談だが、ローザがこれまでに対象を正確に狙い撃つ割合は3割あればいいとこだろう…
「最後のいらないだろ⁉︎いいんだよ!あたいは狙わなくても当たんだから‼︎」
…ちなみに彼女のこれまでの総誤射数は「鼻かケツの穴増やされたいかい?」…解説終わりby作者
「チッ…逃げたか。
まぁ、あいつに使う弾が勿体無いし、今はこいつに集中しないと、だね!」
残り二匹…
さっきみたいに突っ込んで来てくれれば楽なんだけど…そうもいかないねぇ。
「頭のいい魚は嫌いだよ」
あたいは次の弾を装填し、狙いを定める。
あたいのボウガンには既に『スコープ』が付いているが、鍛冶屋の知り合いに無理言って『パワーバレル』を付けさせてもらっている。
こいつなら一撃の威力を上げることができ、スキルと合わせてあたいの貫通弾の威力はかなり上がっている。
ま、つまりは威嚇のポーズなのか、さっきから腹見せて二本足で立つような格好をしたまま、ぎゃーぎゃー騒いでいるアホ面の土手っ腹に風穴開けるくらい余裕ってことさね!
あたいは右のガノトトスを狙い、そしてさっきとは真逆に引き金にゆっくり力をかけていく。
刹那
スコープの中でガノトトスの上半身が弾け飛んだ。
「えっ…」
あたいはまだ引き金を完全には引いていない。ましてや、貫通弾ではあそこまでガノトトスが弾け飛んだりはしない…
力なく浮遊して行くガノトトスだった物からスコープを外し、もう一匹に合わせる。
怒りと混乱に暴れ始めるガノトトス…
その身体に一筋の漆黒の軌跡が走りガノトトスはその線に沿うように肉が千切れ、骨が砕けて血を撒き散らす。
苦しそうな呻きを上げるガノトトスだったが、ついには内部から破裂したかのようにその姿を無残な肉塊へと変え、永久に波に逆らうことはなくなって緩やかな海流に流されていった。
そして、その残骸を作り上げた存在がその場に残りただ海中から空を見上げている。
それは紛れもなく彼女がよく知る人物であり…
「…セニ、ア?」
今まで目を覚まさなかった彼女の妹分であった。
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sideセニア
気付くと私は、また黒い世界にいた。
相変わらず光の差さない漆黒の世界…
でも、今回は何かが違う…
“コワい…コワいよォ…”
ーー何がそんなに怖いの?
私は見えない何かに向かって問いかける。
“…ボクを…ナクソうと…スルヒと”
声はすぐ近くの足元で聞こえる。
しかし姿が見えない…
“オネエチャんは…ボクを…ナクソうとスル?”
その声は怯えきっていて、震えていた。
私は見えないけれどおそらく足元にいるであろう“彼”に対してしゃがみ込んで答える。
ーー私は理由もなく誰かを消したりなんかしないよ?
“…ホンと?”
少し明るくなった声色に私は微笑み、そして見えない何かに手を差し出した。
ーー本当だよ。…私はセニアって言うの。貴方は?
そして見えない何かはセニアの手に触れる。
セニアはその瞬間に凍りついた。
その手で感じた…確かな感覚…それは…
“ボクは、ゴア。…ヨロシクね。セニアお姉ちゃん”
鱗と鋭角な爪。そして、真っ暗闇の中刹那に、しかしはっきりと見えたーーー
紫の角と濁った藍色の瞳ーーー
ロ「なぁんか、やけにあたいの番が多くて逆にアレだねぇ」
いやいや、日頃我慢していただいてた故のこの出番の多さですから
ロ「…なぁんか企んでないかい?」
そ、そそそそんな筈ないじゃぁないですかぁ!
ハ(その分…俺の出番が少なくなってる気が…)
オ“ジカイモ、オタノシミニ!ニ‼︎”