狩人闘恋万華鏡〜迅竜の恋情と覇竜の傷跡〜   作:ドーントレス

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はいはーい!はいはい↓w

皆様に煉獄と混沌を運ぶドーントレスでーす!
さて、今回は番外編3本勝負!ってことで私も今年まだ行っていない夏祭り編を書いてみました〜

セニア「…なんで行かなかったの?
もしかして、一緒に行く人いなかったの?」

ハハハー、ワタシニホンゴワカリマセーン

ハンゾウ「……」ピキッ
ローザ「は、始まるよ⁉︎」


番外編「とある夏祭り」

 

 

ーー夏ーー

 

茹だるような暑さ、湿度が高く立っているだけで汗が吹き出る季節…

この時期になるとあちら此方で夏の醍醐味『夏祭り』が催される。

ハンター、鍛冶屋、商人問わず全員が楽しめる夏最大の催し物だ。

 

そして、そんなシーズンに『バルティフェス街』にやって来たとある旅の一行…

 

「ほぇぇ…噂にゃぁ聞いてたが流石はバルティフェス街…日中から街全体で祭りの準備してやがんぜ」

 

「まぁ、バルティフェスは世界最大のお祭り街だからねぇ…あたいも運営側から声かけられたし…しっかしこの規模…やりがいがあるねぇ!」

 

簡単に感想を述べるハンゾウと拳を打ち鳴らし、気合いを入れるローザ。

そして

 

「ハァンゾォォオ!!!そろそろ小生、腕やら足やらが悲鳴をあげていぃるのだがぁぁあ!?」

 

「zzz(すやすや)」

 

荷車を(2日ぶっ通しで)引かされているマツバとその荷台で絶賛お昼寝中のセニアだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、宿は確保したし荷物もOKだな!んじゃ、早速今夜の祭りの話だが…「はいはいはーい!小生お祭りヴァージンだから存分に周りたいで候!!!」ーーはぁ…まぁ、落ち着け…」

 

ハンゾウが全員を集め、祭りについての話し合いを始める。

…なんか唐突に下ネタを挟んでくるマツバを宥めすかし、ハンゾウは続ける。

 

「とりあえず貴重品については保管庫に入れて鍵してもらって、この宿を出るときに返してもらえるから大丈夫だとしても、私物品と諸々の荷物は各部屋にある。

こういう祭の日ってぇのは盗難事件が起こりやすいんだ。(皆んなも注意しよう!)

んで、悪りぃが留守番を1人ないし2人つけたい…どうだろう?」

 

「考え方は悪くないし、当然そうするべきだともあたいは思うね。

賛成だ…けど、あたいは運営側からちと呼ばれててねぇ…時間空いた時くらいなら代わってあげられるんだけど…」

 

ハンゾウの問いに最初に答えたのはローザだった。

それもそうだ、この街に寄りたいと言い出したのは他でもない彼女なのだから。

ハンゾウは少し考えるように腕を組んでいたが、セニアと目が合いそのキラキラした輝く両目を見てため息を吐きながら「わかった」と呟き結論を出す。

 

「んじゃぁ俺が残ろう。

1人でも大丈夫な筈だしな…荷物なんだが、一部屋に纏めて置いちまっても大丈夫か?」

 

マツバとローザはYESの意味を込めて首を縦にふる。

…しかし、先程までの輝きがまるで嘘のようにハイライトをなくした猫耳美少女は体をわなわなと震わせて直接ではないが、目の前で完結しようとしている出来事を全力で否定していた。

 

「…え?…ハンゾウさん…行かないの?…お祭り…だよ?」

 

そんなことに全く気付かず、逆に疑問の色をはっつけてセニアを見やるハンゾウ

 

「ん?だってセニアも祭り廻るんだろ?だぁったら誰かが此処に残んなきゃなんねぇ…んで、マツバはあの通り「祭り!マツリ!MA・T・WRYYYYYYY!!!」…だし、ローザは屋台でも出すんだろう?「あたいは射的の手伝いさね」ほれ、なら俺しか残ってないだろぅ?」

 

「ハ、ハンゾウさんは…ずっと…お留守番…なの?」

 

セニアは露骨にがっかりしている。

ハンゾウは自分の出した答えのどこが間違っていたのかわからないといいたげな顔をしている…ってフルフェイスだから分かんないけどねw

 

「…はぁ…別にずっとって訳じゃぁないさね。

あたいも戻ったらハンゾウと交代するよ。

それでいいだろ?ハンゾウ」

 

見るに見かねてローザが助け船を出す。

再び絶望の色が消えるセニアと「まぁ、別に構わんが…」とどこか歯切れの悪い答えを返すハンゾウ。

やれやれといった(まるで母親のような)表情でローザは2人を見遣ると手を打ち、解散させる。

そして改めてセニアの気持ちと、ハンゾウのそこはかとない鈍感さを感じ笑いながらため息をつくのであった。

 

ーーー時間は流れ夜がやってくるーーー

 

sideハンゾウ

 

「ではハンゾウ!いってくるじぇ!!!しかと小生の荷物を見張っておるのだぞぉ!?」

 

「へぇへぇ、早よいけ」

 

「ヒャッホー!!!庶民の祭りじゃぁぁあ!」

 

やけにテンションの高いマツバを見送り、俺は荷物のある部屋にゴロンと寝転がる。

ローザは日が高いうちに運営の集会所に行き、セニアは何故かローザに連れて行かれた。

外では人の声がガヤガヤと聞こえ、太鼓を打ち鳴らし、思い思いに騒ぎたてる。

本格的な祭りを感じながらハンゾウはいつか自分の師に連れられ訪れた祭りのことを思い出していた。

 

「……祭り、か…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ハンゾウ!あっちにりんご飴あったぞ!屋台まで競走だ!!遅れた方奢りな!!!』

 

『はぁ…』

 

『ハンゾウ!あっちに焼きそば売ってたぞ!!屋台まで競走だ!!!』

 

『…はぁ』

 

『ハンゾウ!あっちにたこ焼きーーー』

 

『……』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれ?ろくな思い出じゃない…

なんか子供みたいにはしゃいでる大の大人を、ひたすらため息吐きながら追っかけて追い越して奢らせた記憶しかない…

 

「…暇だな……寝るか」

 

見張りとか言っても正直何もないし…やることも終わっちまったからなぁ…

ま、いるだけでいい訳だし、鍵かけときゃなんとかな「なぁら最初から留守番なんて言い出すんじゃないよ」ーー⁉︎

 

いきなり自分以外の気配がし、俺は状態を起こす。

と、同時に扉が開き声の主が現れた。

 

「よ!ハンゾウいい子でお留守番してたかい?」

「……///」

 

俺は文字通り言葉を失った…

なんせ目の前に立っているのは…

 

「な…あ……」

 

普段とは全く違う藍色に朝顔が描かれた浴衣を着たセニアと、普段と特に変わらないローザ「おい?今失礼なこと考えたろ?」…もとい白い浴衣に赤い羽織りを着熟したローザであったからだ。

 

「どうだい?ハンゾウ、目の保養になるだろぅ?」

「……///」

 

煽るような口調でわざと前屈みに俺を覗き込むローザと顔を赤らめながら(おそらく打ち合わせでもしたのだろう)同じポーズをとるセニア…なんだこの可愛い生き物は…

ローザはともかく、セニアのイメージカラーを崩すことなくしかし黒一色ではない淡い藍色で、セニアの天然物の白い肌が強調される。

さらには普段腰のあたりまで伸ばしている髪を纏めていて、猫耳の横っちょから見える可愛らしいピンクの簪が絶妙にgood…やべぇ…

 

祭りってこんなに良いもんだったのか…

 

しばらくセニアに見惚れているとまたローザがやれやれと首を振り俺を無理やり立ち上がらせると

 

「あたいの手伝いはもう終わったし、ちょいと疲れたから此処で休ませてもらうとするよ。

ハンゾウ、あんたも祭りを楽しんできな!」

 

「ぃって!」

 

思い切り背中をぶっ叩いてきた。

その弾みでセニアの目の前に立たされた俺は、身長的に下からの上目遣いで俺を見上げるセニアとなるべく見つめ合わないように、顔を逸らしながら出口へ向かう。

しかし

 

「あ、ちょいと待ちな」

 

「…なんだよ」

 

俺はローザに呼ばれ再び振り向く。

そこには男もんの浴衣を持ったローザがニヤニヤしながらこっちを見ていた…

やれやれ…

 

「おっ!サイズもぴったし!流石あたいの目寸法だねぇ」

 

「…そいつはどーも」

 

鏡の前には男もんの浴衣を着た赤髪の青年が立っていた。

こう見ると…本当に10年前と身長以外全然変わんねぇな…

鏡越しに背後の2人を見ると、相変わらず自慢気にうんうん頷いているローザと、目をまん丸にして俺を見るセニアがいる…なんかこれ以上は対応がアレだし…さっさと退散しますかね。

 

「んじゃぁ、有難く浴衣も借りて行くぜ、2人とも留守番よろ「なぁにふざけたことぬかしとんじゃい!!!」べおねった‼︎」

 

…よく分からんがローザに空中横2回転回し蹴りを食らった…そして悟った…

 

防具って大事だな…

 

「そっちは別に悟らんでいい!いや、大事だけども!」

 

「じゃぁなんだってんだよ〜」

 

そこで俺はローザにマウントを取られ胸倉を掴まれる。

そして顔を思い切り寄せて俺の耳元に来ると

 

「セニアと一緒に行ってやれ。

あの子…あたいと一緒に手伝いに来てくれてただけでまだ全然祭りを廻ってないんだ…あたいにこんだけお膳立てさせるんだ、セニア泣かしたらただじゃおかないよ?」

 

な、なんか最後の部分だけおかしかったような気がしなくもなくもないが…

ローザがマウントポジションから下りてくれてようやく動けるようになった俺は、涙目でオロオロしてる猫耳浴衣美少女の元に、セニアはオロオロするのをやめ、俺に最強兵器〔レッドアイズ・涙目上目遣い(無意識)〕を繰り出す。

…う、ぐっ!

こ、こいつは辛ぇ…居た堪れない気持ちになるし、つい頭を撫でたくなる…だが…今は、耐えるのだ

 

俺はなるべく自然に右手をセニアに差し出し、最大限の照れ隠しの為に笑顔を作って

 

「一緒に…廻ろうぜ!」

 

「っ⁉︎……う、うん!」

 

俺たちはまるで母親のような笑顔を向けてくるローザに見送られ、明るい夜の騒がしさに溶けて行った。

 

 

 

to be continued

 

 

 

 




感想…待ってます///

ハ「キメェ!」

(゚ε((( <へぶしっ!
↑哀れな作者(笑)

ル「次回もお楽しみに〜」

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