アルマさんが訪れてから一週間...自分は気が気でない日々を送っている。
何故なら、幽香さんがお見舞いに来るというのだ。しかも日にちが確定しておらず、いつ現れるか検討もつかない.......
そのため一日中気を張っているため尋常じゃなく疲労が溜まる。
来るならさっさと来てよ。
その一言がフラグを回収することとなった。
「お久しぶりね。仙我」
真上から自分を呼ぶ声がする。
見上げると天井に笑顔で逆さまにぶら下がる幽香さんがいた。
「わぁ!?あぁぁぁあああぁぁああ!」
驚きの声が響いた後、痛みに悶える叫び声が屋敷内に響く。
その姿が面白いのか幽香さんは腹を抱えて笑った。
「あ、あなたって......ふふ......飽きないわね...ふふふ!!」
苦しむ自分を笑うとか悪女だ!悪女がいる!
そして、恒例のように自分の悲鳴に反応した華扇さんが戸を荒々しく開けた。
「またか!って...なぜ風見幽香が!?」
「あら、お久しぶり」
「なぜあんた達は普通に入ってこない!アルマも然り!」
いつも冷静な華扇さんが取り乱してる。なんか新鮮。
だが、華扇さんの意見には同意をせざるを得ない。毎回、幽香さんやアルマさんが訪れるたびに激痛を伴うとか...なんの罰ゲーム?って話だよ。
「だって面白くないじゃない」
「仙我の治りが遅くなったらどうする気ですか!ただでさえボロボロなのに!」
「いいじゃない。その間ずっと一緒よ?」
「それはそれで.......い、いや!ダメ!」
なんだろう。幽香さんに華扇さんが弄ばれてる。
しかも、華扇さんも少し壊れかけてる。こんなキャラでしたっけ?まあ、人は変わるものか。正確には仙人だけど。
「とにかく!次からはちゃんと玄関から来い!!」
「はいはい」
「華扇さん...素が出てます...」
「はっ!」
なんと言うか...華扇さんってたぁまぁぁに素が出るんだよねぇ。
実は結構、口が悪い。そのためいつもは敬語で話しているが感情が昂ぶるとすぐ素になってしまう。
別に素の華扇さんの方が好きだから自分的にはいつもこうあってて欲しい。
まあ、仙人だから一応礼儀正しい姿を見せないとダメだもんね。
「意外に口が悪いのね。面白いの見ちゃった」
「うぅ...」
「か、華扇さん!大丈夫です!素の華扇さんも可愛いですから!」
「仙我...それ逆効果」
「へ?」
「あぅぅぅ......」
頭のてっぺんから湯気が出るほど真っ赤になった華扇さん。
なんでこのタイミングで可愛いって言った自分!?
「よかったわね仙人さん?」
「うるさい!帰れ!」
「お、落ち着いて...!幽香さん!今日は一回お帰りになってください!!」
「わかった。また今度お見舞いに来るわ。お大事に仙我」
「もう来るな!!」
上機嫌な様子で帰る幽香さんを息を荒げて追い返す華扇さんであった。
少し落ち着いてきたのか手で顔を隠し、しゃがみこんだ。
「ま、またやってしまった...」
「大丈夫ですか?」
「......うぅ...せんがぁぁ!」
泣きそうな顔になった華扇さんが自分に抱きつく。
素に戻ったあと、いつもこんな感じで甘えるようになる。華扇さんも女の子だ。見られたくないことだってたくさんあるさ。
「またやっちゃったよぉ......」
「大丈夫ですよ。仙人だからって礼儀良くしなくてもいいんですよ?」
「......そしたらあの邪仙みたいになる」
あの邪仙?ああ、霍青娥さんか。
あの人はあの人で邪仙を楽しんでるし、いいんじゃないかな?
「別に邪仙の華扇さんでも自分は受け入れますよ?」
「......ほんとう?」
「はい」
「じゃあ...さん付けやめたら......素で生活する」
そうきたかぁ......
前にも同じような展開があった。その時はうまく濁して逃れたけど。
今回は正直悩むところ。
自分の選択でもしかしたら華扇さんも気が楽になるかもしれない。
そう考えると...うん。
「わかりました」
「......呼んで」
「へ?」
「呼んで!!」
「......華扇」
そう呼ぶと華扇の顔から湯気が出た。
いや、結構やばくない?
「だ、大丈夫ですか!?」
「は、はいぃ......」
「...呼ぶのやめましょうか?」
「だ、だめ!わ、私が慣れればいいだけだから!」
「ならいいんですが......」
何度も体温が上がったら体に悪いのでは?なんというか...壊れそう。
「そ、それでは今日からこの調子で行くから」
「了解です。華扇が素で居られるよう自分も手伝います」
「う、うん......」
そろそろ頭から火が出るんじゃないか?
幸先が不安だ。
まあ...今日はもう寝よう。