リテラエルネルア(魔法少女リリカルなのはStrikerS)   作:リシュベル

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お待たせしましたw
第十話です、それではどうぞ!


『第十話』

 「……んで、その子が遺跡の深部に封印されとったモノっちゅうわけ?」

 「そうだ」

 夜中に戻ってきたため翌日に報告するというメールを八神の端末に連絡して、今現在報告の真っ最中なのだが…。

 

 せっかくマリアージュが考えてくれた理由も流石に苦しかったため、結局経緯を話す羽目になってしまった。

 ただ、俺が悪魔だということとそれに関連する事柄は打ち明けないが。

 「ただ、コイツは俺に懐いていてしまってな元の世界に戻るまで俺が保護責任者を買って出るというわけだが?」

 「ん~……せやけど暁さんは一応民間協力者なわけやけど、実際は次元漂流者で六課で保護しとるわけやし」

 「それは重々承知している、しかしコイツが俺以外は嫌だと言っている」

 「じ~・・・」

 ほらな、という表情を顔に出し八神に向ける。

 「む~……」

 ちなみにマリアージュのがつくった理由がそのまま無駄になった訳ではなく、万が一の為にもう一つの理由をイクスヴェリアと打ち合わせしたのだ。

 全てを隠すより真実を織り交ぜた『嘘』の方が筋が通る可能性があるからな。

 それでもダメならイクスヴェリアに芝居をうってもらうしかなかったが、そこまで至らなくて良かった。

もちろんオリヴィエの事も魔道書の事もいっていないが魔導書だけは報告しておこう、管制人格がオリヴィエって事は伏せておくが。

 

最強の聖王が管制人格として魔道書の中にいたら余計な混乱を招くだろうからな。とくに『聖王教会』なる組織が出てくるだろう。

 

『私も随分祀られてるんですねぇ』

 

パスは繋いであるんで念話での会話は出来るようなのでその点は好ましい。ちなみに近くであるならばイクヴェリアにも聞こえるようだ。

 

ていうかこいつ自分のことなのに他人事みたいにいうな。と思った。

 

一応俺が知っている事を昨日の晩に説明しておいた。そのため出てきたのは上記の言葉だった。

 

 「なんらかの改竄が必要なら民間企業が使っているネットワーク端末で俺自身行うが?」

 「……足が付くで?」

 「ハッカーがそんなミスしないさ」

 「一応あたしら警察機構に属するんよ?」

 「…失念していた」

 「まぁそれは冗談として受けとめくけど問題があるのはクライアントなんよ」

 クライアント? 俺は八神から受けたから八神が依頼主だと思ってたんだが。

 「お前の依頼じゃないのか?」

 「うん。 んでな? 不明だった依頼主が判明したんやけどその人物が偉い人でな」

 じゃあなぜクライアントが不明な依頼を俺に寄越した。と言いたいがおかげでイクスヴェリアとオリヴィエに出会った訳だしな、それに後の祭りだな。

 「それはめんどい方の偉いで良いのか?」

 「……肯定や」

 なるほどねそりゃ眉間に皺寄る訳だな。

 すると通信なのか八神の机から呼出し音がなる。

 「うわ、噂をすればや……」

 どうやら今浮上したクライアントからだな。

 『よう、海のちび狸。相変わらず狸面してるな』

 「誰が狸ですか! 開口一番狸はやめてくださいと言っている筈ですレジアス中将!」

 『こういう時じゃねぇと言えないからな諦めろ』

 「言わないという選択肢はないのですか」

 『仕方あるまい、表向きは空と対立している立場におる。 こうして通信しているのも人払いや傍受の対策して行っているのだからな』

 「そこまで気にしていながら弄るのは如何なものかと思うのですが」

 『そこは儂のストレス解消だ、諦めろ』

 「こんの髭オヤジは……」

 まぁ二人の会話を割愛するが、どうやらそのクライアントは地上本部の重役らしい。

 ただ陸と海と呼ばれる地上本部と本局は犬猿の仲みたいだがこの二人を見るにそう険悪な雰囲気はないようだ。

 八神が苦虫を噛んだような顔をしたのは弄られるからだと思う。

 なるほどね、ならクライアントが不明だったのも頷ける。

 この陸と海の関係から言えば確かにそうせざるを得ない事情だな。

 

 

 

 だがちび狸ねぇ…、言い得て妙だと思う。

 コミカルにしたら絶対狸の耳と尻尾生えていそうだ。

 (`・ω・´;)つ)) ふも

 そしてこんな顔していそうな気がしてならない。

 「クッ…」

 想像したら笑い出してしまった。

 「神崎さん……なにがおかしいんですか?」

 『あん? 本人いるのか?』

 「いま、遺跡調査の報告を受けていたところなんですが。終わった所です」

 八神が説明するとコチラに来るように手招きをしていたのでイクスヴェリアを置いてモニターの前にでる。

 「件の内容の本人です。 初めまして、神崎暁です」

 『うむ、ワシはレジアス・ゲイズ。 先の遺跡調査、御苦労だったな』

 「いえ、あまり大した物ではなかったので。 それで調査結果なんですが――」

 『いや、それには及ばん』

 「「は?」」

 まさかの言葉に俺と八神は訳がわからないと言った声を上げた。

 『端から遺跡の中身が目的ではない』

 まさか……。

 『神崎が出向く事に今回の依頼に意味があるのだ』

 コイツ、知っているのか?

 「レジアス中将、あの意味が分かりかねますが」

 『何、コチラの事情って事だ』

 「……八神、俺の説明は上にいってるのか?」

 「うん、一応最低限の項目とアンノウン…悪魔関連での民間協力者って事で報告は済んでるはずや。 あ、後追記として多才な能力がある模様ってしといたんやけど」

 八神の説明で言うならば俺の正体に繋がる事柄は見受けられない。

 となるとこのレジアスは俺と言う存在を知っているということだ。

 ただ気になるのは悪魔の頃の俺が最後に人間界に来たのはオリヴィエの時だ。

 当然当時は悪魔だったのでアムカディムと名乗っていた筈、『神崎 暁』という名前は人間になってからだ。

 その時にはこの世界と俺の居た世界は分岐していて平行世界になっているはず。 俺がこの世界に来てから一週間ぐらいだ。

 その間に俺の正体がばれるとは思えな……い?

 まてよ、確かこの世界に来たときから迷彩効果が掛けられたカメラを見かけた。 その度に撃ち壊しているがブリッツの時はどうだ?

 航空Ⅱ型時は遠めだったから無視していたがその後ブリッツとの戦闘時に来ていたとしたら。俺の正体が分かる手掛かりと成り兼ねん。

 「……」

 『おぅそうだ、報酬の方だが時間があるなら話をしながら飯でもどうだ? これは依頼報酬とは別手当だ』

 

 まさかそちらから会う手筈をしてくれるとはな、陸と海の関係では連絡するのも容易では無いはずだから確かめようもないからな。

 この機会を逃せばいつ確かめられるかわからない。

 「中将それはちょっと「悪い八神、俺はこの誘いを受ける」―え゛?」

 なぜ濁声なんだ?

 『お?そうかそうか、では部下に迎えを寄越すからクラナガンでな』

 そういうとレジアスは通信を切った。 クラナガンは以前のオークションがあった都市だろうが詳しい場所を言わなかったが……行けば分かるのか?

 足をヴァイスに頼んでみるか。

 「神崎さん何かあるんか?」

 「ん?」

 「途中から神崎さんの顔が険しかったんやで?」

 「あぁ、どうやらあのレジアスと言う奴。遺跡の中身を知っている風だったな」

 「どういう意味なん?」

 「『神崎が出向く事に意味がある』。この事から俺の事を調べてある可能性がある。 平行世界の住人である俺をだ」

 「レジアス中将が? そんなんどうやって調べているんや?」

 「わからん…、だからそれを確かめに行くために誘いを受けた。 地上本部と本局は仲が悪いみたいだからな容易に連絡出来ない以上この機会を逃す事は出来ない」

 

 「……なんかそれなりに事情がありそうやけどいまは聞かないでおくわ」

 

 「そのほうがありがたいな」

 妙なとこで鋭いな八神は。 もちろんイクスヴェリアも連れていくつもりだ、もしかしたらイクスヴェリアも知っている可能性も否定できないからな。

 そのことを言ったら八神から反対の意が上がるが「暁から離れたくない」と言って一蹴した。

 

 「それと遺跡でこれも見つけたわけだが」

 

 「?」

 

 「セットアップ」

 

 「!?」

 

 俺は八神に聖帝の書の説明をするため魔道書を起動しセットアップをする。 

 

 「神崎さん!? それなんなん!?」

 

 「今からその説明をする、これはあの遺跡にこいつと一緒に眠ってた魔道書『聖帝の書』だ」

 

 「『聖帝の書』? 聞いたことあらへんな。 見た感じウチのスバルと同じ格闘用のBJっぽいんやけど?」

 

 「そうだな。 そんで、こいつは俺を所有者として認めたらしくこうなった。 今度ユーノ・スクライアがいる無限書庫ってとこに出向き調べてみることにした」

 

 「なんならウチから資料請求の申請出しとこうか? あとその聖帝の書?ウチのデバイス局に見てもらったほうがいいんじゃ?」

 

 「いやいい、特に異常は感じられないからな。 悪魔関係で調べものがるから今度向かうって言ってある」

 

 「あ、そういえばオークション会場で何か話してたんやね」

 

 ま、もっとも聖帝の書に関しては何も出ないけどな。 俺が名付けたわけだし。

 

 『逆に出たら怖いですよ』

 

 的確なツッコミどうも。

 

 「じゃあ向かうとしよう、いこうかイクスヴェリア」

 

 「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 「んで、クラナガンに出て来た訳だが…」

 現在俺とイクスヴェリアはレジアス中将の指定したクラナガンに来ている。

 来ているのだが……。

 「なんの連絡もありませんね」

 『ないですねぇ』

 

 イクスヴェリアの言う通りクラナガンに着いたというものの音沙汰無しだ。

 連絡用に局員に普及されている通信端末を渡されているのだがうんともすんとも言わない。

 仕方ないから以前は警備の為見れなかった街並を見て回る事にしよう。

 「イクスヴェリア」

 「なんでしょう?」

 今思ったがイクスヴェリアって言うと長いな。

 「……スマンが今から『イクス』と略称するが構わないか?」

 「? 別に好きに呼んでも構いませんが」

 「わかったではイクスと呼ばせてもらうわ、そんでだなイクス。 今から街並みを見て回ろうと思うのだがいいか?」

 「構いません、私は暁に着いていくと言った身ですから」

 『私も特にありませんので暁に任せますよ。 あとついでに私には略称しないんですか?』

 

 ないな、『オリヴィエ』の略し方なんてどうやれと。 リヴィ? オリーヴ?

 

 『リヴィ!! リヴィがいいです!!』

 

 ならそれにしようか。

 

 『イクスも私のこと陛下ではなく『リヴィ』ってよんでください』

 

 「しかし陛下を呼び捨てにするなど」

 

 『私はもう陛下ではありません、ただの『オリヴィエ・ゼーゲブレヒト』です。 なのでそう呼んでもらえると嬉しいです』

 

 「……わかりました貴方がそう言うんでしたらリヴィと呼ばせていただきます」

 

 うん、纏まったようだからまずはイクスの服買いに行くか。チャイナドレス風な服じゃ浮くからな。

 現に通行人が好奇な目でコチラを見ているからな。

 

 

 

 

 「という訳で、この子に似合う服を何点か見繕って貰いたいのですが」

 「はい、かしこまりました!」

 カジュアルストアに入り、近くに居た店員に事情を説明する。

 「あの、暁? これは一体……」

 「お前の服を選ぶ。 店員さんにお願いしたから委ねろ」

 それで連れていかれるイクスを見送り俺は入口付近にあるベンチに座り、待機することにした。

 改めて通信端末を取り出し暗くなっている画面を適当にボタンをプッシュし待受画面を見る。

 なんのメッセージも無い画面を見つめ一つ息を吐く。

 大人しく外で待ってれば良いとは思うのだが、クラナガンとしか指定してないレジアスというオッサンが悪い。

 このカジュアルストアに居ようとクラナガンには居るのだ。

 だったら俺は悪くない。

 

 『相変わらず性格悪いですね』

 

 何を言う、今の発言に此方の落ち度はない。それに相変わらずとは何だ。

 

 しかし、あのカメラはレジアスの差し金か?

 かなりの数を破壊したがそれに関する話は耳に入ってきてはいない。

 別の誰かだとすると上層部が一枚絡んで居るということになる。幾度もカメラを破壊しているから費用が馬鹿にならない額になってるはずだしな。

 そもそも俺に関する情報は皆無と言って良いほどなんだが…。

 

 『それにしても時代が変わりましたねぇ、街の人々の服装が千差万別です』

 

 ここでは民族衣装ってのはないからな、お前の時代からは珍しい限りだろ?

 

 『そうですね、見るもの全てが真新しい物ばかりで楽しくなっちゃいます!』

 

 ま、気持ちはわからなくはないな。

 

 俺も人間になってからの人類の技術には感心したものだ。

 

 まあ生活に運用される技術が兵器に運用されるといったときはここだけは変わらないなと思ったがな。

 

 『アキラ、話は変わりますが』

 

 ん?

 

 『先ほどは言えませんでしたがあのヤガミ・ハヤテって娘、彼女夜天の書っていう魔道書の所有者ですね』

 

 夜天の書?

 

 『聖帝の書の元になった魔道書です』

 

 どういった魔道書だ?

 

 『簡単にいえばリンカーコアという魔力情報を蒐集し使用することが可能が主な仕様です』

 

 ほぉ、スティールスキルとは珍しいな。 その夜天の書を元に作られた聖帝の書にはその蒐集機能はあるのか?

 

 『ありませんよ?』

 

 ないんかい!?

 

 『確かに貴方の為に作った魔道書で、夜天の書を元にしていますが貴方に蒐集は必要ないじゃないですか』

 

 まぁな。 そういあ聖帝の書はどういった機能があるんだ?

 

 『主に貴方の、攻撃魔法については落ち着いたら詳しく説明します。 現状でザックリと伝えるなら――』

 

 「――ちょっと待て」

 リヴィの説明と一旦止め外から鼓膜を刺激する喧騒に視線を向けてみると、道路を挟んで反対側のビルになにやら人だかりが出来ていたので店を出て向かってみる。

 「なにがあったんですか?」

 近くにいた人に聞いてみるとその人は慌てた表情で応えてくれた。

 「銀行強盗の犯人が女の子を人質にしてるんだよ!!」

 その人が指す先を見ると二人の男女、フードを被ってはいるが顔の輪郭やスタイルを見ると女性だろう。 その女性は犯人であろう男性にデバイスだろう杖を突き付けられ震えていた。

 銀行強盗に入ったらしいがあの女性に邪魔され失敗したらしい。

 「管理局員は……すでに居るのか」

 仕事が早いことで…しかし人質が居るからか迂闊に手を出せずに様子を伺っている。

 仕方ない。 俺は見かけた手前放っておけない節がある。

 俺はその場から離れ、路地に入り犯人が背を向けているビルに回り込み裏口から中に入る。

 

 俺は階段を駆け上がり屋上に出ると犯人の真上となる位置を探す。

 

 「さっき見えたかぎりだと……ここか?」

 

 窓から下を見下ろすと若干ズレてはいるが犯人の頭上に出た。

 

 『私の出番ですか!?』

 

 いやこんな人々の目がある中で使うわけにはいかんぞ。

 

 てか何気に意気揚々してるな、リヴィ。

 「アグニ」

 待機状態の装飾銃をデバイス化しタイミングを図る。 その時に局員の一人がこちらに気付き目を見開くが、アグニを見せて協力するというジェスチャーをすると真剣な目になり頷いた。 理解が早くて助かる。

 「さて、―――っと!!」

 俺は足に魔力を送り強化すると窓から跳び降りる。

 「な、なんだテメェはッ!?」

 気配に気付いた犯人はこちらに杖を向けるが遅い。

 アグニの引き金を引き、朱の魔力弾が男の持っていたデバイスに当たり落とす。

 「ぐっ!?」

 

 そして俺はデバイスの上に落下した勢いを上乗せして叩き折るように着地する。 鈍い音とガラスが砕ける音を発しながら杖状のデバイスは折れた。

 「テメェェエエッ!!」

 激昂した犯人は人質を突き放し殴りかかってくる。

 俺はアグニを上に投げ、両手で拳を受け――

 「俺に勝とうなんざ千年早いんだよ」

 相手の勢いを利用し、背負い投げの要領で地面にたたき付ける。

 「ぐゲっ! ギャアアアッ!!」

 たたき付けた瞬間骨が折れる音が響き渡る、無理に背負い投げしたから腕の骨が折れたんだろう。

 「アアアッ!!!! グァッ!?」

 腕を抑え、のたうちまわる犯人の胸を足で押さえ付け落ちてきたアグニを取り銃口を向ける。 それを見た犯人は観念したのかガタガタと身体を震わせこちらを見ていた。

 

 『お見事です』

 「局員、逮捕頼む」

 「あ、はい!」

 締めを頼むと野次馬から歓声が上がり、先程俺の存在に気付いた局員が犯人にバインドで拘束すると俺に敬礼してきた。

 「ご協力ありがとうございました、失礼ですがあなたは?」

 「時空管理局 古代遺失物管理部、機動六課の民間協力者、神崎 暁。 私用で街に来たのだが今回の事件を見て勝手ながら手をだした」

 アグニを待機状態にしてとりあえず敬礼で返し、身分といきさつを話した。

 「あ、あの」

 「ん?」

 背後から声をかけられ振り向くと人質だった女性が居た、ただその後ろにスーツ姿の女性が控えているのが気になる。

 「助けていただいて、ありがとうございます…!」

 「いや、勝手に手をだしただけだ。 無事ならそれでいいよ」

 「せめてお礼をさせて下さい…」

 「悪いが俺も用事残っててね、そこまで時間無いんだよ」

 「で、では後日改めてお礼を……」

 「いや、だからいいって」

 なんとか断ろうとするも引く気はないらしい。すると後ろにいた女性が近づいてきた。

 「すみません。 あの、この娘もこう言ってるのでそこを何とか出来ませんか?」

 「……あなたは?」

 「申し遅れました私この娘のマネージャーをしてます『アイリ・フラウ』です」

 「……マネージャー?」

 マネージャーってあれか? 芸能人のマネージャーか?

 「ああァァッ!!?」

 そう訝しんでいると近くにいた局員が大声を出した。 あまりの音量に耳を塞ぐ。

 「うおッ!? なんだいきなり!?」

 「どこかで見たことあると思ったらアイドルの『ヴィオラ・セイレン』ちゃん!?」

 「あ、はい…!」

 少女がフードを取ると先程とは違う歓声が上がった。それはもう地響きを引き起こすほどだ。

 「なんだなんだ!?」

 「神崎さん! この娘トップアイドルの一人ですよ、いやぁまさかこの目で生で見られる日が来るとは!!」

 目の前にいる局員は拳を強くにぎりしめ、感動のあまり涙を流していた。

 よくみると先日食堂のテレビで見た事がある顔つきだ。 変装の為か上着に隠していたピンク色の髪を両の手ですくうとサラサラと髪質を演出した。

 なんかどっかで見たような……。

 「あ、あの、なにか?」

 ジロジロ見てしまいそれが気味悪がったのか一歩後ずさる。

 「……いや、悪い。 知り合いに似ていたものでつい」

 

 「知り合い、ですか・・・?」

 知り合い、てか身内だな。 こうしてマジマジと見るとわかる、この娘俺の義妹に瓜二つだ。

 髪色は違うものの、顔つきや目、瞳などあいつと同じだからおどろきだ。 よくよく考えるとこの娘の名前であるヴィオラ…学名ではあるが、英名はバイオレット、和名は『菫』だ。 元の世界に居る義妹の名前でもある。

 てことは、平行世界である菫の存在はこの娘って事になる。

 「………なんでそういう奇跡的な確率を引くかな俺は」

 「?」

 本来なら平行世界にある同一的存在と出会うなんて万分の一、億分の一以下の確率なんだ。 その確率を当てるなんて……だったら宝くじ当たってほしいよ。

 「話しを戻すけど俺は礼が目当てで手を出した訳じゃないから気にしなくて…「貴方が神崎暁?」ん?」

 ヴィオラと話していると一人の女性が入り込んできた。

 「貴方が機動六課の民間協力者の神崎暁ですか?」

 「…貴方は?」

 「私はオーリス、中将の指示に従いお迎えに上がりました」

 ようやく来たか、恐らく探しては居たんだろうがこの騒ぎを聞き付けてきたら俺が居たってわけだろう。

 「事件の早期収拾に協力して頂いていち局員として感謝します」

 「いや俺の性分でね、見かけた手前知らんぷりが出来ないのさ」

 「そうですか、ではこれより中将に御案内しますので私に着いてきて下さい」

 踵を返し目的であろう所に向かうオーリスに静止を掛けた。

 イクスの事忘れてたわ。

 

 『酷いですね……』

 

 

 

 

 

 

 「あれ、アイリさん。 そういえばあの人機動六課がどうのこうのっていってましたよね? たしか次の仕事って」

 「そういえば今度の仕事で管理局のある部隊の取材をする予定だったわね……うん、機動六課の取材ね」

 ヴィオラに聞かれたアイリは懐から手帳を取り出し予定を確認する。

 「そっか、また会えるんだ」

 「ならその時にちゃんとお礼いっとかないとね」

 「はい!」

 

 

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