リテラエルネルア(魔法少女リリカルなのはStrikerS)   作:リシュベル

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本編にはさほど影響は低いと思いますが見ていただけると幸いですw


特別話『サウンドステージ』

 「出張? 俺もか?」

 

 リニアレールの事件から間もない頃、八神から出張同行の話が出て来た。

 

 俺は魔力で作ったターゲットをアグニとルドラで撃ち抜く日課の訓練をしている最中だ。

 

 「そや、暁さんも地球生まれやゆうしこの世界の地球にも興味ないんかなぁとおもってな」

 

 まぁ興味ないなんていったら嘘になるわな、もしかしたらパラレルワールドじゃないかも知れないから帰れる可能性がある。

 

 「別にそっちがいいんなら参加するが……別に通信でもよかったんじゃないのか?」

 

 そう、俺は六課宿舎から離れた森林の中に居たのだ。それをわざわざ直接言いに来る必要性が無い。

 

 「いや、ちょいと気分転換もかねて暁さんを探してたんや。 もぉ書類ばっかで嫌になるわ……」

 

 なるほど、確かに書類ばっかりだと気が滅入るよな。 かくいう俺も元の世界でも書類仕事は面倒だと思うときがある。

 

 まぁ、肩書が支部長という面倒極まりない役職を任されているから部下に迷惑をかける訳にもいかずやるしかないのだが。

 

 「支部長って、暁さん元の世界で何してたんですか?」

 

 「あぁ……おいまて、いつ俺が元の世界での仕事の話しをした?」

 

 「なんとなくそう感じたんや」

 

 こいつ……、前世はアムロをも凌ぐニュータイプだったんじゃないのか?

 

 「まぁいい、俺は表社会では人材派遣会社の支部長としてその座に座っていたからな。 それで? その出張っていつ行くんだ?」

 

 「明日や」

 

 「急だなおいッ!?」

 

 急すぎて声を荒げて突っ込んでしまった。

 

 「いやぁ皆には既に言ってあるんやけどどうせなら暁さんもって思うてな」

 

 「はぁ、なるほどね」

 

 思わずため息がでてしまう。

 

 まぁ今日の訓練は午前中しかないようなのであとは準備の時間にあてよう。

 

 「んで、暁さんは私と一緒に行動やから一足先に向かって現地で下準備や」

 

 …この場合一足先にってのが異様に不安感を煽るのはなんなんだろうな。

 

 「一応聞いておくが一足先にっていつなんだ?」

 

 「今日の午後や」

 

 「……なぁハリセンで叩いて良いか? そんな頭、修正してやる」

 

 更に唐突になりやがった、こちらの都合お構いなしか。

 

 「そんな訳やから準備しといてや?」

 

 「あ、おい待て八神!!」

 

 背中に伸ばした手を途中で止め走り去る八神の制止を呼び掛けるがその言葉は虚しく響いた。

 

 「……まじかよ」

 

 ポツリと呟いた言葉もまた、虚しく響いた。

 

 

*

 

 

 あれから数時間後。

 

 俺と八神は転送ポートにてこの世界の地球に降り立った。

 

 「うぉぷ」

 

 「だ、大丈夫なん?」

 

 しかし転送時の独特な浮遊感が合わないらしく気分ががた落ちした。 転送酔いだ。

 

 基本的に乗り物酔いはしない質だがこれは別格だ。

 

 

 リテラエルネルア特別話

 

 魔法少女リリカルなのはStrikerS サウンドステージ01始まります……うぉぷ、吐きそう。

 

 

 「――あ゛ぁ゛?…」

 

 魔術で作った氷を額に乗せ、木陰の下で横になっていた。

 

 まだ気分は最悪、転送なんて作った奴出てこい。 ハリセンで成層圏まで狙い飛ばしてやる。

 

 「なっさけないわねぇ、たかが転送ごときで酔ってんじゃないわよ」

 

 「ほっとけ、俺はあの浮遊感は合わないようだ…」

 

 この状態にダメだしされたのはこの地球での今回の現地協力者、名前はアリサ・バニングス。 話しを聞くと彼女は八神や高町、フェイトと幼馴染みらしい。 あともう一人いるみたいだが……。

 

 この世界の地球は管理局の手がない管理外世界という事らしい。 そのため魔法と言う存在は秘密らしいのだが家族や親しい友人は知っているらしい。

 

 あと一応、俺も自己紹介し海鳴市外の出身と言っといた。

 

 「はやても大変ねぇ、こんな彼氏もって」

 

 「かかかかか彼氏!?」

 

 「あら、違うの?」

 

 ……なにやら誤解があるようだが訂正するのは八神に任せよう、今はコンディションを戻す事が優先だ。

 

 「あ、暁さんは仕事上の付き合いで協力者で今回の仕事について来てくれたんよ…!!」

 

 「ふぅん、てっきり彼氏連れての仕事かと思ったわよ。 良く見たら結構イケてるわね」

 

 「あぁ、お褒めに預かり光栄だ、自分的には標準的って感じなんだがな」

 

 いくらか回復したため、立ち上がる。 まだいくらかふらつきはあるが大丈夫だろ。

 

 しかしまぁ見渡せば湖にいくらかの小家がちらほら…コテージだよな。

 

 現地協力者が彼女だとするとどこぞの御令嬢というわけか。

 

 「んで、八神。 俺達は先行したわけだがなんか理由があるのか?」

 

 仕事内容をはっきりと聞いた訳じゃないからな。 悪魔関係……じゃないのは確かだな

 

 「それは私達が『専門』に扱ってる物の探し物や」

 

 専門? 確か八神達が探しているのってロストロギアだったよな。 ……おいおい、なんでそんな管理外世界にロストロギアなんてあるんだよ!!

 

 『いやな? 回収したロストロギアの一部が運送中のトラブルで紛失したんや。 それでその紛失したロストロギアの反応がこの地球であったんや。 そこで地理を把握し故郷である私達にその仕事が来たっちゅうことや』

 

 俺の視線に気付いた八神が念話で話し掛けてきた。

 

 なるほどね。

 

 「とりあえず現地協力者のアリサちゃんと少し話す事があるやけど暁さんはどうするんや?」

 

 「友人同士の話に介入したいほど野暮な事はしないさ、鳴海市の地理を少し把握したいからぶらついてくる」

 

 「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。 お礼にウチの使用人に鳴海市の案内させてあげようか?」

 

 「いや、自分の足で行くよ。 じゃあ八神、夕方ぐらいには戻るからな」

 

 「了解や」

 

 俺は手を振りながら湖畔を後にした。

 

 

*

 

 

 数十分後。

 

 「なんだよ、これ……」

 

 迷彩魔術を使用し、住宅地を屋根伝いで移動して行くとある違和感を感じた。

 

 そしてその違和感を確かめるために小高い丘へと来て愕然とした。

 

 「まんま桜木市じゃねぇか……」

 

 この丘から見える小、中、高の学校の位置、サッカーグラウンドがある広場。 商店街の区域。 桜木市の特徴である桜並木群が無い以外は俺の世界の住んでいる街に酷似していた。

 

 流石、平行世界。

 

 そうなると気になるのは、この世界での俺の家の住所だな。

 

 この丘の見える景色であそこが高校だとすると……あの辺か。

 

 再び迷彩魔術を使用し丘を降り、住宅地を駆ける。

 

 

*

 

 

 『八神部隊長、先程海鳴市内で魔力反応を感知しました。 けどこれって』

 

 その頃、はやてはシャーリーから魔力感知の報告を受けていた。 その感知パターンから知り合いのモノと一緒だったのだ。

 

 「……多分神崎さんやろなぁ」

 

 報告を受けたはやては若干、自身の顔の引き攣りを感じた。

 

 『良いんでしょうか……? 市街地での魔力行使は禁止されてるはずなのに』

 

 「あの暁さんやから別に危険はなさそうやし無視してえぇよ。 反応履歴も削除しといてな」

 

 こちらの魔法世界の法なんて知らない彼だ、別に悪さしている訳ではないのだからこのまま放っといた方が良いのかも知れないと思いシャーリーに改竄をお願いした。

 

 『了解しました』

 

 シャーリーもいくらか表情が引き攣っていたがはやての指示に反応し通信を切った。

 

 「なに? あの神崎って奴も魔法使えるの?」

 

 今の会話を聞いていたアリサが疑問を口にした。

 その疑問に対してはやては言葉を濁す。

 

 「あぁ?ちょっと説明ややこしくなるかな……」

 

 「どういう事よ?」

 

 「暁さんのは私やなのはちゃん達とは違う魔力行使をするんよ。 だから勝手も違うし?……ん?私もようわからないんよ……」

 

 腕を組み、頭を垂れながら困惑していた。

 

 

*

 

 

 「『翠屋』?」

 

 見当していた場所に着くとそこは喫茶店らしい。

 

 「まぁ高町達が桜木市を知らないって言う時点でパラレルワールドだとはわかっていたが……」

 

 実際目の当たりをすると嫌でも実感させられる。

 

 「あら? どうかなさいました?」

 

 店前で立っていた為ドアから店員らしき女性が現れた。

 

 「あ、いえ。 なんでもありません」

 

 「そうなんですか。 あ、よろしかったら寄って行ってください、当店の品はどれもイチ押しですよ」

 

 そういや少し小腹が空いたな。 軽く食っていくのも問題無いだろ、八神やアリサへの土産も手に入りそうだからいっか。

 

 「じゃあ、お邪魔します」

 

 「はい、『翠屋』へようこそ?」

 

 

*

 

 

 「……フムフム、なるほどそういう中身もありか」

 

 「中身に入れるクラッシュゼリーを用意するので時間がその分かかりますが少し暑めな時期には清涼感もあるため若い女性にも受けるかと思います」

 

 俺は今、この店の店主とお菓子談議している。

 

 結果から言うとかなり美味かった。

 

 このレベルの味をここまで低価格で出来るなんて相当な腕だ。 十分一流のパティシエとしてやっていける程に。

 

 そう感心していると一人の男性がこちらに来て談議が始まった。

 

 「ふむ、少し試してみるか……暁君と言ったね。 よかったら協力してくれないか?」

 

 「あ、はい。 って良いんですか? 俺は一般客ですよ?」

 

 「良いって良いって、君は真っ直ぐな青年そうだし、何より君みたいな者と談議出来て嬉しいし」

 

 「はあ…」

 

 そういって女性店員の顔を見る、あの人は本気なのかどうかを。

 

 すると女性店員は笑顔で頷いた。

 

 どうやらこの店主は本気で一般客の俺を厨房に入れる気だ。

 

 「まぁいいっか、せめて調理を楽しもうか」

 

 あそこまで子供のように楽しそうに話す人物だ余程作ることがすきなのだろうな。

 

 俺は店主を追い厨房へ入る。

 

 「あ、すいません。 予備のエプロン貸してくれませんか?」

 

 「じゃこれどうぞ」

 

 そう言って渡されたのはチェック柄の腰巻き状のエプロン。 それを受け取った俺は上着を脱いで邪魔にならないところに置き、エプロンを身につける。

 

 「なかなか様になってるよ」

 

 「ありがとうごさいます。 さて、何から始めましょうか?」

 

 「そうだね、先程話していたシュークリームでも取り掛かろうか。 暁君はどうやってるんだい?」

 

 「俺はサンドする方ですね。 クラッシュゼリーを混ぜたクリームを入れられるので」

 

 「よし、じゃあ生地は俺がやろう。 その間中身の方を頼むよ、材料は好きなのを使うといい」

 

 これはありがたい、それなら意外なものも作れるかもしれない。

 

 それから約二時間が経とうとしている頃。

 

 「三番さんクラブハウスサンド上がりです桃子さん!!」

 

 「暁君、次ホットケーキ三枚焼いてくれ!」

 

 「了解!」

 

 「六番さんショートケーキの生ハーブティーセット入りました!!」

 

 「「了解!!」」

 

 いつの間にか手伝っている俺が居た。

 

 

*

 

 

 「いやぁ助かったよ、ほんとありがとう暁君」

 

 さらに一時間ちょっとした後来客も落ち着いてきたので一息ついた。

 

 「いつもはそんなに来ない時間帯なんだけどね、娘も出かけてていない状態だったからホント助かったわ」

 

 「いえ、お役に立てて幸いです」

 

 頂いたコーヒーを口にし豊潤な香りが広がる。 やはりコーヒー一つにしても美味い。

 

 「暁君は普段どんな仕事しているんだい?」

 

 「一応派遣会社の支部長をしています」

 

 「へぇ?そんな若いのにたいしたものだ」

 

 「別にたいしたものじゃ無いですよ、支部長と言っても肩書だけで書類仕事以外は自らも現場に行きますから」

 

 まぁウチの支部の人間が優秀だから俺も裏(ハンター)として行動できる訳だ。

 

 「支障がなければどういうものか聞いてもいいかな?」

 

 「いいですよ。 基本的には一般の人材派遣会社と同じと思って頂いたほうがわかりやすいかと。 唯一の違いが要人保護等も引き受けるとかですね」

 

 マルチタスクな人材派遣ってコンセプトらしいからな。

 

 「じゃあ暁君もその要人保護の依頼に赴く事も?」

 

 「そうですね、一応体術や武術を心得ていますので。 指名依頼なんてのも来ます、しかしなんでそう思うんですか?」

 

 「道理で、いやぁ筋肉の付き方とかが嗜んでいるもの独特の感じだからね。 それじゃ君はかなり腕に自身があるようだね」

 

 「まぁほとんど顔見知りからの依頼ですけどね。 あ、そろそろ行かないと」

 

 時計を見ると五時前を示していた、夕方には戻ると言ったからそろそろ戻らんと。

 

 「ん、あぁ。 もうそんな時間か暁君今日はありがとう、後……」

 

 士郎さんが立ち上がり厨房の中に入るとすぐなにかを持って出て来た。

 

 「さっき君と作ったシュークリームだ、かなりの数だからお土産としてもって行くといい」

 

 「あ、はい、ありがとうございます。 あ、それと先程注文した代金、まだ払ってませんでしたね。 おいくらですか?」

 

 「代金はいいよ、手伝ってくれた賃金がわりだ」

 

 あぁ、まあ等価交換って意味ならいいかな?

 

 「そうですか、では失礼します」

 

 「また来てくれよ?」

 

 俺は「はい」と返事をして桃子さんにも挨拶し翠屋を出た。

 

 夕暮れという時間もあって空はオレンジ色に染まり、もうじき闇夜が世界を覆うとしていた。

 

 「……急ぐか」

 

 手にした土産物を崩さぬよう、かつ早急に戻るため再び迷彩魔術をしようし屋根伝いに移動を始めた。

 

 とまぁ先行組、……俺と八神だけなんだが。――が合流したのが五時半でそれから飯食って、翠屋のスイーツを食べ、八神は再びアリサと談笑に勤しんだ。 俺はほとりにて横になり夜空を見ていた。

 

 「しかしまぁ、世界は違っても地球は地球だよな」

 

 まだ人間としては総年齢の一割にもなっていないが地球のこの何とも言えない心地良さは一緒だ。

 

 時期が時期なのだろうか寒くもなく、暑くもなく過ごしやすい夜だ。

 

 「アグニ」

 

 ふとアグニをデバイス化し、右手に持ち、銃口を月に向ける。

 

 「ダァン」

 

 口で銃声を真似したあと、アグニを待機状態に戻す。

 

 「あいつらちゃんと飯食ってっかなぁ」

 

 元の世界の身内を案じする、基本的に家事は俺が担当している。 やらせたくないってのが第一だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やべ、なんか無性に家の事が心配になってきた……」

 

 想像できうる光景に余計に心配の種を自分で植え付けてしまった。

 

 

 

 

 リテラエルネルア10万ヒット記念リリカルなのはStrikersサウンドステージ01『出張・機動六課』後編。

 

 夜が明け、後行組が来る時間になると八神の指示を受け、あるポイントに待機していた。

 

 八神から『このポイントわかる?』と聞かれたが昨日の地理把握と桜木市の地理を脳内合成したため大丈夫だと言った。

 

 「あ、神崎さん?」

 

 時間を確認しようと腕時計を見ると聞き慣れた声がエンジン音に重なって聞こえたのでそちらを向く。

 

 「高町?」

 

 どうやら俺はスターズと一緒に行動するようだな。しかし車か……てかあれはトヨタのプリウスじゃないのか? ホントパラレルワールドには驚かされる。

 

 「お待たせしました、助手席にどうぞ」

 

 案内を受け、俺は助手席に座る。 後部座席にはスバルとティアナが居た。

 

 「んで、具体的に何をするんだ?」

 

 「あれ? はやてちゃんから聞いてないんですか?」

 

 「八神からは『来た分隊と合流して手伝って』としか聞いてない」

 

 「もう、はやてちゃん……」

 

 おい八神、高町が呆れているぞ?

 

 とりあえず高町の説明を聞くとスターズとライトニングで振り分けた担当ポイントにサーチャーというものを設置するのが当面の仕事らしい。

 

 まぁスバルやティアナが良くやってくれているから俺が手を出すとかえって邪魔になるから周辺を警戒していた。

 

 「ねぇ、皆のところに行く前にちょっと寄り道していいかな?」

 

 担当ポイントが終了し、後は合流するのみとなったのだが高町が寄り道を提案した。

 

 「俺は構わないぞ、後ろの二人はどうだ?」

 

 「はい、大丈夫です」

 

 「同じく大丈夫です」

 

 ―だ、そうだ。 そういう意味合いで視線を向けると高町はケータイを取り出し、どこかへ連絡する。

 

 「もしもし? お母さん?」

 

 お袋さんに連絡? そういや高町や八神、フェイトはここの出身だったな。

 

 まぁ出張とは言え実家が近いんだ、身内に顔出しとくのも悪くはないだろう。

 

 ……しかし、電話から聞こえてくる声。 どこかで聞いたな。

 

 「――うん、じゃあ後でね。 よし、じゃあ行くから皆シートベルトしてね」

 

 「「はい!」」

 

 「了解」

 

 高町はキーを回し車に息を吹き込む。 眠りから目覚めた車は運転手である高町に従い目的地へと向かう。

 

 

*

 

 

 「あ、フェイトちゃん達もうついてる」

 

 目的地に着くと、そこは昨日お世話になった喫茶店、翠屋だった。

 

 ここまで接点出来るとはね、いやはや並行世界、世の中広しといえども案外狭いもんだね。

 

 「あ、なのは」

 

 そう思いながら降りると向こうも気付いたようで高町の名前を呼ぶ。 エリキャロも居るようだが……

 

 「なぁティアナ、あの後ろにいるやつって」

 

 「はい、リィン曹長ですよ」

 

 「でかくなれたんだ」

 

 「えぇ、でも燃費が悪いとか言ってましたね」

 

 けど見た目がエリキャロと同じぐらいだからちびっ子はちびっ子だ。

 

 「む?……」

 

 「……なんだ?」

 

 するとそのちびっ子がこちらを頬を膨らませて睨んでいた。

 

 「ちびっ子で悪かったですね!!」

 

 「……お前もか」

 

 流石八神のデバイス、お前もニュータイプの素質あるのか。

 

 「あら、暁君?」

 

 「こんにちは桃子さん」

 

 「あれ、お母さん神崎さんのこと知ってるの?」

 

 …………。

 

 オーケー、確認だ。 今高町はいま何て言った?

 

 間違いなく『お母さん』っていったな。

 

 「「「「「お母さん!?」」」」」

 

 「若すぎるだろ!?」

 

 不意に突っ込んでしまった、昨日は士郎さんと桃子さんは夫婦で若いなとは思っていた。

 

 昨日士郎さんが娘がどうの言っていたから、その娘さんはおそらく中学生辺りかなと思っていた。

 

 しかし、高町は19歳だ。それをふまえると桃子さんと士郎さんは失礼ながら最低40代だろう。

 

 「まあ、暁君褒めても何も出ないわよ?」

 

 「いやいや、本心だから……」

 

 なんでだ!? なんでこうも若いんだ!? 明らかにおかしいだろ!!

 

 まさか悪魔……なわけないか。

 

 「暁君は昨日ウチにきてね、お父さんとお菓子の話しで盛り上がっててね。 ついでにお手伝いしてもらったのよ、ちょっとまっててね。――士郎さんなのはと暁君きましたよ?」

 

 桃子さんがいうやいなや、地響きを比喩した文字が出そうな勢いでその人物は現れた。

 

 「なのはぁあ!!」

 

 「きゃああ!?」

 

 現れた人物はいきなり高町に抱き着き、高町は悲鳴をあげた。

 

 あ、叩き伏せた。

 

 「お、お父さん!? いきなりなにするの!!」

 

 いやあ、このやり取り。 身内を思い出すなぁ……

 

 「おや、暁君じゃないか。 なんで君がなのはと一緒なんだい?」

 

 地面に減り込んだかと思ったら何事もなかったかのようにこっちに話題をふったよ。

 

 「お父さん、実はカクカクシカジカで……」

 

 「なるほど、事情はわかったよ。 暁君、娘のなのはが世話になってるね。 これも君の仕事なのかい?」

 

 「詳しくは言えませんが仕事ですね。 そして高町達にはよくしてもらってます、こちらが厄介になってるぐらいですから。 しかし、高町のいまの会話でよく通じましたね?」

 

 「それは親子だからね!」

 

 うわ、清々しい笑顔で言い切った。 言葉的には素晴らしいけどキラキラしたバックが現れたために欝陶しく思ってしまう。

 

 「君みたいな者が居ると俺達も安心だ、なのはの事よろしく頼むよ」

 

 「ちょ、ちょっとお父さん…!!」

 

 「いや、高町は一人でも大丈夫だと思いますけど…?」

 

 その一言に全員が高町を見る。

 

 「え……なに、どうしたのかな?」

 

 白い悪魔って言われてるからなぁ、多分一人で戦艦級の火力を保有してるんだろうな。

 

 「しかし高町がここの娘さんだとは…」

 

 「にゃははは…」

 

 ふとスターズの二人を見ると呆けていたのでどうしたのか聞く。

 

 「いや、普通の女の子みたいだなと思いまして…」

 

 「なんかなのはさんの意外な一面を垣間見たような…」

 

 「そりゃそうだろ、管理局でこそエース・オブ・エースと言われているがそれ以前に19歳の若者だ、二人と大差ないぞ」

 

 そうやって言い聞かせる。 ティアナはともかくスバルはなにやら崇高しているような気がしなくはない。

 

 だからこそ自分と同じ年頃なんだとわからせなくちゃ、あとあとやな予感がする。

 

 そうこうしている内合流しなければならない時間が近づいてきたため、一同湖へと向かう。

 

 

*

 

 

 

 「……銭湯?」

 

 八神達から次の行動について聞かされた。

 

 ここのコテージにはシャワー設備がない、水浴びをする季節でもないので市内にあるスーパー銭湯に行くというのだ。

 

 やはりあそこだよな。

 

 てなわけで着きましたスーパー銭湯。

 

 流石に大人数だから入った瞬間店員の顔が引き攣ったな。

 

 「ふぃ?」

 

 身体を洗い湯舟に浸かる。 やはり気持ちが良い、これがホントに癒されるって感じだ。

 

 しかしまぁ……

 

 「お前も苦労するなぁ、エリオ」

 

 「あはは……」

 

 入る時にキャロとの攻防を繰り広げた(主にエリオ防戦のみ)が男同士と言うことで助け船をだした。

 

 そして今お互い頭にタオルを乗せている。

 

 「「ふぃ~」」

 

 ま、今はこの極楽気分を満喫するとしよう。

 

 「エリオく~ん」

 

 ――が。そうはいってられなかった。

 

 身体にタオルを巻き付けたキャロが敵陣(男湯)に単身乗り込んできた。

 

 流石に俺は呆然とするしかなかった。

 

 「きゃ、キャ、キャロ!? ここ男湯!!??」

 

 「うん、知ってるよ。 けど11歳未満なら大丈夫だってぇ」

 

 どうやら規約を逆手にとった裏技を行使してきたようだ。

 

 「か、神崎さん…!」

 

 「諦めろエリオ、お前の負けだ。 大人しく混浴の露天風呂行ってこい、キャロ連れていってやってくれ」

 

 「はぁい!」

 

 「そ、そんなぁ……」

 

 湯舟から引っ張り出されたエリオはキャロに引きずられながら表の露天風呂へと連行されて行った。

 

 ――折角の機会だ、お互いの交流を深めとけよ。と一方通行の念話を送っといた。

 

 俺は先に上がり、備え付けられているマッサージチェアを目当てに身体を拭き着替える。

 

 ……と、ついでに珈琲牛乳買わんと。

 

 すると背筋に寒気が走る。

 

 「――来たか」

 

 感じる気配に口元が上がるのを感じながら銭湯をでて八神に連絡する。

 

 『八神、悪魔が出た。 これから現場に向かう』

 

 『なんやて!? ちょいまっててな、今『あぁ良い良い。 気配からそこまで強い奴じゃないから俺一人で行くよ』せやけど…』

 

 渋る八神に俺はふぅ、と息を吐き―

 

 『俺はデビルハンター、悪魔を狩るのが仕事だ』

 

 と、笑っている自分を自覚する。

 

 『あれ、暁さんは確かなんかの支部長してたんじゃ?』

 

 『それは表の顔だ。 じゃあ行ってくる、終わったらコテージに戻る』

 

 『了解や』

 

 回線が切れる音が頭に響き、俺は待機状態の相棒をデバイス化し気配の出所を探る。

 

 河川敷の方からだな。

 

 迷彩魔術を使用し民家の屋根に上り、屋根伝いに移動を開始する。

 

 スパーダツヴァイはまだデバイス化に出来てないからなガンスタイル中心でやるしかない。

 

 最悪の場合クラウ・ソラスを使う事も考えとかないと。

 

 そう思って現場について目に入った光景は赤、青、緑、黄色等色とりどりのゼラチン質な物体が広がっていた。

 

 「………ぷよぷよ?」

 

 あれか? 同じ色四つ以上繋げれば消えるのか?

 

 いや、まさかな。 気配は悪魔なんだが力は強くない、こんなやつ初めてだ。

 

 試しに何発か放って見ると魔力で形成した弾丸がぷよぷよに当たると消滅した上、魔力の結晶であるレッドオーブが出て来て俺の身体に吸収された。 完璧に悪魔だ。

 

 「隔絶結界張っておくか」

 

 俺は結界の範囲を座標を指定して決定する。 河川敷グラウンドを中心に半径500Mあれば十分だ。

 

 範囲が決まり結界を発動させると世界が変わった。

 

 夕焼けを思わせる赤い世界に変わったのだ。

 

 「オーケー、それじゃ全消し狙いでやってみますか!!」

 

 未知の悪魔だろうが俺の邪魔をするならぶちのめす、今までも、そしてこれからも!!

 

 お前もこの場に居たら同意するだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 なぁ、スパーダ!!――

 

 

 

 

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