どうも皆様、踏ん切りがつかずにこちらへ手を出した萃夢想天です。
本当はバカテスの方を更新しなきゃいけなかったんですが、
先日念願のTV(24インチ)を購入して、ようやくPS4で遊べるんだと
舞い上がっていたら時間がもう無くなっていました。おのれカプコ〇!
さて、今回は本編のヒドインこと咲夜さんのお話です。
随分前に本編ではぐらかした部分を書こうと思っていたんですが、
最近見つけたヤンデレ系SSの影響により、別の話を書くことにしました。
書かなきゃいけないのは分かっているんですが………申し訳ないです。
あ、ちなみに、この番外編のほとんどは本編終了後という設定です。
なので大体のキャラクターが幸せ時空に入り浸ってますので、ご理解をば。
それでは、どうぞ!
_____________それは全てを受け入れる残酷な楽園の、ありふれた一日の中の1ページ。
某月某日、午前八時:起床
いつもと変わらない時間に目覚めた私は、瞳を開くと同時に周囲の『時間』を停止させる。
停止した時間では何もかもが色褪せて動きを止める。その中で唯一私のみが動くことが許される。
時間にして約四時間程度の睡眠だったけれど、もはや慣れてしまった私には充分過ぎる時間だ。
横になって固まっている体をほぐすため、まずは手のひらを上にして両手を組み、腕を伸ばす。
伸びと呼ばれる簡単な筋弛緩方法だ。これをやると高確率で、背中やら腕やらの骨が音を鳴らす。
小気味よく鳴り響いた音で"彼"を起こさない配慮でもあるのだが、本当の目的はこの後にある。
私の隣には今、無垢な寝顔をみせる弟____________紅夜がいる。ああ、今日も愛おしい!
時間の停止は彼にも漏れなく適用される為、目を閉じたままの無防備な彼の姿がそこにあるのだ。
未だに体内に残っていた眠気を全て駆逐し、代わりに充満する彼への愛が私の理性をはく奪する。
具体的に彼のどこが愛おしいのかと言われると困ってしまうが、言うなれば全てだろうか
彼の眼が愛おしい。私とよく似た赤紅色の瞳は、今でこそ閉ざされているが、ふとした瞬間に
見つめると心が高鳴る。見つめられると体が震える。もっともっと見てほしいと欲望が増長する。
彼の髪が愛おしい。私とよく似た白銀に煌めく髪は、部屋の窓から差し込む陽の光を反射して、
ガラス細工のように煌めいているのだ。しかも手触りもよく、匂いも男らしさが染み込んでいる。
彼の唇が愛おしい。私とよく似た形の良い薄赤の唇は、もはや語り尽くすことなど出来ないほどに
魅力に溢れている。柔らかさとか、味とか、温度だとか、思い出すだけでも体が熱くなってくる。
ああ駄目だ、我慢できない。彼が弟であることは分かっているけど、ソレを含めてなお愛しい。
寝起きの頭で冷静な思考が出来ていないことを言い訳に、停止した時間内だからという絶対的
安心感も後押しして、私はすやすやと眠ったまま停止している紅夜の唇に吸い付き、貪った。
ああ、駄目。駄目、だめだめだめ、だめぇ…………♡
一度触れただけで止めようという考えは霧散して、何度も何度も際限なく彼の唇を味わう私。
まるで飢えに苦しむ犬が立てるような、そんな卑しい水音を立てながらも私の体は止まらない。
それどころか、唇同士の接触だけでは物足りぬと言わんばかりに、舌までも使って舐めまわす。
横合いから上半身だけを預けてするには体勢的に無理があり、腰と首が少しだけ痛みだした。
しかしそれだけで止める理由にはならない。止めるわけがない。止めたくない。愛おしい。
これは仕方のないことだと自分に言い聞かせ、時間を停めたまま私は紅夜に跨って密着する。
彼の温もりを全身で感じることが出来て……………たまらない♡
病みつきになりそうな感触に、私の中にある自制心が歯止めをかけてくれる。助かったわ。
このままだと一生彼から離れることが出来なくなっていた…………あら、それも悪くないわね。
無防備な姿で眠りこけている彼の腰の上に跨り、手で頬を押さえて好き放題に唇を味わう。
それをしばらく続けていると、何やら、とすとすという軽めの音が連続して聞こえてきた。
時間が止まっている世界で音は聞こえないはずなのに。何事かと思った私は視線を向ける。
するとそこにあったのは、私の腰だった。そう、私の腰が私の意に反して、勝手に動いていた。
膝や背中の筋肉をうまく使って、シーツの下にある彼の腰に、自らの腰を打ち付けていたのだ。
これは大変よろしくない。傍から見たらこの光景は、盛りのついた卑しい雌犬のようではないか。
必死に腰を振って男に媚びる姿など、紅魔館のメイド長としてはあるまじき恥辱であろう。
ただ、それはあくまでメイド長としては、である。今の私はこの子の姉で、姉で、姉なのだ。
なーんだ、何も問題ないじゃない
そう結論付けた私はその後、現実時間にして四十分ほどかけてじっくり紅夜を味わった。
某月某日、午前十一時:清掃
まただ、またあのゴキブリのような色合いの女が現れた。そろそろ本気で殺したい。
前は紅夜と色々あったせいで仕方なく紅魔館に寝泊まりすることとなっていたが、そのことに
味を占めて今でもよくここへ来るようになった。二度と来ないように殺すべきかもしれない。
しかも以前までのあいつなら、お嬢様や魔理沙に対してガセ情報を盛り込んだ新聞用の取材を
敢行しただけで帰っていったのに、先の一件以来あの女、あろうことか紅夜にすり寄り始めた。
もう殺してもいいと思う。あんなのがウロチョロしているなんて、目障り以外の何物でもない。
証拠を残さない殺し方なんて、私が思いつく限り考えてあるのに……………
けど、殺せない。薄汚いカラス風情でも、あの子が気に入っている以上は殺せないのだ。
個人的には野犬の餌にでもしてやりたいのだけど、紅夜の事を思うとそうできないのが現実。
姉である私がいれば最終的にはいいのだろうけど、優しすぎるあの子にはアレが必要らしい。
惨殺してやりたい。でもあの子が気に入っている。だから殺せないし殺さない
いくら優しいあの子でも、ああまで鬱陶しくたかられると気分も悪くなるに違いない。
実際今の私は気分が悪い。姉である私がそうなるのだから、弟のあの子もいずれそうなるだろう。
そうなる日が早くも待ち遠しい。あの子がアレに飽きた瞬間、生まれてきて彼に媚びを売った事を
後悔させてやる。生半可なことでは足りない。地獄の拷問が手緩いほどの痛みをくれてやらねば。
敵は大勢いる。妹様はあの子の主人だから例外だとしても、パチュリー様と美鈴はもう確定だし、
小悪魔だって間違いないとみている。この館内だけならまだ考えてもよかったのに、外にはさらに
あの子に媚びを売る雌どもが沸いているらしい。一匹残らず殲滅してやりたいが気持ちを抑える。
目下のところはあの汚らしい女カラスだ。アレさえどうにかできれば私の心の平穏は保たれる。
そうなれば私と紅夜は晴れて二人きり……………うふふふ
今からもう未来予想図が止まらない。さぁ、お嬢様の紅茶のついでにあの子にお菓子をあげねば。
某月某日、午後三時:休憩
紅魔館のメイドと言えど、休息が無いわけじゃない。そういうものは自身で見つけるものだ。
早めに仕事を切り上げた私は、この時間帯に彼が行きそうな場所を片っ端から調べ尽くし、
最後に大図書館へやってきた。またパチュリー様のところか。ああもう、腹立たしい。
主人の旧友であらせられる方へ抱いていい感情ではないけれど、私はコレを抑える術を知らない。
だってどうしようもできないのだから。彼が愛おしいのだから、彼に近寄ろうとする女は全て、
自分の抹殺すべき対象に認定されるようになっているのだから、仕方が無いのだ。
呼吸を落ち着かせてから本棚の海を奥へと進み、目的の人物二人を発見する。
ソファに腰を下ろした二人は、互いの肩が触れ合うほどの距離で分厚い本を読みふけっていた。
ああ、心がざわつく。今すぐにでもパチュリー様をどかして、あの子の隣に座りたい。
「あ、姉さん! 掃除はもう終わったの? お疲れ様」
パチュリー様に視線をぶつけていると、こちらに気付いた紅夜が労いの言葉をかけてくれた。
正直、これに勝る幸福はそうそう見つからない。彼の言葉が私を、私の荒んだ心を癒す。
たったそれだけのことで泣き出してしまいそうになるのをグッと堪え、瀟洒な足取りで歩く。
そうして近付くと相手も気付いたようで、読んでいた魔導書を閉じて好戦的な笑みを浮かべた。
「あら咲夜、こんなところで油を売っていて大丈夫なの?」
「ご心配なく。パチュリー様が考え付くことは全て、終わらせてありますので」
「流石ね。それで? あなたは何をしに来たの?」
「お言葉を返しますがパチュリー様、彼と何をしていたので?」
いくら大図書館の主であると言えど、仮にもメイドに「さっさと帰れ」と(暗にではあるが)
言うものだろうか。それとも、私を追い出してから彼と何かをするつもりなのではないか。
姉である私を差し置いて、いったい何をするつもりだこの女…………っと、いけないいけない。
今の私はメイド長として振る舞わなくてはならない。最大限の注意を払わなくては。
しかしいつまでも彼の隣に座らせたままにするのは、私の精神衛生上は大変よろしくない。
どうにかして引き剥がせないか考えていると、彼女は紅夜の頭に手を置いて語りだした。
「私は別に…………ただ、紅夜と一緒に本を読んでいただけよ。ね?」
「えっ? あ、ハイ。ええ、そうです」
「ということ。何か問題があるのかしら?」
「……………ッ‼」
「あ、えと、その、姉さんもパチュリー様もどうか落ち着いて……」
只一緒に、などとよくも言えたものだと内心で憤慨する。なら今紅夜の頭に乗せている
その手はいったい何だというのか。優しく壊れ物に触れるような手つきで彼の頭を撫でて
いるその手は何なんだ。抜け抜けと妄言を吐く割には行動と一致していない。
ただ、紅夜が落ち着いてとおろおろとしながら声を掛けてきてくれた。もう愛おしい。
彼が言うから仕方なくこの場は引くことにした。あくまで仕方なくだ、仕方なく。
一礼してから大図書館を出ようとする私は、勝ち誇ったような顔でこちらを見ながら、
白銀の髪を大事そうに撫でるパチュリー様を見てしまった。そしてつい、舌打ちが零れた。
某月某日、午後七時:夕食前
美鈴が彼と組み手をしていた。
組み手を終えた美鈴が、彼を背後から抱きしめていた。
何やら幸せそうに、二つの膨らみを押し付けて話している。
あの子と別れてからすぐ、美鈴の脳天めがけてナイフを投擲した。
某月某日、午前五時:寝室
本当に毎日が目まぐるしく巡る。しかし、私はそれが言うほど嫌いではない。
と言うよりも、彼が私の日常の中に居てくれさえすれば、それだけで満たされる。
そんな一日もようやく終わりを迎え、次に来る明日に備えて眠る時間になった。
「おやすみ、姉さん」
「ええ、お休みなさい」
たった一言を交わすだけだったが、その一言が私だけに向けられたという事実が重要だ。
この館内において、この子を想っていないものはいないと断言できるほどである。
優しい彼は誰にでも分け隔てることなく、平等に接している。無論、私を含めて。
だからこそ今の「おやすみ」という言葉は、私のためだけに口にされた言葉なのだ。
これが嬉しくないわけがない。
「紅夜っ!」
「姉さ____________んん!」
夜はまだまだ、明けることはなさそうだ。
いかがだったでしょうか?
ヤンデレを書くつもりがないとヤンデレになってしまうのに、
いざ書こうとするとソレっぽくならないという絶対的な矛盾。
もう咲夜さんに何をさせたいのか、咲夜さんが何をしたいのかが
まるで訳が分からないことになっていますねコレ。もう訳分かんねぇな。
ご意見ご感想、お待ちしておりまーす!