【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

10 / 209
前回の投稿から約1日過ぎての投稿となります。

毎回見るたびにUAが伸びていてとてもうれしいです。励みになります!

今日のデイリーはちょっとアレでした......。早々いい装備が出る訳じゃないのが艦これの醍醐味なんですかね?


第十話  提督の挨拶回り③ 軽巡洋艦編

俺と金剛は駆逐艦娘たちのところを離れ、軽巡洋艦が集まっている場所に来ていた。

一見、駆逐艦娘よりも数は少なく見えるが、駆逐艦娘よりも成長している身体の為か使っている場所は同じくらいの広さだった。

近づいた俺と金剛をいち早く見つけたのは、軽巡内でも練度の高い五十鈴だった。

 

「提督じゃない。どうしたの?」

 

そう言うと、全員がピクリと反応し、こちらに振り向いた。

 

「俺は唯の金剛のオマケだよ。」

 

そう言うと金剛が俺の横に立った。

 

「ハーイ!この度、秘書艦に任命された金剛デース!」

 

「んな訳あるか!」

 

と、俺は金剛にツッコンだ。金剛は俺がツッコむのを予想していたかのように舌をペロッと出した。

 

「と言うのは嘘デース。本当は全員に挨拶で回ってるネー。さっきは駆逐艦娘のところに居たヨ。」

 

そう言うと金剛は腰に手をやった。

 

「んで俺は色々バタバタしていたのと第一艦隊が離れてくれなかったから皆の顔を見るためにね。」

 

そう言うと軽巡の艦娘は全員箸を置いた。駆逐艦娘では見られなかった光景だ。

 

「金剛型戦艦 一番艦 金剛デース!軽巡の皆さんは確か遠征が多いと聞きまシタ!縁の下の力持ちに挨拶デス!というのが本当の挨拶デス!」

 

そう言うと金剛は見渡した。駆逐艦娘の時はわらわらと集まってきたり全員で睨んだりと忙しかったので、来るのかと身構えたようだった。

だが、金剛の予想は違った。軽巡の艦娘はその場で全員がお辞儀をした。これが違いというものなのだろうか。

 

「縁の下ね......。確かにそうかもしれませんね。特に長良型と天龍型、球磨型はずっと遠征ですしね。あっ、申し遅れました。私は長良型軽巡 名取と言います。」

 

そう言ったのは名取。長良型軽巡で、主にボーキサイトとバケツの回収に向かっている遠征艦隊の旗艦を任せている艦娘だ。

 

「確かにな。帰ってくるなり補給してすぐに遠征。ちったぁ前線に出たいがな......。あぁと、俺は天龍。」

 

そう言ったのはハニカんだ天龍だった。その天龍の姿に少し、俺はイメージが崩れた。もっと戦闘狂だと思っていたからだ。

 

「軽巡は3分の2が待機要員だクマ。だけど戦闘に出る艦娘もいるクマね。クマは球磨だクマ。」

 

そう言ってアホ毛をピョコピョコさせたのは球磨。球磨型軽巡だ。

 

「んで、戦闘要員が私たち。川内型軽巡とそこの北上くらいかな。私は川内型軽巡 一番艦の川内よ。」

 

そう言って挨拶したのは川内だった。まだ、改装前の状態だが、ここでまた俺の中でのイメージが崩れた。

 

「そうデスカ。皆さん、ありがとうございマース!お蔭で私は進水できたヨー。」

 

そう言った金剛は頭をぺこりと下げた。なんと礼儀正しいのか。俺はてっきり艦の大きさで上下決まってるのかと思ってたが、一応早い順的なのはあるみたいだ。

 

「とまぁ、俺も元の目的を達成する為に来たし、少し話していくか。」

 

「そうデスネー。」

 

そう言うと、俺は空いてる席についた。もちろん軽巡の艦娘が集まる辺りでだ。

そうすると、数人集まってきた。どうやら、さっき喋らなかった艦娘のようだった。

 

「初めまして、提督さん。私は由良。長良型軽巡です。」

 

そう言って丁寧にお辞儀をしたのは由良だった。長い髪を後ろでポニーテールにし、紐で纏めている。特徴的な髪型の艦娘だ。

 

「あぁ。俺は自己紹介要らないよな?どうした?」

 

「いえ、これもアレですよ。常識?という奴ですかね?」

 

「社交辞令か?」

 

「そうです。でも本音は提督さんとお話してみたかったというものですがね。」

 

そう言うと由良は笑った。

 

「まぁ今回は提督さんに訊きたい事があってきました。」

 

「ん?」

 

俺が返事をすると、由良の後ろから数人現れた。

 

「俺は球磨型軽巡 木曾だ。」

 

「長良型の長良です。」

 

「多摩だにゃ。」

 

「おう。」

 

後ろに現れた全員が自己紹介をし、俺が返事をすると由良が俺に訊いてきた。

 

「金剛さんの歓迎会でするような話ではありませんが、せっかくです。聞きたい事は、遠征艦隊の編成についてです。」

 

そう言うと由良は指を折って遠征艦隊のメンツをあげて言った。

 

「第二艦隊は天龍、龍田、第六駆逐隊。第三艦隊は球磨、多摩、第七駆逐隊。新設の第四艦隊は名取姉さん、長良姉さん、私、初雪、深雪、叢雲。遠征艦隊にしては編成が重すぎやしませんか?」

 

俺はそう言った由良をじっと見つめた。どうやら結構考えていたみたいだった。そして今日、俺に訊くことにした。そう言う事らしい。

 

「確かに重いな。遠征から帰還する度の補給でせっかく回収してきた資材も消費されてしまって、残らないこともあるな。」

 

「でしたら、少し軽巡の数を減らしては?」

 

そう言う由良は少し悲しそうな表情をした。俺はそれにすぐに気付き、答えを言う。

 

「それはダメだ。俺は遠征艦隊に編成する艦娘を合う言葉で言うと準戦闘要員としている。例えが悪いがな。」

 

そう言うと分かったのか、由良の後ろに居た木曾たちも暗かった表情がパァーと晴れていった。

 

「そうでしたか。」

 

「あぁ、木曾は北上の様に戦闘要員として何れ出撃するであろう難関海域に出てもらいたい。今は待機だけど、何れ出撃要員に起用する。由良は対潜能力が高くその手の作戦には是非出てもらいたい。長良は水雷戦隊の旗艦候補だ。多摩は姉に球磨が居る。多摩は近くで球磨を見習って欲しいんだ。」

 

そう言うと全員が黙ってしまった。だがただ一人、納得出来てない艦娘が居た。夕張だ。

 

「提督っ!私はっ!?」

 

夕張は机を叩き立ち上がった。

 

「聞いてみれば、出撃要員も遠征艦隊編成メンバーも色々あるみたいだけど、私はどうなの?!」

 

夕張は白い顔を赤くして怒っていた。

 

「夕張は......。」

 

「どうしたのよ!」

 

俺は夕張を戦闘にも遠征にも加えない理由を言うまいか考えた。だが、夕張の様子は言わざるを得ない状況にあった。あんなに怒らせてしまっては何とか許して貰わねば。

 

「夕張は自分の事を何と名乗ってる?」

 

「......兵装実験軽巡、夕張......ですけど。」

 

「自分の艤装の性能、ちゃんと考えろ。2900トンの艤装の割に5500トン級の軽巡が搭載する兵装を積めるじゃないか。」

 

「それがなんだっていうの?」

 

「一応、夕張も戦闘要員だぞ。君らの言う艦娘内での割方だと。」

 

そう言うと夕張は別の意味で顔を赤くした。

 

「でも......私、海に出たのは4回しかないし......。」

 

「そりゃそうだ。その4回は試運転だし。今までは駆逐艦娘のレベリング、つまり経験を積ませることをしていた。今は川内がやっているが、直に夕張の番だ。」

 

そう言うと夕張は溜息を吐いた。

 

「そうよね......。提督って確か待機艦へ魚雷発射管は乗せませんでしたよね。私の艤装、四連装魚雷が載ってますし......。」

 

そう言うと静かに座って聞いていた周りの軽巡の艦娘が声をあげて驚いた。

そして最初に夕張に声をかけたのは川内だった。

 

「夕張......。あんた相当期待されてるよ。」

 

「なんで?」

 

川内はそう言って軽巡の艦娘の方を向いて言った。

 

「魚雷発射管を艤装に載せてる子、手挙げて!」

 

その声で手を挙げたのは五十鈴、神通、北上。紛れもない戦闘要員だった。

 

「魚雷発射管を使ってるのは戦闘要員だけ。しかもよく第一艦隊と交代で出撃する軽巡としてだよ。でも戦闘要員にくくられる川内型でも私と那珂はまだ魚雷発射管を提督に載せてもらってない。そうだよね?」

 

「そうだよー。」

 

那珂は川内の横でそう答えた。

 

「ねぇ提督。ウチの装備品って確か魚雷発射管が足りてないんだよね?」

 

俺は突然川内に振られて慌てて答えた。

 

「あっ、あぁ。全体に行き渡らせる量は無い。」

 

俺の答えを聞いた川内は夕張を見つめた。

 

「これ、提督が先行して戦闘要員として起用する艦娘の艤装への改装だよ。そうでしょ?」

 

俺は話しだした川内の内容が俺に振られるのが目に見えていたので今度は脳内で瞬時に準備していた。

 

「そうだな。五十鈴たちにもそう言う指示を出した。」

 

そう言うと夕張は走って俺のところまで来た。結構遅いが。

 

「提督......すみません。何も考えずに。」

 

夕張は深々と頭を下げた。

 

「まぁ、遠征にも出撃にも出ないと不安にもなるか......。こちらも済まなかった。もう少し配慮すべきだった。」

 

そう言うと夕張は笑顔で頭を挙げた。それは曇りのないものだ。

 

「提督っ!私、頑張りますね!」

 

「あぁ、頼んだ。」

 

俺はそう言って笑顔で去ろうとする夕張を止めた。俺が最初に言った事を答えてない。川内に持ってかれたからだ。

 

「おおっと、まだ俺のさっきの確認に答えてないだろ。夕張?」

 

「何がです?」

 

「兵装実験軽巡は特別に他の軽巡よりも多くの装備品を装備できるじゃないか。」

 

「......そうでしたね!ありがとうございますっ!」

 

そう言うと夕張は照れ臭そうに自分の席に戻っていった。

そんな姿を見ていた川内と那珂は俺に突っかかってきた。

 

「提督の着任の件は話は聞いてたから自己紹介はしないけど、夕張に期待しすぎじゃない?」

 

そう言って川内は不貞腐れてしまった。

 

「いや。そんな事ない。夕張に経験を積ませて水雷戦隊の旗艦に起用するつもりなんだ。長良と共にね。」

 

「えぇー。私は?」

 

そう言った川内に俺はある事を言ってみた。本当にそれに反応するのかと思いながら。

 

「川内は......夜戦になる可能性の高い海域に行ってもらう為に他の軽巡よりも早くに経験を積ませているんだ。」

 

「ほんとっ!?」

 

案の定、川内の目が輝いた瞬間である。

 

「てことは私が第一艦隊のメンバーと交代して出撃する時は......。」

 

「ほぼ間違いなく夜戦に突入する。」

 

「やったー!!」

 

そう言って離れて行ったが、那珂だけはその場に残っていた。

 

「提督ー。」

 

「なんだ?」

 

「ライブやってもいい?」

 

それは那珂のいつものアレみたいだ。アイドル云々の話だ。

俺は別に嫌に思ってないし、雰囲気が良くなると思い、ゴーサインを出すことにした。

 

「いいぞ。だけど歓迎会の時だけな。それ以外は自主的に合間にレッスンしててくれ。」

 

「やったー!!ありがとー!!」

 

川内と同じく那珂も離れていった。どうやら、落ち着いていると思っていた軽巡の艦娘も余り変わらなかった様だった。

俺がどのタイミングで夕張を出すか悩みつつ、来る軽巡の艦娘の相手をしている合間、金剛が話しかけてきた。

 

「提督ぅー。私は?」

 

「何が?」

 

「夕張みたいにサー、なんかないの?」

 

そう言う金剛に俺はキッパリと言った。

 

「ない。」

 

金剛がしょんぼりしてしまったのは言うまでもない。

 

「仕方ないだろう。金剛型戦艦は35.6cm連装砲が合うんだ。41cm連装砲は出来れば積ませたくない。」

 

そう言ってもしょんぼりしたままの金剛になんて言ってやろうかと考えていると、五十鈴が来て言った。

 

「確か金剛型戦艦には対空電探がいいんじゃなかったかしら?うちにはまだ私のしかないけど。」

 

そう言って五十鈴は去ってしまった。それを訊いた金剛が元気になったので俺的には良かった。

そして俺の袖を金剛が掴んで言った。

 

「明日の開発、電探をお願いできませんカ?」

 

俺は考えあって建造・開発をしているので、これの答えはすぐに言えた。

 

「それはまた今度な。」

 

「えぇー!いいじゃないですカー!!」

 

そのやり取りを俺に話しかけるのを待っていた神通は思った事があった。

 

(前に私が開発した時、対空電探出しました......。)

 

俺は神通が思った事にまだ気づいてはいない。

 




これ、よく考えたらまだ重巡とか色々艦種あるんですよね......。
因みに会話に出てくる艦娘は全員前線に出っ放しの艦娘です。甲標的とボーキサイトが欲しいこの頃です。

ご意見ご感想お待ちしてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。