【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
やっと完成したよ。総督に協力を仰いでから早3ヵ月くらいかな?それまで毎日、『官給品』という名目で毎日の物資搬入時に受け取っていた部品も今取り付けたので最後。
「ふぃー!」
珍しくはないけど、やり切ったって感じだねぇ。
「さてと......もうこれはここでつけちゃおうっ!幸い、人が来ない上に荷物でいっぱいだからね。」
鈴谷はそれを持ち上げると、コンセントの近くまで運んで置いた。
「さてさて......ポチっとなっ!!」
コンセントを繋いだそれの電源ボタンを入れる。そうすると板に光が灯り、音が鳴る。
そう、鈴谷がコツコツと送られてきていた部品を組み立てていたのはパソコンだったんだよね。それも執務室にあるのより大きい奴。大きいからっていいものって訳じゃないらしいけど、まぁ情報収集には必要らしいじゃん?それに、無線通信?よく分からないけどパソコンに番号を打ち込んでどーのって奴も送られてきたからそれも繋げないと......。
「えぇっと......うーん(カタカタ)」
キーボードっていうのは操作がしずらいねぇ。やってみてわかるけど、提督はこれをカタカタと素早く打ち込んでいたから相当慣れてるんだろうね。
「おぉ!繋がったっ!!」
説明書(写真付き子どもでも判る解説)を見ながら順を追ってやっていったけど、まぁ早いね。もう終わっちゃったよ。
「終わったー!!」
こんなに早く終わるなんて鈴谷思いませんでしたっ!!
さて、情報収集を始めましょうか。総督からの手紙、といっても結構前の奴だけどそれにはマウスの右側を押してテキストドキュメントなるものを開くって書いてあるから順に進めて行こうかな。
まぁ簡単にできる訳で、最後のところまで来たよ。最後はインターネットに繋げて得たい情報を収集、写真や文章を片っ端から保存して纏める......らしい。まぁここまで色々順番にやってきたから、鈴谷に出来ない事はないよっ!
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突然、思い出したんだけど、鈴谷が進水してすぐの時はこんなことを自分が始めるだなんて想像もしてなかった。
何処で訊いたかは覚えてないけど、鈴谷の中にある記憶では鎮守府に進水して深海棲艦を殲滅する事っていう使命があるってことだけど、それにおまけで運がよかったら提督が着任している。だけど、今までそんな鎮守府に進水した艦娘はこれまで戦いに赴いた艦娘の中で本当に『0』に近い数字だって事が鈴谷の中にあったんだ。
だから本当に驚いたんだよね。提督が居る鎮守府に鈴谷は進水出来たんだって。提督のいる鎮守府はとても楽しいらしく、皆が笑って過ごせて、棄てられる事も無いって鈴谷の中にあったから本当に嬉しかったんだ。
だから提督と仲良くなって、いっぱいお話して、遊んで、戦って、いつか終わるだろうこの戦争を生き残ろう、そう決めていたんだ。
だけど本当は違った。
提督は命を狙われ、世界の理に殺されるかもしれない。それに気付いたのは、いつだったんだろう。
鈴谷が提督の執務室を訪れたら、誰も居なかった。それは仕方ない、時間が時間だったからね。それで提督の私室が見たくなってこっそり扉を開いて覗いたんだよね。そうしたら提督は布団に居たんだけど、様子がおかしかったんだ。
多分悪夢か何かを見ていたんだと思う。うなされていて心配だったから見守る事にしたんだ。鈴谷はそうして提督の傍で様子を見ていたんだけど、時々提督が寝言を言っていたんだ。
『帰りたい......。』 『本当に俺で良かったのか?』 『本当にここから出られないのか?』
何時もの姿からは想像もできない言葉を寝言で言っていたのに鈴谷は衝撃を受けた。
鈴谷は提督が居て喜んでいたけど、提督は本当は違うんじゃないかって。そして提督着任のシステムを思い出した。提督は異世界から鎮守府に指令を送っていた存在で、一定の項目をクリアして艦娘の代表が提督をこっちに呼び出す力を手に入れる。そしてその力を行使すると、提督は異世界からこちらに転送されて鎮守府に現れる、と。
そして人間たちの様子を道徳的教育がなされている鈴谷たちはその時点で分からなくてはいけなかったんだ。
呼び出す力を行使して提督に着任してもらう事は『提督を家族や親せき、友人から引き剥がして戦わせる』ということに。
だから鈴谷は動き出したんだ。
提督を殺させやしない、最期まで生き残って終戦を迎えるんだ。そして戦争が終わった後、提督の傍にどこまでも居続けて提督が寂しく思わないようにするって。
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パソコンも使えるようになって、数分だけ情報収集をすると、鈴谷はパソコンの電源を切って違うことを始めるよ。
それは、パソコンの部品と一緒に送って貰っていたもの。
武器、それも人間が使う武器だよ。普段から20.3cmなんていうバカデカいのを撃ってる鈴谷からしてみたら豆鉄砲みたいな武器も人間の命を刈り取る道具になるからね。もしもの時の為に、提督に危険が迫っていて鈴谷が近くに居ればその危険を排除するんだ。
「うーん。重いなぁ。」
鈴谷は片手に拳銃を持ってるけど、すごく重いぃ。両手で撃つっていうことだけど、よく分かんないや。それに普段は弾を抜いておいてって総督の手紙に書かれていたけど、いざという時に使えないじゃん?だから拳銃を持ち歩くときは弾の入った、マガジン?ってのを一緒に持ち歩くつもり。
「うげぇ......これ更に重いじゃん......。」
鈴谷は拳銃を置くと、さっき届いた部品で最後だった銃。拳銃とは違って大きくて、撃つ弾もそれなりの大きさになった小銃ってのを持ってみた。すごく重くて長い。拳銃もそうだけど、名前は分からないけど、日本で使われているものじゃないらしい。よく分からないや。
「さて......弾込めて保管しておこうかね。」
そう呟いて鈴谷の見た先には小銃が6丁と拳銃が12丁転がっていた。
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そう言えば、鈴谷が普段何しているか分からないって聞いたから(※メタです)、少し何しているか教えようかな。
一日を追って説明するよ。まずは起床して身支度をしてからご飯を食べに行く。ここまでは皆と同じだね。それからは出撃のない鈴谷は提督が居るところが見える場所で提督を見てる。本当は秘書艦としてずっと隣に居たいけど、総督からの『官給品』とかあるし秘書艦をやれないという葛藤がっ!......ってのは置いておいて、昼まで『官給品』を受け取って組み立てたりして過ごして、昼ご飯は提督の時間に合わせて食べる。んで提督が出て行くまでテレビを見てる。
昼からは待機かな、特に何かしてるって訳じゃないけど本読んだり勉強したりしているかな。最近の出費がお菓子よりも筆記用具とかに消えてるが少し気がかりだったりする。夕方になったら提督と時間を合わせて夕食を食べて、提督が出て行くまでテレビを見る。
提督が出て行ったら一目散にお風呂に入って、提督が居るところが見える場所で髪を乾かしながら待機。
消灯になる前に一度私室に戻って、消灯してから同室の熊野が寝たのを確認すると居た場所に戻って待機。執務室の電気が消えたら執務室に入って、ソファーに座って待機。3時過ぎたら私室に戻って寝る。
(うーん。やってることがストーカーなんだよねぇ......。)
そう思ったけど仕方ないじゃん?
こうでもしなけりゃね。うん。
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「ここに居いましたのね。探しましたよ。」
鈴谷が少し部屋を出ていたら熊野に話しかけられた。
「熊野じゃん。」
「まったく......いっつもどこほっつき歩いてるのですの?」
鈴谷があの部屋に入り浸るようになってからずっと熊野はこうなんだよね。世話焼きかっ!
「ん~?散歩だよぉ。」
「貴女雨の日もそう言いますわよね?」
「傘さしてね。」
熊野もいつもこう言うもんだから鈴谷だって言うもん!何してるかなんて知られたくないし、既に心配かけてるけどもっと心配させることになるからね。それに提督に知られたら不味いからね。一応、鎮守府というか大本営から艦娘には情報通信機系の所持は禁止されてるからね。パソコンとかダメなんだよね。勿論、火器の所持もダメだけど。
「んもうっ!その放浪癖は何とかなりませんのっ?!」
「あーあー煩いって。そうカッカしてるとお肌によくないぞぉ?」
こういえば熊野は黙るんだよね。面白い。
「かっ、カッカしてませんわ。......コホン。もう少し落ち着いて下さいまし。」
それを熊野が言っちゃうのかぁ。ブーメランだよ?
「気にしなーい、気にしなーい。それで?なんか鈴谷に用があったんじゃないの?」
そう鈴谷が言うと熊野は思い出したのか、目を輝かせた。
「甘味処に新しいスイーツが増えたんですの。一緒に食べに行きませんこと?」
スイーツねぇ。昔はそう言うの好きでよく行ってたけど、今となってはって感じだよね。ずっと部屋にいるし。機械触ってるし。まぁご無沙汰だからいいかもね。観察も別に最近なら少し離れてても大丈夫だと思う。
「いいよー。じゃあとっとと行きますか?!」
「はい!」
まぁ、たまにはいいよね。息抜きっていうか、そんな感じ?ずっと黙って提督の見えるところで待機してたら疲れちゃうし。でも必要なことなんだけどね。
鈴谷編でしたが、幸先既にヤバいですね......。
艦娘の協力者を付ける気無しですね。唯一あり得るのが熊野ですけどね。
なんだか途中で字の文が変なところがありますが、気にしないで下さい。
ほぼずっと一人行動の鈴谷の字の文は難しいですね。そう考えると金剛もだけど......。
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