【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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第百六十一話  輜重と補給

 

 俺はいつも通りに起き、いつも通り執務室で秘書艦を待っている。

今日の秘書艦はというと、未だに続いている艦隊司令部休業中のイベントの時に進水した艦娘が務める事になっている。

昨日の夜、そのクジがあったのだがその艦娘と妹艦は大騒ぎしていた。

 

『秘書艦をクジで決めるんですか......。』

 

『そうだよ、○○姉っ!でも当たりは1つしかないからね!』

 

『分かったわ......えいっ!!......はっ?!』

 

『はっ?!』

 

『いきなり当たり引いちゃったわっ!!』

 

『だから○○姉は不幸なんかじゃないって言ったじゃんっ!!』

 

 という具合に騒いでいたので、とても記憶に残っている。

それもそうだろう。その後、秘書艦の妹に『私が補佐しちゃ駄目なの?』と言われてこっぴどく加賀に叱らわれていた(※加賀も人のこと言えない)が、結局その妹が補佐をすることになったのだ。

 

「しっ、失礼します。」

 

 時刻にして6時10分過ぎ。どうやら今日の秘書艦も早めに来るタイプらしい。

 

「おはようございます、提督。」

 

「提督さん、おはよう!」

 

「あぁ、おはよう。翔鶴たち。」

 

 今日の秘書艦は翔鶴なのだ。

 

「何だか私がさもついでの様に......。」

 

「瑞鶴は補佐だろう?ついでもなにも......。」

 

 そう言いながら俺は立ち上がる。そんな俺に瑞鶴は言った。

 

「まだ食堂に行くのは早いんじゃないの?」

 

「いんや。今日はちょっと寄り道してからな。」

 

 そう言って俺は翔鶴と瑞鶴を連れて執務室を出て行った。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 立春もとうの昔に過ぎ、梅の花の香りにも慣れたこの時期の朝というのはまだ少し肌寒かった。

そんな寒さを俺たちは気にせずに外を歩く。俺が用事があると言って向かっているのは食堂の厨房の裏から少し離れたところにある物資搬入用の門から入ってきて、裏に止まるトラックのところに来ていた。

 

「ここって厨房の裏ですか?」

 

「そうだけど、よく知ってるな。」

 

「そこの窓から間宮さんが見えますからね。」

 

 そう言って翔鶴は窓の方を見ていた。俺もそっちの方向を向くと、確かに間宮がいる。そして煙も上がっていて換気扇の音がここからでも聞こえていた。

 

「それでどうしてここに用があるの?」

 

 黙ってついてきた瑞鶴がそう訊いてきた。

 

「今日は毎日の物資の他に俺が受け取るものがあるんだよ。」

 

「へぇー。事務棟からじゃないって事は手紙ではないんだね?」

 

 そう訊かれて俺は答える。

 

「勿論。小包だ。」

 

「どっから?」

 

「大本営。」

 

 そう言うと瑞鶴は翔鶴の横に居たが俺の目の前に立った。息も当たりそうな距離で瑞鶴は凄んだ。

 

「銃は駄目だよ?軍刀は持ち歩いてないからいいけど。」

 

 瑞鶴のそれを訊いた翔鶴は驚きつつも俺の腰の周りを見た。

そして驚き俺に訊いてくる。

 

「提督は拳銃を持ち歩いていないんですね。どうしてですか?」

 

「それは提督さんには要らないからだよ。拳銃なんて抜かなくても私たちが居るからね。」

 

 そう言った瑞鶴は表情は笑っているが、目が違う状態で俺を捉えたまま続けた。

 

「翔鶴姉はあると思うよ?『提督への執着』が。でも違う。私たちとは違う、別のモノみたい。」

 

 俺はそう言った瑞鶴に考えを巡らせながら言った。

 

「別のモノ?どういう事だ?」

 

「金剛みたいに過剰でもないし、大井みたいに無いに等しい訳でもない。新しいタイプだね。」

 

 そう言うと瑞鶴はいつもの瑞鶴に戻って俺から離れた。

 

「まぁいいけどね。それで、輜重?部隊から何を受け取るの?」

 

「だから小包だって......。」

 

 俺はそう言いながら待つが、さっきの瑞鶴の発言もそうだが今のも気になった。

 輜重部隊。いわゆる補給部隊の事だが、そう呼んでいたのは旧大日本帝国時代の陸軍で歩兵になるにふさわしくないとされていた兵が配属される部隊だったらしい。知っている人間が聞けば分かるが一種の差別用語みたいなものだ。明らかに見下し、それどころか要らないもの扱いされていた部隊への呼び方だ。

 

「もう荷物は下ろし終わってるよね?待たせないで欲しいな。」

 

 そう瑞鶴は言うが、俺は気になっていた。どうして輜重部隊なんて呼ぶのか。

 

「というか補給部隊って呼ばれてるのに、何で輜重部隊って呼んでるんだ?」

 

「補給物資を運んでるんでしょ?なら輜重部隊じゃない。」

 

「その輜重部隊って呼び方、気に入らないな。」

 

 そう言って俺はトラックの中を覗いた。中には誰も居なかった。どうやらまだ運んでいる様で、俺は荷台に回って荷台を覗く。そこにはまだ段ボールが積み上がっていた。どうやらまだ下ろしている最中みたいだ。俺が荷台を覗いていると横から話しかけられた。

 

「こっ、これは提督っ??!!提督がこんな朝早くにこんな所でどうしたんですかっ??!というか、足蹴も無く通っていて今日、お初にお目にかかりますっ!!」

 

 凄いリアクションでそう言ったのはどうやらこのトラックの運ちゃんらしい。つまり補給部隊。

 

「初めまして。いつも補給でここまで来ていただいてありがとうございます。」

 

「そう言えば今回の物資の中に提督宛てのモノがありましたね?今すぐお持ちしますっ!!」

 

「あぁ、いま荷下ろししているのが終わってからでいいですよ。」

 

「そんなっ!提督は唯一の皇国の矛であり盾である御身、執務などが忙しいと伺ってます!そんな提督の大切なお時間を補給作業で裂いていただくわけには......。」

 

 そんな低姿勢のトラックの運ちゃんに俺は困りながらも『荷下ろし終わってからでいいですよ。』と言って、何とか聞いてもらった。

そのやり取りを聞いていて瑞鶴が少し不満気に俺の横に来た。

 

「提督さん、どうして輜重部隊なんかにあんな風に話さなくてもいいのに......。」

 

 そう言う瑞鶴に俺は答えた。

 

「どうしてそう思うんだ?」

 

「だって輜重部隊だよ?補給物資を運んでるだけじゃん。迅速に且つ適格、そして前線への配慮はしっかりとでしょ?」

 

「そりゃそうだが、あっちだって仕事だ。ついでに運んでもらってる立場だから待って当然。」

 

「それは無いね。提督さんへの荷物なら一刻も早く渡さなくちゃ。それにまだ荷下ろししてるなんて考えらんないよ。」

 

 そう否定的な言葉をところどころに入れてくる瑞鶴に、怒りと同時に疑問を抱いた。何故そこまで無碍にするのか、と。

 

「輜重部隊なのに......。」

 

 そう言った瑞鶴に俺は遂に怒った。

 

「補給部隊を輜重部隊と言うな。それはいつも食料や物資を運んでくれる補給部隊に失礼極まりない。そもそもなぜそこまで軽視するんだ?補給は戦の生命線。補給部隊は戦場では母の様な存在だ。」

 

「確かに補給は戦うのに必要ですが、そこまで重要視するものでしょうか?」

 

 ついに翔鶴までもがそう言いだした。俺は瑞鶴だけが思っている事だとばかり思っていたが、どうやら他にも思っている者がいるみたいだ。

 

「何故だ?」

 

 だから俺はあえて聞いた。何故そこまで補給を重要視しないのか。

 

「戦場で戦うのは私たち艦娘。それの支援をするのは当然だし、艦娘を指揮している提督さんにはそんな迷惑をかけられない筈だよ?」

 

「確かに支援の件は元から決められているから当然だろうな。だが戦場に出る事だけが全てじゃない。」

 

「いいや違うよ、提督さん。私たちじゃなければ深海棲艦は倒せないんだよ?しかも本来は人類と深海棲艦の戦争を私たち艦娘が人類の肩代わりをしているの。さらに提督さんは異世界から来た存在。歳も未成年だし。そんな提督さんにまで戦争と責任を押し付けてるのにも関わらず、これは無いわ。」

 

 そう瑞鶴ははなっから決めつけていた。だが一方で瑞鶴のいう事は正しい。だが違う。戦争を肩代わりしているかもしれないが、補給部隊への態度は駄目だ。わざわざ運んできてもらっているのにも拘らず、その上から見下した様な態度に俺は腹が立った。しかも補給部隊をそう呼ぶのなら給糧艦である間宮も元を辿れば補給艦。間宮の艦種が輜重艦という事になってしまう。

 

「......瑞鶴。」

 

「何、提督さん?」

 

「他の艦娘もこうなのか?」

 

 そう訊くと瑞鶴は少し考えて、遠くにたまたま通りかかった重巡の集団に走って聞きに行った。

少しすると帰ってきて、俺に答えたのだ。

 

「そうだね。皆、私と同じことを言ったよ。」

 

「そうか。」

 

 俺はそう言って瑞鶴が走っていった時くらいから荷物を持って待っているトラックの運ちゃんから荷物を受け取った。

 

「お待たせしました。大本営から提督宛てです。」

 

「ありがとうございます。お疲れ様です。」

 

「はいっ!では、私たちはこの辺で。」

 

 そう言って運ちゃんはトラックに乗り込み、エンジンをかけると門から出て行った。

それを見送ると俺は小包を持ったまま、道を引き返す。本当はこのまま食堂に行くつもりだったが、気分が変わった。執務室に帰るのだ。

そんな俺の後を付いてくる翔鶴と瑞鶴は不思議そうな顔をしている。それは無理もないだろう。

 

「提督?引き返すんですか?このまま食堂に行くと......。」

 

 そう訊いてくる翔鶴に俺は答えた。

 

「少し用事がある。全館放送でな」

 

 俺はそう言って足早に執務室に戻った。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 俺は執務室に戻ると小包を置き、執務室に備え付けられているそれぞれの棟へ放送する為の機材を動かした。

これから放送するのは本部棟、艦娘寮、食堂だ。ちなみに食堂は本部棟と艦娘寮に隣接している。

 

『全艦娘へ連絡。今すぐ艦娘寮へ戻り待機。繰り返す。艦娘寮へ戻り待機。』

 

『それぞれの艦種の長は執務室へ出頭。食堂で配膳準備中の間宮らは火を落とし、待機。繰り返す。それぞれの艦種の長は執務室へ出頭。食堂で配膳準備中の間宮らは火を落とし、待機。』

 

 俺はそう言って機材の電源を落とした。

 艦娘は指示に従うだろう。これまで守ってこなかった試しが無いのだ。そうしていると廊下が騒がしくなり、執務室の扉が開かれた。

入ってきたのは長門、高雄、五十鈴、吹雪、赤城だ。どうやら潜水艦は駆逐艦に、ドイツ艦勢はそれぞれの艦種に属している扱いみたいだ。

 

「出頭した。朝食の時間を割いてどうしたのだ、提督?」

 

 そう訊いてきた長門に俺は質問をした。

 

「長門。」

 

「何だ?」

 

「いつもひっきりなしに物資を運び入れているトラックの事をなんと呼んでいる?」

 

「輜重部隊だが?」

 

 そう答えた。さっき瑞鶴が聞きに行ったのが一部の意見ではない可能性が出てきた。

 

「他もか?」

 

 俺がそう他の艦種の長にも目線をやるが、全員が頷いた。これで瑞鶴の言っていた全員が同じ意見だということが証明された。

 

「輜重部隊と呼ぶの意味、分かって言ってるのか?」

 

「勿論だ。我々の支援をするのは当然だろう?」

 

 長門の回答に他の艦娘も頷いた。

呆れた。俺の中にはそれしかない。

 

「はぁ......分かった。連絡だ。」

 

 そう言って俺は睨みつけた。

 

「朝食は抜きだ。何故抜きになったか分かった者は俺のところに来い。答えが出た時点でご飯は食べれる。」

 

 そう言うと皆、分かっていない様な反応をした。

 

「いいか?朝食は抜き、俺から許可が出るまで食堂へ行くことを禁ずる。何故そうなったか分かる者は俺のところに来い。」

 

「それはどういう......」

 

 高雄がそう言いかけたのを俺は防いで畳みかける。

 

「俺の言った言葉の意味が判らないのか?」

 

「いえ......。ですが、輜重部隊と朝食が抜きにどんな関連が......。」

 

 そう言うが俺は突っぱねる。

 

「行け。今すぐにそれぞれの艦種全員に報告だ。」

 

 俺が凄んで言うと艦種代表は執務室を出て行った。

 その光景を見ていた翔鶴と瑞鶴もどうやら分かっていない様で、困った顔をしている。

 

「どういうことでしょうか、提督。」

 

「そうだよ、提督さん。お腹減ったよー。」

 

 そんな2人を無視して俺は席に座る。

そして翔鶴に言った。

 

「執務を始めるから瑞鶴は翔鶴を補佐してやれ。」

 

「えっ......?」

 

「えっ、じゃない。今すぐに始めろ。」

 

 そう言って俺は自分の鳴る腹を我慢しながら執務を始めた。

どうしたこんな今どきの幼児や児童相手にはやらないが、一昔前ならやるような事をしなければならないのか。自分で言い出した事だが、これまで気付かなかった俺にも責任がある。そう感じた。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 執務が終わると俺は翔鶴と瑞鶴に私室に戻って考えるように言った。

 執務室にはちらほらと艦娘が訪れ、俺に話しに来るが誰一人として分かっている者はいなかった。

そんな事をしていると、執務室にある艦娘が来た。間宮だ。

 

「失礼します。」

 

 そう言って入ってきた間宮は初めて入ったんだろう執務室を見渡して俺の前に来た。

 

「どうした?」

 

「今朝の件です。高雄さんに聞きました。」

 

 そう言ったので俺は立ち上がり、執務室の端に間宮と行き、訊いた。

 

「補給部隊が輜重部隊と呼ばれていたのは昔、軍が補給部隊を卑下に言っていた蔑称からですよね?それに私たちが補給部隊相手に態度が悪く、見下しているからですか?」

 

「うむ、そうだ。というか間宮。」

 

「はい?」

 

「間宮は輜重部隊と呼ばないんだな。」

 

 そう言うと間宮は答えた。

 

「はい。輜重部隊という呼び方は陸軍が言っていたものですし、そもそも私は海軍でいうところの輜重艦ということになりますからね。」

 

「知ってたぞ。だから間宮が来て理由が分かっていたとしても許可を出す訳にはいかない。」

 

「そうですか......。」

 

 そう俺が言うと間宮はしょんぼりしてしまった。どうやら間宮自身、最初から分かっていたみたいで待っていたが、我慢できなくなって来てしまったみたいだ。

 

「すまないな、間宮。」

 

「どうしたんですか?急に。」

 

「せっかくの間宮の朝食が冷めてしまっただろう?」

 

「いえ、ぽつぽつと私も聞いてましたし、何れ提督が知る事になるんだろうなって思ってましたから。」

 

「そうか。じゃあ分かった艦娘が来るまでここで休んでいると良い。お茶を出そう。」

 

 そう言って俺は間宮にソファーに座って貰い、お茶を出した。

 そんなことをしているも、全く分かる艦娘が現れず、遂に昼の時間になりかけた頃、長門と赤城が来た。2人組で来るのは初めてだ。

 

「提督。」

 

「あぁ。」

 

 俺は立ち上がり、執務室の角に長門と赤城で寄って話を訊いた。

どうやら遂に個々で考えるのを止めて、艦種で集まって話し合いにまで発展した様だ。そうなったのは戦艦と空母だけ。だがそうなっても分からずに、艦種合同会議ににまでなったみたいだ。今回はそれで得た回答を俺に言いに来た様だった。

 

「途中で寮に戻ってきた翔鶴と瑞鶴にどうしてこうなったのか聞いたら分かった。」

 

「何だ?」

 

「最初に輜重部隊という呼び方だが、それは蔑称の意味がある。これは最初から分かっていた事だ。そして補給部隊が補給物資を運ぶのは当然だが、補給物資が無ければ私たちは戦う事が出来ない。つまり、だ。私たちが補給部隊を蔑称で呼び、見下していたからか?」

 

 そう長門は恐る恐る言った。それもそのはず。今回が来たので5回目だ。『3度目の正直だ。』と言って来た時もあっさり俺に帰れと言われて4回目からこんな風だ。

 だが長門の言った言葉は合っている。何故こうなったかが理解できたみたいだ。だが、まだだ。

俺の後ろのソファーでお茶を飲んでいる間宮だ。

 

「どうだ......?」

 

「まだだ。あとひとつ。」

 

 そう言って俺は黙った。

俺があとひとつと言うとその場で考え始めた長門と赤城はあれこれと意見を交わす。そしてふと赤城が俺の背後のソファーに座る間宮に気が付いたのだ。それを見た瞬間、インスピレーションが働いたのか、長門が答えた。

 

「間宮か?」

 

「その心は?」

 

「間宮は給糧艦という艦種だが、元を辿れば補給艦。つまり、私たちは輜重部隊と呼ぶことで間宮の艦種も輜重艦だと言っていた事になるからか?」

 

 そう言った瞬間、聞こえていたのか間宮は立ち上がった。

 

「正解です。」

 

 それに続いて俺は機材に手をつけ、放送をする。

 

『それぞれの艦種の長は至急、執務室へ集合せよ。繰り返す。それぞれの艦種の長は至急、執務室へ集合せよ。』

 

 走って執務室に来たそれぞれの艦種の長に長門の口から伝えられた。

長門の説明に皆が納得し、最後に長門が間宮の事も言うと皆が一糸乱れぬ動きで頭を下げた。

 

「「「すみませんでしたっ!!」」」

 

「いえっ......。考えは変わりましたか?提督の分かってほしかった事、自分の考えていた事と。」

 

 そう言うと全員が頷いた。

そして俺はそんな間宮に指示を出す。

 

「間宮。今すぐに食堂に戻って準備だ。すまなかった。」

 

「いえ。今すぐ行きますね。」

 

 そう言って出て行く間宮を見送ると俺はそれぞれの艦種の長を見回して言った。

 

「今回ので分かったか?補給は生命線で補給部隊は戦場では母の様な存在。補給部隊無しで戦闘部隊は何もできないんだぞ?幾ら艦娘が人類の戦争を肩代わりしているとはいえ、補給物資を運んでもらっている補給部隊に対して輜重部隊呼びで見下す等、失礼極まりない。もうそんな風には呼ばないだろうが、これからはどの人間の部隊だろうが敬意を払え。門兵には日頃の警備の感謝を、事務棟には円滑な鎮守府運営の感謝を、酒保の従業員にはいつもの気配りへの感謝を、補給部隊には物資を運び入れてくれる感謝を。分かったのなら解散し、それぞれの艦種の艦娘全員にこの事を報告し、理解して貰う事。そして疑問があれば俺のところに来いと伝えろ。皆が理解出来たら食堂に行ってくれ。腹を空かせたままにして悪かったな。んじゃ、解散っ!!」

 

 そう言って俺は指示を出した。

結局俺のところには誰も来ず、皆理解できたみたいだ。そして秘書艦でありながら俺の指示で艦娘寮に戻っていた翔鶴が俺のところに来た。

 

「提督。すみませんでした。」

 

「ん?」

 

「補給部隊の事です。私もあの時は皆さんと同じように考えてましたから......。瑞鶴も提督の仰った事、補給部隊が居なければ私たちは戦う事が出来ない理解できたみたいですし、今回の朝食抜きの意味も分かりました。」

 

 そう言うと翔鶴は言った。

 

「私たちが蔑称し、見下していた補給部隊が運んだ食料、補給部隊の事を考え改めないと食べさせないという事でしたんでしょう?」

 

「勿論だ。」

 

「長門さんと赤城さんが他の艦種の長にも伝えて、皆さんが理解できたみたいです。」

 

「そうか。」

 

 そう言って俺は立ち上がった。

 

「食堂に行こうか。腹が減って死にそうだ......。」

 

「そういえば提督も食べてませんでしたね。すみません。」

 

「いい。皆が分かってくれたのならこれくらい......(ギュルギュル)......あはは。」

 

 そんな話をした後は、進水後にあった事を翔鶴は話してくれた。楽しかった事しかないみたいだが、酒保も気に入り、外で遊んだりもしたらしい。

 





 今回のネタは結構前から練ってましたw
補給部隊軽視は今でこそないですけど、昔はあったんですよね。考えられないです。
 瑞鶴が前半で翔鶴の事を変だと言ってましたが、そのうち分かりますので忘れないで下さいね。

 先日後書きでお知らせしました『俺は金剛だ!』の新規本編化が決定しました!それとこっちの金剛は消さずに行こうと思います。こうご期待っ!!

 ご意見ご感想お待ちしてます。

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