【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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何日ぶりの投稿でしょうか。最近障れていなかったので、今日の建造と開発結果です。



第二十七話  雪風の開発日記⑤

 

今朝も雪風は執務室に来ていた。

俺はそんな雪風にいつもの様に指示を出す。だが、今日は違った。

 

「雪風、今日も頼んだ。」

 

「はいっ!」

 

雪風に言うが、そのまま視線をずらす。ずらした先には改造巫女服姿の艦娘が2人立っていた。

 

「提督ぅー!どうしたデース?」

 

「提督、榛名は何故呼ばれたのでしょうか?今日の秘書艦が榛名なのでしょうか?」

 

俺の目の前でそう言った金剛と榛名はすっごい笑顔で俺を見ている。

そんな2人に向かって俺は言った。

 

「金剛と榛名に来てもらったのは、雪風の開発について行ってもらう為だ。2人は雪風に開発のやり方を訊いて、電探レシピを4回頼みたい。」

 

俺がそう言うと2人は対極の反応をした。金剛は不貞腐れて、榛名は喜んでる。

さっき榛名は俺に秘書艦にする期待をしていたが、俺が言ったのは開発。何で喜んだのか分からないが、金剛は頬をプクーと膨らませていた。

 

「私を秘書艦にするのかと思ってまシタ!......まぁ、頼ってくれるのは嬉しいんですケド。」

 

「はいっ!秘書艦でなくても、榛名は提督に頼みごとをされるだけでも大丈夫ですっ!!」

 

頬を膨らませる金剛に、ニコニコ笑う榛名に俺は少しだけ説明をして雪風に2人を連れて行くように頼むことにした。

 

「金剛。今日の開発は、金剛が欲しがっていた電探の開発だぞ?やりたくないのか?」

 

「ですケド......秘書艦やりたいデス......。」

 

金剛が我儘を言うので、奥の手を使う事にした。

これぞ、大人の汚い手だ(※提督はまだ18で金剛よりも1歳年下です。詳しくは11話をチェック!)。

 

「そうか......金剛にも秘書艦やって貰おうかと思ったのにな......。」

 

と言ってチラッと見る。効果てきめんだった。

既に執務室から居なくなっていたのだ。

 

「すみません、金剛お姉様が......。」

 

「気にしないで。」

 

「はい。では榛名も工廠に行って参りますね。」

 

そして榛名は普通に執務室を出て行ったが、廊下出るなりドタドタと音を立てて走っていった。

俺は3人出て行った執務室の扉を少し見つめると、視線を移動させた。移動させた先には時雨がいる。今日の秘書艦を任せている。

時雨は『僕は何時でも良かったけど、うれしいな。』と言って朝食後にすぐ来てくれた。

 

「ん?どうしたの、提督。」

 

俺がそんな時雨を見ていると、視線を感じたのか俺の方を見た。

 

「どうもないさ。というか時雨は何をしてるんだ?」

 

「あぁ、これだよ。」

 

そう言って俺に見せてくれたのは戦術指南書。それも水雷戦隊の運用に関する事だ。

 

「戦術指南書......水雷戦隊のやつか?」

 

「そうさ。夕立に影響されちゃってね。僕もよく見てるんだ。今は防空に関すること、艦隊護衛艦の役目を果たす時に必要な戦術や装備の使い方を見ているんだ。」

 

そう言って時雨は俺の方に本を持ち上げ、表紙を見せてきた。

 

「そう言えばその戦術指南書シリーズって何であるんだ?」

 

「そうだね......吹雪が言っていたんだけど、どうやら初期の艦娘が残した物を各鎮守府にコピーして置いているらしいんだ。理にかなった戦術や陣形配置なんかが書かれてるよ。」

 

時雨の言った『初期の艦娘』はきっと、この世界に艦娘が突然現れた時辺りの艦娘の事だろう。

 

「そうか......。そう言えば、戦術指南書とかは持ち出しが大丈夫なのか?俺が管理している訳じゃないんだけど。」

 

「大丈夫だよ。提督が資料室に収めた文庫本や漫画は管理することになってるけど、戦術指南書は基本的に持ち出して大丈夫なんだ。そもそも見る人がいないからね。」

 

そう言って時雨は本に視線を落とした。

そんな光景を見て俺はふと思った事がある。時雨が執務をしていないのだ。何のための秘書艦のローテーションなのかも分からない。俺は長門が自分のところに秘書艦の交代の要求がたくさん来るからと言ったからこうしているのに。

 

「......。」

 

俺は本を読む時雨を見て黙り込んで、自分のやるべき書類に目を通した。

今日はやる量が少ない。そもそも今日は出撃させる気が無いのだ。何故なら、油が足りないからだ。連日の建造開発で油を結構使ってしまい、演習分しか使える量が無いのだ。

なので今日は演習と遠征だけを行っている。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

雪風たちが執務室を出て行って1時間くらい経った頃、時雨が戦術指南書を閉じた。どうやら読み終わった様だった。

 

「ふぅ......。」

 

「時雨、役に立つ事はあったか?」

 

「うん。僕の艤装に装備されている武装がどういう局面で強いとかね。」

 

そう言って戦術指南書を置いた。

 

「ねぇ提督。」

 

「なんだ?」

 

戦術指南書を置いた時雨は俺に話しかけてきた。

 

「提督の私室にも本があるんでしょ?僕も見たいな。」

 

「なんだ、夕立に訊いたのか。」

 

「うん。」

 

そう言って席を立った時雨は俺の手を引いて私室へ向かった。

案外強引なところもあるんだな、とか考えつつそのまま私室の扉を開いて本の置いてあるところに案内した。

 

「......私もいるんだがな。」

 

長門はそんな光景を黙って見ていたのだ。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

俺の私室にある本を時雨に貸して、執務室の戻ってしばらくすると雪風たちが戻ってきた。

そして俺と長門は固まる。

廊下を歩く足音が4人だ。雪風、金剛、榛名とあとは誰だ。まさかまた新造艦なのかと俺と長門はアイコンタクトで会話を繰り広げていると、雪風たちが執務室の扉を開いて入ってきた。

 

「司令ぇ!ただいま戻りましたっ!!」

 

と言って入ってきた雪風の横でもじもじとしている艦娘に目をやった。金剛でも榛名でもない艦娘。新造艦だ。

 

「雪風ちゃんっ!提督が着任してる鎮守府だなんて聞いてないよ~。」

 

そう言って彼女はもじもじとしている。

 

「俺はここの提督だ。よろしく。」

 

「ひゃいっ!よろしくお願いしますっ!!私は飛龍型航空母艦 飛龍ですっ!」

 

何でここに最初に来る艦娘は全員カミッカミなのかと疑問に思いつつ、雪風に鎮守府の中を案内するように指示を出した。

雪風は毎度の事で分かっていたのか、飛龍の袖を掴んで部屋を出て行った。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

俺の目の間で立ち竦む金剛と榛名は何かを言いたげにしていた。

 

「どうした?一緒に来たって事は開発も終わったんだろう?」

 

そう言うと金剛はどこかで訊いた事のある様な悲鳴を挙げて訴えた。

 

「ひえぇぇぇ!!開発が4回中3回も失敗しちゃったデス!しかも、できたのは13号電探っ!これは使い物にならないデスヨ!!」

 

と言った。

確かに13号電探はその号数の低さから分かる通り、性能のよろしくない電探だ。

しかも金剛は4回中3回も失敗したと嘆いていた。これは相当悪運だったんだろうと思わせる結果だ。

 

「すみません、提督......。電探レシピはボーキサイトをかなり消費するみたいで、あったボーキサイトがかなり減ってしまいました......。」

 

と、資材の方を心配する榛名であった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

その頃、演習には五十鈴が旗艦を務めていた。

しかも操っているのは自分の艤装じゃない。海域でドロップしたものを綺麗にしたものだ。

そしてこれをやっている理由、それは改造した際に生まれる21号電探だ。これが目的だった。

所謂、五十鈴牧場である。演習艦隊には最近進水したばかりでもう練度が40超えている陸奥と古参の高雄と熊野、赤城に祥鳳で出ていた。

旗艦らしく艦隊に指示しながら五十鈴はある事を思い出してた。

昔、演習であった別の鎮守府の五十鈴が『艤装を乗り換えて練度を挙げるの大変なのよね。』と言っていた事に。

今日の演習前に五十鈴は見てしまっていたのだ。港に停泊出来ない艤装が港の奥にある倉庫に入れられ、そしてそこに五十鈴の艤装が3つあるのを。

 





安定の雪風でしたw
今日の新造艦は飛龍です。これで南雲機動部隊が編制できます。使うかはさておきですがw
今回の開発は金剛と榛名に2回ずつやって貰いました。その結果が13号電探が1つ......。
これまで雪風の開発日記と赤城と瑞鶴の艦載機開発記録(※こちらは単発ネタとして少しインパクトが無いのでボツ)を経験してきた自分にとってかなりショッキングな開発でした(汗)

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