【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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続けての投稿です。
1日に2回も投稿するとかあんまり経験ないです


第三十七話  工作員、艦娘の怒り。⑦

俺がベッドから起き上がって歩けるようになるには3日もかからなかった。何でも医療妖精曰く、『私たちにかかれば外傷程度すぐに直せます!』とのこと。

見舞いに来る艦娘は俺に高速修復材でもかけたのではないかと疑っていたが、それは人間に効かないだろうに。

傷口に包帯は巻いているものの激しい運動もそこまでしない為、俺は執務室に戻っていた。

そして戻るやすぐに、赤城からある提案をされたのだ。『海軍本部を訴え、軍法会議にかける。』と『自分らの正体を国民に公表する。』という事だった。俺に許可を求めてきたが、前者はいいものの後者は俺一人で決定していいものなのかと悩ましいものだったが、赤城は『侵入者と引き換えに条件として突きつければいいでしょう。』とかすまし顔でいうものだから苦笑いしてしまった。

そういう訳で、俺と赤城、武下大尉(※第三十一話参照)を交えての会議が行われている。

 

「赤城としては海軍がこのような行動をしでかした事を訴えると?」

 

「はい。海軍も所詮国の一組織です。その上には上がいるんですよ。軍法会議は三軍を牛耳る大本営にありますから。」

 

そう言った赤城は所々補足を入れながら俺に説明を入れた。

 

「私もそれには賛成です。海軍の奴らは自分らの利益しか見てませんからね。それに艦娘たちが必死に集めてきた資源を高値で卸す癖に艦娘には賃金があまりないらしいんですよ。」

 

武下大尉はそう言って赤城に賛同したが、俺は資源を集めてくる艦娘がどうのって話は一遍も知らなかった。これも赤城に訊いてみと簡潔に説明がされた。

 

「前に話したじゃないですか。この世界で資源を集めるだけの艦隊司令部があるって。そこの艦娘の事です。まぁ、これは私も直接見た訳ではないですが本当らしいですよ?」

 

そう言って赤城は怒った表情を見せた。俺が暗殺される話をした時の表情よりかは断然いい顔だが、あの時は俺も怖かった。

 

「あぁ、あれか。んで、それは認められているのか?」

 

「そうみたいです。大本営もこれが無くなってしまうと国自体の活動資金が回らなくなりますから。」

 

そう言うと赤城は唐突に新聞を出した。そして数ページ捲るとそこには俺の暗殺に関する記事があった。

 

「あの事件は国内でも色々と濁した状態でニュースになったんですよ。戦果を挙げる将軍を海軍が不穏分子として不正に暗殺を試みた事。」

 

そう言って赤城は鉛筆であるところにラインを引いた。

 

「ここには大本営のこの事件に対するコメントが書かれています。」

 

そう言われ俺はラインの引かれた文を読んだ。

『我が国の海軍が、不当な理由で将官の暗殺に動いたことは誠に遺憾である。大本営はこれを糾弾する意思があると、大本営総司令官がコメントを送ってくださいました。』

と書かれていた。

これは利用するに限ると言わんばかりの赤城の表情に黙って俺は頷いた。

 

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ーーー

 

 

俺と赤城、武下大尉の会議はその後1時間ほど続き、軍法会議に掛ける事に関して大まかな方針を決定した。それを踏まえて、大本営には艦娘の存在は知られているのかと聞くと、どうやら知られている様だった。いつも書いている書類は大本営の海軍部から送られてきているものらしいのだが、殆どの任務は海軍本部から送られてくるものだそうだ。(※海軍部と海軍本部は別の組織です)

それと大本営も艦娘の扱いに疑問を感じて海軍本部に改善するように通達を何度も送られたようだが、悉く握りつぶされたそうな。大本営で一番偉いんじゃなかったか?

それで決まった内容は今回の事件の責任を海軍本部に要求し、賠償、謝罪を求める。そして艦娘の待遇改善を要求した。そして大本営には艦娘の存在を国民に公表する提案の書かれた手紙を報告書の封筒に紛れ込ませて送る事になった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

会議のあった日の夜、俺の快気祝いが行われた。主催は第一艦隊。いつもの事だが、どんちゃん騒ぎで収集が付かなくなるのは時間の問題だと俺は思った。

今回の祝いには間宮や妖精も乗り気で朝から準備が始まっていて、机に並べられる料理はどれも豪華だった。

 

「では提督。」

 

俺は目を輝かせて待っている艦娘たちの前に立ち、グラスを持っていた。因みに中身はコーラ。

 

「みんなありがとう!そしてお疲れ、乾杯!」

 

そう言うと食堂では乾杯が木霊した。

 




今話は後日談というかなんというかって感じですね。
特に説明する箇所もありませんのでこの辺で。

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