【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

53 / 209
第四十九話  運動会①

花火が撃ちあがる秋の陽気に俺は運動場でマイクを持って立っていた。俺が全体連絡票で連絡してから一週間。鎮守府は騒がしかった。あれこれと作戦を考え、練習し、試行錯誤している艦娘をよく見かけたのだ。

全ては今日の為に、と長門が気合入れて言っていたのでそうなのだろうと俺は思っている。

 

「これから運動会を開催する!取りあえず、ラジオ体操からで。」

 

そう言うと何かに期待していたのか整列していた艦娘と門兵たちはズルッと滑った。

 

「ほらほら広がれー。」

 

そう指示を出してCDからラジオ体操を流し始める。

朝から始める運動会だが、昨日の夜に門兵と運営総出でライン引きと設営をしていたので実質俺は昨日から運動会が始まっていた。と言っても俺は競技に出ないけど。

体操が終わると、整列して選手宣誓を行い、それぞれの席に戻させる予定だったが一向に変える気配がない。

 

「ん?どうした?」

 

「どうしたもないですよ!優勝したチームの景品を教えてほしいんです!」

 

そう言った比叡に賛同するかのように全員がウンウンと頷いた。

 

「こればっかりは教えれないな。優勝してからの秘密だ。」

 

そう言って無理やり解散させた。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

それぞれのチームを色で分ける事になった。長門がリーダーのチームは白。伊勢がリーダーのチームは黒。扶桑がリーダーのチームは青。金剛がリーダーのチームは黄色。赤城がリーダーのチームは赤。蒼龍がリーダーのチームは緑と色で分け、それぞれに色の着いたゼッケンを渡してある。とても分かりやすい状態にしておいた。因みに門兵チームはいつもの迷彩服なので着替える必要なし。

そして応援に何故か暇を持て余した酒保の従業員が来ていた。

 

『100m走に出場する選手は入場門に集合して下さい。』

 

アナウンスが流れた。因みにアナウンスは大淀がやっている。

100m走は各チーム4人が出場する。トラックをそれぞれのチームの選手6人で半周を走るのだ。俺がここから見ていて思ったのは、駆逐艦の艦娘が多い事だ。

 

『第一走は......』

 

大淀のアナウンスが続く。

スタート位置に出てきたのは五月雨、暁、朝潮、霞、電、夕張。なんか違う艦種が混じっているのは気のせいだろう。そうしているとスタートを知らせる鉄砲が鳴った。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

日がてっぺんを通過したころ、昼休憩に入った。

それまで走る競技は大体終わり、残すところ綱引きと騎馬戦、門兵vs艦娘三本勝負が控えている。

疲れが出始めたのか、結構バテバテだがそれでも楽しそうに笑っていた。俺はこれを待っていた。海の事を忘れた女の子の顔だ。

 

「提督。お昼ですよ。」

 

そう言って俺を呼んだのは大淀だった。どうやら昼に呼ばれたらしい。ちなみに今日の昼は間宮に頼んで作ってもらった弁当。因みに全艦娘の分があって、出場する門兵の分も用意してもらった。これも運動会の醍醐味だ。弁当を食べる。これは俺の気持ちを懐かしく感じさせるものとして十分だった。

 

「提督、芝のところで食べましょう。」

 

そう言って大淀の後ろから夕張がひょこりと出てきた。運動会最初の競技である100m走でスタートでズッコケた夕張だ。

 

「夕張、膝は大丈夫なのか?」

 

「はい。手当もしてもらいましたので大丈夫です。」

 

そう言ってぺシぺシと自分の擦りむいた膝を叩いていた。

 

「じゃあ行こうか。」

 

俺は間宮からもらった弁当を片手に運営のテントを離れた。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

芝には結構な艦娘が集まって食事をしており、とても楽しそうにしている。それぞれのチームで作戦会議をしつつ食べ、駆逐艦の艦娘は早く食べ終わるとゴロゴロとしていた。

 

「芝ね......。ブルーシートとかしくもんだが、まぁいいか。」

 

俺はその場に座り込み、弁当を開く。中身は至ってシンプルでおにぎりにおかず、デザートだ。おにぎりの具材には昆布と梅。おかずは卵焼きと肉団子。デザートにランダムなのだろうか、俺のにはリンゴで夕張のにはみかん、大淀のには梨が入っていた。

 

「いただきます。」

 

箸を取り、手を合わせて食べ始めた弁当は本当に昔の運動会の昼に食べたものを連想させた。

円を描くように座る夕張と俺と大淀は食べながら色々な話をした。基本的にはあの場面で何があったのが面白かったなど......。俺の印象に残っているのは、雪風が玉入れで転がっていた玉を一発で全部入れたことだ。流石は幸運を持っているだけある。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

『続いては騎馬戦。それぞれのチームを2つに統合し、西軍と東軍に分けて戦います!!』

 

その大淀のアナウンスと共に一斉に騎馬が入場門から入ってきた。色は紅白で分かれている。

 

『西軍大将!夕立!』

 

そう言ってアナウンスが入ると、一際堂々と佇む夕立が手を挙げた。

 

『東軍大将!時雨!』

 

アナウンスが入ると時雨は手を大きく挙げた。

 

『合戦開始ですっ!』

 

その合図と共に笛が鳴り、一斉に騎馬が突撃を始めた。

ちなみに騎馬が戦闘不能状態に入るには騎手の鉢巻きを取られた場合のみのルールだ。

白熱する運動場での騎馬戦に応援にも熱が入っている。凄いコールだった。そして続く合戦は10分にも及び、遂に大将同士の一騎打ちとなった。

 

『どちらに軍配が挙がるのでしょうか!』

 

実況の大淀にもかなり熱が入ったようだ。凄い解説を飛ばしている。

そうしていると夕立と時雨はにらみ合い、一瞬のすきに突撃を仕掛けた。

迫りくる両者の手が額の鉢巻きに行き、壮絶な取り合いが始まった。

 

「大人しく駆られてくれないかな?」

 

「それはこっちのセリフっぽい!」

 

そう言い当て双方ともに譲ろうとせずに懸命に戦った。その間4分。遂に決着がついた。勝ったのは夕立だった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

次に控える門兵vs艦娘三本勝負はとても熱が入り、始まる前から闘志ですごい盛り上がりを見せていた。

準備運動を始める門兵に作戦会議をする艦娘が目立つ中、第一種目目の200×10リレーが始まろとしていた。

 




凄い眠い状態で書いているので誤字がすごいと思います。そして久々に身体を動かしたのでその筋肉痛やらで身体が痛い......。

ご意見ご感想お待ちしてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。