【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

57 / 209
第五十二話  赤城の願い

運動会から2日後。

そもそも長い休暇に入った原因である資材不足の事から秘書艦になれていた赤城が今日の秘書艦に就いてもらっている。

 

「提督のやっておられる資材収集法で数日すれば回復すると思いますよ?」

 

そう言って赤城はこの資材不足を一蹴した。

なんでも日ごろやっていた俺の運用は枯渇していた開発資材を溜めやすい方法だったらしく、上手くいけば1日に数個が余分に手に入るらしい。俺は気付いてなかったが。

 

「確かに、この前まで1桁だったのがやっと2桁になったな。」

 

そう言って俺は資材残量を書き記した書類を見た。開発資材の欄には26の文字。26こは溜まった様だ。

 

「各資材も以前よりも少し多いくらいには集まってますので、運用を再開してもよろしいかと。」

 

そう言われ俺は他の資材残量を見た。確かに4つともに1万は超えていた。これなら普通に遠征とレベリングをやっても問題ない様だ。

 

「ならレベリング再開だ。それと、レベリング用の艦隊を再編する。」

 

「今回はどのような編成で?」

 

俺は思いついたかのようにそう言った。思いついたかのように言ったが実は、前々から考えていた編成だった。

 

「レベリング対象は重巡、旗艦に置く。下に戦艦2、雷巡1、空母2だ。」

 

「出撃先は?」

 

「キス島。所謂3-2-1だな。ここが一番効率がいい。」

 

そう言って俺は編成予定の艦隊の編成予定表を赤城に見せた。

 

「高雄、長門、陸奥、北上、祥鳳、瑞鳳ですか......。低燃費とはいいがたい微妙な編成ですね。」

 

「だが、以前運用していた編成よりマシだとは思うが。」

 

そう言って俺は何も書いてない紙を出して書き始めた。

 

「基本的にキス島で最初に接敵する敵艦隊は軽巡以下の小型艦だ、運が悪ければ雷巡も居るが大体がそうだろう?」

 

「そうですね。エリートやフラグシップもいますが。」

 

「空母を連れて行けば最初はアウトレンジから一方的な爆撃・雷撃ができる。それにあっちはあまり対空装備が無いようだしな。そのあと、北上に甲標的で雷撃。その時には運が良ければ4、悪ければ1は確実に沈める事が出来る。」

 

「あちらもこちらより練度が低いですからほとんどは初撃で3は落ちますね。」

 

「そうだ。その後、制空権はこちらにあるので戦艦2による弾着観測射撃、殲滅。という事だな。」

 

「成る程......ならば空母の枠は私たちの様な正規空母の方がよろしいのでは?」

 

そう言った赤城のキョトンとした表情を見て溜息を吐き、説明をした。

 

「いいか?資材が回復したとはいえ、ボーキサイトは有限なんだ。できるだけ温存したい。」

 

「私たちだと、確かにボーキサイトは消費が早まりますね。」

 

「だから軽空母を運用するんだ。それにこの先、軽空母を運用する必要が出てくるかもしれないだろう?レベリングを兼ねている。」

 

「分かりました。」

 

そう言って赤城はパタパタとファイルの片づけを始めた。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

俺はいつも通り、執務を午前中に終わらせて今は昼食を食べに食堂に来ている。

 

「最近は洋食が出てきたので、楽しみが増えましたね。」

 

そう言ってモゴモゴとパスタを食べる赤城が言った。

そう言えば昼食はよく秘書艦と摂るがどうやらこれは秘書艦の特権らしい。さっき赤城に言われて初めて知った。俺と一緒に食べて面白いのだろうかと考えてしまった。

 

「そうだな。俺は和食でもいいが......。」

 

そう言ってフォークでパスタを巻いて俺は口に運んだ。

 

「提督が着任されてからというもの、鎮守府で楽しい事がどんどん増えていってます。」

 

唐突に赤城はそう言いだした。

 

「そうなのか?」

 

「はい。提督が着任してからは心が躍り、新しい子がいっぱい増えて、その度に歓迎会を開いて、運動会をやったり......。提督の命が狙われた事もありましたが、今では提督の命を守る一人ですものね。」

 

そう言った赤城は優しい笑みをしていた。

 

「......許したのか?あの人を。」

 

「えぇ。.......夜中に提督が報告を訊きにわざわざ警備棟に向かうのも見てますからね。それに以前鎮守府内を散歩していた時に見かけたんです。あの人が傷だらけになって茂みに潜んで外を睨んでいたのを。あんな姿になってまでやってくれているのも私は見てますから......。」

 

「そうか。」

 

「最初はまた提督の命を狙うのではないかと思って監視をしていたんですが、違いました。諜報員という特殊技能を持ってる故に出来る事を精いっぱいやって、提督の命を守っていたんです。だから私は許しました。」

 

そう言って赤城は食べ終わったパスタの皿にフォークを置くと口をハンカチで拭いた。

 

「......そう言えば事務所の人たちが入れ替わったって知ってました?」

 

赤城は唐突に話をずらしてきた。どうやらあの話はもう終わりみたいだ。

 

「知らないな。俺はいかないしな。」

 

「事務所の人たちがすごくフレンドリーな人たちになったんですよ?この前、酒保に置いてないものを頂いちゃいました!」

 

そう言ってニコニコする赤城に俺はそうかとだけ答えて聞くに徹することにした。赤城もああいう一面を持っていたとしても女の子なんだなと思わせる瞬間だった。

 

「もうっ!訊いてますか?!」

 

「訊いてるぞ?なんだっけ......酒保で売ってないケーキだったか?」

 

「違います!」

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

午後の事を本編で俺は見たことが無い(※急なメタ発言)。

午後は基本的に何もしてない。グダグダして秘書艦と話し、訪れる艦娘と話したりしているだけだ。

 

「提督。この前の願い事の件、いいですか?」

 

唐突にそう言いだしたのは赤城だった。さっきまで時雨が来ていて、丁度その話をしていたのだ。ちなみに時雨は悩んでるらしい。

 

「ん?なんだ?」

 

そう言うと赤城は息を吸っては吐いてを繰り返し、呼吸を整えるといつもなら堂々と言うのに今回ばかりは縮こまっていた。

 

「外に......行きたいです。」

 

そう言った赤城は何とも表現し難い表情をしていた。期待、不安......そんな感じだ。

だが、外に俺が連れて行くのはいいが、そもそも艦娘を鎮守府から出してはいけないんじゃなかったのかというのが引っかかった。以前、長門は『鎮守府は艦娘の檻』だと言っいた。つまり、艦娘は鎮守府からは出撃以外で出れないという事になる。だが、この前の軍法会議や観艦式はどうなのだろうか?

考えて見ればどちらも海軍の任務、軍法会議は任務ではないがその類のものだった。私用では出れないのだろう。

 

「どうしてだ?」

 

俺は取りあえず理由を聞いてみた。

 

「私たちの知らない世界が外には広がっているんだと思うんです。いろんなものが溢れていて、私たちはそれを知らない。そのいろんなものを私は知りたいんです。」

 

そう言った赤城は黙ってしまった。どうやら俺の返事待ちらしい。

 

「............俺も連れて行ってやりたい。どうにかしよう。」

 

そう言って俺は赤城をどうやって連れ出すかを考え出した。

一方赤城は喜んでいた。外の世界が見れるという期待と、ある事を実行に移すチャンスだと考えていた。

 




眠気との戦いに何度も勝ち進み、やっとここまできたけどもう限界......。
とかいう茶番は置いといて、今回は赤城と提督しか登場しないwww

ご意見ご感想お待ちしてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。