【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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前回から2日おいてしまいました。
追い込みでやることがあったんです(白目)


第五十四話  瑞鳳の願い

 

瑞鶴が秘書艦だった翌日。今日の秘書艦は瑞鳳だった。ここまで来て大体想像していたが、なぜこんなにも運動会で赤城チームだった奴が来るんだろうとか思いながら俺が執務室の扉に手をかけた。

 

「おはようございますっ!提督っ!」

 

もう瑞鳳は執務室に来ていて、もう貰って来たのか今日の書類を脇に抱えて立っていた。

 

「おはよう......。席に置いてきてくれ。それと、朝食を食べに行こう。」

 

「はいっ!」

 

瑞鳳は元気に返すとトタトタと執務室にある秘書艦用の机と椅子に持って来ていた書類を置いてきた。

 

「ではいきましょうか?」

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

朝食を終えた俺と瑞鳳は執務室に戻り、執務を始めていた。

執務と言っても毎度の事で、既に終わりつつある。開始1時間程経った頃だった。

瑞鳳があれこれと提案してきた。

 

「提督っ!建造を出さなくていいんですか?」

 

そう言った瑞鳳の手には口頭で伝える建造レシピのためのメモと建造結果報告書だった。

 

「あぁ、忘れていたよ。今日は雪風がキス島攻略に出て行っているから瑞鳳がやってくれ。」

 

「はい!それで、レシピは?」

 

「空母レシピ1回だ。」

 

そう言うと瑞鳳はメモに何やらメモを取ると、足早に執務室を出て行った。どうやらこれから工廠に向かうらしい。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

瑞鳳が出て行ってから執務が終わったので、窓から外を眺めていると廊下から2人分の足音が聞こえてきていた。

1人は瑞鳳だろうと言うのは見当がついたが、もう1人は誰だろう。そんな事を考える間もなく扉が開かれた。

 

「提督、新造艦です!」

 

そう言って入ってきた瑞鳳の方を見ると、すっごいキラキラしてる艦娘が居た。

 

「瑞鳳さんっ、提督が居るんですね!!やったぁ!!!」

 

そう言って自分より少し小柄の瑞鳳の肩を持って揺らしているのは、俺がまだ見たことのない新造艦だった。

俺は窓から視線を外し、席に着くと瑞鳳から建造結果報告書を受け取った。そこには『軽巡洋艦 阿武隈』の文字。目の前でキラキラしてるのが阿武隈という事になる。

 

「俺がここの提督だ。よろしく。」

 

そう言って俺は被っていた帽子を取ってあいさつした。

 

「私は軽巡 阿武隈ですっ!よろしくお願いします!」

 

そう言って目をキラキラさせてこっちを見る。なんかこの反応は新鮮だった。今までは俺が提督だと分かると一頻り騒いでから喜ぶか、噛み噛みの挨拶をしてくれるかのどちらかだったんだ。

 

「あぁ......。瑞鳳、今日の執務は終わったから阿武隈に鎮守府を案内してあげてくれ。案内が終わったらもう一度執務室に戻れ。」

 

「了解しました!では行きましょうか?」

 

「はい!」

 

瑞鳳と阿武隈を案内に出し、俺はまた立ち上がり外を眺めた。

眺めていた先には、埠頭に停泊する我が艦隊司令部屈指の強さを誇る船たちだ。幾度とない戦闘を潜り抜け、新人教育の為に身を挺し、海域という海域を解放してきた猛者たち。

そんな艦の甲板でお茶会を開いているのだ。

誰の艤装かというと、赤城ので、参加メンバーは正規空母たちと金剛型姉妹、扶桑と山城だ。

何だかそんな光景を見ていると、普通の女性のお茶会の様に感じてならなかった。広げているのは紅茶と茶請け。クッキーやスコーンみたいだった。

それを肴に楽しそうに話している。

俺がそれを眺めているだけで、艦娘の待遇の改善がなされた事を今さらながら実感していた。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

程なくして瑞鳳と阿武隈は執務室に帰ってきた。

そうすると執務室に入るなり、阿武隈はあんなものがあったとかという話を俺にマシンガントークし始め、収集を付けるのに時間が掛かりそうだったので呼んでおいた姉妹艦の五十鈴に引き渡した(※身柄引き渡しではありません)。

そんなこんなで今は俺と瑞鳳の2人だけになった。

 

「あんなに阿武隈が喜ぶとは思いませんでした。」

 

そう言って瑞鳳は提出書類を纏めながら俺に言った。

 

「俺もだよ。艦娘として生まれる前にある記憶というかそういうものには、提督が居ない事が前提なのか?」

 

「そうですよ。私たちはあの印刷機から出てくる指令書で行動する事というのは覚えている状態で目覚めますから。」

 

そう言って纏め終わった書類を封筒に入れた。

 

「そうか......待遇に関してもか?」

 

「そうです。だからあんなに阿武隈は喜んだんでしょうね。酒保や事務棟、警備棟を見て驚いてましたから。それに酒保には少しだけ入ってきました。」

 

そう言って瑞鳳は纏め終わった書類を脇に抱えた。

 

「これを提出して帰ってきたら、私の願いを聞いてくれますか?」

 

そう唐突に瑞鳳が言ってきた。勿論、俺は断る気は無いのですぐに頷いて返事を返した。

 

「では、いってきます!」

 

そう言って元気よく瑞鳳は執務室を出て行った。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

瑞鳳は帰ってくるなり、俺の前に立ち、自分の願いを言った。それは俺の想像もつかない事だった。

 

「陸に滑走路を?」

 

瑞鳳は鎮守府敷地内に滑走路を造ってほしいと俺に頼んだ。唐突で、俺が訊いてきた中で一番突拍子もないものだった。

 

「はい。提督のところに詳細な報告書は届いていないと思うのですが、現在工廠では未確認の装備品が多数開発されています。砲に関してもそうですが、飛行機型の装備が工廠の奥でシートをかぶせた状態で放置されています。飛行機型の中には着艦フックがないものもあるので、ソレ専用に作ってほしいんです。」

 

俺はもっと個人的な事を頼んでくるのかと思っていたのに、こうも仕事熱心だと少し心配だが、瑞鳳のいう事も一理あった。そこで俺は本当にその願いでいいのかと聞くことにした。

 

「本当にそれでいいのか?」

 

「はい!調べ終わってないですが、未確認の装備の中にとても有効なものもあるようですから、更に提督や鎮守府を守る力になると思うんです。」

 

そう言った瑞鳳の目は強い力が籠っていた。

 

「分かった。どうにか手配しよう。それといい機会だ、大本営に雷電改の詳細データとまとめて報告しようか。」

 

そう言うと瑞鳳はニコッと笑った。

 





瑞鳳の願いは自分優先でなく、周りが優先の内容でした。自分的にも瑞鳳は周りにとても優しい性格だと思っているので、丁度いいかと思いました。

瑞鳳の口から知らされる新たな未確認艦載機と飛行機たちはいったい何でしょうね(ゲス顔)
楽しみです!

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