【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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第六話  第四艦隊解放④ 霧島編

 

前日、前々日と失敗したが、今回は大丈夫だろうと考えながら俺は朝食を摂っていた。

こう毎日同じことを考えていると、作業の一環みたいな感じていつの間にか朝食を食べ終えていた。

 

「長門ー。」

 

そして今日も朝食が済むなり長門を呼んで執務をしに向かった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

執務室の俺の机の前で腕を組んでメガネを光らせている霧島は、今かと俺の指示を待っている。

一方俺はというと、先日の出撃の際に消費した資材表を見て頭を抱えていた。

 

「うーん。やっぱり攻略艦隊って損傷受けた時のダメージが......。」

 

一応俺の視界には霧島は入っているが、何も言わないので俺も何も言わないでいた。

これまで俺のところに訪れた時は、入ってきてすぐに要件を俺に伝えていた為、俺は今日の任務についてきたのかと思っていたが何も言わないのでどうしたのだろうと思っていた。

 

「......司令。」

 

遂に霧島が口を開いた。

 

「なんだ?」

 

「建造、行ってきます。戦艦レシピでよろしいのですよね?」

 

「あぁ。頼んだ。」

 

そう俺が答えると、霧島は普通に執務室を出て行った。

近くで見ていた長門も口をポカンと空けたままだった。

 

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ーーー

 

 

霧島が建造に向かって5分後。俺はある事を思い出した。

 

「そう言えば長門。」

 

「なんだ?」

 

「霧島はウチの金剛型で一番最初に来た奴だったな。」

 

俺はさっきまで忘れていたが、霧島はかなり初期にウチで建造された戦艦だった。長門と扶桑型姉妹に次ぐ戦艦だ。高速戦艦、いわゆる巡洋戦艦であったゆえに足の速い艦だけの高速戦闘艦隊なんて考えていた時期の霧島は旗艦だった。

ついでに秘書艦もやっていたので、ある程度執務は理解している。

そのことを俺は忘れていた。

 

「霧島に建造と開発教えたの、俺だわ。」

 

「そうだな。」

 

そう長門に言うと俺は執務に戻った。と言っても、今後資材をどうしていくか。この戦艦レシピの奴をいつまで続けるかを考えるだけだ。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

程なくして霧島は工廠から戻ってきた。

 

「司令。任務失敗です。」

 

霧島はそう言うと長門のいる本棚の方に向かった。

 

「長門。私も手伝いますよ。」

 

「あぁ、ありがとう。」

 

執務室に変な空気が流れたのは言うまでもない。

だが、霧島は失敗だったことは伝えてくれたが一体何が建造されたかまでは教えてくれなった。

俺は何ができたのか聞いてみることにした。

 

「なぁ、霧島。何が建造できたんだ?」

 

俺がそう言うと、見ていた書類のファイルから目を外すとこっちを見た。

 

「最上です。今、熊野が鎮守府を案内しているところです。」

 

そう言うと霧島は再びファイルに目を落とした。

最上、最上型重巡洋艦 一番艦である最上はまだウチの鎮守府には着任していなかったので、正直うれしかった。

だが、何故最初にここに連れてこなかったのかが気になった。

 

「なぁ、何故最初にここに連れてこなかった?」

 

俺がそう言うと霧島はファイルから目を外すと、ファイルを閉じて仕舞った。そしてメガネのポジションを戻した。

 

「それは、少しいたずらをしてみたくなりました。」

 

そう言う霧島のメガネはキランと光った。

 

「「そういうのやめてやれ。」」

 

俺と長門は同じことを思ったのか、同じタイミングで言った。

 

「長門にだけは言われたくないです。」

 

と、霧島は返す。

そうすると、少しばかり執務室に笑いが出た。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

「ここが食堂ですわ。」

 

「へぇー。」

 

熊野はついさっき建造された最上を鎮守府を案内して回っていた。

工廠の前を通りかかった時、霧島に捕まって頼まれたのだ。だがその時に、提督が着任している事は伏せておいてほしいと言われたので意味も分からずに取りあえず、案内をしていた。

 

「じゃあ、次に行きましょうか。」

 

熊野がそう言って最上を見ると、最上は下を向いていた。

 

「ねぇ、熊野。」

 

「何でしょう?」

 

「提督は、提督は着任していないの?」

 

訊かれたことは提督が居るかどうかだった。

熊野は一瞬居ると答えるところだったが、霧島に言われた事と、少し自分もいたずらしたくなってしまったのだ。

 

「(ごめんなさい。最上姉さん!好奇心が私をっ!!!)えっ、えぇ。時期的にはもう着任できる時期はもう過ぎてますが。」

 

「そっか......。割と遅めの建造だとは思っていて、もしかしたら、ほんの数パーセントの可能性を願った僕は少し夢を見過ぎたようだね。」

 

そう最上が答えると、再び鎮守府の案内が再開された。

 

(本当にごめんなさいっ!最上姉さんっ!!!)

 




2つの話を同時に書くのは難しいですね。

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