【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
「金剛っ!最大戦速ネー!」
そう言って出力を上げているのか金剛が離れていく。援護に就いた五月雨と涼風もそのあとに続いていた。
「金剛君っ!直掩は出すから安心してね?」
そう言った蒼龍を俺は見た。
ニコッと笑っているが、この状況に俺は疑問を感じていた。
「金剛!蒼龍たちの護衛は要らないのか?!」
そう言っても金剛は聞こえていないのか、敵艦隊の方に遠ざかっていく。
「クッソッ!......蒼龍、俺は護衛に入る。敵艦に近寄らせないからな。」
そう言って俺は蒼龍と飛龍の方を見た。
2人はニコニコとしている。なんか怖いんだけど......。
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艦隊を二分してから数分が経った頃、俺の居る場所にまで砲撃音が聞こえてくる。味方か敵かは聞き分けられないが、確実に音源は接近してきている。
俺は武者震いと言っていいのか分からない震えがきていた。足がガクガク言っている。まだ直接感じては居ないが、戦場に居る俺は何時殺されるかもわからない状況だ。そんな状況の最中、これから死地に赴くかと思うと恐怖、後悔、そんなものに心が震えていた。逃げ出したいと訴えている。ここから離れて来た道を引き返せば助かると、頭の中で叫んでいる。だが、身体が動かない。何故なら......
「んふふ~。金剛君、大きいね!」
「男の子って感じだね!」
両腕を蒼龍と飛龍にホールドされているからだ。
「離れて......。なんでこんなことに.......。」
俺は必死に振りほどこうとするが、動かすたびに腕がアレに当たってるんですが......。
「ここ戦場だろ!?何やってんだよ!!」
そう言っても2人は離れてくれない。
「えー。いいじゃん。減るもんじゃないし......。」
俺のメンタルバーが減ります。
「まだ敵も来てないし......。」
さっきから周りに轟く音は何なんですかね?
「だあぁぁぁぁぁ!!緊張感持ってくれ!!」
そう言って俺は思いっきり腕を振りほどいた。
そうすると何故かさっきまで俺の腕に絡みついていた蒼龍と飛龍が俺に向けて弓を引いていた。
「えっ?!なにっ?!」
そう言うと蒼龍が俺に言った。
「頭下げてっ!!」
俺は言われるなりに頭を下げると、蒼龍と飛龍が弓を放ち、艦載機が飛び立っていった。その先には撃ち漏らしか、中破した敵が迫っていた。それに放たれた艦載機が爆弾を投下していく。その爆弾は敵に吸い込まれて直後、爆発した。
「ごめんね。急に矢先向けて。」
「金剛君の後ろに敵がいたからさ......ね?」
そう言う2人を見て俺は溜息を吐いた。
「先に言ってくれ。殺されるかと思った。」
「そんなことしないよ?!」
そう言って返してくれた飛龍を見ると照れ臭そうに頬をかきながら飛行甲板で艦載機を収容していた。
「この先もまだまだ続くからね!」
そう言われ俺は金剛たちが進んだ道を辿って航行し始めた。
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結局あれから戦い続け、帰る頃にはボロボロというか汗まみれになっていた。
だって激しく動くし、背中のやつはまぁまぁ重いんだよ。そして煙突から出る排煙が熱い。
そんな事を考えながら鎮守府に帰ると、まぁ当然の如く出待ちされていた。
「金剛君が汗まみれ.......何か別の方向に......グフフ......。」
うわぁ......武蔵にワンパンされてた人がいる。なんか怖さ増してるんだけど。
ちなみに損傷は軽微だ。
「帰ってきたか。すぐに入渠したまえ。」
人混み、いや艦娘混みのなかに居た白瀬さんがそう言ってくれたが、入渠って修理のことらしいが、どういった物なのか分からん。
入渠と聞いた瞬間、蒼龍と飛龍の目が輝いたのを見た限り、面倒なのは確かだ。取りあえず金剛に助けを求めてみる。
「入渠ってなんだ?」
「オゥ......ええとデスネー。私たちの艤装を修理することを指すネー。端的に言えばお風呂ダケド。」
そう金剛に俺は絶望した。艦娘がする事で艦娘は全員外見が女性。もうお察しだ。
「俺入れねぇし!!」
そう訴えるのも束の間、俺の両脇はがっちりと蒼龍と飛龍にホールドされていた。
「さぁ、お姉さんと一緒に行きましょうね~。」
「行きましょ、行きましょ!」
「比叡っ!!比叡っ!!!ひえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
俺は比叡に助けを求めたけど、苦笑いを返された。どうやらちゃんと入渠してこいとのことらしい。
諦めるわ......。
安定の足柄ですが、オチとしては入渠に連行されました。
しかし、がっつきすぎな気もしますが、これはこれでいいという事にしておいてください。
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