【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
俺は朝起きて届いていた新瑞からの封筒を開いて絶句していた。
『本日、提督が要求してきていた装備を搬入する。0900より輸送隊が到着するので正門を開けておくこと。妖精にも設置を手伝ってもらうので連絡をつけておいてくれ。』
俺はそれを机に置くと秘書艦の伊勢を連れて朝食に向かった。
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俺は伊勢と共に正門に来ていた。新瑞から届いていた手紙通りに動いている訳だが、遠くから迫りくる車両隊がとてつもなく大きく見えた。
「あれ......鎮守府に置くんですよね?」
伊勢は搬入する兵器のリストを見ながら言った。伊勢が見ていたのは丁度、要塞砲のところだった。
コンクリートで蓋をされた旋回砲塔の要塞砲は自身の砲弾でもそれは貫通出来ないとされている頑強な砲だ。それが荷台に分解して積まれていた大型トラックが鎮守府に入っていく。
「というか、誘導弾って何ですか?」
そう聞いてきた伊勢に俺は返した。
「誘導弾って言うのは英語で言うとミサイルという。」
「ミサイルって?」
「伊勢たちに判り易く言えば、敵を自動追尾ができるロケット砲だな。」
そう言うと伊勢は驚いた。たぶん自動追尾ができるという辺りだろう。
「自動追尾っ!?それって撃ったら敵目掛けて......。」
「迎撃されない限り敵を追い続ける。」
そう言うと伊勢は俺の両肩を掴んだ。
「私の艤装にそれ、載せて!」
「無理だ。」
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頼んでいたものが色々搬入され、取りあえず置く場所が無いので運動場もといグラウンドに停めてもらったが、端から端まで埋め尽くしていた。
「壮観だな......。」
俺はそう言いながら眺めていた。
要塞砲、1基2門が16基。地対艦誘導弾発射機6基。弾頭数120発。短距離地対空誘導弾発射機20基。弾頭数2000発。SPYレーダー1基。CIWS40基。数を見るとそうでもない様だが、実物が全て目の前にあるのだ。とんでもない数に見えた。誘導弾の弾頭を運ぶだけで大型トラックの半数を使っている。
「提督、これらはどこに設置するんですか?」
そう言ってきた伊勢が地図とペンを持って言って来た。
「要塞砲は全基沿岸部に均等に並べる。」
そう言うと伊勢が出っ張ったところに均等に印をつけた。
「CIWSは施設の屋上。それ以外は広いところに集中配備。」
伊勢は建物の上にCIWSの印をつけて、あまり使われていないところにそれ以外のマークを付けた。
「妖精さんに頼んでおきます。」
そう言うと伊勢は地図を畳んだ。
「こんな兵器......使うんですか?」
伊勢は訪ねてきた。
「使うか使わないか......使いたくない、だな。」
「?」
伊勢は頭上にハテナマークを浮かばせた。
「これを使う時、それは鎮守府が深海棲艦に襲われた時だけだ。」
そう言うと伊勢は拳に力を入れた。
「そんな事、させない......。」
そう言った伊勢に俺は続けて言った。
「これは最悪を想定した処置だ。あって損はないだろう?それに俺は伊勢たちに期待しているんだ。」
「それは?」
「いいだろう、俺はそう思ってるからな。」
そう言うと俺は執務室に足を向けた。
だがそれを遮る男が居た。新瑞だ。
「提督、在庫処分ありがとう。」
そう言うと新瑞は軽くお辞儀をした。
「いえ、必要だと考えましたので。」
「そうか。」
そう言うと新瑞は俺に一枚の書類を手渡した。
「これは?」
「俺からの置き土産だ。」
そう言うと新瑞はすたすたとジープに向かってしまった。
「どういう意味だ?」
そう言いつつ俺は書類に目を通した。そこには納品書があった。
「んー。要塞砲にミサイル類、レーダー......F-2とF-15J改......はぁ!?」
そう言って顔を上げて新瑞を探した。新瑞はもう既にジープを走らせて正門前まで行っていた。走っても追いつかない距離だ。
「如何使えってんだ......。」
俺はそう言うと執務室に帰ると伊勢に行って執務室に帰った。
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外で工事が始まったのか、カンカンと甲高い音を聞いていると執務室に伊勢が戻ってきた。
「執務は終わってますし、少しお話しませんか?」
そう言われて俺は顔を上げると伊勢の方を見た。
「なんだ?」
「提督が唯一いらっしゃるこの鎮守府。私は何か嫌な予感がするんですよ。」
そう脈絡なく伊勢は言い始めた。
「嫌な予感って?」
「何とも言えない、何かです。」
「さっぱり意味が判らない。」
そう俺が言うと伊勢が不貞腐れたような表情をした。
「そうですか......。ですが、そんな気がするんです。」
そう言った伊勢は俺の机から出来あがった書類を取ると事務棟に行くと言って出て行ってしまった。
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横須賀鎮守府は結局沿岸部が要塞砲で埋まり、要塞の様になってしまった。対艦対空ミサイルと近接対空機銃まで置かれてしまったらハリネズミと言われてしまう。そんな気がしていた。
俺は早々に設置が完了していた要塞砲を執務室の窓から眺めてそんなことを考えていた。ちなみに要塞砲やら搬入された兵器の類は全部妖精が扱うらしい。どうやら手の余る妖精が居るらしく、それらに任せる様だった。
「使いたくないな......。」
俺は要塞砲を見ながらそう呟いて窓を閉めた。
今回はこれで終わりです。①が付いているという事は続編があるという事なのでよろしくお願いします。
続く話で付いている題の意味が理解できると思うので楽しんでください。
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