【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
俺は誰かに身体を揺さぶられたので起きた。
俺の身体を揺さぶったのは鈴谷だった。俺は誰が秘書艦になるのかをいつも楽しみにしていたが、今日という日だけは楽しみにしてなかった。
今日は青木と他1名がココに来る。巡田の時から通過儀礼になっている様だが、今回は厄介だ。何せ反省の色を見せてないらしいからだ。
「ちぃーっす、提督。」
「おはようぐらい言え......おはよう。」
俺を揺さぶって起こした。
このタイミングで最悪な引きだ。
昨日の晩、日向と話をしていた時、色々と艦娘同士での話やお互いの評価などを訊いた時、たまたま聞いた名前を俺は忘れてなかったからだ。
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「そう言えば日向。」
「ん、何だ?」
俺はある事を訊いてみた。
「何か厄介事が起こる度にいきなり現れる金剛とか居るだろう?あれって何なんだ?普段の金剛からしたらおかしいと俺は思うんだが。」
俺がそう言うと日向はあからさまに顔を引きつらせた。
「そ、そうだな......。提督の耳には『近衛艦隊』というのがある事は耳に入っているか?」
そう言った日向の言葉に俺は疑問を思った。そんな艦隊を編成した覚えがない。
「なんだそれは。」
そう訊くと日向は淡々と艦娘の名前を挙げた。
「首領:金剛。幹部:加賀、鈴谷、神通、叢雲で構成された非公式艦隊だ。」
そう言った日向は少し怖がっている様だった。
「その他にも所属している艦娘はいる......。」
「その『近衛艦隊』って?」
そう訊くと日向は重苦しい雰囲気を出した。こんな日向は見たことが無かった。
「非常時にいち早く提督の近くに展開する艦隊だ。......だが、提督に認めてもらっていない非公式の艦隊故に組織的な行動はしていない。あくまで非常時のみに結成される艦隊だ。」
そこまで聞けば結構聞こえの良い艦隊だがどうやらまだ続きがあるようだった。
「実はだな......ここの艦隊構成員は『提督への執着』が強い者で構成されている。だから提督の敵とみなしたものすべてに露骨に攻撃的になる。提督は金剛がおかしくなるところを見たことがあるだろう?」
そう言われて俺の中にある記憶を探し出した。そしてその中に該当する事柄があったのだ。巡田の時、最初のメディアの時、そして昨日の時。巡田の時はすぐには現れなかったが、それ以降はすぐに現れていた。気配も出さずに一瞬だ。
「......。」
「沈黙は肯定と受け取るぞ。......その『近衛艦隊』が万一『提督への執着』を刺激する様な事象に出くわすと、人格が一変するんだ。そうなってしまうと提督でしか止める事が出来ない。そう私は考えている。」
そう言うと日向は一呼吸置いた。
「......まぁ、明日のアレで『近衛艦隊』の構成員が秘書艦にならない事を祈ってる。」
そう言って日向は寮に戻って行った
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昨夜日向に言われた最悪の事態に今、直面していた。
今日の秘書艦は鈴谷。『近衛艦隊』幹部。メディアの時も昨日の事も、何処からともなく現れていた。
「提督ぅー。朝ごはん食べて、早く執務終わらせよー!」
そう言って高々と腕を天に突き上げる鈴谷に対し、俺はとてつもない焦燥感に押しつぶされそうになっていた。
この状況をどう打破するか。できれば鎮守府内で2人を殺すのは勘弁してほしかった。俺の精神衛生上宜しくないってのと、そもそも死と身近にかかわりたくなかったからだ。
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朝食を摂り終えて、鈴谷は執務の書類を取りに行くと言って事務棟に向かって行った。すぐに帰ってきたが様子がおかしい。
「どうした鈴谷。」
そう訊くと鈴谷は黙って1枚の紙を見せてきた。
それには青木他1名を連れて鎮守府に寄った後、射撃場に行く。と書かれていた。
「提督......それってあいつらがココに来るって事?」
そう聞いてきた鈴谷の目に光は無い。あの時の金剛と同じ状態だ。
「そうだがすぐに帰るらしいぞ?心配すんなって。」
そう言って鈴谷に言い聞かせた。鈴谷は素直に聞いてくれたが、俺は内心とても焦っていた。日向に教えてもらったのは頭と幹部だけ。そのほかにも何人もの艦娘が所属していると言う。
「これは......またアレを出すべきだな。」
俺は机の引き出しからある紙を出して書き始めた。
其処には『艦娘、艤装を身に纏うべからず。』そう書いた。つまり、『近衛艦隊』所属の艦娘の動きを封じたのだ。
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通りには人だかりができ、その中央をトラックが通っていく。その中には青木ともう1人が座っている。ここに来る理由があるから黙ってきたのだろう、そう思った。
だが、違っていた。この2人が来た理由、それは提督に頭を下げるためだ。
そのために来たのに、2人とも静かなままだ。どうやら反省したみたいだ。
そしてそのトラックは俺から結構離れた距離で停車し、荷台の2人を投げ出した。案外丈夫な物で、打ち身だけで済んだ様だった。
「いっつぇぇ......。」
そう言って掛けられた手錠をカチャカチャ言わせながら座りなおした。
そして2人そろってこういったのだ。
「「私たちの御不敬をお許しください。」」
そう言ったがこの言葉には誰しもが気付いた事があった。適当に挨拶をしているのが居たのだ。上の空で、時々艦娘たちを見ている。青木だ。
俺は頭を挙げさせた。
「そうですか......。」
俺はそう言って歩み出そうとすると鈴谷に停められた。それはあまりにも急で、止めた手の力は強かった。
「ダメだよ。それ以上あいつらに近づいたら......。」
そう言った鈴谷の目には光が無かった。
いやぁ新設定です。詳しいのは以前に投稿した設定資料に追加しておくのでよかったら読んでおいてください。これからの話、出てくるかもしれないので。
それよりも最近、これを書くだけで精いっぱいで艦これをやっている暇が......タスケテ......眠すぎる。
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