【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
助けてくれ!野獣二匹に狙われている!......何て叫んでも誰も来てくれない訳で、俺は蒼龍と飛龍に引きずられて入渠もとい風呂に来た。
やはり俺の感は的中して、男子風呂などなく、一つしかない入り口に引きずり込まれ、風呂に放り込まれた。
「グスン......もう、お嫁に......女じゃないや。」
そう言って俺は放り込まれた風呂場で取りあえず下着だけになり、端に来ていた服を寄せた。
「誰も居ませんよーに!」
そう祈って身体を洗いにシャワーのところに行った。そこには備え付けのシャンプーとボディーソープがあり、更に持ち込めるように台が大きく作られていた。
備え付けのを借りてワシャワシャして入渠しに浴槽にドボンした。
「ふぃ~あったけぇ~。」
そう言いたくなるくらいに絶妙な温度で、とても気分が良かった。が、そんな気分を一瞬でぶち壊す声が聞こえた。
「えっ?!男の人?!」
そんな声が聞こえ俺は、慌てて目を覆った。こんな不可抗力で身体を見てしまうのは相手に申し訳ないからだ。
「ひゃっ!金剛君っ!?」
そう言ったのは聞こえるが、誰が言ったのか分からない。
「えっ、ちょっと......えぇー!」
そう俺の見えないところで焦っている艦娘が居る様だ。
「すみません!二航戦の奴らに放り込まれて......今すぐ出るんで!」
そう言って目を覆った片方の手で隠し、立ち上がると捕まった。
「ごめんなさい。こんな機会、滅多にないので......。どうか手をどかして私を見て下さい。」
そう言われた。
「いや、身体を何かで隠してくださいね?」
「もう隠してますよ。」
そう言われ俺は目を覆っていた手を恐る恐るどかした。そこにはタオルを身体に巻いて、湯船につかっている銀髪の艦娘がいた(※湯船にタオルを浸してはいけません)。
「貴女は?」
「私は翔鶴型空母一番艦 翔鶴です。」
そう言った翔鶴は頬がほんのり赤くなっていた。
「俺は......って自己紹介しなくていいか。」
「そうですね。」
俺は視線を避けつつ話した。
「どうして金剛君はここに?」
「蒼龍と飛龍に投げ込まれた。」
「えっ!?」
そりゃそんな反応するだろうな。確かにアレは投げ込まれたと言っても過言ではない。抵抗も虚しく、ここまえ引きずられたからな。
「悪いな......。なんか。」
「いえっ!......寧ろ幸運だったと......あっ!何でもないですっ!!」
そう言ってワタワタする翔鶴を視界の端に入れながら俺はある事を疑問に持った。
「いつまで入渠してればいいんだ?」
そう言うと翔鶴は答えてくれた。
「損傷したんですか......様子を見ると軽微みたいなのでもうそろそろ大丈夫だと思いますよ。」
「そうか、ありがとう。そう言えば翔鶴はいいのか?」
「はい。まだ時間がかかりそうなので、ゆっくりしてます。」
翔鶴はそう言って笑った。長い事入居しているということは、かなりの損傷を受けたということらしい。俺は何も言わずに立ち上がり、出て行った。
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「あぁー!もう出ちゃうの!?」
そう蒼龍に騒がれたので身体を隠しながら蒼龍たちを見ないようにして身体を拭き、さっさと出て行った。ちなみに衣装の方は綺麗になっていた。洗濯した後みたいになっている。
ちなみにあちらはタオル一枚。
「うっせぇ!いきなりブッコむ奴が居るか!!」
そう言って俺は帯を整えると、プンスカと出て行った。
そんな俺の姿を見ていた蒼龍と飛龍がしょんぼりしていたのは俺は知らない。
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俺は執務室に行き、提督である白瀬さんに文句を言いに来ていた。
「いきなり入渠もとい風呂に投げ込まれたんだけどっ!」
「そうらしいな。すまんな。」
そう言いながら白瀬さんは何やら書類を片づけている様だった。
「まぁいいけど......。蒼龍と飛龍には注意しておいてくれよ?」
そう言ってソファーに腰かけた。
何故言うだけ言って帰らないかと言うと、割と本気でここが一番安全だからだ。これまで数は来てないが、確実に金剛型か大和型の艦娘がいる。今は居ないがな。
「キツく言っておこう。」
そう言って白瀬さんは書類が片付いたのか、立ち上がり、俺の正面に座った。
「そう言えば昨日今日で何も言ってなかったな。」
そう切り出した白瀬さんは状況から察するに何かの説明をしてくれるようだ。
「金剛が来た世界とこことの相違点を教えてやろうと思ってな。」
そう言って白瀬さんは俺に新聞を見せてくれた。ちなみに俺はこっちに来る前は携帯でニュースをチェックするタイプだった。
「......読んで違和感はあるか?」
そう言われて一面を読んでみる。......特段変に思ったことは無い。ところどころ使ったことのない単語が入っているのが多分こことの違いだろう。
「ところどころ分からない単語があるくらいだ。だが、俺の居た世界でもこんな事はあったぞ。」
そう言って新聞の一面を指差す。
この新聞の一面は、『税率引き上げに反対の声』という題で書かれていた。
「そうか。ならこっちの政治体制とはもしかしたら変わらないかもな。」
そう言って白瀬さんは肩を竦めた。いや、俺ここの世界の政治体制とか知らないから。
「そうか......。だがこんな話がしたかったんじゃないだろう?」
そう訊くと、俺に渡していた新聞の一面にある写真を白瀬さんは指差した。その写真は状況から見るに、国会での画像。討論をしているのか、なにか分からないがそんなんだ。
「違和感を感じないか?」
そう言われたので俺はその写真に目を凝らした。
「女性議員が多いな。」
そう言うと白瀬さんは新聞を俺の手から持っていくと開いて見せた。俺はもしやと思い、ページにある写真を片っ端から見て行く......。
「気付いただろう?」
そう言って白瀬さんは足を組んだ。
「どういうことだ?」
そう訊くと白瀬さんは足を戻した。
「金剛の言動、行動を見ていて思った事と、金剛が違和感に思った事......纏めると答えが出る。」
そう言って白瀬さんは新聞を畳んだ。
「金剛は私たちにとっては見たこともない存在。」
それは知ってる。
「金剛が異世界から来たと言うなら分かるだろう?」
そう言われ俺は頭を捻った。異世界からきたが、もう全部ぶっ飛んでて今更考えても仕方ないようにも思えるが、そんな俺を見ていた白瀬さんはすぐに答えを教えてくれた。
「つまりだ......金剛が取っていた言動、行動は私たちにとって本来ならば金剛に取らなければいけなかった行動。」
そう言って白瀬さんは一呼吸置いた。
「私は金剛が来た異世界が男性が女性を守るという慣習があったんじゃないかとな。」
俺はそう言われてすぐに思いついたのは、この世界では男性と女性の立場が入れ替わってるということだ。全く持って異世界らしい。
「そしてだな......この世界は男性が少ないんだ。」
そう言われ俺は開いた口が塞がらなかった。もう色々ぶっ飛んでて理解できないを通り越している。
「はぁ?......そりゃ、うん。」
そう俺は曖昧に答えた。
「そちらではどうだか知らないが、遺伝子的には男性の方が弱いってのがあってだな、生まれてくるまでに母親の卵子までに到達できる男性の染色体をもった精が殆ど届かないんだ。」
そう言って白瀬さんは溜息を吐いた。
「だから男性は非常に貴重で、生まれてきたのならかなり大切にされる。そしてポンポン増える女性が男性を守る社会が出来たんだ。」
そう言われ俺は怖くなった。昔、そんな話題を友達同士でしたことがあったが、かなり緩い内容だった。『街を歩けば目を引く』『何をしなくてもモテる』そんな事を言いながら最後には『そんな世界に生まれたかった』とか友達が言う始末。実際感じてみると怖いものだ。
「だから金剛、お前の姉妹は大丈夫だと思うが他は気を付けろ。そうしないと怖い思いをする。」
いや、もうしてます。
そう言いかけたのを堪えて俺は言った。
「分かった。......そう言えば白瀬さんは何ともないのか?」
「ん?私か?......何ともないわけないだろう。耐えてるんだよ。」
そう言われスッと距離を置いた。
「ちょっと待てっ!何故そんな距離を取り始めるっ!」
「だって白瀬さんの話を聞いてみると、俺の居た世界で言う俺は女性的な存在で、更にそれよりも扱いがいい。そして、見方を変えれば俺はライオンの檻に入れられた鹿だっ!」
そう言って距離を置いて行く。
「そう考えると白瀬さんは怖すぎるっ!!にじり寄らないでくれっ!!」
「待てっ!!落ち着いてっ!!」
「口調がおかしいぞっ!」
そう言われて俺は立ち上がり、執務室で追いかけっこが始まってしまった。
逃げる俺と、逃げる俺をなぜ逃げると言って追いかける白瀬さん。俺にとっては逆なのだろうが、状況が状況だ。逃げるしかない。
「今は金剛が居なんだ!逃げる場所が無いっ!!」
「待て金剛っ!私はそんな下卑た感情はっ!」
「信じれるかっ!!」
そう繰り広げられた追いかけっこは報告に来た金剛が来る30分間続いた。
いやぁ面倒な設定を入れてしまつた......。違和感あればお知らせください。
それにしても疲れている状態でのテンションで書くとかなり酷いですね......。
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